とある星の力を使いし者
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第80話
上条達と別れてからしばらく、歩いていると麻生の携帯の着信音が鳴り響く。
携帯の画面には麻生竜也、麻生の父親からの着信だった。
「おお、恭介。
今どこにいる?」
「街の中だけど、明確な場所までは分からないな。」
「そうか、なら第七学区だったか?
そこにある、喫茶店が一つだってな、場所は・・・・」
竜也から喫茶店の場所を教えて貰う。
「それで、そこに行って何をするんだ?」
「喫茶店に集まるとしたら、昼ご飯を食べる以外に何がある。
秋葉も久しぶりにお前とご飯を食べれると思って腕によりをかけてご飯を作ったんだぞ。」
喫茶店なのに弁当を持参するのはどうなのだろう?、と麻生は考える。
しかし、大覇星祭において一番重要なのは食料品の確保よりも、座って食べられる場所である。
おそらく、麻生の親子以外にも弁当を持参している親子もいる筈だ。
「それと、私達の他にも一緒に食事をとる親子もいるからあまり待たせるんじゃないぞ。
それじゃあな。」
そう言って通話を切る。
竜也の言っていた他の親子、という単語が気になったがとりあえず竜也達がいる喫茶店に向かう。
着いた喫茶店はこぢんまりとした喫茶店だった。
店長の趣味丸出しなのか、お勧めメニューどころか開店と閉店の札さえ、すごく見づらい。
とにかく客を招いている雰囲気がしない店だ。
が、そんな店でも現在は満員状態だった。
理由は簡単、今は午後二時前で、まだ大覇星祭のお昼休みだからだ。
二三〇万人もの住人と、下手するとそれ以上の数を誇る「外」からの観客達が、一斉に飲食店を目指しているのだから、こんな店にも集まる。
ウェイトレスもいない店内に足を踏み入れた麻生は、しばらく混雑ぶりを見て鬱陶しいそうな顔をする。
すると、麻生に向かって手を振る男の姿が見えた。
「恭介!ここだ!」
「竜也さん、もう少し声を下げてください。
少し恥ずかしいです。」
窓際の四人掛けテーブルに、見知った顔があった。
麻生の両親である、竜也と秋葉である。
竜也は白のワイシャツに黒いネクタイにジーンズは茶色のパンツを履いていて、秋葉は腰まである長い黒髪に白いシャツにピンク色のカーディガンに足首まである長い紫色のスカートを履いた。
二人が並ぶととても絵になっている。
二人が座っている席に近づくと、竜也達の他にも座っている人達がいた。
「やぁ、恭介君。
海の家以来だね。」
「こんにちは、恭介君。」
「こんちには。
刀夜さん達も一緒だったんですね。」
「この人達が何か困っているようだったから声をかけたんだが、それが上条親子さんだったとは思ってもいなかったよ。
本当に世間は狭いですね。」
「全くですな。」
詩菜と刀夜は四人掛けテーブルに二人だけ座っている。
おそらく、後から上条とインデックスが合流する事になっているのだろう。
通路を挟んで竜也と秋葉が座っており、その向かい席には淡い灰色のワイシャツに薄手のスラックスを穿いた女子大学生ぐらいの女の人と、その隣に陸上選手が着るようなランニングに短パン姿の女子中学生、超能力者(レベル5)でもある御坂美琴も座っていた。
「それでどうしてお前も此処にいるんだ?」
「知らないわよ。
私もついた時には皆集まっていて・・・・」
「彼女も刀夜さん達と一緒に困っているみたいだったから、声をかけたんだ。
それで一緒にお昼ご飯を食べる事にしたんだよ。
いやぁ、本当に世間は狭いな。」
竜也の説明を聞いて納得する。
麻生は竜也達が座っている席に座る。
二人掛けなので少し狭いが、真ん中にいる秋葉は嫌がるどころかむしろ嬉しそうな表情を浮かべている。
上条が合流するまで待っていると、数分して上条とインデックスが喫茶店に入ってくるのが見えた。
なぜか、インデックスはいつもの白の修道服ではなく、チアガールの服装になっていた。
上条は麻生が居る事に気づき、少しだけ気まずそうな顔をするが、親が見ている前でそんな顔をする事はできないと、いつも通りの顔に戻して話しかけてくる。
「あれ、恭介もいたのか?」
麻生もいつも通りの口調で話す。
「なぜ、俺が此処にいるのかは俺とお前の親から聞いてくれ。」
「へ、恭介の親?」
と、麻生の隣にいる竜也と秋葉の方に視線を向ける。
「恭介の父の竜也です。
こっちが妻の秋葉。
君が当麻君か、ウチの恭介がお世話になっているよ。」
「いえいえ、こっちの方が色々と恭介にお世話になって。」
上条が小さく頭を下げる。
上条とインデックスは刀夜達側の席に座り、ようやく全員そろった。
「とうま、私お腹減った。」
「あらあら、それじゃあ早ご飯にしないといけないわね。」
詩菜は膝の上に載せていた籐のバスケットをテーブルに置く。
秋葉も同じようにバスケットをテーブルの上に置く。
食べ物の匂いに敏感なインデックスはすぐさま姿勢を正す。
それを見た上条は呆れたような表情をして、ふと気づいた。
「何だ、御坂も来ていてたのか。」
「アンタ、こいつの存在に気づいた時には私の事も見えていたでしょうが!!
何を今気づきました、みたいな反応をしてんのよ!!
そもそも、いつもアンタの側にくっついているこの子はどこに住んでいる誰なのよ!?」
「そうだぞ当麻。
言われてみればその子は誰なんだ?
泊まりがけで海へ行った時にも一緒について来ていたが、海の家では父さん達の質問も上手くはぐらかされていたし。
恭介君は何か知っているかい?」
「いえ、何も。」
逃げやがった!!、と上条は心の中で麻生に叫んだ。
どうやって説明するか考えていると、インデックスは美琴の方を見て言った。
「かく言う短髪だって、どこに住んでる誰なの?
とうまのガールフレンドかなんか?」
インデックスはおそらく単に友達という意味で使ったのだが、対する本場日本人の御坂美琴はピクリと肩を震わせるが、いつも通りに平静を装って言う。
「そんな訳ないでしょ!!」
「じゃあ、きょうすけのガールフレンド?」
その言葉を聞いて、一気にその平静が崩れる。
「ば、ばか!!こんな奴と何かある訳・・・」
「きょうすけととうまの学校の応援にも来てたよね。
確か「ぼうたおしー」の時」
「ちがっ、ちょ、黙りなさいアンタ!!」
美琴はバタバタと暴れ出したが、対照的にインデックスの方はあんまり興味ないらしい。
秋葉は隣にいる、麻生に小声で話しかける。
「まぁ、恭介さん。
モテモテですね。」
「母さん、からかうのはよしてくれ。
別にあいつとはそんな関係じゃないよ。」
「今はそうでも先の未来ではどうなるか分かりませんよ。」
と、何か意味深な言葉を言う。
上条の父親である、刀夜は店の壁にある時計を見ながら言う。
「まぁ、とりあえずご飯を食べるとしようか。
当麻、そちらのお二人にはありがとうって言っておくように。
わざわざ当麻が来るまで何も食べずに待っていてくれたんだぞ。」
「恭介、お前もちゃんと言っておくんだぞ。」
刀夜に続いて竜也も麻生に言う。
麻生が視線を向けると、美琴はうっ、と怯んだように座席の背もたれに身体を押し付ける。
一方、美琴の隣に座っていた、唯一麻生や上条と面識のない大学生ぐらいの女性は淡く笑いながら言う。
「まぁまぁ、ようやく待ち人が来たんだから、さっさとご飯にしちゃいましょう。
えっと、お名前は上条当麻君と麻生恭介君で良いのかな?」
「え?そうですけど、あの、そっちは御坂のお姉さんか何かで?」
「ううん。
私は御坂美鈴。
美琴の母です、よろしくね。」
そう告げた瞬間、上条サイドのテーブルの空気が一瞬だけ止まった。
「HAHAァ!?」
上条親子とインデックスは仲良く絶叫した。
麻生はそれほど興味もなかったのかそれほど驚いてなく、竜也は少しだけ驚いているが秋葉の顔を見て何か納得したような顔をする。
「だ、だって先ほどは大学がどうのこうのと言っていたじゃないですか!?」
刀夜は美鈴との会話を思い出し、聞く。
「ええ、ですから近頃になって、もう一度学び直してるんですよ。
この歳になって色々分からない事に遭遇できるっていうのも結構刺激的なのよね。」
そう言われてしまうと何となく辻褄が合っているように聞こえてしまうのだから不思議だ。
さらに上条と刀夜の親子は、同じテーブルに着いているお嬢様然とした詩菜や隣のテーブルに座っている秋葉を見て思った。
「いや、世の中にはそういう事例があってもおかしくはないのか?
どう思う、当麻?」
「まぁ、言われてみればウチだってそんな感じなんだし、それに恭介の秋葉さんも。
わざわざおかしいと叫ぶほどの事でもないの・・・かな?」
妙に納得した雰囲気が流れつつあった。
御坂家にとってそれはどうでも良い事らしく、美鈴も美琴も全く気に留めていない。
「それで、母さん。
一体何を作ったんだ?」
麻生家も気に留めず話を進める。
「色々と考えたけど、運動会なのだからシンプルにしようと考えたの。
だから、おにぎりとサンドイッチにしてみました。」
「ほほ~これは美味しそうだ。」
竜也はそう言って、弁当に入っているおにぎりを一つだけ手に取り、口に運ぶ。
麻生はサンドイッチを選び、口に運ぶ。
「さすがは秋葉だな。
このおにぎり、美味しいぞ。」
「このサンドイッチもなかなかだな。」
「まぁまぁ、ありがとうね二人とも。」
秋葉は特に麻生に美味しいと言われたのが嬉しいのか、非常に幸せそうな表情をする。
気にする素振りを見せない、親子達の見て上条親子も考えるのが馬鹿らしくなってきたので、詩菜が作ったライスサンドを食べるのだった。
後書き
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