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吾輩は猫である in HSDD

作者:古々
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吾輩、人外喰う



まったく下賎な悪魔のせいで服がボロボロになってしまったではないか。
まあ、よい。今回の計画が成功すれば我らはさらに高貴な存在になれる!
ん?


「微かに魔力感じる……こっちか」


市街地を抜け、静かな空き地に降り立つ。
魔力の発生源は土管に寝ている猫のようだ。


「ふむ、今夜は下賎な存在に良く会う日のようだな」


猫は我の声に反応したのかゆっくり顔を上げこっちを見てくる。


「貴様は誰かの使い魔か? それともただのはぐれか? まあ、今の我は機嫌が悪いのでな生かすきなんぞないがな」


猫はジッとこちらを見続けるだけ、一体何を考えているのか分からない。
全身を見て興味をなくしたのか猫はまた寝始めた。
……ただの魔力を持った野良猫か?


「高貴なる堕天使の光で逝くがよい下等生物!!」


光の槍を作り出し猫に投げつける。
猫に着弾し土管が破壊され、空き地に破片が散らばる。


「ふん、呆気ない。やはりただの野良だったか?」


無駄に力を使った。拠点に戻り計画の準備を進めるか。
後ろを振り向き空に向かって飛び出した。


ブチッ!


突如飛行できなくなり地に叩きつけられる。


「ぐはッ! い、一体何が起きたというのだッ!!」


背中から生えていた黒い羽が片っぽ無かった。まるで無理矢理引きちぎったよう根から無くなっている。


「誰だ! この我の羽をちぎったのは!!!」


自分に攻撃をした者を探しながら叫ぶ。


「まったく吾輩が寝てるのに攻撃してきやがって……喰われる覚悟は出来てるな鴉」


声のした方を振り向くと、我の羽を食べながらこっちを睨みつける黒猫がいた。
その猫はさっき光の槍を確実に直撃させたはずの猫だ。


「な、何故貴様生きている! 直撃してたはずだぞ!!」
「あの程度で死ぬならもう既に数百回死んでるわッ!!!」


確かに我は下級堕天使だが、中級悪魔程度を殺すなら何の問題のない威力だ。それをこの猫はあの程度! あの程度だとッ!!


「貴様ァァァアアアア!!!!」
「うっせぇ!!! 近所迷惑だろ!!」


槍を持って突っ込む、奴とすれ違いざまに突き刺すも槍の方が砕け散った。
奴はまるで何事もなかったかのように残りの羽を噛みちぎった。


「ああああぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!」
「ムシャムシャ……不味いなこの羽……」


畜生! 何なんだよこいつはッ!


「覚悟は出来たな。それじゃ、いただきまーす♪」
「ま、待ってk―――」


ガリッ……ゴリッ……グチャ……ゴクッ











吾輩の名はカオスである。
ジュエルシードせいでこの世界に飛ばされてしまった。戻りたいが願いが全部消費されてました。
どないしよう……


「猫さんおいで~、ほらにぼしだよ~」
「にゃ~♪」


能力はそのままだからこの世界でも生きていけるだろうが久遠に会えないのは悲しいな、あいつ元気でやってるかな……


「よしよし」
「うにゃにゃ~ん♪」


それにしてもこの世界もかなり物騒だな、昨日の天狗もどきみたいな奴なんだったんだ?
考えていても仕方ない、のんびり気ままに生きていこう。できれば飯のうまい拠点が欲しいな……さざなみ寮みたいな人外じみた人達がいるとことかないかね。


「ほらほら~」
「はにゃ~ん♪」


それにしてもこの嬢ちゃんのテクニック凄すぎ、吾輩逝っちゃいそうだな。
あ、そこはにゃめぇぇぇぇええええ!!


「にゃふうぅぅぅ……♪」
「わあ~、猫さんが溶けた~」


この子将来大物になるな……!


「そろそろご飯の時間だ! バイバイ猫さ~ん」
「な~」


ああ、なんて純粋な子なんだ……変態どもから守らんとな……



ここにも神社があるのか、久遠みたいに出会いがあるといいんだがな。


「あらあら、可愛らしい猫ね、どこから来たのかしら?」


美しい黒髪ポニーテールの巫女さんがいた。胸も大きくエロいねーちゃんだなぁ、那美と薫とは大違いだ。


「にぼしあるけど食べる?」
「にゃー(喰うー)」


この世界にはモ〇プチがないから嘆いてたが、にぼしもなかなか。モグモグ。


「この子魔力があるわね……誰かの使い魔かしら? でもこれくらいなら問題ないわね……(ボソッ)」
「にゃ?」
「なんでもないわよ~」


ふひー喰った喰った。この神社日も当たってて居心地がいいからここを拠点の一つにしますか……
昨日みたいに襲われたら嫌だし、人気のないとこでも見つけるか。




で、今廃屋になっている建物に来てるんだが……


「ムシャムシャ」


先客が居たようだ。
上半身が女性の裸体だが下半身は巨大な獣の体を持ったナニかだ。
下半身の体は四足で、その足の全てが太く、爪も鋭くなっている。尻尾は蛇になっており、独立して行動している。
えっ、新手のヴィーナス堕天種?
でも、あいつ弱そうだな……吾輩のピターモードの方が大きいし、どう見ても物理タイプだし。


「ん? 誰だそこにいるのは」


ヴィーナスもどきがこっちに気づいたのか振り向いてくる。ヴィーナスもどきは食べかけの人を投げ捨て、脇に置かれていた槍を両手で持ちこっちに近づいてくる。


「猫? 猫にしては随分と血生臭いな……」
「どうもカオスです」
「?!」
「いや、驚くなよ」
「貴様ッ! 何者だ!」
「吾輩? 吾輩はカオスだ!」
「名前はさっき聞いた! 一体貴様は何しに来たんだ!」
「そのこと? この屋敷を寝床にしに来ました。だからとっとと出てけ」
「この猫風情がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああッ!!」


槍をこちら向かってに突いてくるが、吾輩はその攻撃避けずに正面から喰らう。


「なッ!」


持っていた槍を平らげ、怯んだヴィーナスもどきの腕を噛みちぎる。


「がぁぁぁぁああああああああッ!!」


意外とうまいな……ムシャムシャ。


「焼いたらうまいかな……」
「ひぃ!」


ヴィーナスもどきが怯える。
それもそのはず、口に魔力を収束させており、口の前に火球が作られる。


「待て! で、出て行く! 出て行くからやめてくれっ!!」


腹減ってるから無理なんだよね。だから食らっときな。


――劫火球


小さかった火球が吾輩から離れると同時に膨張し、ヴィーナスもどきと同じくらいの大きさになり、奴に被弾した。


「がああぁぁあっぁああああぁあぁぁあっぁあ!!」


火に包まれ苦しそうに藻掻くが火は弱まる気配がない。
徐々にヴィーナスもどきの動きが弱くなり、やがて動かなくなった。


「丸焼き完成」


表面は焦げているが中はいい具合だろう。
さっさと喰ってしまおう。


「いただきま~す」











「おかしいわね。本当にここなの?」
「はい、確かにここから反応がありましたわ」
「部長、こっちにもいませんでした」
「……こっちも」


大公からの依頼ではぐれ悪魔の討伐に来たのはいいのだけれど、肝心のはぐれ悪魔がいない。
確かに少し前までここから魔力の反応があった。しかし、この建物からは微かな魔力の気配しかなくバイザーは居なかった。


「部長! こっちになんか壊れた槍があります!」


新しく眷属になった子が何か見つけたようね。後でご褒美あげなきゃね。


「部長、この槍からバイザーの魔力を感じます。バイザーの持っていた武器で間違いないでしょう」


槍のある部屋は他の部屋に比べ綺麗で大広間になっている。


「血の臭い……それと焦げた臭い……?」


小猫が奥の方を向いて何かを感じたようだ。
私も小猫が見ている方に顔を向ける。暗くって解りづらいが床が何かが燃えたのか焼け焦げてる。


「部長、どうやら私たちが来る前に何者かがバイザーと戦闘を行い、倒したと思われます」
「そうみたいね。あの焦げたとこからバイザー以外の魔力を感じるわ」
「退魔師か別のはぐれ悪魔が殺ったのでしょうか?」
「分からないわ。もしかしたら襲われて覚醒した神器保持者かもしれないし……ごめんなさいねイッセー、悪魔としての戦い方と駒の特性を見せられなくって」
「いえいえ! そんなことないっすよ! 気にしないでください部長!」
「ええ、帰ったらゆっくり教えてあげるわ。それとも二人っきりで教えて欲しい?」
「ふ、二人っきりですか! ……部長の個人授業……うへへ……」


本当に面白い子ね♪
それにしても一体誰がやったのかしら?






あ~、あのヴィーナスもどきもといバイザーの奴美味かったな~。
下半身はちょっと筋が多かったがなかなかだった。でも、獣なのに鳥の味がしたってどうゆうことなの?
それにしても昨日のあの集団なんだったんだ?
帰って来らなんか捜索してたし、それにあの黒髪の巫女さんもいたし、バイザーでも退治しに来たのか?
バイザーの奴、主を裏切ったらしいしな。
ああ、バイザーもあの天狗もとい堕天のドーナシークも美味かったなぁ。
人外また喰べたいな……ジュルリ。


「うりうり~♪」
「うにゃ~ん」


そ、そこはらめ~~~~~!!





 
 

 
後書き
ハーメルンに載せてたSSです。

飛ばされた時期は無印が終わってすぐ。 
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