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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~

作者:biwanosin
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依頼

自分が十五年間暮らしてきた神社の境内。彼はそこに立っていた。
そこには彼以外何もないわけではない。
神社だから、鳥居だってある。
しかし、今はそんなもの視界にも入らない。
その場を埋め尽くしているのは―――数々の死体だ。
姿かたちは狼に蜘蛛、牛、そういった動物のものが多い。
しかし、それらは動物のものではない。
大きさが違うものがある。何種類か混ざったものがある。牙が異常に長いものがある。
それらは・・・本来この世にはいないもの、妖怪の死体だ。
そして、その中にはポツリポツリと妖怪のものに比べたら小さく、少ない死体もある。
人の死体だ。そして、彼にとっては特別な意味を持つ。
彼が生まれたときから一緒にいた両親の死体。
昔から、彼の家に陰陽師として修行に来ていた人たちの死体。
そういった、死体たちの前に、彼は立っている。何も守れず、ただただそこに立っている。


十五歳の誕生日、彼は・・・一輝は、


たくさんの“大切”を失った。



        ================



「「「嫌だ」」」

問題児達は即答した。

ちなみに、これはジンの収穫祭に行くにあたって一人は残って欲しいという言葉に対する返事なのだが・・・彼らにとっては当然の返事だろう。
お祭りがあるけど行くな、は彼らにとって喧嘩を売られるに近いものなのだ。

ジンがこの返答に頭を抱えていると、十六夜が提案する。

「ってか、一輝が残ればいいんじゃないか?」
「それよ。」

十六夜の提案に、二人の少女も賛成する。

「この場合、それが一番正しい選択よ。」
「うん。活動方針を決めるために集まったのに、一輝がいないのが悪い。」

そう。先ほどの鍵括弧の数でわかった人もいるかもしれないが、この場に一輝はいない。もしいたなら、十六夜が提案した時点で止めているし、十六夜たちもこんな提案はしない。

「ええっと、それは・・・」
「なんだ?何か問題でもあるのか?」
「それに、なぜここに一輝君がいないのかしら?」
「音央と鳴央も今日は見かけてないし。」

なぜ一輝たちがいないのか、知っているだけに言い出せないジンだが、三人からの圧力に負ける。

「一輝さんは・・・」
「「「「は?」」」」

黒ウサギも、なぜ一輝がいないのかは知らないので、三人と一緒に聞く。
が、誰も予想していなかった返答がジンの口から飛び出す。

「白夜叉様の依頼で・・・魔王退治に・・・」

その場の時間が止まったように静かになり、数秒がたつと、


「「「「「マジで!?」」」すか!?」ございますか!?」

その場にいた、ジン以外の全員が、驚愕の声を上げた。



        =================



少し時間が戻って、白夜叉の私室に一輝たちは呼ばれていた。

「おはよう、白夜叉。」
「来たか。とりあえず、そこに座ってくれ。」

一輝たちは、座布団が有ったのでそこに座る。

「さて、今回呼び出した用件じゃが、おぬしらが欲しがっていた情報が手に入ったので、伝えようと思ってな。」

一輝たちが白夜叉に依頼した情報は一つしかない。

「魔王“ノストラダムスの大予言”が下層に来るそうだ。」
「いつ?」
「そうあせるな。さすがに、そろそろ来るとは解っても、いつくるかを完璧には特定できん。」
「・・・仕方ないか。どちら側に来るかは解る?」
「南側じゃろうな。南の、外門の外側にくるだろう、と情報提供者は言っておった。」
「ありがとう。早く行ったほうが会える確立も増えるだろうから、今すぐ行くよ。」

一輝はすぐに出て行こうとするが、

「まて。慌てるでない。まだ話は終わっとらん。」

一輝はしぶしぶといった様子で座りなおす。

「で・・・おぬしたちは本当に、三人で魔王に挑む気か?」
「ああ。」
「ええ。」
「もちろんです。」

三人は即答する。

「・・・言っても聞きそうにないな。なら仕方あるまい。」

白夜叉は柏手を打つ。
すると、白夜叉の前に羊皮紙が現れ、そこに白夜叉が筆を走らせる。

「何かいてるの?」
「依頼書だ。正式に私の依頼、ということにする。」

白夜叉は書き終わった紙を一輝に渡す。

「それを見せれば無料で境界門を起動してくれるし、依頼が完了したら、その時点で払える報酬は勝手に払われる。」
「・・・ありがとう、白夜叉。」
「そう思うのなら、せめて死なずに戻って来い。そうしてくれれば私のほうで対処できる。」
「「「はい。いってきます!」」」

そうして、一輝たちは魔王退治に出かける。



       ================



そして、十六夜たちが一輝の行き先を知ったころ、一輝たちは森の中で、ティータイムを過ごしていた。
この広い森を探すより、どこかで待っていたほうが効果的だろうという結論に達したためだ。

「さて・・・どうしますか?」
「時間がかなりあるだろうし、何かやることってあるの?」
「・・・ないな。二人は何かやりたいことってある? 」
「私は・・・ないですね。」
「じゃあ、私からいい?」

音央が手を上げてたずねてくる。

「別にいいけど、何がしたい?」
「えっと・・・嫌だったら断ってくれればいいんだけど、一輝の過去のことを話してくれない?」
「音央ちゃん!?それは・・・」

鳴央が音央を止めようとするが、

「でも、いつまでも聞かないままじゃ何も解らないし、その辺りについてどうしたらいいか解らない。それに、鳴央も気になるでしょ?」
「それは・・・」

鳴央も聞きたいのだろう。口ごもる。だから、

「まあ、聞いてて面白くないだろうし、こういうことは苦手だからうまく言えるか解らないけど、それでもよければ。」
「ええ、いいわよ。」
「すいません、一輝さん。」
「気にするなって。今、俺は高二で、あれは中三のころだから・・・大体二年前のことかな。」

一輝はその日のことについて、話し始めた。
 
 

 
後書き
こんな感じになりました。

やっぱり、オリジナルは難しい。
今回の部分はまだ原作三巻が一部混ざってますが、次回からは心配です。


では、感想、意見、誤字脱字待ってます。 
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