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遊戯王GX ~Unknown・Our Heresy~

作者:狂愛花
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第3話 覗き事件と転生者

 
前書き
今書けている小説が全部で10話程あります。

でも、まだ8話以降が修正が完了していないので、8話以降の投稿が遅れるかもしれません。

すみません。
 

 
side 雪鷹

俺たちは右も左も分からない状況のままこの世界に転生した。

フィクションの世界だけの光景が俺たちの視界に広がり、家族だと言う見知らぬ人たちとの邂逅。

そんな状況を全て理解した俺たちは、ある事を決めた。

それは・・・・・・。

シンクロ・エクシーズを一切使わない事。

理由は3つ。

1つ、シンクロ、エクシーズなどのこの世界には存在しない召喚方法を使用して、原作を完全崩壊させてしまう事を危惧して。

2つ、それらのカードを使用して、高価と思った者が盗もうとする事を防ぐため。

そして3つ、原作などで危険な存在として扱われているカードを使用して、俺たちに危害が加わる事を危惧して。

この3つのルールを設け、俺たちはお互いに承諾し、シンクロとエクシーズに関するカードを封印した。

しかし、あの時。

試験会場でシンクロを使用したあの女の子によって、俺たちの危惧していた事が現実になる可能性がグンと高くなってしまった。

まぁ、万丈目たちをオーバーキルしてしまった俺が言えた義理じゃないな。

そして、俺たちがアカデミアに入学してから早5日が過ぎて行った。

なのに、向こうから一切何の接触も無い。

同じように、クロノスをワンターンキルした直哉の許に十代が来ないのもおかしい。

何故?

不思議に思った俺たちの疑問はいとも簡単に氷解した。

この世界には、アニメのキャラクターの他に、ゲームのキャラクターも存在していた。

言わばこの世界はアニメとゲームの混同した世界。

十代が直哉の許に来なかったのは、未知の召喚方法を使用した少女を探しまわっていたから。

恐らく、あの少女は、クロノスを破った直哉をイレギュラーな自分の存在が介入した事によって生まれたオリジナルキャラクターと思っているのだろう。

「ハァ、あの時、あの子の名前を確認しておけばよかった」

俺は歩きながら軽く嘆き、空を仰いだ。

俺は今森の中を歩いている。

理由は特になく、あえて言うなら、久々に星が見たくなった。

だから、人工の光が無い森の中に行き、そこで空を見上げながら宛てもなくただ歩いているのだ。

直哉はというと、寮で一人デッキを弄っている。

この世界に来て、あの子を含む俺たち転生者は、色々と原作を改変してしまっている。

これ以上の改変を避けるため、デッキを改造しているのだろう。

昔からアイツはいつもそうだった。

努力でなんでもこなして、俺を置いて先へ行ってしまう。

俺は唇を噛みしめた。

そんな事を考えていると、俺は森を抜けた。

森を抜けた俺は感動した。

俺の視界に広がっているのは、ブルーの寮と思われる白い壁に青い屋根の館に、その隣に広がるシンとした湖。

湖の真ん中には、夜天に輝く黄金の満月が映し出され、幻想的な光景が俺の目に飛び込んできた。

その光景に俺は息を呑んだ。

気付けば、俺は森の住人たちが奏でる静かな旋律に誘われ、歩みを再開していた。

歩みながら俺が見ているのは、輝きを放つ2つの満月。

「すごいな・・・・」

俺はその場に座り込み満月を眺めた。

「あれ? 雪鷹君?」

突然、俺を呼ぶ声が聞こえた。

声のした方に目を向けると、そこには十代の弟分、翔が立っていた。

「よう、翔。どうした?」

こんな時間にここで何をしているんだと思い、俺は翔に訊ねた。

「どうしたって、雪鷹君こそなんでここに?」

翔は俺の質問に質問で返してきた。

「ん? いや、なに。散歩してたら、余りにも月が綺麗なんで、ここに座って眺めてるんだよ」

そう言って俺は再び月に目を向けた。

「へぇ~そうなんだ」

そう言って翔が俺の隣に立つ。

「そう言う翔はどうしてここに?」

「え!? あぁ~、そ、それは・・・・」

俺の質問に翔は挙動不審な態度をとった。

その時だった。

けたたましい女の怒号が飛んできた。

「アンタ達!! そこで何してるの!!」

「「!?」」

突然聞こえた声に驚き、俺と翔は声の方に顔をバッと向けた。

そこには、バスタオル一1枚で体を隠し、俺たちを睨んでいる明日香とその取り巻きが仁王立ちをしていた。

確か、枕田ジュンコと浜口モモエ、だったかな?

「ゆ、雪鷹に翔君!?」

俺たちの姿を見て驚愕する明日香。

「明日香? お前、何て格好してるんだよ。風邪ひくぞ?」

呆れた口調で俺はそう言った。

そう言った途端、明日香は顔を真っ赤にさせて怒鳴ってきた。

「それより! 貴方達! 此処で何してるの!!」

「なにって、月見だよ。月見」

そう言って俺は空にある満月を指さした。

「そうじゃなくて!! ここ、女子寮で何してんのって聞いてるの!!」

「「へ?」」

明日香の言葉に俺と翔は素っ頓狂な声を上げて固まった。

「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!???」」

女子寮に俺と翔の叫びが響き渡った。

「まさか、知らなかったの?」

明日香の言葉が俺の核心を突いた。

知らなかったのではなく気づかなかったのだ。

確かに館は見えていたが、それが女子寮だという事には気付かなかった。

そんな事を考えているとジュンコが声を上げ俺たち2人を指さし、叫んだ。

「アンタ達さては覗きね!!」

その言葉に俺と翔は反論を述べようとした時、それを遮るようにモモエが叫んだ。

「不潔ですわ!!」

ジュンコに続きモモエまでもが俺たちを覗き扱いしてくる。

確かに、この状況で説明しても無駄の様だ。

俺は抵抗を諦め、沈黙する事に決めた。

「査問委員会に突き出してやるわ!!」

そう言いながらジュンコとモモエは何処から出したのかロープで俺たちをグルグル巻きにして拘束した。

その光景を溜息交じりに見つめる明日香。

縛られた俺たちは女子寮のロビーに連れて行かれ、そこで俺たちの処分を考えるジュンコとモモエ。

翔は2人に必死に弁解するが、俺はその間も無言を続けていた。

ジュンコが再び俺たちを査問委員会に突き出すと言った時、明日香が助け船を出してくれた。

「ちょっと待って。私に良い考えがあるわ」

そう言って不敵な笑みを浮かべる明日香。

その瞬間、階段から二人の女生徒が降りてきた。

「面白そうな事をしていますね。明日香さん」

俺は降りてきた女生徒2人に目を向ける。

1人は背中まで伸びた水を連想させる青い髪に、怪しげな輝きを宿す紫の瞳を持っていた。

もう1人は、首まである黒髪、その髪が目元を覆い顔を隠していた。

しかし、その髪の隙間からこちらを窺う水色の瞳が俺の目に焼きついた。

見た事無い生徒だ。

アニメでも漫画でも、勿論ゲームにもあんな生徒はいなかった。

そう考えた時、俺の頭を1つの答えが過った。

「な!? 貴方は試験で見た事も無い召喚方法を使った、 水瀬(ミナセ) 理子(リコ)さん!?」

明日香がご丁寧に俺の知りたい事を説明してくれた。

この子がシンクロを使った転生者・・・・・。

俺はそう思い水瀬と呼ばれた女生徒を見た。

これも神の悪戯か?

いや、観世音が仕組んだ事か?

俺は頭の中で自問を繰り返した。

その事は後で考えるとして、俺は水瀬の後ろに目を向けた。

水瀬の後ろに隠れるようにしている子が気になって仕方ない。

「それに私たちも混ぜてくれませんか?」

水瀬の言葉に俺を除く全員が目を見開いた。

「あ、あの! 私は、別に・・・・・・」

水瀬の後に隠れていた子が初めて口を開いた。

「何言ってるんですか影光さん。これは好機ですよ? あの人たちの実力を確かめるチャンスなんですよ? そのチャンスを、みすみす逃すって言うんですか?」

俺は水瀬が言った言葉を聞き逃さなかった。

あの人たち、とは恐らく俺たちの事だろう。

水瀬はやはり・・・・・・。

「・・・・うぅ、は、はい」

影光と呼ばれた女生徒は上手い事水瀬に言いくるめられた。

この事は直哉に報告しないとな。

そんな事を考えていると明日香がPDAで誰かにメールを送っている。

たぶん十代と直哉に送っているのだろうな。

メールを送り終えた明日香は、俺たちを外に連れて行き、ボートに乗せた。

そして、湖の真ん中で十代たちが来るのを待った。

「ちょっといいですか?」

「ん?」

不意に水瀬が俺に話しかけてきた。

「貴方は、剣崎さんのお友達ですよね?」

水瀬は探るように訊ねてきた。

「あぁ、そうだけど?」

俺の言葉に水瀬は探れたという表情を浮かべた。

ポーカーフェイスがなっていないな。

「いえ、とても仲がよろしいので、少し気になって」

そう言って本心を隠そうとする水瀬。

少し、鎌をかけてみるか。

「惚れたのか?」

「へ!?」

俺の言葉に水瀬は耳まで赤くなるほど顔を紅潮させた。

図星の様だ。

「なら、覚悟した方がいいよ? 直哉ってすごい鈍感だから」

「・・・・・・」

俺のからかいに水瀬は顔を赤くさせ、俯いて黙り込んだ。

「それと、アンタも」

「え?」

俺の言葉にキョトンとする影光。

「アンタも直哉が気になっているんだろ? だったらアンタも気をつけな」

「いや、そうじゃなくて・・・・」

「ん?」

影光が何やら呟いているが、何を言っているのか聞き取れない。

「ちょっと! アンタさっきから何悠長に話してるのよ!! 自分の立場わかってる!?」

水瀬たちと話している俺に向かってジュンコが怒鳴ってきた。

俺は煩わしそうに眉を歪めジュンコを見た。

それにしても、ロープが擦れて痛い。

「ちょっと聞いてるの!!」

「よっと」

俺がそう言うと俺を縛っていたロープがスルスルと俺の足元に落ち、俺を縛る物が無くなった。

突然の事に全員が驚愕している。

「あぁ~痛かった」

俺は自由になった手首をさすりながらその場で背伸びをした。

「ちょ、ちょっと!! なんで外れるのよ!?」

ジュンコがロープを解いた俺に向かって意味が分からず怒鳴って来た。

「俺細いから、少し腹を引っ込めたらこんなロープ位簡単に解けるんだよ」

俺の言葉にジュンコがうぅと唸る。

「安心しなよ。別に逃げたりしない。それに、此処からだと月がとても綺麗に見えるんだ・・・・」

そう言って俺は空を見上げ金色に輝く満月を見詰めた。

そんな俺の姿に唖然とする面々。

そんな事をしていると、前方から十代たちと思われえるボートがやって来た。

side out


side 直哉

「翔!!」

「アニキ!!」

十代が翔の名を呼びそれに応えるように翔も十代を呼ぶ。

これはアニメでも見たシーンだが、それよりも。

「なんでお前がそっちに居るんだ?」

俺の目線の先にはボートの先端で俺の方を見ている雪鷹の姿があった。

「いや、ちょっとミスってな・・・・」

頭を掻きながら苦笑いする雪鷹。

どんなミスだよ。

俺は溜息を吐いて呆れた。

「そんな事より!! 翔と雪鷹を返せ!!」

十代が叫ぶ。

「私達にデュエルで勝てたらいいわよ!」

そう言って明日香はデュエルディスクを十代に見せる。

それを見ると、十代は面白そうに笑ってデュエルディスクを展開させた。

「「デュエル!!」」




「サンダー・ジャイアントでダイレクトアタック!! ボルティック・サンダー!!」

十代の場に居る巨体に黄色い鎧を纏い、仮面をつけたモンスターが両手を胸の所で向かい合わせると、その中心いい電気が集まって行き、巨大な雷の球を作りあげた。

そして、その球体を明日香に向かって放った。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

その攻撃によって明日香のライフは0となり、デュエルは十代の勝利で終わった。

「さぁ、勝ったんだから翔を返せ!」

ソリッドヴィジョンが消えると同時に十代が叫ぶ。

「まだです。今度は、私と直哉さんがデュエルして、直哉さんが勝てば翔さんはお返しします」

そう言って、デュエルディスクを展開し俺を名指しする女生徒。

誰だ?

そんな時、俺のPDAが振動し着信が来た。

着信相手は雪鷹だった。

なんで態々電話?

そんな事を思いながら俺は通話ボタンを押した。

「何だよ、言いたい事があるなら直接言えよ」

「それより、お目当ての人物見つかったぞ」

「ハァ? お目当ての人物?」

雪鷹の言葉の意味が分からず俺は鸚鵡返ししてしまった。

「シンクロ使いの転生者だよ。今お前に挑もうとしているその女の子が、例のシンクロ使いだ」

「!? マジかよ。それ」

雪鷹の言葉に俺は目を見開き、さっきより小声で話し返す。

「ああ、明日香が色々喋ってくれたよ」

「そうか・・・・・・」

俺はゆっくりと受話器から耳を離し、俺にデュエルを挑んだ女生徒に目を向けた。

彼女の後ろに、薄らと白い影が見える。

恐らく、あれは彼女の精霊だろう。

そして、彼女はその存在を認識している。

それだけは分かる。

後は・・・・・・。

「わかった。デュエルだ!」

そう言って俺はデッキをディスクにセットしディスクを展開した。

「・・・・君の名前は?」

「水瀬、水瀬理子といいます。よろしくお願いします」

そう言って理子は俺に頭を下げた。

「では、いきます」

「「デュエル!!」」


俺 LP4000

手札 5枚

場 0枚


理子 LP4000

手札 5枚

場 0枚


俺のデュエルディスクにターンランプが点灯した
先行は俺のようだ。

「俺のターン、ドロー! 俺は、手札から永続魔法《神の居城-ヴァルハラ》を発動! このカードは、フィールド場にモンスターが存在しない場合手札から天使族モンスター一体を特殊召喚する事が出来る!」

「天使族デッキ!? HEROじゃない!?」

俺の使用したカードを見た水瀬が叫んだ。

どうやらリサーチしてきたみたいだな。

そんな事を思っていると、湖の上に光り輝く宮殿が現れた。

その姿はまるでギリシャの世界遺産、パルテノン神殿のようだ。




神の居城-ヴァルハラ
永続魔法
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
手札から天使族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。




「ヴァルハラの効果発動! 手札から、《光神機-轟龍-》を特殊召喚する! 来い! 轟龍!!」

ヴァルハラから光が夜空に放たれると、夜空から眩しい光が湖に差し込み、光と共に機械仕掛けの天使が金属音を鳴らしながらゆっくりと地上に舞い降り、ヴァルハラにその腰を据えた。




光神機-轟龍-(ライトニングギア ごうりゅう)
効果モンスター
星8/光属性/天使族/攻2900/守1800
このカードは生け贄1体で召喚する事ができる。
この方法で召喚した場合、
このカードはエンドフェイズ時に墓地へ送られる。
また、このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が越えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。




「俺はこれでターン終了」

「私のターン、ドロー!」

理子のデュエルディスクにターンランプが点灯し、理子は勢いよくデッキからカードをドローした。

「私は、手札からモンスター一体を墓地に送り、手札から《クイック・シンクロン》を特殊召喚!」

理子の場に2丁の拳銃を腰の携えた西部劇に登場するガンマンのような格好をしたロボットがマントを靡かせ颯爽と登場した。




クイック・シンクロン
チューナー(効果モンスター)
星5/風属性/機械族/攻 700/守1400
このカードは手札のモンスター1体を墓地へ送り、手札から特殊召喚できる。
このカードは「シンクロン」と名のついたチューナーの代わりにシンクロ素材とする事ができる。
このカードをシンクロ素材とする場合、
「シンクロン」と名のついたチューナーをシンクロ素材とする
モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。




「さらに、墓地にいる《レベル・スティーラー》の効果発動! 場にいるレベル5以上のモンスター一体のレベルを一つ下げ、墓地から特殊召喚する事が出来る! 私は、クイック・シンクロンのレベルを一つ下げ、墓地からレベル・スティーラーをフィールドに特殊召喚します!」

理子の墓地から1匹のテントウムシが飛び立ち、クイック・シンクロンの身体に留まる。




レベル・スティーラー
効果モンスター
星1/闇属性/昆虫族/攻 600/守 0
このカードが墓地に存在する場合、
自分フィールド上のレベル5以上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターのレベルを1つ下げ、
このカードを墓地から特殊召喚する。
このカードはアドバンス召喚以外のためにはリリースできない。




理子のフィールドに一気に2体のモンスターが召喚された。

その光景に周りは上級モンスターを召喚すると思っているが、それは違う。

「レベル1のレベル・スティーラーに、レベル4となったクイック・シンクロンをチューニング!!」

来る。

「集いし星が、新たなる力を呼び起こす! 光さす道となれ!!」

レベル・スティーラーとクイック・シンクロンの身体から5つの星が飛び立った。

その星は列を成し、2体の身体に重なり合う。

そんな2体を包み込むように3つの緑色のリングが現れる。

リングが2体を包み込むと、5つのレベルが光り輝きフィールドを照らし出した。

「シンクロ召喚!! いでよ! 《ジャンク・ウォリアー》!!」

閃光が消えると、理子の場に青紫色の身体をしたロボットが姿を現した。

両腕の拳をぶつけ合い、火花を散らす。

拳を振るいながら雄叫び上げ、フィールドの全てを振動させる。




ジャンク・ウォリアー
シンクロ・効果モンスター
星5/闇属性/戦士族/攻2300/守1300
「ジャンク・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、
このカードの攻撃力は自分フィールド上に存在する
レベル2以下のモンスターの攻撃力を合計した数値分アップする。




やっぱり来たか。

周りでは、見たこと無い召喚方法に興奮する十代と翔。

ジュンコとモモエは自分達の知らない召喚方法に驚愕と混乱が入り混じって訳が分からないという表情をしている。

明日香は再び目にする召喚方法に額に汗を浮かべ、現れたジャンク・ウォリアーの名を呟く。

雪鷹は俺と同じで、理子が召喚したシンクロモンスターを睨みつけている。

「さらに、手札から《ジャンク・シンクロン》を通常召喚! そして、ジャンク・シンクロンの効果発動! 墓地に存在するレベル2以下のモンスターをフィールドに特殊召喚! 私は、墓地のレベル・スティーラーをと特殊召喚!! 行きます! レベル1のレベル・スティーラーにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!! シンクロ召喚! 現れなさい! アームズ・エイド!!」

理子の場に現れた鍋を被った様なモンスター、ジャンク・シンクロンは小さな雄叫びを上げる。

ジャンク・シンクロンが右手を翳すと、墓地から光が放たれて再びレベル・スティーラーがフィールドに現れた。

そして、2体のモンスターから星が飛び出し、再びリングに包まれた2体のレベルが光り輝くと、理子のフィールドに巨大な機械の右腕だけが現れた。




アームズ・エイド
シンクロ・効果モンスター
星4/光属性/機械族/攻1800/守1200
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとしてモンスターに装備、
または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚できる。
この効果で装備カード扱いになっている場合のみ、
装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。
また、装備モンスターが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、
破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。




「さらに! 墓地のレベル・スティーラーの効果発動!! ジャンク・ウォリアーのレベルを一つ下げ、場に特殊召喚!! そして、アームズエイドをジャンク・ウォリアーに装備! ジャンク・ウォリアーの攻撃力を1000ポイントアップさせます!」

再び墓地からレベル・スティーラーが飛び立ち、フィールドに舞い降りた。

そして、ジャンク・ウォリアーが右手を天に向けると、アームズ・エイドが飛び立ち、まるでロボットアニメのようにアームズ・エイドのアーム部分が大きく広がり、天に向けているジャン・ウォリアーの腕と合体した。


ジャンク・ウォリアー攻撃力2300⇒3300

ジャンク・ウォリアーの攻撃力に雪鷹以外の面々が驚愕した。

「バトル! ジャンク・ウォリアーで轟龍に攻撃!! パワーギア・フィスト!!」

右手にアームズ・エイドを装備したジャンク・ウォリアーが轟龍に向かってアームズ・エイドで殴りかかった。

轟龍はそれを防ぐ事も出来ず拳を顔面に食らい閃光を上げて爆発して逝った。

「グッ!」

俺 LP4000⇒3600

その爆風が俺を襲う。

「さらに! アームズ・エイドを装備したモンスターが相手モンスターを戦闘破壊した時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与えます!」

ジャンク・ウォリアーはアームズ・エイドをこちらに向けると、アームズ・エイドをロケットパンチのように発射させてきた。

「グフゥ!!」

俺 LP3600⇒700

アームズ・エイドの拳が俺の頬をぶん殴る。

「まだです!! レベル・スティーラーでダイレクトアタック!!」

レベル・スティーラーが小さな牙をむき出しにし、俺に噛みつく。

「痛ッ!!」

俺 LP700⇒100

十代と翔が俺のライフが大幅に削れた事に不安の声を上げる。

「私はカードを一枚セットし、ターンを終了します」

理子がなんだか勝ち誇った表情を浮かべている。

でも、俺はそう簡単には負けないぜ。

「オレのターン! ドロー!!」

俺は、引いたカードを確認する。

そして俺は不敵な笑みを浮かべた。

俺の表情に理子が怪訝な表情を浮かべていた。

「俺は、手札より魔法カード《トレード・イン》を発動!! 手札からレベル8以上のモンスターを墓地に送り、デッキからカードを2枚ドローする!!」

俺は手札から1体のモンスターを墓地に送り、デッキからカードを2枚ドローした。

さらに、引いたカードを見て俺の顔の笑みが大きくなった。

「俺は、ヴァルハラの効果を発動! 手札から、《アテナ》を特殊召喚!!」

ヴァルハラから光のオーラが漂い出し、俺のフィールドに靴音が木霊し始めた。

靴音はドンドン大きくなって行き、遂に俺たちの目の前に靴音の主が姿を現した。

純白のローブを靡き、白銀の兜が光り輝く。

左手には銀の盾、右手には三俣の槍が握られていた。

装甲と同じ白銀の髪が風に靡き、満月の光に照らされその美貌が一段と美しく見える。

白銀の戦乙女が戦場にその姿を現した。




アテナ
効果モンスター
星7/光属性/天使族/攻2600/守 800
1ターンに1度、「アテナ」以外の自分フィールド上に表側表示で存在する
天使族モンスター1体を墓地へ送る事で、
「アテナ」以外の自分の墓地に存在する
天使族モンスター1体を選択して特殊召喚する。
フィールド上に天使族モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時、
相手ライフに600ポイントダメージを与える。




「さらに手札から《光神化》を発動! 手札から《ジェルエンデュオ》を特殊召喚!!」

アテナの隣に光が降り注ぎ、その光の中から妖精のような双子の天使が微笑みながら現れた。




光神化
速攻魔法
手札から天使族モンスター1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は半分になり、
エンドフェイズ時に破壊される。




ジェルエンデュオ
効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻1700/守 0
このカードは戦闘では破壊されない。
このカードのコントローラーがダメージを受けた時、
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを破壊する。
天使族・光属性モンスターをアドバンス召喚する場合、
このカードは2体分のリリースとする事ができる。




「この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃力が半分になり、エンドフェイズ時に自壊する。だがそんなの関係無い!! ジェルエンデュオをリリースし、現れろ! 《The splendid VENUS》!!」

ジェルエンデュオが歌声を歌いながら光と共に天に昇って行く、

歌声はフィールドを漂い続け、ヴァルハラが光り輝く。

漂う歌と輝く居城が道となり、天空より純白の羽根がフィールドに舞い降りる。

ひらり、ひらりと幾つもの羽根が舞い降り、光の道から黄金のドレスを纏い、純白に輝く4枚の翼を羽ばたかせ、金星の名を冠した大天使がフィールドに降臨した。




The splendid VENUS(ザ・スプレンディッド・ヴィーナス)
効果モンスター
星8/光属性/天使族/攻2800/守2400
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
フィールド上に表側表示で存在する天使族以外の全てのモンスターの
攻撃力と守備力は500ポイントダウンする。
また、自分がコントロールする魔法・罠カードの発動と効果は無効化されない




「プラネットシリーズですって!?」

VENUSの姿に明日香が驚愕の声を上げる。

雪鷹は理子の後で呆れた顔を浮かべ、顔に手を当てて大きな溜息を吐いた。

そこで俺は思い出した。

VENUSはプラネットシリーズで、世界にたった1枚しか存在しないカードだと言う事に。

俺は今すぐ自分自身を叱咤したい気持ちになった。

そんな中、理子は明日香たちほど驚いてはいなかった。

やっぱり・・・・・・。

「まだだ! アテナの効果発動!! フィールド場に天使族モンスターが召喚された時、相手ライフポイントに600ポイントのダメージを与える!!」

アテナが槍の先端を天に向け、雷鳴を呼び寄せ、理子目掛けて雷を降り注がせた。

「きゃっ!!」

理子 LP4000⇒3400 

「さらに! フィールド場に存在するアテナ以外の天使族モンスターを墓地に送り、墓地に存在する天使族モンスターを場に特殊召喚する! 俺は、VENUSを墓地に送り、《堕天使スペルビア》を特殊召喚する! 現れろ! スペルビア!!」

アテナが天に掌を向けると、天空から光が注ぎ、その光に包まれたVENUSがゆっくりと消えていった。

そして、俺の場にスカーレッドの翼を羽ばたかせ、壺のような頭をした漆黒の天使、スペルビアが現れた。




堕天使スペルビア
効果モンスター
星8/闇属性/天使族/攻2900/守2400
このカードが墓地からの特殊召喚に成功した時、
自分の墓地に存在する「堕天使スペルビア」以外の
天使族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。




「さらに! スペルビアの効果発動!! スペルビアが墓地から特殊召喚された時、墓地からスペルビア以外の天使族モンスターを特殊召喚する!! 再び舞い降りろ!! VENUS!!」

スペルビアの壺のような頭の中から、光と共に再びVENUSが神々しい雰囲気を放ちながらフィールドに舞い降りた。

「さらに、アテナの効果発動!! フィールド場に天使族モンスターが特殊召喚されたので、
相手LPに600ポイントのダメージを与える! 天使族モンスター2体の召喚に成功したので、合計1200ポイントのダメージを与える!!」

再びアテナが槍を天に向け、理子に巨大な雷を落とした。

「きゃぁぁぁぁ!!」

理子 LP3400⇒2200

「さらに手札からサイクロンを発動!! そのセットカードを破壊する!!」

「クッ!」

破壊されたカードは次元幽閉だった。

「これで終わりだ!! スペルビアでジャンク・ウォリアーに攻撃!!」

俺の選択に明日香たちは驚愕した。

それもそうだ、スペルビアの攻撃力は2900。

それに対して、今のジャンク・ウォリアーの攻撃力は3300。

とても敵わない。

しかし、それは通常の場合だ。

スペルビアは深紅の翼を羽ばたかせ、邪悪な突風を起こしジャンク・ウォリアーを吹き飛ばし爆発させた。

ジャンク・ウォリアーが破壊された事に明日香たちは驚いて目を見開いた。

「VENUSの効果により!フィールド場に存在する天使族以外のモンスターはすべて攻守ともに500ポイント下がる!!」

ジャンク・ウォリアー 攻撃力3300⇒2800

堕天使スペルビア 攻撃力2900

爆風が理子を襲う。

「クッ!」

理子 LP2200⇒2100

「アテナでレベル・スティーラーに攻撃!!」

アテナが槍をレベル・スティーラーに向けると、アテナは水面を蹴ってスティーラーの身体を槍で切り裂いた。

その衝撃が理子を襲う。

「きゃぁぁ!!」

理子 LP2100⇒100

「これで止めだ!! VENUSで直接攻撃!! holly・light・lei!!」

VENUSが杖を掲げると、月の光がVENUSの身体を輝かせる。

そして、VENUSは翼を羽ばたかせ宙を舞う。

VENUSは身体を輝かせる月光を解放し、閃光の波動を放った

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」

理子 LP100⇒0

理子のライフがゼロとなり、デュエルは俺の勝利となった。

ソリッドヴィジョンが消えて行く。

「良いデュエルだった」

そういって俺は理子に感謝の言葉を伝えた

しかし、理子は返事をせず、無言で俺の顔を赤い顔をして見ているだけだった。

「? どうかしたか?」

「え!?  いや! なんでも・・・・」

そう言って理子は俺から顔を背けた。

嫌われたか?

そんな事をやっていると、雪鷹が何やら溜息を吐いている。

どうかしたのか?

「此方こそ、良いデュエルをありがとうございます」

そう言って理子は未だに赤い顔で俺に感謝の言葉を伝えてきた。

「明日香! これで直哉が勝ったんだから、翔と雪鷹は返して貰うぜ?」

「えぇ、約束だから仕方ないわ」

そう言って明日香たちはボートを十代たちのボートに近づけ、翔と雪鷹の二人を十代たちのボートに渡した。

「あの・・・」

「ん?」

不意に俺たちにボートに理子のボートが近づいて来た。

「番号、良ければ交換しませんか?」

モジモジしながら理子が俺にそう言った。

特に断る理由が見当たらないし、まぁ、いいか。

「ああ、良いぜ」

俺がそう言うと、理子の顔がパァと明るくなり、直ぐにPDAを取り出し、アドレス交換を求めてきた。

「よし! じゃ、帰ろうぜ!!」

十代が俺たちのアド交換が終了したのを見計らって言った。

今日は色々あって疲れたな。

そんな事を思ってボートを漕ごうとした時。

「ま、待ってください!」

俺たちを呼びとめる理子の後の女の子だった。

「どうした? 影光」

雪鷹が声を上げた女の事に声を掛けた。

あの子は影光というらしい。

「あ、あの・・・・・・」

「ん? 君も直哉とデュエル?」

雪鷹の言葉に俺は首を左右に振った。

今日はもういい。

「い、いえ、わ、私が、デュ、デュエルしたいのは・・・・・・」

そう言って影光さんゆっくりと指を動かしてある者を指さした。

「え?」

その行動に驚愕の顔を浮かべる雪鷹。

影光さんが指した相手は・・・・・・。

「わ、私がデュ、デュエルしたいのは・・・・・・






















                  雪鷹さんです!!!!」






















to be continued
 
 

 
後書き
いかがでしたか?

では前回同様、誤字脱字等の修正点、そして、読者目線からのアドバイスなどをお待ちしております。

 
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