グランドラインをドライブしよう ~目的地はラフテル~
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それ、腐っているんじゃないですか?
「リオン、今だから言おう。お前はワシの実の孫ではない」
と、十歳の誕生日に唯一の肉親であったはずのお祖父さんに言われた時、僕ことランド・S・リオンはお祖父さんが言ったことが理解できませんでした。
……ええっと、一体どういうことですか? お祖父さん?
「うむ。突然のことで驚いているかもしれんが、まずはワシの話を聞いてほしい。……ワシがお主と出会ったのは今から十年前の今日じゃった」
お祖父さんの長い長い昔話を要約すると今から十年前、生まれたばかりの赤ん坊だった僕は大海原に浮かぶ小舟に一人で乗っていたらしく、そこを偶然お祖父さんに見つけてもらい今日まで育ててもらったそうです。
……それってどう考えても捨て子ですよね? 生まれたばかりの赤ん坊を海に流すなんて僕の生みの親は何を考えていたのでしょうか? まあ、顔も覚えていない生みの親のことなんてどうでもいいですし、僕の感想としては「お祖父さん、拾ってくれてありがとうございます」くらいしかないのですが。
「…………………………お主、相変わらずのマイペースで無表情じゃのう。このような話をされたら普通、色々と思うじゃろう? 本当に十歳になったばかりか?」
そんなことを言われましても本当にそれくらいしか思わないんですから仕方がないじゃないですか? それで話はそれだけですか?
「いや、もう一つある」
トン。
お祖父さんがテーブルにおいたのはブドウのような果物ですが……何ですか、それ? 実の一つ一つにぐるぐる模様があるし、実の色がそれぞれ違うし、見ているだけで食欲が失せるんですけど。
「これは『悪魔の実』じゃ」
悪魔の実? それって前にお祖父さんが話してくれた、食べたら一生カナヅチになるかわりに特別な力を一つ身につけることができるあの夢フルーツのことですか?
「その通りじゃ。この悪魔の実は十年前にお主が乗っていた小舟にあったもの。つまりはお主のものじゃ。これを食べるなり、売るなり、好きにするといい」
……………………………………………………。
お祖父さん、一つ聞いていいですか?
「何じゃ?」
この夢フルーツ……悪魔の実、十年前に僕と一緒に見つけたって言いましたよね?
「そうじゃが?」
……十年前の果物って。それ、腐っているんじゃないですか?
「…………………………むっ」
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