SAO─戦士達の物語
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キャリバー編
百二十七話 かくて少女は少年を見る
前書き
はい!どうもです!
今回は原作にはないちょっとしたお話。
皆さん大好き(?)彼が大活躍いたします!
では、どうぞ!!
さて、ダンジョン攻略。と言う点に置いて、実はキリト達のパーティはチート級の速さを誇る。何故かと言えば、理由は明白。彼等の中に、システム側へのアクセス権限を持つ存在。即ちキリトとアスナの娘である、ユイがいるからだ。
“ダンジョンのマップデータにアクセスできる”
これがどれだけダンジョンの攻略を早めるかを知らない物は、恐らくRPGをプレイした事のある人々の中には居ないのではないだろうか?どの経路を通るべきか、どこにトラップが有るか。その全てを事前に察知する事が出来るのである。道は全て最短ルート。扉を開けた先に居るのが何なのかも分かる。挙句の果てには一切の罠にかからないとなれば、ダンジョンデザイナー泣かせも良いところであろう。
そんなこんなで、キリト達パーティのダンジョン攻略はかなり効率的かつスピーディに行われていた。しかしそうであっても、メダリオンに表示される残り時間は余り長くは無かった。
ミノタウロスニ体を倒した時点で、残り時間は大体ニ時間ギリギリと言った所。ダンジョンの最終ボスであろうスリュムがどの程度のボスなのかは分からなかったが、多めに30分かかる事を見越し、ついでに其処から更に下の霜の巨人族によるダミークエのペースが上がる事を考えると、後一時間程度でダンジョンの最終そうまでは辿りつきたい所だった。
そんな訳で、メンバーはどんどんとダンジョンの中を進んでいくのだが、そんな中、協力し合わなければならないこの状況で、非常に険悪な雰囲気を出している人間が一組。
と言うより……
「その……リーファちゃん?」
「うっさい。話しかけんな」
「はい……」
先頭を走るリーファに話しかけたレコンが、冷たい言葉で一閃された。
一方的に、リーファから嫌われ気味な状態になっているレコンが一人。
ダンジョンに入ったときから……と言うか入る前からずっとこれである。レコンが何かリーファに話しかけようとするたびに、帰って来るのは「うるさい、話しかけるな」の一点張りである。
「ったく……」
「な、なんでリーファちゃんあんなに怒ってるのかな……?」
走りつつ溜息をついたリョウの後ろで、サチが戸惑ったように言った。彼女に軽く肩をすくめつつリョウは答える。
「なんつーか、あれだ。最近レコンがアイツと付き合い悪くて、にも関わらず俺達とは普通にダンジョンとか言ってたのが気に食わなかったんだと」
「……ッ」
と、横からキリトが顔を出し、話に入って来る。アスナも一緒だ。
「俺達は普通にスグとも連絡取ってるもんだと思ったたからさ、気が付かなかったんだよな」
「そう言うこった。で、なんだかんだでリーファの怒りがいつの間にか溜まってたと」
「……~~ッ」
少し呆れたように言ったリョウの後ろでアスナとサチが言った。
「それって……」
「つまり……」
「ま、何て言うか……あれだよ」
「所謂……」
「“照れ隠し”ですね!パパ!!」
「~~~~~~~~ッ!!違うってば!!」
ユイの一言についに耐えきれなくなったとでも言うように、リーファが振り向いて怒鳴った。後ろ向きに走ると言う器用な真似をしながら、リーファは怒ったように怒鳴る。
「別に怒ってる訳じゃなくて!単に……何て言うか、ちょっとイライラしてるだけなの!それだけ!」
「だぁから、その原因がレコンなんだろうが」
「違うから!いや、違わないけど……とにかく違うの!」
リョウの指摘にそれ以上の言い訳が思い浮かばなかったらしく、リーファは再び前を向く。試しにリョウが件のレコンの方を向くと、苦笑しつつ策敵を再開するようだ。
後ろでは他のメンバーが……
「はぁ、女心ってなぁわかんねぇなぁ」
「アンタには特にね」
「リズさんはその点分かりますよね~同じ属性持ちですし」
「あ、それは分かるわ。リアルでもそうだもんね、篠崎さんは」
「ちょっと会長それリアルの情報!ッて言うか、それ言うなら会長だってそうじゃないですか!」
「はぁ!?」
「そうなのですか?」
「うん。リズとヤミはリアルでもこっちでもツンデレだよ~」
「「ちょっとアイリ!!」」
等とぎゃーつくぎゃーつく好き勝手な事を喚いて居る。
そのせいか、ますますリーファは脚を早めてリョウ達から離れるように走り……
……その警告に反応するのが、一瞬遅れた。
「っ!止まってください!リーファさん!」
「ッ!」
「え?」
その殆どは反応できないほどの一瞬で起きた。ユイの悲鳴じみた声にリーファが反応すると同時に更に一歩を踏み出してしまい、カチリと地面から音がした。不味い。と思った時には時すでに遅し。
ガラっ!と上から音がして……
それに反応するよりも早く、何かに自分の体がつき飛ばされていた。
────
「っう……何、一体……」
気が付くと、自分は天井を見ていた。少し驚いたが、持ち前の対応の速さで思考を立て直していく。状況は……
「ちょ、重……え?」
「あ、え、えっと……」
不意に、体の上に重さを感じて、リーファは自分の胸のあたりを見る。と、其処に……
「その……何て言うか……」
「…………ッ!!!?」
レコンがいた。
どうやら自分と共に倒れ込んだらしく自分の上に覆いかぶさるようにレコンがうつ伏せ気味になっていた。両手でレコンは体を支えているが、これではまるで……
「あんったはぁ……!」
「こ、これは仕方なく……!」
「何やってんのよこのドアホォ!!!」
「ゴフッゥッ!!?」
即座に、天井に向けてレコンの体を蹴りあげた。天井に一度叩きつけられて大の字になったレコンは、そのまま両手の力で逆立ちから立ち上がった。リーファの居た場所にうつぶせに叩きつけられる。
「むぎゅう……んも~……ひ、酷いよリーファちゃん……」
「うるさい!近寄んな!」
「ま、ますます酷く……」
レコンが精神的にノックアウト寸前である。
「おい!お二人さん!お楽しみのとこ悪ぃけどな!」
「楽しんでない!!」
そう言って、リーファ気が付いた。自分とレコンがいる場所、その場所と、怒鳴ったリョウの居た場所の間に、通路を完全に塞ぐ鉄の柵が降りていた。
先程の音はこれだったのかと今更になって思い当る。
「あぁ、悪い悪い。ってそれより前だ前!!」
「え……えぇ!?」
言われてリーファが振り向くと、其処に十数体のアイスドワーフと、その上位種であろう大型のゴーレムが通路状に生成される所だった。
パーティを分断する事を前提に作られたトラップだろう。格子の網目が細かいため魔法による援護は期待できない。と言うより、恐らく後ろの行使はどんな攻撃も通さないタイプの物だと思われた。
だとすると格子が解かれるには分断された側が全滅するか……
「リーファさん!そのトラップは敵性エネミーを全て撃破すれば開きます!」
と、言う条件で格子が開くはずだ。とは言え、前者の選択肢は初めから無いも同然である。ウルズからもらったメダリオンを持っているのはリーファだ。彼女が倒されるとパーティはメダリオンに表示される残り時間を確認出来ない事になり、より効率的な攻略が出来なくなってしまう。
つまり、自分とレコンの二人で突破するしかない。相方がリョウやキリトで無くレコンである事を考えると……
「(キツイ……よね)っ……!」
内心でそんな事を考えながら腰から長剣を抜いて構える。と、即座にレコンに指示を出す。
「レコン!私が押さえるから後ろから魔法で援護!」
「リーファちゃん!掻きまわして動きを止めるからとどめを刺して!」
「「えっ?」」
全く同じタイミングで全く別の指示を出した隣の人間にリーファとレコンは互いの方を見る。
「いや、えっと……あの数相手に一人で抑えるのは……辛いんじゃないかなって……だからその、武器の機動力的に僕が振りまわした方が……」
「はぁ!?アンタがそんな役目やったら、あっという間にリメントライト化するでしょう!死に戻りしてる暇何か無いんだから普通に援護に徹しなさいってば!」
「いや、その……」
「オイ其処のツンデレ!!」
「ツンデレじゃない!!」
再び飛び込んだリョウの言葉に返す刀で怒鳴ると、リョウが溜息がちに言う。
「どっちでも良い!ってかそうじゃなくて、レコンのが正論だろうが。レコンはよ前でろ!」
「え、えぇ!?」
「はいっ!」
言うが早いが、レコンは両手に一本ずつダガーを持ってリーファの前に立つ。
「ち、ちょっとリョウ兄ちゃん本気!?だって、レコンだよ!?」
リーファはかなり戸惑った声でリョウに言うが、リョウは一瞬眉を上げると、少しイラついたような調子で言った。
「アホかお前は!何時まで一年前のソイツと戦ってるつもりだ!今までの戦闘で何も気が付かなかったのか馬鹿!」
「え、え!?」
突然怒鳴られ訳が分からずリーファは慌てる。其処へ、キリトが諭すように言った。
「大丈夫だ。レコンだってこの一年ずっと同じアイツのままだった訳じゃない。今から分かるさ」
そういってニヤッと笑うと、キリトは前を見るように促す。
見ると、既に構えたドワーフと両手に一本ずつダガーを持ったレコンが睨みあうように向き合っていた。
「……っ」
そのレコンの瞳は鋭く、普段の情けない顔をした彼とは思えないほどに真剣な光を宿している。そうして……
「それじゃ……行きますっ!」
言うや否や、レコンは突進してくるドワーフたちに向けて一直線に突っ込んだ。10M以上あっ彼我の距離あっと言う間に詰めるが……
「っ!レコンっ!」
迎撃するように戦槌を振りあげていたドワーフが、レコンの接敵のタイミングに合わせてそれを振り下ろしてきた。慌てて警告を発するが、既に遅い。跳び込んでしまっては避けられない体。そう思ってリーファは飛び出そうと構えて……
──直後、レコンの姿が消えた──
「!?」
ドワーフの一撃を喰らってリメントライトと化したのではない。ドワーフがメイスを振り下ろした刹那の内に、不意にレコンの姿が掻き消えたのだ。
と、少し視界を動かすと、レコンの姿が再び視認出来た。メイス振り下ろしたドワーフの真横だ。
と、既に二本のダガーを振り切ったレコンの横で、ドワーフの体がメイスを振り下ろした状態のまま硬直すると、前のめりになってズンっ、と倒れた。
「え……!?」
驚いた声を上げたリーファの視界の先で、ドワーフは時折体をビクリ、ビクリ痙攣させながら倒れたままになっている。麻痺毒なのはすぐに分かった。と同時に、よく見るとドワーフのHPゲージがぐんぐんと減少している事にも気が付く。
成程。二本のダガーの内、片方は麻痺。もう片方はダメージ毒なのだろう。
以前からレコンが良く毒殺と言う単語を使っていた事を思い出して、リーファは内心えげつないやり方するなぁと我が友人ながら呆れ半分関心半分と言った所だ。
と、不意にリーファは、とある疑問に行きついた。毒を塗った武器で相手にその効果を一撃で発生させるためには、最低でも相手の皮膚に切っ先が触れる必要が有るのだが、アイスドワーフ達は基本的に重厚そうな鎧に身を包んでいる。あれを切り裂いたとなると、レコンはどれだけ切れ味のよい……と言うかシステム的に威力の高いダガーを使っているのだろう?と思った所で、再び気付く。
ドワーフの首辺り。兜と鎧の間の辺りから、赤いポリゴンが散っていた。
あれは……攻撃した箇所に発生するダメージエフェクトだ。つまり、レコンはあの部分を攻撃したと言う事だろう。しかし、其処まで考えてしまうと、リーファは驚きを通り越し、戦慄する。
『じゃあレコンは……高速で移動して攻撃をかわして、その後で相手の鎧の隙間だけ、ダガー二本で斬り付けた?』
あの、一瞬で?
自分の知っているレコンには、そんな事は出来なかったはずだ。否。そんな芸当は、間違いなく出来なかった。何故ならそんな事が出来るダガー使いがいるなら……
『そんな、の……』
顔を上げた彼女の前に信じがたい光景が有った。
斬りかかってきたアックス持ちのドワーフの攻撃をステップで躱して、脇の下と首の部分にダガーを突き刺して即座に引き抜くと同時に反転。後ろから両手剣を振り下ろしてきたドワーフの攻撃を躱すとその懐に潜り込んで同じようにダガーを突き刺す。
相手が倒れるのを見ることもせずに振り向くと、今度は自分の方に向けて槍を突き出してきたドワーフの一撃をそのドワーフに飛びかかる事で高さを利用して躱し、空中からドワーフを跳びかかりながらその鎧と兜の間に二本のダガーを突き刺す。
力を失って後方に向けて仰向けに倒れ込むドワーフの上に乗ったまま着地し、お次はアックスを振り下ろしてくるドワーフの一撃をダガー二本の刃で受け止め、そのままその力に逆らわずに体ごと回転し、その力の方向を反らす事で攻撃を回避。と同時に、相手は殆ど武器を空振りしたようになる。仲間の隙をフォローしようと言うのか、横薙ぎに武器を振るってきたドワーフのメイスは冷静に少し頭を下げて躱し、同時に持っていたダガーの一本を腰の鞘に入れてすぐ近くにさしていたもう一本を抜き放つ。
横薙ぎの武器を頭を下げて躱した事で、そのメイスを振ったドワーフと先程武器を反らされたドワーフの間に立ったレコンは両手に持ったダガーを両手を大きく広げて其々のドワーフの鎧と兜の間に突き刺し、そのまま正面に向けて腕を交差させるように振り抜いて切り裂きつつもダガーを抜く。
そのようにして、レコンは群がるドワーフ達を次から次へと行動不能に陥らせていた。
「リーファ!」
「あ、う、うん!」
急にリョウに名前を呼ばれて、ようやく我に返ったリーファは動けなくなったドワーフ達を一体一体丁寧に屠っていく。
「…………」
その間にも、一体、また一体とレコンの麻痺毒が敵を行動不能にしていく。その際、ソードスキルは一切使用されていない。
そして真に驚くべきは、それら全ての戦闘が……
「リルナス・フェイ・ディディス・ノル──」
詠唱を行いながら、行われていると言う事だ。
魔法の詠唱は、ソードスキルを使用しながらでは出来ないが通常の戦闘をしながらならば……と言うより、動きながらでも行う事が出来る。
ただしこれはセオリーでは単に、近接戦闘中、あるいは中距離で戦闘している者たちが自己強化や牽制程度に行う物で、そもそも詠唱を唱えながら近接戦闘と言うのはその詠唱が早口言葉のように体に染みついて居なければ出来はしないので、大体平均して10ワード以下の低級魔法しか使用されない。しかし、現在レコンの詠唱している魔法は……既に、30ワードを超えていた。
あれほど長い詠唱と共に近接戦闘を行う等、リーファは見た事がないし、聞いたこともない。
……否。正確には、聞いた事は有るかも知れない。
よくは知らないが、上級スペルを近接戦闘中に唱え、しかも確実に成功させる魔法剣士の話ならば、何処かで一度聞いた事が有った。アインクラッドの改装攻略等に出て来た事は余りないらしいが、確か二つ名は……
そうこう考えている間に、既にレコンは最後のドワーフを突破し、巨大な氷のゴーレムの前に立っていた。持っていた大型の金づちのようなハンマーを、レコン目がけてゴーレムは振りあげ……振り下ろした。
「シス・カ・ラナリィ──」
しかしそれを再び姿が霞んで見える程の高速ステップで躱すと、レコンはその金づちの上に飛び乗り……一旦柄を踏み抜いて跳び上がると、最後のワードを唱えた。
「ティアー・オ・ルディナ!!」
直後、全ての言葉がレコンの右手に収縮し、通路全てを包む碧銀の爆光と共に、同色の小さな稲妻が瞬く。
──レコンが、右手を突き出した。
「これ、でっ!!」
伝説級魔法《ランス・オブ・オーディン》
突き出された右手から発されるは巨大な碧銀の雷で出来た槍。
文字通り。稲妻と同じ速度で発射されたそれは瞬きの間にゴーレムの体を貫き、それに一拍遅れて無数の同色の稲妻が次から次へとゴーレムの体に突き刺さり、貫き、引き裂く。
この世の全ての落雷を凝縮したような爆音と共に周囲を凄まじい光量が通路包み、一瞬視界が白く染まる。
非情に難しいクエストやダンジョンのクリア等でしか手に入らない、伝説の力を宿す魔法の一つ。
それは少年の手から爆発し……光が収まった時、少年の周囲にはゴーレムは愚か、適性エネミーの一体すら存在してはいなかった。
自分の周りに敵の居なくなった通路に、ストン。と降り立って真っ直ぐに立ち上がって少年を見て、最後の一体のドワーフを倒したリーファは茫然と呟く。
「雷槍……」
それは正しく、レコン本人すら気付かぬ間に、彼に付けられた、彼を表す記号の一つだった。
────
「そ、それじゃ、レコン、ずっとレベル上げしてたの!?」
「あぁ。俺らは手伝ってただけだ」
驚いたように、しかし小声で言ったリーファに、リョウが答えた。
リョウやキリト、クラインの話によると、レコンは一年前の世界樹攻略戦以来。ずっとソロやパーティでレベル上げやプレイヤースキルを鍛える事をメインとしたプレイングをしていたらしい。
それまで通り、普通に遊んでいたものだとばかり思っていたリーファはこの話に面食らい、ついつい深く話を聞いてしまった。
キリトやクラインにも理由は分からないらしいが(リョウは何やら知っているそぶりだったが、いくら聞いても教えようととしなかった)、《ランス・オブ・オーディン》はその過程で手に入れた物だそうで、その他、装備等もその時入手した物。髪形が変わって居たのは、近接戦闘で激しい動きをした時に邪魔になったからだそうだ。
ちなみに何故リーファをその過程で手伝わせなかったのかについても、キリトやクライン、リョウもくわしくは知らないらしい。
ただ三人とも妙に察したような顔をしているのが、リーファとしては気に食わなかったが。
そんなこんなで、今リーファは、レコンの後ろを走っている。目の前には憔悴し切った様子のレコン。何故こんな様子かと言うと、先程戦闘が終了した後で、共に生還を喜ぼうとしたのか此方に笑いかけたレコンを、リーファが照れ隠しに「何笑ってんのよ!速くしなさい!」と怒鳴ったせいだ。
まぁこれをリーファに言うと「照れ隠しじゃない!」と言うのが返ってくるのでいたちごっこなのだが……
「……ちょっと」
「うー、だめだぁ、リーファちゃんなんで怒ってるのか分からない……」
「……(カチンッ)だから、怒ってないってば!!聞いてる!?」
「わぁっ!?は、はいぃ!」
突然耳元で大声を出されたからか、情けない声を上げて飛び跳ねるように反応したレコンと先程の彼の姿が全くかみ合わず、リーファは半ば呆れるようにして呟く。
「何で緊張したんだろ、ばっかみたい」
「え?」
「な、何でもないわよ!それより、さっきの戦闘だけど……」
「あ、うん。ごめんなさい……」
「まだ何も言ってないでしょ!!?」
行き成り謝ったレコンにこけそうになりつつもリーファは突っ込んでから一度息を吐き、呟くような声で言った。
「その、まぁなんか……色々、誤解してた。ごめん」
「え……?」
少し顔を反らしながら言ったリーファの言葉はしかし、しっかりレコンの耳に届いたらしく、
「その、ほら、レコンも、唯遊んでたとかじゃなくて、アンタなりに真剣にALOプレイしてたんだなって、分かったから……ごめん。叩いたり勝手にイライラしたり」
「…………」
「ホントは、ちゃんとアンタの動き見てれば、此処に来るまでで分かってたはずなのにね……今回ばっかりは、幾つかはこっちに非があったと思う」
「……リーファちゃん?」
「だから……って、え?何よ?」
話している最中に言葉を差し込まれたせいか、若干不機嫌そうにも見える顔でリーファはレコンの方を向く。其処に少し探るような表情をしたレコンが居た。
「もしかして……リーファちゃん、いま、僕の事少し褒めてくれてる?」
「なっ…………!」
予想外の発言に、リーファの顔が紅潮する。
と言うのも、リーファ自身、言外にそう言うニュアンスを含んでいる事を、全く無自覚だったのだ。
「ちょ、調子に乗んな!!ただ、アンタも何もして無かった訳じゃないって言っただけよ!褒めるとか、そう言うのじゃないの!!」
「あ、はいっ!ごめんなさいぃ!」
再び拳を振り上げたリーファから、焦ったようにレコンが逃げ出す。そんな二人を見守るほかメンバーの眼が、サチとヒョウセツ以外やけにニヤニヤしたものであることには、二人とも気が付かなかったのだった。
後書き
はい!いかがでしたか!?
と言うわけでレコンが強くなりすぎた回でした。てか最早これ主人公級ではなかろうかw
ちなみに、レジェンダリィスペルは文字通り、アイテムや通常のスペル育成ではなく、クエストなど「一定の条件」をクリアしたもののみが得られる魔法です。
今のところ、ランス・オブ・オーディンを持っているのはALOでも彼だけですねw
ALOからリアルでもお話でも一年。レコンはスーパーレコンになりましたw
ちなみにこれは余談ですが、そんなレコンのイメージソングが有りまして。
ボカロなのであれなのですが、「Sky of Beginning」と言う曲です。
非常に清々しく爽やか曲なので、是非w
ではっ!
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