魔法少女リリカルなのはStrikerS-King Seong clone of another-
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vs なのは
前書き
なのは対聖です
ではどうぞ
2人の間に流れる沈黙の中、聖の後ろにいたティアナが声をかけようとした瞬間、聖の姿が消えた。だがその瞬間ティアナの意識は暗転した。
見るとティアナの後ろに回った聖が彼女に対し、手刀を放っていた。昏倒したティアナを担ぎ上げると、今度はなのはの前でバインドをされていたスバルの元に行くと、
「聖さん!どうしてティアを!」
そこまで言いかけたところで先ほどのティアナと同じように、聖はスバルの首筋に手刀を放ち、昏倒させた。
「たくっ……なにやってんだかこいつ等は」
軽くため息をつきながらつぶやく聖をなのはは驚愕の表情で見つめていた。先ほど自分の攻撃からティアナを守ったくせに、そのティアナを昏倒させるなんて思っても見なかったのだろう。だがそこで聖は浮き上がった。
「……どこに行くの?」
「お前は自分の生徒をこの状態のまま放置しておきたいのか?」
聖の言葉にはたと気付いたような表情をするなのはだが、聖はそれを無視しフェイトたちがいるところまでやってくると、
「こいつ等頼む」
「う、うん」
フェイトは2人を寝かせると、聖に問う。
「なのはと戦うの?」
「場合によってだな」
それだけ告げると聖はまた、なのはの元に戻っていった。
なのはの元に戻った聖は、腕を組みながらなのはに聞いた。
「なのは、一つ聞きたいんだが。お前は以前俺にティアナのことをどう思うと聞いたな、あの時お前はティアナが焦っていることをわかっていたよな?その後お前はティアナと腹を割って話したのか?」
「それは……」
「話してないのか」
言葉に詰まるなのはに聖はあきれた声を出すが、さらに続ける。
「まぁお前は教官だしな、新人達の訓練メニュー考えるのも大変なのは俺も知ってる。……だけどな、そこまでわかっていたならなんでアイツの悩みを問い詰めてでも聞かなかった」
「……」
「わかってくれると思ったのか?無理言っちゃいけねぇ、テメェの考えてることなんてテメェが口にしなきゃ誰もわからねーんだよ」
俯くなのはに聖はさらに言葉をつむいでいく、まるでなのはを責めるように、その言葉の中には明らかに怒りが含まれていたが、わずかながら悲しみも混ざっていた。
だがそれを聞いていたなのはから小さく声が漏れ始めた。
「……黙って」
「あ?」
「もう黙ってよ!聖君!!私の事なんか何にも知らないくせに、私のやり方に口を出さないで!!」
「だから!!お前も人に相談するなりしろってんだよ!!勝手に1人で抱え込みやがって、自分のことをわかってもらいてぇならテメェから声を出せよ!!」
2人は声を荒げいいあう、なのはの瞳は涙で潤んでいた。聖はそんななのはを睨みつけると、安綱を抜き放つ。そしてなのはに告げた。
「来いなのは、お前の心に溜まってるもん全部俺に吐き出してみろ。俺が全部受け止めてやる」
聖の言葉に溜まった涙をぬぐい、なのははレイジングハートをデバイスに戻し構えを取った。そして2人は互いの愛機をぶつけ合う、戦いが開始された。
初撃からぶつかり合った2人のうち、先に先手をとったのはなのはだった。彼女は後退すると共にアクセルシューターを展開し、それを聖めがけ打ち放つ。だが響もそう易々とくらってやるつもりもない、放たれたシューターを切り払う。
「こんなもんで倒せるとは思ってねぇよなぁ!!」
「思ってない……よっ!!」
切り払いながらなのはに接近し、さらにそこから切りかかる聖の斬撃をシールドで防ぎながらなのはは答える。
だがその顔は少しだけ不敵に笑っていた。
それもそのはず、さきほどなのはが打ち出したシューターの中には、一発だけ他のシューターにまぎれさせわざとはずさせたものがあったのだ。なのははそれ聖に当てるため、シールドを制御しながら操っていたのだ。
シューターが聖の首筋に当たる瞬間、そのシューターが掻き消えた。だが聖は何もしていない、なのはが驚愕に顔をゆがめていると、
「シューターが使えるのはお前だけじゃないんだぜ?」
「っ!?」
言われた瞬間なのははシールドを解き、一気に後退する、だが聖はそれを追撃する。
「そらそらぁ!!休んでる暇はねーぞ!オラァ!!」
「うぐっ!?」
光速で近づく聖になのははガードが間に合わず、大きく吹き飛ばされ、ビル群に突っ込んだ。
「こんなもんで終わりじゃねぇだろ!!なのは!俺はまだお前の気持ちなんてわかんねぇぞ!」
なのはが突っ込んだビル郡に対し声を上げると、砂煙の中から一筋の光が聖めがけて向かってきた。それをギリギリで回避しその方向を見ると。
多少バリアジャケットを汚したなのはが力のこもった目で聖を見つめていた。
「行くよ聖君!次は手加減しない」
「ああ、こっちも手加減する気はねぇ」
なのはは再度アクセルシューターを展開する、聖もまた呼応するかのように、自らのシューターを展開する。
2人の魔力が交差した時、聖はなのはに問うた。
「お前は本当は誰かに自分のことをわかってもらいたかったんじゃないのか!?」
「!!」
「だけど自分は教官だからという固定概念から、皆に心配をかけまいと、弱いところを見せないとただただ自分の中に感情を押し込めてきた!違うかなのは!?」
「……そうだよ。でも!それの何が悪いの!?みんなに迷惑をかけないとする気持ちの何処が悪いの!?自分の中にしまうことが悪いの!?」
互いの愛機をぶつけ合いながら、なのは自分の声を吐き出す。
「悪いに決まってる!!皆に迷惑をかけないとしようとすることは頷ける!だけどな!!自分の中で完結させようとすることは間違ってる!!」
安綱を振り、なのはを押していく聖。
それによりなのはは苦悶の表情を浮かべる、攻撃もそうだがおそらく言葉の方もきいているのだろう。
「何のための友達だ!いいかなのは、勘違いしてるようだから教えてやる!友達だからってなテメェの考え全てがわかるわけじゃねぇんだ!!ましてや、それが自分の生徒だったときなんてできるはずねぇだろ!!そんなことぐらいテメェでも十分わかってたはずだろうが!!」
「それは……」
「迷ってんのに1人でずっと抱え込んで、終いに起きたのが今日みたいなことじゃねぇか!それでなんだ?ティアナが自分の考えを理解できなかったからってあの仕打ちか!?」
「違う!!あれはティアナが危険なことをしたから!!」
「じゃあその危険なことをさせないために、お前はアイツと何か話したのかよ!!」
再びなのはは言葉を詰まらせるが、なんとか言葉を搾り出す。
「でも!ティアナならわかってくれると信じてた!!きっと私の……」
悲痛な声を上げるなのはに聖はさらに追い討ちをかけるため、追撃態勢に入る。が、
そこで急激に聖の動きが止まった、なのはがバインドをかけたのだ。聖がそれに顔をしかめていると、なのはの方に魔力が集まっていった。
「収束砲か……!」
毒づくが既に遅かった、なのはの周りには既に多くの魔力が収束し終わり、完全に打ち出す態勢に入っていた。
「……ゴメンね……聖君」
悲しげに言うなのはの目からは涙が一筋零れ落ちた。
そして次の瞬間、聖は膨大な魔力の奔流に飲み込まれた。
轟音の後、なのはが聖の姿を確認しようと砲撃後を見るとそこには、
「……」
バリアジャケットのところどころが焼け焦げながらも、しっかりと立つ聖の姿があった。その姿に誰もが息を呑んだ、本来であればなのはの収束砲、スターライトブレイカーを直撃すれば大体のものは昏倒するのがセオリーだ。
だが聖はそれを耐え抜いた、頭から多少の血を流しながらも聖は立っていたのだ。なのはが呆然としていると、聖が消えた。
なのははすぐにスバルと、ティアナが昏倒させられたときのことを思い出すがもう遅かった。一瞬の衝撃の後なのは自身の意識が薄れていくのを感じた。薄れてゆく意識の中でなのはは聖の声を聞いた。
「もっとみんなに自分のことを話せ……この大バカ野郎」
そこでなのはの意識は完全に暗転した。
なのはが意識を失ったことにより、空中から落ちそうになるが聖はそれを抱き上げると、フェイトたちの下に戻っていった。
「聖、なのはは?」
「大丈夫だ、ちょっと強めにやったから夕方ぐらいまでは目が覚めないかもな、グッ……!」
頭を押さえながらうめく聖に皆が心配そうに駆け寄ってくるが、
「大丈夫だ、俺よりもこいつ等三人を頼む。エリオ、キャロ。悪かったな模擬戦なくしちまって」
「い、いえ!気にしないでください!」
「後でもできますから!!」
二人が言ったのを確認すると、聖はなのはを再度抱き上げ、医務室に向かった。
なのはが目を覚ましたのは、夕方だった。目を覚ましたなのはは、一番先に聖の下に向かった。聖は屋上で風に当たっていた。
「聖君!その、今日は……ゴメン」
「いいさ……俺も悪かったな、お前の考えを完全否定するようなこと言っちまって」
「ううん、違うよ。聖君は私のいけない所をわからせてくれたから、凄く感謝してるんだ」
しばしの沈黙が流れた後、なのはが口火を切った。
「私ね……本局に入りたてのころ、事故にあったんだ。任務中だったんだけどね、本当に何の危険もない任務だったんだけどアンノウンが現れてね……撃墜されちゃったんだ。いつもの私なら難なく倒せたと思うんだけどそのときは……」
「疲れていた?」
聖の問いになのはは頷きさらに続けた。
「連日の任務任務で体が悲鳴を上げてるのは知ってたんだ。だけどね、みんなに迷惑をかけちゃいけないと思って黙ってたんだ。もう本当になんていうか今日のティアナみたいにね」
「だから、ティアナに冷たく当たったのか」
「うん、わかってほしかったんだ。でも言葉が足りなかったね……結果的に聖君たちにも迷惑かけちゃったし」
俯くなのはの目元は涙だろうか、夕日に反射し光っていた。だが涙ながらにもなのはは続ける。
「直ったと……思ったんだけどな。でも、ダメだったね、結局みんなに迷惑かけて……私あの時から全然変われてなんかいなかった……」
なのはからすすり泣く声が聞こえはじめた。それだけ自分がやってしまったことを後悔しているのだろう。それを見た聖はなのはを引き寄せ、抱きしめ告げた。
「人間なんてそう簡単に変われるもんじゃない、失敗を繰り返して変わっていけるんだ。今日はそれが気付けてよかったじゃねぇか。……いいかなのは、模擬戦のときも言ったけどもっと周りを頼っていいんだ。苦しくなったら誰でもいい、フェイトやはやてでもいい、新人達や他のスタッフの人たちでもいいから自分の悩んでいることをどんどん話せ」
「聖君でも?」
「ああ、勿論」
聖の胸の中でなのはが聞くと、彼は笑顔で頷いた。それに安心してしまったのか、先ほどの啜り泣きではなく、なのは声を上げて泣き始めてしまった。泣きじゃくるなのはを聖はそっと抱きしめる、なのはもそれにすがるように泣き続けた。
なのはが完全に泣き止んだのは、それからおよそ10分後だった。
その後ティアナが目を覚まし少しすると、六課の館内にアラームが鳴り響いた。どうやら沿岸空域にガジェットが出現したようである。
フォワード陣は全員ヘリポートに集まっていた。今回は空戦という事もあり新人達は全員出撃はしないこととなった。ただ1人ティアナは終始俯いていた。
「ティアナ、思いつめちゃってるみたいだけど……」
「やっぱり、命令を聞かない部下は要らないってことですか」
なのはが声をかけるとティアナはまたもなのはに噛み付くが、先ほどとは違いそれを打ち破るものがいた、それはシグナムだ。彼女はティアナの胸倉を掴みあげるとそのままティアナを殴りつけた。
その場にいた全員が驚きの声を上げるが、聖はいたって軽いのりで告げた。
「よし、んじゃあなのは、お前は残ってティアナに話をしてやれ。ガジェットは俺とフェイト達が倒してくっから」
ヘリに乗り込みながら聖は言うとフェイトとヴィータに軽く耳打ちした。
「なのはとティアナを仲直りさせるためだ、協力頼む」
告げられると二人は小さく頷いた。それを確認した聖は、
「ヴァイス!発進してくれ!」
「おうよ!」
聖たちを乗せたヘリは目標の空域まで飛び立っていった。
「でもあいつらにだけで大丈夫か?」
「ああ、平気だろ。ティアナもきっとわかってくれるさ」
ヘリの中で疑問を投げかけるヴィータに聖は軽く返すと、フェイトはそれに呆れ顔で、
「無責任すぎる気もするけど……いまは2人が仲良くなってくれることを願おうか」
「だな」
ヴィータが言ったところで操縦席にいるヴァイスが告げた。
「そろそろ目標空域だ、用意してくれ聖」
「りょーかい。んじゃ、俺達は俺達の仕事をちゃっちゃと終わりにしますかね」
ヘリのハッチが開くと共に、聖は外に飛び出しガジェットを狩りに向かった。フェイトたちもそれに続き外に飛び出した。
ガジェットを全て殲滅し終わり、聖たちが六課の隊舎に戻ると、隊舎前で泣いているティアナをなだめているなのはの姿が見受けられた。
聖たちはその姿を見つけると、顔を見合わせ笑いあった。
さまざまなことがあった一日だったが、最後は平穏無事に終わったようだ。
後書き
以上です。
とりあえず勝敗は聖に軍配が上がりました。
精神的にも押していたので、ずるいかもしれませんがそこはまぁ……許してください
これでまぁなのはにもフラグが立ったはず!
感想、アドバイス、ダメだしおまちしております。
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