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ゲルググSEED DESTINY

作者:BK201
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第十六話 憤怒の闘争

俺―――ショーンがデイルと知り合ったのは大分昔のことだ。戦争が始まる前、プラントへと移住した俺の近所にいたのがデイルだった。最初から親しかったわけではない。寧ろ最初の方は喧嘩ばっかだったと思う。
仲良くなったのは士官アカデミー時代のことだ。切磋琢磨しあってシンやレイ、ルナマリアと仲良くなって、クラウさんを紹介されて、またそこで喧嘩してMS技能で競い合って――――――

「なあ、ショーン」

「何だよ、デイル?」

何時だったか、格納庫でゲルググのテストパイロットという名目の訓練を終了し、床で互いにへばってる時にデイルが他愛無い話の一つにこんなことを言っていた。

「俺達ってさ、やっぱあいつ等みたいに成績よくないじゃん」

「まあ、シンやレイはもう別格って感じだしな」

「オイオイ、ルナの奴を忘れてやるなよ」

そんな風に軽口叩きあいながら笑い合う。

「でもさ、俺達二人が組めば、シンやレイにも勝てて、最強なんじゃね?」

「馬鹿言うなよ俺たちが組んでも勝てねえよ」

軽い冗談に笑って無理だって答えるデイル。

「だよなぁ……」

ショーンも実際は無理だと理解していた為、あっさりとそれを認める。

「―――でも、本当にそうなったらいいな」

その言葉に、お互いに顔を合わせて笑って、でもいつかは本当にそうなるんじゃないのかって思ってて―――それは、デイルがアビスによって命を散らす、一年以上も前の話だった。









「やってくれたな!!」

マーレが怒りを爆発させ、フリーダムを仕留めんとばかりに襲い掛かる。戦闘不能となったショーン機を撤退させるべく、レイはアビスに攻撃を仕掛けながら移動する。

『ショーン、下がれ!その状態で戦闘は不可能だ!』

『うっ、くっ……デイル……』

ショーンは精神的、機体の状態ともにまともに戦闘を続けれる状態ではないだろう。レイが撤退を援護しつつアビスと戦闘を行う。

『そいつも倒させてもううよッ!』

『やらせん!』

アビスが2連装ビーム砲を放つが、ゲルググの機動力を生かし、回避する。そのままアビスはビームランスを振り下ろしてくるが、ナギナタの持ち手を正面に構えて防ぐ。ナギナタの持ち手はビームコーティングがされているためアビスのビームランスが突破することもなく、ぶつかり合う。
そして、そのまま持ち手を回転させ、ナギナタを振り回しながらアビスを吹き飛ばす。本当ならばそのまま切り裂くつもりだったのだが、両肩のシールドによって防がれてしまう。

『へえ、白いのとは戦った記憶ないけど、案外強いじゃん!』

興味の対象がレイの機体に移ったのか、アビスはレイのゲルググに突撃していった。

「貴様ァッ!!」

『クッ!?』

一方でマーレとキラもぶつかり合う。デイルを殺した。止めを刺したのはアビスのパイロットだが、そうなる原因を作ったのは目の前にいるこの機体だ。突然現れて、訳の分からない主張をして、場を混乱させるだけさせた。まるで悪魔のような奴だ。

三連装ミサイルランチャーを放つ。フリーダムは当然、それを躱すが、すかさずマーレはビームバズーカを放った。
シールドで受け止めるフリーダム。逆にこちらに向かって収束ビーム砲を構えてくる。もう一発とばかりにビームバズーカを構え続け、収束ビーム砲と同時に発射された。ビームバズーカは空をきり、収束ビーム砲は海面を爆発させる。
水蒸気が発生し、僅かな時間だが煙幕の役割を果たす瞬間を狙ってマーレは動く。

「フン、どうせ独立バッテリーはあと一発分しかないんだ!」

ビームバズーカはその威力を極限まで高めている代わりに電力の消費が激しく、独立したENパックを装備している。その為、機体自体のエネルギーを消費することなく撃てるが、弾数にも制限が掛かっていた。
そのエネルギーが一発分しか残っていない事を確認したマーレはそれを投げ捨て、ナギナタを抜出、フリーダムに向かって一気に接近する。

「落ちろォォォッ――――――!!」

やはりと言うべきか、ナギナタはシールドで受け止められた。だが、マーレの本命はナギナタによる不意打ちではない。

「これでッ!」

追加装甲の腰部に取り付けられているビームライフル。手を使わずとも使用可能な兵器の一つであり、PS装甲のフリーダムであっても有効打を与えることが可能なビーム兵器。
一瞬の交差。そして、ビームが放たれる。だが、フリーダムはその直前に反対側の腕に持っていたビームサーベルで砲頭を切り裂いた。

「チッ、クソがァ!?」

そしてそのまま戦闘力を奪う為にさらに追撃しようとするフリーダム。しかし、マーレはその追撃を許さなかった。

『なッ!?』

全身に装備された追加装甲のパージ。吹き飛ばされるように外れていくその装甲によってフリーダムは質量の砲弾を受けることになる。PS装甲をしているため、ダメージにこそならないが単純に近づくことが出来ず、距離を取らざる得ない。
そして、放たれるビームキャノン。フリーダムは反転しながらの回避だが、それを予想していたマーレはそのままビームライフルを撃ちこんでいく。
両者の戦いは一見してみればマーレの有利に進んでいるが、実際は有効打を一度も与えていないマーレが不利であり、さらに武装を次々と失っている状況でエネルギーの残量も低下しだしている。このまま戦えばそう遠くない頃にエネルギー切れか武装を失っての反撃によって倒される事だろう。








「チッ、早いとこ墜ちな!」

『く、このォッ!』

スレイヤーウィップから辛くも逃れたガイアは走りながらグフから逃れつつ反撃していく。近距離用の武装が殆ど占めているグフでは距離を取られてしまえば攻撃手段を殆ど失うことになってしまい、MA形態となっているガイアの機動力にグフでは追い付ききれない。
単純な追跡ならば空を飛べるグフは追いつけるのだが、睨みを利かすように牽制のビームを放ってくる為、迂闊に近づくことが出来ない。

「貰ったッ!」

ドラウプニル 4連装ビームガンを放ちつつ、スレイヤーウィップで再び攻撃する。ガイアはそれを躱すが、それはハイネによって誘導されたものだった。
ビームソードを抜出、一気に距離を詰め、腕を切り裂く。ガイアはもう一方の腕にビームサーベルを持とうとするが、その前にハイネはグフならではの格闘戦によって蹴りを放ち吹き飛ばす。一方的ともいえる怒涛の連撃。ハイネにもデイルの撃墜報告は聞かされている。しかし、ハイネは焦るわけにはいかない。
フェイスとして、そしてリーダーの一人として現実的な選択を行わなければならないのだ。だからこそ、目の前に立ち塞がる敵を倒し、友軍の援護に回らないといけない。故に―――

「これで決めさせてもらうぜッ!」

再度接近しヒートソードで切り裂こうと見せつけるグフ。ガイアはそれを避けようと距離を取るがそれこそがハイネの狙い。距離を取ったガイアにスレイヤーウィップを放ち、バックステップを取るために急転換出来ないままガイアは再び捕らえられる。
そうして捕らえたガイアを叩き付け、衝撃や高周波パルスによってパイロットや機体の関節パーツの破壊といった理由で戦闘を継続することが不可能になったと判断したハイネはガイアをそのまま海に投げ飛ばした。
本来なら取り押さえ奪還した機体としてミネルバへと運ぶべきなのだろうが、今はそれどころではない。

「時間をかなり食っちまった。頼むから俺が来るまで持ちこたえてくれよ!」









「いい加減にッ!?」

一方で同じフェイスであるアスラン・ザラはカオスを相手に苦戦していた。理由は彼にもわかっている。アークエンジェルとフリーダムだ。アスランは苦悩する。なぜ今になって出てきたのだと。
デイルが死んでしまった。決して仲が良かったわけではない。寧ろどちらかといえば避けられていた方だろう。下手すればシンよりも仲は良好とは言えなかったかもしれない。だが、ハイネが潤滑油となり、マーレが忠告し、クラウが話題を提供したりと色々とギクシャクはしたものの、これから同じ戦場を駆ける仲間として話し合えると、そう思っていたのに―――
直接的な原因はアビスだ。だが、その原因となるものを作ったのは明らかにキラの乗るフリーダムだった。何故だ!キラ、カガリ、何故今になって現れたんだ!
マーレだって言っていた。オーブを守って、その為に他国なら亡ぼしてもいいのかと。今キラたちがやっているのはまさにそれだ。

問いただしたい―――

それだけだが、その一つのことに囚われているアスランは以前は圧倒したカオスを相手に苦戦させられる。

『てめえ、舐めやがって!ふざけんなよ!!』

サーベルやクローを避けるが後ろに回り込んでいたポッドのミサイルに命中してバランスを崩す。

「しまった!?」

『ハッ、つまらねえ最後だな!終わりだ!!』

ビームサーベルの追撃を受け、シールドも吹き飛ばされる。そしてビームクローが止めとばかりに斬りかかるが―――

『何やってんだよ!?アンタは!!』

ミサイルがセイバーとカオスの間に防がれるように放たれた。戦闘力を奪われたとフリーダムに判断されていたブラストインパルスに乗っていたシンである。ケルベロスもレールガンもバッテリーが残っていないため放てなかったが弾数が残っていたミサイルは放つことが出来たのだ。

「シン……?」

『あいつ等、やってる事も言ってることも滅茶苦茶じゃないか!アンタも何一方的にやられてんだよ!?それでもフェイスかよ!』

『チッ、死にぞこないの分際で邪魔すんじゃねえぞ!!』

「ハッ!?シン、逃げろ!!」

『舐めるなッ―――!!』

インパルスの残されている最後の武器ともいえるナイフを抜出、片手でナイフを構えながら待ち受ける。

『グッ、クソォォォ―――!?』

しかし、技量ではシンが上回っていようともエネルギー切れで武装も片腕も失っているブラストインパルスと、空中戦が可能なカオスでは流石に分が悪すぎる。接近したカオスの連撃を前にまともに打ち合うことなどできない。

『止めだッ!!』

ナイフを持つ腕もビームクローによって切り裂さかれ、そのままカオスはビームサーベルを振り下ろす。その光景を見たアスランは思い出す。ミゲルを、ニコルを、そしてつい先ほど散ったデイルを、多くの戦友を失った時のことを―――

「――――――シンッ!!」

何かが弾けるような感覚。アスランはこれが何なのかを感覚的に知っている。SEEDが覚醒を果たし、収束ビーム砲を構え、そのまま放つ。一歩間違えればそのままインパルスごと貫くような砲撃。しかし、それはカオスの両腕だけを貫いた。

『何ィィッ!?』

MA形態に切り替わり、そのまま一気に接近する。カオスが振り向くと同時にMSへと戻り、そのままサーベルを抜きながら足も切り落とした。
そのままセイバーはインパルスを掴んでミネルバへと撤退する。

『何で、あいつに止めを刺さなかったんですか?』

シンが尋ねる。腕も足も潰した以上すぐにでも倒せたはずだ。自分を助けたことを含めて納得がいかないと思った。

「前に議長の前でも言ったよな。殺されたから殺し、殺したから殺されてって―――俺は敵を討つのを躊躇ったことがある。だが、それが原因で死んだ仲間がいて、今でも救えなかったことを後悔してる。だから考えるんだ。今も昔も、いつだって――――――」

シンは押し黙る。なんにせよ助かったことは事実なのだから。その時、後ろから信号弾が上がる。連合の艦からのようだ。連合の主力である三機の内二機が戦闘不能になったことで撤退をした方が良いと判断したのだろう。戦況もこれ以上長引けばアークエンジェルがこちらに牙を向けるかもしれないと思ったのかもしれない。
なんにせよ、戦闘が終わった――――――









今回の戦いで最も利を得たと言えるのはやはり連合だろう。実質的な被害はカオスとガイアが損傷したことのみ。それに対してザフトのミネルバは艦への大きなダメージ、幾つかのMSの損傷、精鋭部隊といえる一機のMSの撃破。オーブの被害を数に入れなければ大戦果だと言える。
しかも、オーブをさらに働かせる脅しのネタは既に得た。

「さて、ユウナ殿?この度の戦闘は色々と厄介なことがおきましたね」

「そ、そうだな。本当に色々なことが起きたものだ……」

オーブの空母であるタケミカヅチのブリッジにて今回の戦闘に対しての話し合いを行う。ネオとしては戦場で使えるものは全て使わせてもらおうという気概だ。

「本当に、オーブの国家元首を語る様な相手が現れた時には驚いたものですよ。まさかオーブには謀反の意志があるのかってね?」

「あ、あるわけないじゃないか!?オ、オーブは連合への誠意を示す為に、これだけの艦隊とMS部隊を用意したんだぞ!冗談じゃない!?」

「ええ、我々としてもその意思はわかっているつもりですよ。ですが、あのようなものが出てくればね……」

アークエンジェルに国家元首のエンブレムをしたストライクルージュが現れたのだ。その結果、連合としてはかなり交渉を優位に進めることが出来、オーブのさらなる協力を取り付けることが出来た。
とはいえ流石は政治家。決定的なまでに使い潰すようなことの出来る言質を得ることは出来なかった。

「では、次回の戦闘でミネルバを撃沈して見せてください。あと万が一、アークエンジェルが再び戦場に現れた場合には―――」

「分かっている!こちらとしても、あれによって被られた被害は大きいんだ。落としても構わないさ!」

まあ、こちらのオーブとの話し合いによる戦果も上々。欲張り過ぎたら元も子もないとばかりに立ち去るのだった。


 
 

 
後書き
流石マーレです。ゲルググの汚名挽回(笑)を果たしてくれました。
そして、アスラン覚醒。シンだと思ってた?残念、アスランでした。
え、出てない人がいる?ルナマリアのこと?え、違う。他に誰かMSで出てないの居たっけ?(クラウはいじけて体育座り中)
あ、次回あたりに登場する新型艦募集中です。宇宙も大気圏内も飛行できる戦艦でお願いします(例、ザンジバルとか?) 
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