八条学園怪異譚
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第三十八話 狐道その五
「そういえばあんた達泉を探してたよね」
「この学園に僕達が入って来た場所を」
「そうなの、今も探してるから」
「それでなの」
こう話す彼等だった、そしてだった。
その二人にだ、毛の色は普通の狐と同じ所謂狐色であるが尻尾は見事に九本ある狐が出て来た、大きさも普通の狐と同じだ。
その狐がだ、四本足で歩きながら愛実と聖花に言って来た。
「はじめまして、じゃのう」
「はじめまして」
二人はその狐に頭を下げて応えた。
「宜しく御願いします」
「これからは」
「ああ、敬語はよいぞ」
狐は礼儀正しい二人にこう返した。
「わしはそういうのは嫌いじゃ」
「そうなの、それじゃあ」
「普通の口調で」
「宜しくな」
狐はこう二人に話し二人も応えた、それでお互いに砕けて話すのだった。
二人はだ、狐の九本の尻尾を見て述べた。
「九尾の狐までいるなんて」
「この学園って本当に凄いわね」
「まあのう、色々な妖怪がいるからのう」
「そうね、そういえば九尾の狐さんって千年よね」
「千年生きてるわよね」
「そうじゃ」
その通りだとだ、狐の方も言う。
「平安の頃から生きておるぞ」
「それで千年生きたら尻尾が九本になるのね」
「それが九尾の狐さんなのね」
「そうじゃ、そこの猫又の旦那もな」
狐は猫又を見ながら二人に話す。
「五十年生きて尻尾が二本になる」
「そうだよ、それで歳を経るにつれて尻尾が増えるんだよ」
猫又の方も語る。
「それで千年になる時には九本になるんだよ」
「犬もそうだよ」
送り犬もそうだと言う。
「五十年で増えるから」
「そういえばあんたも尻尾二本ね」
「ちゃんと」
「そうだよ、犬も千年生きると尻尾が九本になるんだよ」
実際にそうだというのだ。
「僕はそこまで生きていないけれどね」
「まあ狸衆は別じゃがのう」
狐は彼等のことにも言及した。
「あれじゃ、狸は大きくなるからのう」
「おっと、女の子の前では言わない様にしようぜそうした話は」
「止めようね」
猫又と送り犬はあることを言おうとした狐を止めた。
「八畳敷きっていうけれどね」
「下品な話だからね」
「そうじゃのう、では止めてじゃ」
狐も二匹の言葉に頷いて応えた、そしてだった。
あらためてだ、愛実と聖花にこう言った。
「それでじゃが」
「ええ、泉の場所ね」
「お稲荷さんの裏の狐道だけれど」
「そこに案内させてもらう」
狐の方から申し出るのだった、そこへの案内を。
「是非な」
「ええ、じゃあ御願いね」
「今から」
「可愛い女の子達への案内とはよいことじゃ」
狐は笑ってこんなことも言った。
「実にのう」
「ひょっとして九尾の狐さんってロリコン?」
「まさかと思うけれど」
「いや、何故そうなる」
狐は二人のこの疑問にすぐに顔を顰めさせて言い返した。
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