モンスターハンター ~厄災の狩人達~
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明星の英雄
旧知の仲
前書き
初の依頼を終えた二人にとんでもない話と懐かしい姿が飛び込んできた。
大衆酒場についた二人は報酬金を受け取った。
「二人で山分けして千八百ゼニーか。いい仕事だったな。」
ダイラスはニヤけながらカウンターにおいてある袋を持ち上げた。
「うーん…。」
アルフレッドは首をかしげながらもらった素材とにらめっこをしていた。
「どうしたんだアル?素材の数が少ないのか?」
「違う…。」
「じゃあ、もらった素材が違ったのか?ちゃんとヴリンダの素材じゃないか。」
「違う…。」
「一体何が違うんだ?」
「大きさ…。」
「大きさ?普通に見えるけど…?」
「いいかい?これが前調査がてら倒したヴリンダの爪。そしてこっちが変になってる爪。」
「何も…、変わらないじゃないか。」
「大きさが前のに比べて大きいんだ。三ミリくらい。」
「気のせいだろう。それに、百歩譲って大きさが違ったって単に伸びるペースが他より少し早かった…か?」
「そう、そこなんだよ。ヴリンダはすべて同じ個体のような成長の仕方をする。そう生態調査報告が上がってるんだ。」
「というと、こいつは…。」
「ああ、おそらくただでさえ怖いヴリンダの中でもリーダーになる存在だった奴だろう。」
「…恐ろしいな。」
ヴリンダの爪を見ながら話し込んでいると、入り口から年配の男が歩いてきた。
「お主らはいつでも騒々しいのぅ。オチオチ寝てもおられんかったわい。」
「おぉ!じいさん!」
「じいさんじゃない!元古龍観測局本部長 ジャノバ=ホヴディットさんだろ!」
「フォッフォッフォッ、律儀に本名を呼ばれるのはあまり好まぬが、じいさんと呼ばれるのも好きではないのぅ。」
ジャノバ=ホヴディットは、元古龍観測局本部局長をやっていたこともある、本人曰く「スーパー老いぼれ」なのだそうだ。
しかし、その功績はあなどれない。何せ今全世界に生息している古龍種の名付け親は、このジャノバという話で有名である。
「しかし、何でまた大衆酒場へ?あれほど外へ出るのは心苦しいと仰っていたではないですか。」
「ヌシらの声がうるさくての。なんじゃと思って原因を探りに来たのじゃよ。」
「それはとんだ粗相を…。そういえば、ジャノバさん。」
「ぬ、話さんでも分かる。」
「え?」
「わしも前々からどうもおかしいと思っておったのじゃ。」
「やはり、そうでしたか…。」
「二人だけで話すなよぉ!オレにも分かる様に話してくれ!」
さっきまで蚊帳の外だったダイラスが急に首を突っ込んできた。
「さっき言ったことも関係してるんだよ。」
「?」
「ソルディム山地の生態系が狂ってきている。」
「はぁ!?」
周りから冷たい視線を一瞬にして浴びたダイラスはしばらく縮こまった。
「まだ、狂い始めて間もない頃じゃから直ちにこちらに被害が出ることは無いとは思うがのう…。」
「心配ですね…。」
「うむ。お主らにちと依頼をしてもよいじゃろうか?」
「何ですか?出来る限りなら何でもしましょう。」
「おい!それはオレのセリフだろうが!」
「何てことは無い。ソルディム山地へ行って今から言うものを採ってきてほしいのじゃ。」
「何をもってくりゃいいんだ?」
「まず、ソルディム山地のギルド公認エリア四に生息しておる、バノトプスの肉。次にそれらを食うておるブルノスの鱗。
そして、ヴリンダの鳴き声じゃ。」
「鳴き声…ですか?」
「うむ。鳴き声じゃ。実はヴリンダは独特の鳴き袋で、我々には聞こえん周波数で会話をしておる。
それを今から渡す携帯型蓄音機で回収してきてほしいのじゃ。」
「分かりました。」
「気をつけるんじゃぞ、いくらヴリンダやブルノスと言えどまだ発見されたばかりで詳しい生態などは分かっておらんからのう。」
「ありがとうございます。」
「行って来るぜ!ジャノバじーさん!」
「だからじーさんじゃない!」
「フォフォフォ、騒々しいやつらじゃ。」
二人はジャノバから携帯型蓄音機を譲り受け、別れた。その後アルフレッドが別方向へ向かった。
「どこ行くんだよアル!ソルディム山地へ行くんだろ!?」
「その前に大衆酒場の薬学部研究長のとこへ行くよ。強走の粉塵を使ってみたいしね。」
「ったく…、マジメだなぁアルは。じゃあ、先に大衆酒場に行ってるぞ。」
ダイラスは大衆酒場へ向かった。
「…これは、すごいな。さすがは物質調合学研究長。」
「その肩書きを言うのはやめてくださいとあれほど言ったじゃないですか…。」
「誰も皮肉の意をこめて言ったのではない。が、正直この粉塵は技術や名声を盗んででもほしいものだな。」
「ハハハ…。」
たわいも無い会話を終わらせ、アルフレッドは薬学部を後にした。
その後、大衆酒場へ行ったアルフレッドの目に懐かしい人が映った。
「あっ、セージさんにガイルさんじゃないですか!」
「おっ、噂をすればなんとやらだ。エイン村一モテる男のお成りだぜ。」
「その話はよしてくださいよ、ガイルさん…。」
「まあ、いいじゃないか。将来には困らなさそうだし。」
「セージさんまで…。」
セージとガイルは、アルフレッドが昔パティオ村というセクメーア砂漠周辺に位置する村へ出張に行ったとき、銀火竜と金火竜を倒して有名になっていた親子だ。
セージは今、依頼でこの北エルデ地方で目撃された鋼龍クシャルダオラの狩猟をしに来たんだと言う。
ガイルは単にセージについて行くついでにこのエイン村を見に来たんだと言う。
「それにしても二人とも気合が入ってますね。」
気合が入ってるとは装備のことだ。
セージはセクメーア砂漠にも目撃情報がある轟竜ティガレックスの厚鱗と重殻を用いたレックスXシリーズ。
武器はフラヒヤ山脈にてよく遭遇するフルフルの電気袋を用いて作られた電銃槍フルボルトを装備している。
ガイルは広域で目撃される火竜リオレウスの亜種、蒼火竜リオレウス亜種の素材を使ったリオソウルZシリーズ。
武器は、古龍種であるものの唯一飛ばない古龍とされる幻獣キリンの素材や毒怪鳥ゲリョスの皮などを用いた雷刃ヴァジュラを装備している。
「セージ、腹減ってないか?俺ぁちと腹ごしらえをしてくるわ。」
「ああ父さん、僕も何か食べるよ。」
「アル、俺らも何か食べようぜ。腹減ったよ、俺。」
「そうするか。」
四人は一斉に食事を注文した。
「ギガントミートのステーキだ!」
いの一番にガイルが注文した。
「僕もそれで。」
セージが後に続く。
「じゃあオレも!」
ダイラスがさらに続いた。
「じゃあ、僕はコロコロ肉とマイクロアスパラのソテーで。」
アルフレッドはこれまで続いてきたステーキの空気を完全に破り注文した。
事実食材の小ささと調理のしやすさから、一番最初に来るのはアルフレッドの料理である。
そしてアルフレッドは柄にもなく早食いの王者である。料理が少ないので当たり前のことでもあるが。
「じゃあ、僕はストアで買い物をしてきますね。」
先に食べ終わったアルフレッドがストアへ向かった。
「そういえば、お前さんの名前をまだ聞いていなかったな。」
「ああ、俺の名前はダイラスだ!」
ダイラスは名前を訊いてきたガイルに律儀に答えた。
「いやぁ、やはり地図にない村だな。料理の味付けもパティオ村や、ドンドルマとはぜんぜん違う。」
三人はようやく食事を終えた。ちょうどアルフレッドもテーブルに戻ってきた。
「じゃあ、行くか。」
「ああ。じゃあな、アルフレッド、ダイラス!」
「さようなら。」
「じゃあなー!」
セージとガイルは古塔へ向かった。
「じゃあ、俺らも。」
「行こうか。」
アルフレッドとダイラスはソルディム山地へ向かった。
「アル、マタタビはいいのか?」
「一日に一回でいいみたいなんだ。」
「ハハハ。」
二人は雑談をしながらバノトプスの引く荷車に乗っかった。
そして太陽が沈みかけ、夕日が映えるソルディム山地へ向かった。
【二話 -fin-】
後書き
ども、島原です
この話には戦闘シーンがまったくもってありません。はい。
この頃は駆け出しだったが故に勝手をよく理解してませんでしたねw
ではでは
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