DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
第59話:便利な情報源
(サントハイム城)
マリーSIDE
(パカッ)
「あらあら、ヘンテコな笛をゲット!」
何とかウルフを説得(色仕掛け)し、宝箱の周りを囲む様に張り巡らされているバリア対策にトラマナを唱えさせたマリーちゃん。うん、私の事♡
最初に開けた宝箱には『あやかしの笛』が入っており、そそくさと懐に仕舞い込みます。
『そんな笛が何に必要なんだ!?』って聞かれると、説明がとっても面倒臭いので、黙ってロザリーヒルまで持って行きます。
続いて開けた真ん中の宝箱には『30ゴールド』が……
うん。私のお財布行きね!
あとでウルフとお茶する時に使おう!
つー事で、最後の宝箱には『マグマの杖』が……
これがあれば『ガーデンブルグ』に行く事が出来、そして泥棒に間違われる事が出来る!
一体誰があのアホな罠に引っかかるんだろ?
「こんな所で何やってんのよ!?」
少し先の事に思いを馳せていると、突如リューノが私達の下に近付き大声を上げる。
やかましい小娘だ……姉妹じゃなかったらブッ飛ばしてるところよ!
「あ、リューノ……そっちは終わったの?」
「え……う、うん。こっちは大した情報が無かったの」
ヒステリックに現れたリューノに対し、やんわり口調で問い返すダーリン……リューノも思わずウットリしてる。
いくらイケメンパワーがあるとしても、他人の彼氏に色目を使わないでほしいわ!
「ちょっとマリー……その杖はどうしたの!?」
リューノの態度にイラついてると、奴の後ろからゾロゾロとアリーナ達が訪れる。
そして当然の如く、私が手に持っている『マグマの杖』に気が付く姫様。
「こ、これは……ひ、拾ったのよ。今ここで拾っちゃった物なのよアリーナ様♥(エヘ)」
「拾ったぁ? その部屋の宝箱から取り出した物じゃないの?」
ちっ、脳味噌まで筋肉少女でも、そのくらいの事には気が付くらしい……
「おい筋肉姫、人聞きの悪い事を言うんじゃない! 俺達は城内にモンスターが残ってないか確認してたんだ。その際にこの部屋を開けたら、この杖が落ちてた……そして今、姫さんが現れ俺達を泥棒扱いしてるんだ!」
おぉ! 流石パパの弟子だ……即座に言い訳が出るなんて頼もしいですわ。
「べ、別に泥棒扱いしてる訳じゃないわよ……ただ……」
「良いのですよアリーナ姫♥ きっとこの杖はサントハイムの物でしょうし、ブライお爺ちゃんが使った方が有益だと思います」
たじろぐアリーナに満面の笑みで返す私。素敵でしょ?
「そ、そうね……じゃぁブライ……お言葉に甘えて、杖を使ったらどう?」
少しだが疑ってしまったアリーナは、私から下手に杖を受け取り、そのままブライへ手渡した。
しかも私が授けた様な状況になって……
「あ、そんな事よりマリーさん! 今後の情報を持ってるって本当ですか?」
“城内無断宝取得作戦”は私達の勝利で幕を閉じたが、突如ホイミンちゃんが意味不明な事を言い出し、私の心に揺さぶりをかける。
「な、何の事よ!? 何で私が今後の情報を持ってるのよ!?」
動揺のあまり声が上擦ってしまう……
何を根拠に私がDQ4の情報を得てると思ったのかしら?
「だってリュカさんが行ってました……『マリーなら、何らかの情報を持ってて、今後の行動決定をサポートしてくれるよ』って! それは本当なんですかマリーさん!?」
……………………
「あ、あのクソ親父!」
私が転生者である事が知られた訳じゃないのにはホッとしたが、全てを押しつけようとする父親に怒りが込み上げてくる!
「ちょっと、あのオッサンは何処よ! 何で一緒じゃないのよ!?」
アリーナ姫を初め、勇者のシン等が全員集まってるのに、あの親父だけが姿を現してない。
ガツンと一言言ってやらないと気が済まないわ!
「あれ……そう言えばリュカさんだけが来てないなぁ?」
「ま、まだ玉座に座って寛いでるのかしら?」
「はぁ……玉座で寛ぐぅ~? あいつ人様のお城で何やってんだ!」
私は慌てて2階の親父の下に戻る! 勝手な事を言うクソ親父の下に……
「ちょっとお父さん! 何勝手に私が情報を持ってる的な事を言ってるのよ!?」
2階へ戻ると玉座に勝手に座り、リューラと狐君に向けてギター弾き語り(童謡の『犬のおまわりさん』)を披露する父へ詰め寄る。
マッタリ寛いでんじゃないわよ!
「おやマリー……プンプン状態でどうしたの?」
「『どうしたの?』じゃないわよ! お父さんはワタシン全部押しつけようとしてるでしょ……全ての情報を持ってる様な事を言って!」
「押しつける気は無いよ……でも情報は持ってるんだろ? この時代もドラクエなんだろ?」
やっぱり前世の記憶として私の事を当てにしている……
DQ3の時の様に、随所で巧い具合に情報を披露出来れば良いのだけど、こういう感じで最初から当てにされると、私の情報源に疑いを持たれちゃう……
「マリー……」
私がこの状況を回避する言い訳を考えてると、リューラと狐君を下がらせたお父さんが右手人差し指だけを動かし、私を近くへ呼び寄せる……小声で。
「僕は良かれと思って『黄金の腕輪』をキープした……しかしお前は、この腕輪の本当の末路を知っている。でなきゃ『偽姫を犠牲にした』なんて言えないだろ」
「そ、それは……」
なおも言い訳をしようとしたのだが……
「偽姫達を犠牲にはしてない。誘拐犯を捕まえ、フレノールの連中には『この腕輪は災いの元だから、僕が預かる!』と説得して持ってきたんだ……この時代の情報を収集した結果、黄金の腕輪の事を知ったのなら、偽姫は無事だったと知ってるはずだ。つまりお前はこの時代に来てから情報収集をしたのでは無い……前世の記憶として情報を持ってるだけだ!」
完膚なきまでの失態……
私は未だにこの男の能力を侮っていた。
まさか腕輪を渡さずに誘拐事件を解決するなんて……
「あの……秘密のご相談中申し訳ないのですが……そろそろマリーさんの知る情報を開示して頂けますか?」
お父さんを睨み深い敗北感の海を漂っていると、遠慮がちにシンちゃんが私達に話しかけてくる。
「……べ、別に相談してた訳じゃないのよ。ただ、お父さんが全てを私に押しつけようとしたから……まぁ実際に多少の情報は持ってるから、皆さんに協力は出来ると思うんだけど」
言い訳を続けると余計に怪しく思われちゃうだろうから、この辺で父の言い分を少しだけ認める。
「で……それってどんな情報よ!?」
半裸の女が上から目線で情報開示を要求する。
イラッとするわ……
「勇者の武具について、私なりに情報を集めたわ。本当はライアンちゃんのお手伝いの為、勇者自身の情報(居場所情報)を集めたんだけど、そっちは誰も知らなかったわ」
一応情報を持っている理由を説明しておく。
「おお、マリーなりに情報を集めてくれてたのか!? では言ってくれれば良かったのに!」
「う、うるさいわね……勇者を見つける為の情報は得られなかったから、あえて言わなかったの!」
ライアンちゃんの一言で、今まで誰にも開示してこなかった事に疑いを持たれそうになった(個人の主観)ので、慌てて言い訳ブッこいた。
「なんだ~……マリーさん情報収集の為、色んな人に話しかけてたから騒動を起こしてたんですね? 迷惑な人だなぁと思ってました」
ムカツク元ブヨブヨね!
男の子だと思ってたから気にしなかったけど、人間になったらナイスバディーの女になりやがって余計にムカつくわ!
「それで、その武具についての情報は? 早く言いなさいよ!」
さっき大声を上げてたリューノが、偉そうに情報を催促する。
処女が粋がるんじゃないわよ!
「……先ず、一番近い所で『スタンシアラ』ね。この国には王家所有の『天空の兜』が保管されてるわ。次はガーデン……いえ『バドランド』よ。聞いた話では以前のバドランド国王が、何処かの国の女王に『天空の盾』をあげちゃったって話よ。何処だかは分からないから、聞きに行きましょう」
あぶねー……危うくバドランドをスルーするところだった。
バドランド自体は兎も角、イムルの宿屋イベントは体験したいし、あそこら辺に戻る理由を作っておかなきゃね!
「何と……私の母国、バドランドにそんな情報があるのか!? では一度戻って、私が陛下にお伺いしてみようではないか!」
ライアンちゃんが大声でバドランドの事を話し、自分の出番を主張する。
取り敢えず当面の目的地が設定されたので、その他の情報を聞き出そうとする者は居なくなった。
言い訳もしておいたので、私の情報源を疑う者も居ないし、概ね良好かな?
でも、何かあると私に情報提示を求めてくるんだろうなぁ……
マリーSIDE END
(サラン)
シンSIDE
取り敢えず次の目的地も決まり、今夜はサランという町に宿泊する事となった。
この町はサントハイムの城下町的な所で、城から歩いて数時間の位置に存在する。
とは言え、城から多少は離れてた為、サントハイム城がモンスターに占拠されてた影響は受けてない。
今日は朝から大忙しだったから、早くベッドで眠りに付きたいです。
でも……そんな些細な望みすら叶えてくれないのが、俺の所属するパーティーだ。
傍迷惑を顧みず、夜の宿屋で騒ぎ出す一同に心底腹が立つ!
シンSIDE END
後書き
さてさて皆様お待ちかね……
次話からお宿で大騒ぎが開催されます。
物語の演出上、60・61・62話はそれぞれ短めのお話ですが、3話一挙に掲載しますのでご了承下さい。
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