GANTZ New life
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第六話 殺し合い
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
ゴミを近くのゴミ箱に処分し、戻る。俺が帰ってきた後はなぜか俺が真ん中に来るようにして座らされてしまった。立ったままでも良かったんだが、岸本が席を替わろうとしてしまうからこういった配置になってしまった。
「さぁて、どうする?」
「あの中学生なら、探して問いつめてやる……」
「……」
岸本はあの先の死体を見ていない。鋭い子なのか薄々気づいているようで、少し震えている。
「とりあえず、戻るか。まさるんと合流しよう」
「そう、だな」
雑談をしながら数分歩く。相変わらず俺が真ん中と変わりない。黒野の評価は俺以下なのだろう。
「本当になんだろうな、この状況。帰ろうとしたらあれだし、遠いし……」
「朝比奈さんって、家遠いんですか?」
「埼玉」
「ええっ!?」
「これって、全国から集められてんの?」
「私は東京です」
「俺もここだ」
なら関東から集められてると見て妥当か。にしてもここから帰るとしたら、遠くて不便だな。
「……あちゃあ、油断した……」
「え、どうしたんですか?」
「お前ら、こっから先はだめな。引き返すぞ」
あの別行動の奴らを視た時に気づいていたはずなのに。あいつらは、確実に今日死ぬということを。
「なんでだよ、なんかあんのか?」
「あぁ、何か、はあるな」
「そ、それって……」
それでもなお進もうとする黒野。それを何とかしてとめる。
「ねぇ、何か……近づいてきてない……?」
「くそ、気づかれた!」
距離は開けている。眼で見えたもの。それはバラバラの肉片と化した他の人と血まみれで立ち尽くす大きい人。だが、明らかにあいつは人じゃない。限りなく人に近い生物だ。
「走れ! 曲がり角を使ってうまく撒け!」
黒野も肉眼で捕らえたのか、少し顔が強張った。二人の腕を掴み、走らせる。
「二手に分かれるぞ! 黒ちゃんはその子頼んだ!」
走る足を止め、反転。奴はさっきより差を詰めてきている。なんて速さだ。
「朝比奈さん!」
「いいからいけ! 俺もすぐ逃げる!」
岸本が何か叫んでいるが、黒野が手を引っ張って連れて行く。それでいい。こいつから逃げられる時間は稼いでやるさ。
「よぉ、化け物。ここは通さないぜ?」
「グォオオオオオ!」
「はっ、ちゃんとしゃべれや!」
指から伸びた刃物のような物が、竜夜を襲う。狙いは首。明らかに殺しに来ている。
あぁ、速ぇ。だめだ、死ぬ――
ヒュ、と風を切る音が上から聞こえた。
――上?
「グルォオオオオ!」
二度、三度それが繰り返す音が聞こえた。何をしているんだ、こいつは。俺は動いてないぞ……?
「グルウルルルウウゥ!」
「え? あれ、何だこれ?」
首を刎ねる一撃、足を跳ね飛ばす一撃、胴を切り裂く一撃。どれも当たれば命は無い攻撃だ。
首を刎ねる一撃は仰け反る形で避ける。バランスを崩した竜夜に足が狙われる。だが、その状況から後ろに倒れこむようにしてバックステップで避ける。仰向けに倒れこんだ俺に容赦ない胴への一撃。腕に力を入れ、相手の腕に蹴りを繰り出す。弾かれた腕は勢いのまま、関節とは違う逆方向へと折れ曲がった。
「ぐぉぉおおおお……!」
「体が、動く?」
俺の意思とは関係無いまま、体は動く。相手に向かって走り出し、止めの一撃。それを、止めた。
「グゥオオオオオオオオ!」
後ろから来た一撃を横に飛ぶようにして避けた。
「……もう一匹……」
同じような背格好の同じ奴がもう一匹、腕を広げその存在感をアピールしていた。
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