DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
第54話:何を以て強さを測るか……
(キングレオ)
ライアンSIDE
この国の平和を乱すキングレオの策略で、この場に居る者達の魔法を封じられてしまった。
しかし、元より魔法を使えない私には、魔法を使用して戦いを行うウルフに差を見せ付ける絶好の機会と言えるだろう!
諦めてしまったリュカ殿が大事なアイテムを渡してしまう前に、私の力でこの状況を解決してみせれば、マリーの心ももしかしたら変わるかもしれない!
そんな事を思いながら、キングレオがリュカ殿に近付くのを身構えながら待っていると……
(ヒュッ……ドゴッ!)
左腕から外し右手で持ってた腕輪ごと、リュカ殿の攻撃がキングレオの大きい鼻に命中する……腕輪越しの攻撃が!
「ぐはぁぁぁぁ……!」
「魔法を封じた? だから何だっつーの!?」
言い捨てる様にキングレオを見下ろしたリュカ殿……
ナックルダスターの様に右手にはめた黄金の腕輪から、キングレオの返り血が滴り落ちる……
「お、おのれ……よくも「おいタマ公! 魔法を封じたのは正解だったぞ……その人は最恐の魔法『骨折直後ベホマ』を使う人だ! だけど魔法を封じたから、骨折したらそのままだ……良かったな(笑)」
こ、骨折直後ベホマ?
一体それは何なのだろうか!?
「くっ……不完全なる進化とは言え、進化の秘法を用いてパワーアップした余に、血を流させるとは許せん!」
「え、進化したの……お前?」
そりゃそうだろう……ここまでの話の流れで、そのくらいは推測出来るのではないのかな?
「そうですよリュカさん。そのタマ公は、この国の王子だったんですが、進化の秘法に惑わされ人を捨てた愚か者なんです。それに気付いた先代の国王を抹殺して、デスピサロと手を組んだ大馬鹿者なんです! 」
何と……実の父親を害してまで進化の秘法に取り憑かれるとは!?
「コレ……進化した姿なの? 凄ー変だけど……進化するとコレになっちゃうの?」
「え、語るとこはソコですか!? この際見た目はどうでも良いでしょう!」
呆れ顔でキングレオを指差し、奴の姿に嫌悪するリュカ殿……私もソコはどうでも良い様な気がする。
「だって不細工じゃん! ゆるキャラみたいに可愛い要素が全然無いじゃん! 鼻血まで出しちゃってるし!」
「は、鼻血はリュカさんが殴った所為じゃんか! 進化の秘法 関係ーねーし!」
確かに鼻血を垂らす姿は情けないが、ウルフの言う通りリュカ殿が殴った所為だ。
「いやでも……不細工すぎるでしょ! 何一つ進化して無いでしょ!? 弱ーし、不細工だし、頭 悪ーし……」
「言いたい放題だな……」
リュカ殿とウルフの、コントの様な遣り取りが続く……
「黙れキサマ等ー! 余は脆弱な人間を脱し、ワンランク上の種族へと進化したのだ!」
侮辱され続けたキングレオは怒りと共に立ち上がると、凄まじい勢いでリュカ殿へ攻撃を仕掛けて行く……一撃でも当たれば身体を引き裂かれそうな攻撃を!
「黙れタマネコ!(ゲシッ!)」
しかしキングレオの攻撃は掠る事もせず、逆に手痛い反撃を被る事になった。
より酷い呼ばれ方をして……
「人間を捨てた者が、人間の国の王位に固執するんじゃ無い! 父親を抹殺するのでは無く、キサマが国を出て行けば良いのだ……人間の事を脆弱と卑下するのであれば、キサマの方から人間という種族に訣別をし、全てを捨て去れば良かったんだ! それなのに何時までも人間を捨てきれないから、全てにおいて中途半端になる!」
「くそー!! 余は……余は、進化の秘法で強くなったのだ! か弱い人間を脱し強さを手に入れたのだ! な、なのにキサマは余を……」
リュカ殿に殴られ・蹴り飛ばされても、狂った様に立ち上がると駄々っ子の様に攻撃を繰り返すキングレオ……圧倒的な力量の差に絶望しながら。
「弱さを認められない者に、強さを手に入れる事は出来ない! 人は自分が弱いと思い認めるから、努力をして強くなろうと頑張れるんだ……だがお前の様に、自分の弱さを認めない者は、何をしたって強くなる事は出来ない。何故なら、弱さを消し去り『0』にして努力をかけても、答は『0』でしかない! 0×強さ=0だ!」
叫きながらもリュカ殿に攻撃を繰り返すキングレオ……しかし、その全てを返り討ちに遭い、絶望的に蹲る……
そして四本の大きな手で頭を抱え、苦しそうに身悶えだした。
「ぐおぉぉぉ……」
「え……ちょ……何!? 何かヤバそうだぞ……どうしようウルフ、やり過ぎちゃったかな?」
「俺の所為じゃないッスよ。リュカさんがタマ公をイジメたんですからね……最後まで責任取って下さいよ」
蹲り苦しむキングレオを前に、突然の変化に戸惑うリュカ殿……
ウルフに助けを求めたが冷たく突き放され、奴自身はマリーと共に他お仲間の後ろへ隠れてしまう。
何だ、彼らの関係は?
「ぐはぁぁぁぁぁ!!」
苦しんでたキングレオの身体が雄叫びと共に縮み、気が付けば元の人間の姿に戻っていた!
「うわぁ……何でだか裸の男が現れたぞ……何で美少女じゃないんだ?」
指摘箇所がどうにもおかしい……
「きっと其奴がキングレオ王子なんですよ。さっきまで大きな猫だったキングレオの元の姿なんですよ!」
先程まで化け物が苦しみ蹲ってた場所に、突如現れた裸の男を見てリュカ殿が身勝手な感想を述べる。
すると仲間の後ろに隠れてたウルフも、危険が無いと察知し出てきて推論を披露する。
「……はっ! こ、ここはどこだ!? わ、私は今まで何を!?」
意識を取り戻したキングレオ王子は、辺りを見渡し誰とでも無く状況を質問する。
どうやら化け物の時の記憶は失われている様だ。
「私は一体何をしてたのでしょうか?」
さらにキングレオ王子は一番近くに居たリュカ殿に、現状の質問をするが……
「ウルフぅ~……」
激しく顔を顰めて対応をウルフに尋ねるリュカ殿。
尋ねられたウルフも、肩を竦めて「好きにして下さい」と告げ、あらぬ方向に視線を向け関わりを拒絶した。
一体何の相談だろう?
「あの~私は何かしでかしてしまったのですかねぇ?」
恐る恐る我らに尋ねる記憶を失ったキングレオ王子。
その彼にスタスタと近付くリュカ殿の表情は、嫌悪感を露わにしている。
(ゲシッ!)「お前ふざけんじゃねー! 何、記憶をなくしたフリして全てを無かった事にしてるんだ!?」
裸のまま床に座り込み、不安を露わにしているキングレオ王子に対し、遠慮無しの蹴りを入れて折檻するリュカ殿……
ウルフとはコレを相談してたのか……
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい! 記憶はあります……済みません、許して貰いたくて嘘吐いてました!!」
しかもリュカ殿の推測は正解しており、キングレオ王子は記憶を亡くしてる訳ではなかった!
「反省が見えん!(ゲシッ!) お前みたいな馬鹿王子が国政を牛耳った所為で、この国は混乱しきってるんだぞ!(ゲシッ!) 事の重大さを理解し、もっと反省せんか馬鹿者!(ゲシッ!)」
なおも続くリュカ殿の折檻……
多分、今回の事件は終息したのだろうが、些かやり過ぎ感が否めない終わり方な気がする……
どうにもマリーの父親を掴みきれない……理解しきれない気がする。
大丈夫なんだろうか?
ライアンSIDE END
後書き
次話、遂にホイミン再登場!
無事に人間になれて、良かったね♡って感じ!
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