ロザリオとバンパイア〜Another story〜
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第15話 勘違いと嘘
見える……と言うのだろうか?
辺りは……そう漆黒の闇。
そして、自分自身がどうなってるのか。
そして、今後どうなるのか……。
何もわからない。
今後……恐らく考えることも出来なくなるのだろう。
そんな時だ。
自分の意識が残っている内に……。
−−全く無茶したねー君も……(笑)−−
いつまでも続くかのような深遠の闇の中。
それは聞こえた。
何の前触れもなく、唐突に……。
(ん…… 誰だ? 朝か?)
声に向かって 話しかけた。
話せているのか……、解らないけれど話しかける様にしていた。
それでも…… 誰かと話すなんて、凄く久しぶりだって思う。
−−あんたさー 朝か?って ンな分けないでしょ!まったく いくらなんでも あんな無茶したら死んでしまうってわかんなかったの??−−
相手の…姿は見えない…
だが 声の正体はすぐに分かった。
その軽い感じの声…。
陽気な感じの声…。
それは…
この世界に誘ってくれたあの人。
(なつかしい声………。 あのときの女神さんかな?)
ジャックはそう語りかける。
意外にももったいぶらずに直ぐに返事が来た。
−−ええ!そうよ! ……って こんな会話すんじゃ無くて……−−
その女神様の声は 徐々に大きくなってきた。
声の感じからして、ひょっとしたら見えないけど、目の前にいるのだろうか?
「せっかく もう一度の人生として 送り出してあげたのに なんであっさり死んじゃうのさ!もうちょっと賢く出来たんじゃないの?まったく……」
多分?目の前まで来てるであろう 女神に尋ねてみた。
『……やっぱり 俺はまた死んだのか……?』
今度は声に出せていると解った。
しかし、……
(2度死ぬって………、何だか情けない。)
この血の世界と言ってもいい世界に来て、そして わざわざ チート能力までつけてもらってさ。
どんな強大な力を得ても、使い手が未熟なら宝の持ち腐れだった様だ。
「まったくだよ!よく分かってんじゃん!せっかく能力あげたのにー! そして、アンタにあげた能力の代償云々はもともと知ってたんでしょ?なのに あんな無茶をしてさ」
(ああ、そうだ この人?頭ん中読むんだった。 ……忘れてたけど やっぱりいい気はしないな。それに、そもそも 闇の副作用はテキトーに考えたのが駄目だったな。格好をつけて、ハンデの意味もあってつけたんだっけ?確か。何よりも自然系の能力を持って、負けるイメージは元々さらさらなかったんだったな。)
それは、 当然だろう。
身体の全て、物理攻撃は無効となる力だ。
そもそも第一にどうやって 攻撃を当てるのか見当も付かない。
そして某漫画の≪覇気≫と言うのもいまいちよくわからん設定だ。 苦笑
気合があれば何でもできる!ってことなのか?
この世界では妖力が≪それ≫に該当する様だったんだ。
でも最強種と呼ばれる力。
それを複数もった以上は無敵とタカをくくっていた。
だが……実際はそうでもなかったんだ。
自身は消滅……。消えてしまったんだ。
苦笑いしながら まだ見えてこぬ声に向かって話を続けた。
だけど……。
確かな事はある。
『ああ……、でも俺は後悔はしてないよ……。』
声を発している。それを確信できた。
「……え?なんで?アンタ、たった数ヶ月間しか生きれてないじゃんか!それだけで?」
……?考えてること読めるんじゃなかったか?
まあ……別にいいか。
ジャックは、一息つくと……。
『オレは、大切なものを……。 かけがえの無いものを 護ることが出来たんだ。 ……貴方の言ったとおりだったよ。≪作者≫の想いの世界か。……素晴らしかった。とても、素晴らしかったよ。フィクション漫画と言っても 実際に会ってきたのは、本物だ。嘘の存在じゃない。 俺のもとのいた世界じゃ出来なかった、できなかったことを出来た。そして、みんなを護れたんだ。後悔はしてない……よ。』
そして、ジャックは一瞬言葉に詰まる。
『そして……、悔いもない……さ。』
最後は、言葉を絞るように そう言った
「……へー、 最初に会ったときは 変わり者だと思ったけど アンタ なんか変わったね? なんかカッコいいよ!人間の癖にさ!」
(最後のは余計だよ……。 まぁ 女神にここまで言わせれたってのも凄い事なのかもな……)
「そっ 凄い事なのさっ! でも…アンタ 1つ勘違いしてるよ それに……嘘もついてるッ!」
女神の一言 それは大きな声ではっきりと言う。
その一言に酷くジャックは動揺した。
……納得ができない単語だったから。
俺が嘘ついてる、と言う事だ。
『……後悔してないのは 断じて嘘じゃないぞ! ……あのアルカードはオレと同じ存在だ。所謂反則系。直感で……いや、 アイツと戦ってみて分かった。 ……あれの強さは俺のせいだ。本来なら史実ならあの3人で仕留め、封印処理できていたんだ。……そのはずなのに、オレを含めた4人でも圧倒されかけた。……オレと言う存在をあの世界に書き換えたから……歪んだんじゃ無いか。そうとしか考えられない。……つまりは俺の責任でもあることだ。だから…その 化物から かけがえの無い仲間を護れたんだ!……それを後悔したとは言わせないぞ!!』
ジャックは興奮しながら訴えた。
嘘?そんなはずはない!と!
漫画が好きだからとかじゃない。
会った本人達が好きになったんだ。
あの3人を。
≪アカーシャ・御子神・東方不敗≫
彼らとの絆は自分にとってかけがえの無い…何にも変えられない宝。
……絶対に後悔など無い。
「ははっ、あんた頭イイね……!多分あんたの言ったこと 正解だよ。世界の書き換えにはさまざまな 現象、つまり≪バグ≫が起こることがあるって 先輩がいってたし、所謂修正力?パワーバランスを整えるためにさ!世界も生きてるらしいから。(まー ぶっちゃけ忘れてたけどね!笑)」
『最後の!一言!最後の聞こえた!! 忘れるなよ! んな大事なことを!! 事前にあるんだったら、心構えもできるのに!』
ジャックは思わず突っ込んでしまってた。
重要なことを……忘れるって!! 苦笑
「……後アンタ嘘ついてるって言ったのは そのことじゃなくて……。と言うより、気づいているんでしょ?自分でもさ……、 そう≪悔い≫のことだよ。」
見る事は出来ないが、わかる。
感じる…… 今、目の前の女神は笑ってるんだ……。
ジャックはそう感じていた。
『え?』
だからこそ……必要以上に驚いたように声を上げていた。
初め、女神が言っていた≪嘘≫その言葉に強く反応し……。
そして、≪悔い≫と言う言葉が≪嘘≫だと言われ再び強く反応した。
女神は、核心突く所へと……。
「アンタ悔いないって言ったよね?それが嘘なんだよ。……アンタ、【泣かせたまま】でいいの?」
『っつ!!』
赤面してるのが自分でも分かる。
泣かせたままで良い分けない。
そう叫びたかった。
だけど……声が出てこなかったんだ。
「凄いよね〜 相手は 今後男いる女になるのに あそこまで 大切に思っちゃってさ!不倫しちゃまずいんじゃないの?(笑)それとも〜 あは♪ モカちゃんのパパに予定だったとか?狙ってたの?」
(こら!人聞きの悪いこと言うな!! 親愛だ!親愛!パパ!!!!!んなわけないだろ!!)
「んー 親愛か……。それ、ちょっとつまんないかもね〜 後さ、キミ動揺しすぎ♪人間じゃないんだし?一夫多妻もいいかもよ?」
『うるさいな。それに!いいわけないだろ!ベースは日本人なんだから!』
一夫多妻!!そんな事出来るわけ無いだろう!と思っていた。
……たしか、つくねも『反対!』モカも『ダメだと思う!』裏モカも『認めん!』
って言ってたと記憶している。 (シーズン2より)
「あはは!じょ〜だんだって! やっぱ アンタといて私…退屈しないや!あーそうだ!後もう1つあったんだ。そ、勘違いしてるってのは…ね?」
その次の瞬間 辺りに光が満ちてきた。
目も眩む鮮やかな光。
瞼を閉じているのに解る。
「…アンタはまだ死んじゃいないってこと!! この世界は始まったばかりなんだよ。 …まだ 終わりじゃないよ… 貴方の物語は続いているだから。 だから……最後まで、がんばんなさいよ。」
光が満ちてくると同時に 声が小さくなり 聞こえなくなった。
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