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魔法少女リリカルなのはStrikerS ~賢者の槍を持ちし者~

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Chapter20「ディナータイム」

 
前書き
この前メッセージでとある読者様からこの作品の18禁版を書いてほしいという
声が届きましたが、正直行動にでるか迷っています。

これを見たお方で、感想・メッセージでご意見いただけなでしょうか?

 

 

翠屋で異様に熱くなっていたルドガーだったが今は流石にあの興奮も落ち着いていて、今は迎えにきたフェイトの車に乗り待機所でもあるコテージに向かっていた。隣でさっきのルドガーの事をはやてに報告すると息まいているリインにとりあえずアイアンクロー。あそこまで何故自分のテンションが上がったのかルドガーもわからなかった。
揺られる事十数分。コテージに到着し、車に乗っていた者は降りる。

「ふぅ……運転お疲れ、フェイトちゃん」

「お疲れさん……はぁ、俺もライセンス取れたらなぁ……」

「そう落ち込まないで。ルドガーもミッドチルダの永住権が取れたら直ぐにライセンスも取れるよ」

フェイトに慰められるも、やはりこの気持ちはそう容易く収まる程小さくはない。ルドガーもまた、己のロマンを追い求める立派な男なのだから。

「あれ?……なんかちょっと良い匂いが」

「キュクル~」

「うん」

キャロの言うとおりコテージ一帯に食欲のそそる香ばしい匂いが漂っている。

「この匂い……ソースか」

「はやて達がもう晩御飯の用意を始めているのかな?」

考えてみたらはやて達はコテージで管制等を担当していた。他の分隊と比べたら大分時間にも余裕があり、はやての性格を考えれば探索、サーチャー設置に出ているルドガー達の負担を減らす為に夕飯の支度をするはずだろう。だがそれはそれでつまらない。やはり手間は掛かるが、自分が夕飯を作るのを担当してみたかった。だがここは初めてはやての手料理を食べられるという事を思い浮かべ、イーブンって思う事にしたようだ。

「おかえり~!」

「なのはちゃん!フェイトちゃん!」

コテージの方からルドガー達へアリサと紫色の髪の女性が歩み寄ってくる。

「すずかちゃん!」

「すずか!」

なのはとフェイトも女性の名前を呼び、駆け寄る。ここに来て思うが本当になのはとフェイトがそこらの年頃の女の子と同じように見えしまう。年齢的にはそうだろうが、彼女達は管理局のエースで相当な実力者。何も知らない管理局側の人間が彼女達を見れば、ギャップを感じてしまうはずだ。そんな事を考えているとは知らずになのはとフェイトは旧友との再会を楽しんでいる。

「ホントに普通の女の子だな……」

「ルドガーさんもそう思いますか?」

同じようになのは達を見ていたティアナがルドガーの呟きに反応する。この様子からするに彼女も同じ事を思っていたのだろう。

「ああ。見ていて落ち着くな」

「落ち…着くですか?」

エリオがルドガーの感想に疑問に思った。他の3人もルドガーの発言にどういう事なのかと考え、彼に視線が集中する。

「お前達のなのはとフェイトのイメージってどんなんだ?」

「それはやっぱり……管理局のエースで、誰からも尊敬されてるし、私達にも親身に訓練をしてくれる
優しい教官ですよ」

「そう……それが大抵の人物のあの2人に対するイメージだな。今、スバルが思ったイメージはティアナとキャロもエリオも少なからず、思ってたんじゃないか?」

「は、はい」

心を見透かされたようなルドガーの言葉にティアナが戸惑いを見せながらも相づちを打ち、エリオとキャロも驚いている。

「そう驚く事でもないだろ?客観的に見れば誰だってそう見えるさ。実際、俺もそう見えてたしな……だが今の2人を見ていたら、2人もそこらの女の子と変わらないなって思えてきた」

2人にスバル達が持っているようなイメージはスバル達の彼女達を尊敬しているところから来ているが、なのはとフェイトの管理局に入ってからの行動でティアナ達が持つイメージを出来上がったのが大体だ。

「そして思うんだ……あの2人、そしてはやては、たくさんの期待とそのプレッシャーに当てられ、疲れていないのかって」

その言葉でハッとなるフォワード達。ティアナ達に限らず、管理局に属する者でなのは、フェイト、はやてを知らない者はいないし、尊敬や目標を彼女達に抱いている者は少なくはない。もし自分達が3人の立場だったらどうだろう?3人のように上手くやれるのだろうか?たくさんの期待に答えられるのだろうか?黙り込むフォワード達を見てルドガーは彼女達が隊長達の立場になって、その心情や彼女達の『世界』を初めて考えたのだと感じていた。

(らしくないよなこんなの……まっ、俺は一応コイツらの教官だから)

たまにはそれらしい事をするのもいいのかもしれない。今フォワード達が考えている事でなのは達に対する接し方がどのように変わるか分からないが、どうせなら今以上に強い繋がりを互いに持ってもらいたい。そして丁度そう思っている時、コテージに車が一台入って来てその場にいた者の視線がそちらにいく。中から降りてきた自分はさっき別れたばかりの美由希と、彼女と同じ年頃の女性、あと何故か犬のような耳と尻尾をつけた少女。

「は~い!」

「みんな~お仕事してるかぁ~?」

「お姉ちゃんズ、参上!」

そしてやたらテンションが高い3人。

「エイミィさん!」

「アルフ!」

3人の内2人はエリオとキャロが知っている様子。女性がエイミィで少女がアルフという名前のようだ。
「それに……美由希さん?」

「さっき別れたばっかりなのに……」

「いやぁー、エイミィがなのは達に合流するっていうから、私も丁度シフトの合間だったし」

美由希の事についてはわかった……だが、この今現れた2人の事はルドガーもティアナとスバルも何もわからない。そんなルドガーに気付いたキャロが、ルドガー達に2人の事について紹介する。

「こちらはエイミィ・ハラオウンさんとフェイトさんの使い魔のアルフです」

「始めまして。私はエイミィ・ハラオウンです!六課後見人のクロノ提督の事は知ってるかな?」

「ああ、まぁ……」

一応ルドガーはクロノ提督直属の部下という事になっている為当然知っている。

「私はそのクロノ提督の奥さんで、あとフェイトちゃんのお義姉さんでもあるよ」

「そしてアタシはフェイトの使い魔のアルフだぞ!」

「あの……使い魔って何なんだ?……」

キャロの紹介から気になっていた使い魔という単語について質問する。

「簡単に使い魔を説明すれば、人間以外の生物に主人である魔導師が自分の魔力を与える事で誕生する擬似生命体ってとこかな」

解説したのはアリサ達と話をしていたはずのフェイトだった。ゆっくりとルドガー達の元に近づいてくる。

「フェイトー!」

主人と再会したアルフが、喜びのあまりフェイトに抱き付く。まるで愛犬が飼い主にベッタリ甘えているようで、見ていると穏やかな気持ちになってくる。

「魔力を与える?……精霊でいう、使役するってとこ事か?」

「うーん…精霊とはまた少し違う気がするけど……」

やはりさすがのフェイトも精霊の使役と同じとは断言できないらしい。
まぁまず、精霊と使い魔の仕組みを同列視する事自体が間違っているのだが……

それぞれ話しこんでいる者達からそっと離れ、この嗅いだ者の食欲を誘う元へと移動する。

「あら?ルドガー君!」

「おっ、ルドガー帰ってたん?おかえり~」

「ああ。ただいま」

このやり取りでルドガーは思わず嬉しさを覚えている。“おかえり”、“だだいま”……長い間この言葉を掛けられた事がなければ使っていなかった気がしたからだろう。
こんな些細な事を心から喜べる自分に、案外寂しがりやなのだと思い笑えてくる。

「夕飯の支度か?部隊長自らやらなくても俺がやるのに」

香ばしい匂いの正体は焼きソバだった。ソースが熱している鉄板に焼かれジュッと鳴り、更に匂いが周囲に漂う……うん、焼き肉も鉄板焼の醍醐味だが焼きソバも忘れてはならないな。

「たまには作りたいんや。料理は得意なんよ?」

「それは楽しみだ。はやての料理はギガウマだってヴィータから前に聞いていたから、食べてみたかったんだ」

「そ、そうなん?」

「ああ。楽しみで仕方ない」

はやては照れくさいのか頬を指でかいて投げやりに話し始める。隣にいるシャマルは何が面白いのか、ニッコリと2人の会話を聞いて満面な笑みを浮かべている。

「ほら、そこ居ったら作れるモノも作れんやろ!ほらっ、あっち行っとき!」

「お、ああぁ?」

いかなり背中を押され驚くルドガー。足が縺れ、転びそうになるが何とか踏み止まる。はやての方に向き直るとしっしっと、まるで庭先に入ってきた野良猫を追い払うような仕草をこちらに向けやっている。そんなはやてにやれやれと呆れていると、後ろから複数の足音が近づいてくる。

「お!皆、おかえりー!」

「おかえりなさい~い!」

「「「「八神部隊長!?」」」」

ルドガーの後ろにいるフォワード達と隊長達を出迎えるはやてとシャマル。さっきまで自分を邪魔者扱いしていた奴の反応じゃないと心の中で呟く。

「部隊長自ら鉄板焼きを!?」

「そ、そんなの私達がやります!」

責任感の特に強いフォワード達ははやてが料理をしているのを見て慌て、ティアナとキャロは自分達が代わると言いだす。下っぱとしては上司に夕飯の支度をさせるのは、神をも恐れぬ所業なのだ。

「あ~いやまぁ、さっきルドガーにも言うたんやけど……お料理は得意やし、元々趣味なんよ」

「はやて隊長の料理はギガウマだぞ!有り難く頂け!」

「「「「はい!」」」」

ギガウマ……ヴィータらしい表現だが、ギガが付くと一度彼女と模擬戦をした際に見せられた、人ですらアリの心境に陥るデカデカハンマーを思い出してしまい冷や汗が流れる。いくらルドガーでもアレに潰されたら生きている自信はない。

「シャマル……お前は手を出してないだろうな?」

そう言えば最近もう1つ命の危険を感じた事を思い出すルドガー。それは今シグナムが真剣な面持ちでシャマルに問いかけていた事だ。以前ルドガーは彼女の作ったトマトソースパスタを食べた事があった。ルドガーもトマトがユリウス程ではないが好きだ。しかもあの美人で優しい白衣の天使なシャマルが作ってくれた料理だと知れば喜ばずにはいられない。

だがしかし……その幻想は儚くも崩れさる。

口に入れ咀嚼する前に凄まじい甘味を味らいが感知……おもいっきり蒸せる。息を吸うのもままならない状態で引きつった笑顔を作り彼女に何をトマトソースに入れたのか問いただすと、彼女は最高な笑顔を見せこう答えてくれた。



『黒糖をたっぷり入れちゃいました♪』


……前言撤回……コイツは笑顔を作った白衣の悪魔だ。


凄まじい甘味の正体は黒糖だった。そして一番気になるシャマルが黒糖を入れた理由は、何でもトマトに砂糖を付けておやつがわりにする食べ方があると聞いて、それで同じトマトを使うトマトソースにも砂糖以上の甘味を誇る黒糖を加えたらきっと美味しくなると思って黒糖を入れたようだった。

逆転の発想でしょ?とルドガーに同意を求めるシャマルにルドガーははっきりとこう告げた。


『違う!これは反逆の発想だっ!』



称号:反逆のシャマル


「シャマル……今度は六課に反旗を翻す気なのか?」

「あ~シグナムもルドガー君も酷い!」

「ちょっと手伝ってくれたよな?材料切りとか」

「はい!」

「まぁ……切るだけなら……」

「……大丈夫だな」

「……リキュールボトルとパナシーアボトル……必要かもな……」

胸を撫で下ろす副隊長の2人と、アイテムボックスから残り少ないアイテムを探るルドガー。
シャマルの料理を食べた事のある者ができる“正常”な反応だった。
そんなルドガー達の様子を見てスバルは恐る恐るシャマルに問いかける。

「シャマル先生……もしかして……」

「違うもん!シャマル先生、お料理下手じゃないもん!」

この会話以降、フォワード達のシャマルへの××料理人疑惑が強まったそうだ。あながち間違いではないが、やはりどこか哀れに見えてしまう。何故そこまでシャマルの料理の腕が変な方向に行ってしまったのかは、長い付き合いでもある八神家一同でさえもわからない七不思議であった。
シャマルの××料理人の事はともかく、なのは達もはやての手伝いを名乗りでてフェイトがフォワード達に料理の皿出しと配膳を指示し、フォワード達は力強い返事と共に動き出す。

「ははは、元気だ!」

「みんな…かわいいね」

そんな六課メンバー達のやり取りを見てアリサとすずかが呟く。

それから程なくして20人近い人数で賑やかな空気の中、仕事中だという事を忘れさせるような温かな夕食会が始まる。テーブルに付き、この場にいる者の紹介が始まりフォワードとルドガー、現地協力者の人間が親睦を深めた事で、笑顔が絶えないコテージ。もうこの場にいる者は全て立派な仲間となっていた。

「はい、ルドガー君」

「ありがとう」

紙コップに入っていたお茶を飲み干すと隣にいたすずかが、紙コップの中身がカラだと気付いてペットボトルからお茶を紙コップに注ぐ。

「フフフ……」

「……あの…何か俺の顔に付いてるか?」

「ううん、ごめんね。お茶を入れてたらルドガー君の髪の毛が気になっちゃって」

「俺の髪が?」

「うん。銀髪の人は見た事はあるけど、一部分に黒が入ってる人は始めて見たんだ。凄くかっこいいね!」

ルドガーのメッシュ部分を凝視するすずか。ルドガーの自毛は白っぽい銀髪。今までにパーティメンバーやそれ以外の人間からも髪について聞かれた事が何度かあった。その度に白髪呼ばわりされ銀髪だと訂正し、あまりに白髪呼ばわりされる事から自分の髪が実は白髪なのではと本気で悩んだ時がある。だが逆に黒いメッシュは殆どの人間に好評で、今のすずかのようなコメントをもらうと自分のさり気ないオシャレを評価されるのは素直に嬉しい。

「ははっ、ありがとな。ちなみにこれは自毛じゃなくて、ここだけ黒く染めてるんだ」

「へぇー……ルドガーのその黒いのって自毛やなかったんか」

「アタシも今までてっきり生まれつきかと思ってた」

近くにいたはやてとヴィータが2人の会話を聞いて話しに加わり、ルドガーの前に来て黒いメッシュ部をはやては指でさらっと撫でる。

「うーん、よう染められとるなぁ……自毛と間違えるんも無理ないかもなぁ」

「念入りに染めてるから当然さ。まぁ骸殻使ってる時はメッシュも白く染まるけど……」

メッシュを触りながら残念そうに笑う。クォーター骸殻時は違うが、仮面で頭部が被われるフル骸殻の1つ前のレベル、スリークォーターまでルドガーの髪色は完全に自毛に戻り、気を使っているオシャレ部分が消えしまう上、露出している少ない肌の色まで白っぽくなってしまい、モヤシに見えなくもない。ぶっちゃけ鏡で骸殻時の自分の姿を見たらそう見える。

「骸殻って?」

骸殻の事を知らないすずかは3人に骸殻の事について質問を投げる。

「骸殻っていうのはルドガーの持つ能力でな、ものゴッつい格好に変身するんやで」

「へぇー!見てみたいなぁその骸殻っていうモノに変身してるルドガー君!」

はやての簡単な解説で骸殻の実物を見たくなったのか、興味津々な声を上げながら、ルドガーを見ているすずか。

「なになに?どうしたのよ?」

そんなすずかの声に気付きアリサがやってくる。すずかは骸殻の事をアリサに話し始める。
結果、アリサまでも骸殻を見たいと言いだす。

「ちょっとそれ見せないルドガー!」

命令口調でルドガーに骸殻に変身するよう強要するアリサ。

「えっ?骸殻っていう姿に変身したルドガー君って槍も使えるの!?すっごーい!!ルドガー君お願い!!その骸殻に変身した姿のルドガー君をぜひ見せて!!」

骸殻状態のルドガーが槍を使うという事を聞いた美由希が目を輝かせている。
というかいつの間に近くきたのか?

骸殻に変身して姿を見せろと言われた事が今までになかったのでどう反応していいか最初はわからなかったが、状況に慣れたルドガーは3人の頼みを丁重に断る事にした。
時歪の因子化は例えクォーター骸殻に変身しても進行するモノ……興味本意の頼みで変身して自分の命を減らす事は真っ平御免である。

その後は骸殻の話題も終わり、話しに参加していた人間は食事を再会したのであった。

 
 

 
後書き
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