ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
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一部:超絶美少女幼年期
三十一話:雪の女王(自称)
「……それで?ちゃんと、わかったんですか?」
「はい!」
「じゃあ、いってみて、ください。フルートは、なにを、するものですか?」
「はい!妖精が、春を呼ぶのに、使うものです!」
「よびすては、しつれいですよ?」
「はい!妖精さんが、春を、呼んでくれるんです!」
「ようせいさんの、おしごとは、なんですか?」
「季節を、司ることです!」
「そうですね」
「ドーラ……?そこまで、言ってたっけ?」
お馬鹿なザイルくんの、再教育継続中。
こういうお馬鹿さんは、説得しようとか優しく言い聞かせようとか、生易しいことではダメなんですよ!
必要ならば武力も用いて、完全に上下関係をわからせた上で!
例えば軍隊のように、完全に、上から!
洗脳する勢いで、従えないと!
「かんがえれば、わかりますよ?」
「……そうかしら?」
普通の思考力がある大人なら、わかるって!
お馬鹿さんとか普通の六歳児には、難しいかもしれないけどね!
転生はともかく、普通じゃないのはもう完全にわかっただろうからいいでしょう!
それより、再教育が途中なんで!
「そんな、たいせつな、おしごとなのに。ザイルくんは、なにをしたんですか?」
「はい!勘違いをして!逆恨みで!妖精さんだけでなく、世界中に迷惑をかけて!意味もわからないまま、フルートを、盗みました!」
「そうですね。それは、わるいこと、ですか?」
「はい!オレは、悪いヤツです!」
「……おれ?」
「ぼくは、悪いドワーフでした!」
「そうですね。わるいことをしたら、どうするんですか?」
「はい!謝ります!すみませんでした!」
「……すみません?」
「申し訳、ありませんでした!」
「だれに、あやまってるんですか?」
「ポワン様と、ベラさん、妖精さんたちです!」
「……」
「……それと、ドーラ様と!」
ドーラ様とか、言えなんて言って無いんだけど。
訂正するほどでも無いので、まあいい。
長く付き合うつもりも無いし!
「……」
「……それと、世界中の人たちと!」
「……」
「……それと、全ての、生き物たちに!!」
「そうですね。かんちがいで、そんなに、めいわくを、かけるなんて。……さいてい、ですね?」
「はい!ぼくは、最低の、クソ野郎でした!」
クソ野郎とか、そんなお下品な言葉は仕込んで無いんだけど。
教育の成果か、自発的に言うようになってました。
口に出したく無いので、訂正はしない。
「はんせい、してますか?」
「はい!」
「もう、しませんか?」
「はい!」
「どうして、したんですか?」
「ぼくが、クソ野郎だったからです!」
「それだけ、ですか?」
結構長々とやってるのに、黒幕っぽいのが出てこないんだけど。
いないの?
「……それと!雪の女王様に、言われました!」
あ、やっぱ、いるんじゃん。
と、再教育がほぼ完了した元馬鹿野郎のザイルくんの言葉が引き金になったように、辺りに不穏な気配が漂い、妖しげな声がします。
「ククク……。やはり、子供を誑かして事を済ませようという私の考えは、甘かったようですね……?」
まさか、呼ばれるの待ってたの?
変に律儀だな!
「素直に騙されていれば、苦しい思いもしなくて済んだものを。半端に力があり、半端に頭が回ったりするから、余計な苦しみを味わうことになるのです」
「な、何よ!早く、姿を見せなさい!」
思わせぶりなセリフを吐きながらなかなか姿を見せない自称雪の女王に、ベラが動揺を見せます。
雰囲気に、飲まれちゃダメだって。
「ゆきの、じょおう、ですか?じょおうさまなら、くにが、ありますよね?どこの、じょおうさまですか?」
敢えて、どうでもいいところに突っ込んでみます。
「……はっ!そうよね、村の長はポワン様だし、女王様は女王様で、ちゃんといるもの!なによ、女王って!誰の許しで、そんなの名乗ってるのよ!」
「……私は、冬を。雪に閉ざされた、白く美しい、冷たい世界を愛する女。則ち、雪の、女王」
ちょっとの間を置き、相変わらず姿を見せないまま説明してくれる、自称雪の女王。
則ちって、かなり飛躍してるけどね!
「えーと。つまり、くには、ないんですね?じぶんで、いってる、だけですね?」
「え?それって……自称?自称、女王、なの?……やだ、カッコ悪い」
「ええ!?女王様じゃ、無いのか!?」
吹き出すベラ、驚くザイル。
女性が、ぱっと見キレイな感じの、たぶん絶世の美女と言ってもまあ問題無い、銀髪に銀の瞳、血の気の無い青白い肌の女性が。
突然、姿を現します。
外見はキレイなんだけど、気配が明らかに禍々しいのでなんとも。
あと、表情が。
怒りかなんかで、歪みすぎて醜悪。
仮にも女王を名乗るなら、もうちょっと余裕持とうよ!
自称でもさ!
「……うるさい、うるさい!私が女王って言ったら、女王なのよ!」
口調が完全に崩れてます。
なんでこんなのに、ザイルは騙されたんだろう。
……お馬鹿さんだから、仕方ないね!
「とにかく、フルートを持って帰らせたりしないんだから!世界はこのまま、永遠に、冬のままにするのよ!邪魔はさせないわ!!」
口調だけでなく外見の化けの皮も剥がれて、ブリザードマン(雑魚モンスター。たぶん、男?オス?)的な姿を現します。
雑魚っても現時点の私には、それなりに強敵だろうけど!
ザイルが、超驚いてます。
「そ、そんな!!女王様が女王様じゃ無かった上に、男で、オカマで、魔物だったなんて!オレは、騙されてたのか!?」
この期に及んで疑問形なあたりがやっぱりお馬鹿さんですが、地味に急所を突いてるあたりは私の教育の成果かね!
自称雪の女王のブリザードマン的なヤツが、切れ気味に叫びます。
「うるさいっつってんだろ!この姿を見たからには、生かしては帰さん!死ね!!」
勝手に見せたくせに。
まあ、お約束だね!
それより、死ねって言ったね?
私も魔物とか散々倒してきたから、今さら綺麗事は言わないけど。
だからって人型のものを、人間のようにしゃべって意志疎通ができるものを、殺すことに抵抗が無いとも言わないけど。
こんな世界だから、いつかはこんな日も、くるとは思ってた。
まだ、覚悟が決まってるとは言えないけど。
決める準備は、出来てる。
相手を殺そうとするからには、相手に殺される覚悟が。
当然、あるんでしょうね?
……私は、殺されるつもりは無いけどね!
「わたしは、しにません。わたしたちを、ころすつもりなら。こちらも、そのつもりで、やります!ベラさん、モモ!いきますよ!」
「う、うん!」
「フーーッ!!」
動揺しながらも返事を返してくれるベラ、私に言われるまでも無くやる気……殺る気?満々のモモ。
ふたりと一緒なら、きっと負けない。
絶対に、負けない!
……え?ザイル?
なんか呆けてるし、知らん。
勝手に、身を守ってろ!
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