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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第56話:次の目的地はサントハイム! でも、その前に……

(ハバリア)
ライアンSIDE

人間に戻り改心したキングレオ王の情報で、進化の秘法やデスピサロの事を詳しく知った我々は、今なお実験の為に使用されているサントハイムへ赴く為、トルネコ殿の所有する船を停泊させている港町ハバリアへやって来た。

アリーナ姫の母国と言う事もあり、一秒でも早く赴きたいご本人ではあるのだが、旅準備をする必要がある為、直ぐには出港出来ず町で買い物をする事に……
人間になり立てのホイミンの為に、洋服やその他の物を買い揃えなければならないのも事実。

女性の事は女性に任せるのが一番なのだが、ホイミンが私の腕から離れてくれないので、仕方なく私も一緒にお買い物に付き合っている。
まさかホイミンが女性だとは考えてもなかったので、正直かなり戸惑っている。

「なぁホイミン……も、もう少し離れて歩いてくれないか……」
「えー何でですかライアン様ぁー!? 前は腕に巻き付いてても何も言わなかったじゃないですか! もしかして……ボクの人間になった姿が変だから、一緒に歩きたくないんですかぁ!?(涙)」

「そ、そうではない……そうではないのだが……」
胸が……ホイミンの胸が腕に当たって……その……
だって以前は男だと思ってたから……腕に巻き付かれても、あれは触手だと思ってたから……同じ柔らかさだけど、ホイミスライムの柔らかさだと考えてたから!!

「ホイミンちゃ~ん♡ 何なら僕の腕に巻き付いても良いよぉ!」
「ヤです。リュカさんはココを触るから近付きたくありません」
そういって私の後ろに隠れたホイミンは、自分の胸を腕で隠しリュカ殿の申し出を拒絶する。

「何を言ってるんだいホイミン(きゅん)! そこは男が揉んで楽しむ用に発達した部位なんだよ! 僕は揉み慣れてるから大丈夫なんだよ!」
何を言ってるんだこの男は!?

「じゃぁライアン様に揉んでもらいます……だからリュカさんはあっちに行って下さい!」
やっぱりそうなった!
人間になり立てでリュカ殿やウルフに、胸を揉みまくられた事がトラウマになっており、私以外の男性を避けるホイミン。

「はい。ライアン様ぁ♡」
と言って胸を私に向け突き出すホイミン……
何と言えば良いのだろう……
そんな破廉恥な事を人前でする訳にいかないのに……

ライアンSIDE END



(サントハイム港)
トルネコSIDE

私は驚いている。
数分前までキングレオ領の港町ハバリアに居たのに、一瞬でサントハイム港へ到着してしまった……
水夫達も唖然とした表情だ。

アリーナ姫の故郷であり、リュカさんがお世話になったとされるサントハイムに、マーニャさん・ミネアさん・ウルフさんが追っているバルザックが居ると聞きつけ、急いで出港準備を済ませた……

ハバリアからサントハイムへの荷物を募集し、大急ぎで船に積み込み『出発!』ってところで、リュカさんがルーラを唱えたのだ。
ルーラという魔法は、術者を行った事のある場所へ瞬間転送させる魔法なのだが……
どういう訳か荷物を積み込んだ私の船ごと、リュカさんのルーラで瞬間転送したのだ!

驚いてるのは私だけじゃない。
シンさんも、マーニャさん・ミネアさんも、仲間になり立てのライアンさんとホイミンさんも驚いている。あ、忘れてたけどアローも……

驚いてないのはウルフさんを含むご家族と、我々より長くリュカさんと旅をしてきたアリーナ姫様達だけだ。
何者なんだこの人は!? まぁ王様って事らしいけど……

しかし、コレは使えるなぁ……
少なくともリュカさんはサントハイム・ミントス・エンドール・ハバリアの4都市に行った事があるはず……
って事は、そこへの荷物を募集すれば、リュカさんのルーラで一瞬に配達する事が出来るぞ!

此処((サントハイム港))から一番近い都市はエンドール……
それでも船で向かえば1週間から10日の距離だ。
だが我々の便であれば、集荷の翌日には各港に到着する事が出来る。

通常の3倍の料金でも、急ぎで届けたい人は支払うだろう……
大儲けのチャンスですよ!
“最速トルネコ便”として大々的に売り出す好機ですよ!

「おい……今回は急いでたから僕がルーラを使ったが、他人の商売の為にはルーラは使わないからな……僕を金儲けの道具にしようなんて考えるなよ」
宣伝方法やキャッチコピーなど、頭の中で纏め上げていたのだが、低いトーンでリュカさんが予防線を引いてきた。

「そ、そんなぁ……す、少しで良いんです! 少しだけですから、船の維持費を稼ぐ事に協力して下さいよぉ~……」
私は泣き落としをかけた。

一瞬で私の考えてる事を看破し、普段出さない様な声で脅しをかけてきたリュカさんに、泣き落としで対抗してみる。
と言うか、今の私にはそれしか方法が無いのだ!
心を読み取るかの如き所行を行うリュカさんに、対抗する方法など他に無いだろう!

「……………じゃぁ、売り上げの95%で手を打とう」
「きゅ、95%!?」
冗談では無い! それでは船の維持費どころか、水夫の給料も払えないでは無いか!

「そ、それでは赤字ですよ……勘弁して下さいリュカさん。出せても10%が精一杯です」
売り上げの4割は船の維持費、さらに3割で水夫等に給料を支払い、リュカさんには1割支払うのが関の山だ……とは言え、95%と言ってきた人だから、簡単には引き下がらないだろう。
ここから交渉の始まりだ……まぁ18%までは譲歩しても良いかな?

「……98%」
え!? 今……98%って言いましたか?
何でさっきより増えてるんですか!?

「リュ、リュカさん……普通こういう場合は、お互いに譲歩し合って折り合いを求めるモノでしょう! なのに何で最初の金額から上がってるんですか!?」
理不尽すぎるでしょう。

「じゃぁ99%!」
「ちょ、何で値上がってるの!?」
おかしいです……交渉が出来ないなんておかしいですよ!

「じゃぁ面倒いから150%」
ダ、ダメだ……この人は常識が通じないんだ……
これ以上会話をしても意味が無い。

「わ、分かりました……もう良いです。リュカさんにはお願いしませんから……もうこの話は無かった事にして下さい」
ほとほと疲れて頭を下げる私……
それを見たリュカさんは、まだ何かを言いたそうだったけど、サントハイムの事が気になる様で、踵を返して立ち去ってしまった。

代わりに近付いてきたのはウルフさん……
何やら恐怖を感じますが、逃げ出す事も出来ませんから、真面目な顔で話しかけてくるのを待ちます。

「トルネコさん……今貴方はリュカさんの事を非常識な男と認識してるでしょ」
「え、えぇ……まぁ……」
そりゃそうでしょう!

「言っときますが、リュカさんが吹っ掛けてきたのはトルネコさんとの無意味な遣り取りを避ける為ですからね! 貴方がリュカさんに非常識な行動をさせたんですからね!」
何で私の所為になるんだ!?

「不満みたいですね……説明しましょうか?」
「そりゃ……是非……」
顔には出してないつもりなんだけど……どうにもリュカさんやウルフさんには見破られる。

「リュカさんは貴方と違って金儲けに興味がないんです。それなのに貴方は交渉をしようと泣きつきましたよね!」
「べ、別に……泣きついた訳では……」

「貴方の考えでは、95%と言ったリュカさんに10%と切り出せば、その後は互いに譲歩し合って折り合いを付けると考えたんでしょう? まぁ折り合いは20%くらいと考えて……」
くっ……まさにその通りです。

「ですが、貴方の金儲けに一切協力したくないリュカさんにとって、こんな駆け引きは時間の無駄なんですよ! 最初にキッパリ断ったのに、しつこく泣き落としで迫ってくるから、リュカさんはトルネコさんを諦めさせようと、とんでもない取り分を要求したんです!」
だ、だから値をつり上げていったのか……

「今リュカさん……相当不機嫌ですよ。95%って言った時点で、見込み無しと気付き諦めてくれれば良かったのに……10%とか言うから」
えぇ~……そんなぁ~……

どうしよう……一番の権力者を怒らせてしまった。
私はただ……ちょっとだけ金儲けをしたかっただけなのに……
どうすれば良いのでしょう!?

慌ててウルフさんに助言を請おうと思ったのだが、既に私の前から立ち去っており、リュカさんと共にサントハイム城へ旅立ってしまった……
そうだ、リューラさんに取り入って許してもらえる様にお願いしよう!

しかし、そのリューラさんもリュカさん等と一緒に出かけてしまい、今船には私と水夫しか残ってなかった……
どうしよう……怖いです……

トルネコSIDE END



 
 

 
後書き
取り敢えずキングレオは一段落付いたので、バルザックを求めサントハイムへ急行する一行。
因みにコーミズ西の洞窟を出てから10時間程しか経過してません。
それなのに中ボスクラス2匹目にトライします。
まぁキングレオ戦は、戦闘らしい事が何も無かったから良いか…… 
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