降りてくる美女
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第三章
「ミスコンにも出て優勝出来る位だよ」
「そこまで言うから興味あるしな」
「だから来たからな」
仲間達はエスカレーター、もう目の前に迫っているそれを見ながら匡の言葉に応えた。
「見せてもらうぜ、今からな」
「御前が言う最高の美人って人をな」
何処か修羅の何とかという漫画めいた言葉を言う者もいた、エスカレーターもまた人が行き来している。
右手が降りるエスカレーター、左手が登るエスカレーターだ。そのエスカレーターに全員で入った、すると。
その右手の降りる方に豊かな長い髪の美女がいた、赤い見事なドレスにも見える服を着ている。目はあだっぽく二重であり睫毛は長い。左目の付け根には泣き黒子がある。
顔はほっそりとしていて白い、唇は紅で薄く厚めである。鼻は高くそれが顔に彫りがある様に見せている。
胸は大きく服の上からもはっきりわかる、背もわりかし高く。
まさにモデルの様だ、手も綺麗だ。
一行は下から上にすれ違いながら彼女を見た、そしてだった。
二階に着いてからだ、一行は後のお客さんの邪魔にならないようエスカレーターから離れながら話をした。
仲間の一人がだ、こう匡に言った。
「言った通りだな」
「凄いだろ」
「ああ、凄い美人だな」
こう言ったのだった。
「本当にな」
「そうだろ、俺も最初見てな」
「びっくりしたんだな」
「たまたまだったんだよ、最初に見たのは」
会ったのではなかった、この場合は。
「百貨店に入ってな、この時間に二階に向かったらな」
「あの人とすれ違ったんだな」
「そうだったんだよ」
匡は歩きながら共に歩く仲間達に話す。
「最初見てびっくりしたよ」
「驚くだけはあるな、確かに」
「それだけの美人さんだよな」
「っていうか御前がそう言うのも納得だよ」
「ああ、それでか」
「わかるよな、あそこまでの美人さんだとな」
匡はさながらドイツ軍に突撃を敢行する日系人部隊の様に言った、尚彼等を差別し迫害した者達は安全なカルフォルニアにいたことは歴史に永遠に残っている。
「当たって砕けろでな」
「アタックするんだな」
「そうするんだな」
「ああ、ふられてもな」
燃えている目だ、その目で言うのだ。
「アタックしてみるさ」
「よし、じゃあ頑張れよ」
「応援はするからな」
「そうしてくれるか、じゃあな」
早速だった、彼は決意して友人達に宣言した。
「明日だよ」
「明日か」
「明日に告白するんだな」
「そうするさ、やってやるからな」
「そうか、じゃあ明日頑張れよ」
「気合入れていけよ」
友人達は燃える彼に声をかけた、そしてだった。
匡は次の日スーツで登校して来た、白いスーツにネクタイだ。
しかもだ、その格好で友人達に言うのだ。
「帰りに薔薇買ってな」
「紅の薔薇だろ」
「それだろ」
友人達は彼の今の格好から予測して彼自身に言った。
「それ買ってあの人に贈るんだろ」
「そうするんだな」
「何でわかったんだよ」
匡は彼等の指摘に少し驚いて問うた。
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