ハイスクールD×D~小さな赤龍帝~
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第0章 転生世界のチャイルドドラゴン
第2話 天龍との会話、そして目覚めた力
前書き
第0章の二話目です。
新しくタグに加えたように主人公の龍夜はオリジナルの能力を持っています。お気に召さない方は読まずに放置をお勧めします。
別にOKという方は見てみて下さい。
Side:龍夜
あの衝撃的な出会いの翌日、学校から帰ってきた俺は部屋でドライグと名乗った赤いドラゴンと話をしていた。ドライグの話はどれもこれも俺の想像を超えていた。
まず初めにこの世界には神に魔王、悪魔、天使、堕天使がいてそれらの勢力は今から千年ほど前に三つ巴の戦争をしていたそうだ。そんな戦争の最中、このドライグはなんでも自分と同じ二天龍である白い龍と大喧嘩を始めたらしい。
ドラゴンの中でも最強クラスであり神や魔王にも匹敵する力を持つ二匹を止めるためにそれまで戦争をしていた三大勢力は一時的に協力をした。確かに自分たちが戦争をしてる中、近くで喧嘩なんかされちゃあ堪らんだろう。
『喧嘩の邪魔をされた俺たちはそりゃあ怒った。神ごときが、魔王ごときが、ドラゴンの決闘に口を挟むな…とな』
…うん、それ完全に逆ギレですね。悪いのどう考えてもお前らだし。まあ、それはともかく…
「んで?」
『神と魔王、そして堕天使の親玉に食ってかかった俺たちは結局、滅ぼされ魂を神器に封じられてしまった。それからも俺たちは多くの人間に宿ってはあの時の喧嘩の続きをしているってわけさ』
なるほどな。んで、今回のお前が宿った人間てのが、俺だったと。何とも傍迷惑な話だ。俺は今まで聞いた話を頭の中で整理する。
「とりあえず、お前の話は分かった。そこで二つほど質問したいんだが、良いか?」
『ああ。構わんぞ』
気軽に応じるドライグに俺は呼吸を正して質問する。
「じゃあ、まず一つ目。神器ってのは何なんだ?」
ドライグの話の中に出てきた単語について聞いてみた。
『神器というのは、簡単に言えば神が作り出した武器のことだ』
「神様が作り出した武器…?」
ドライグの言葉を繰り返す俺。聞く限りとんでもないモノのように思える。
『俺も詳しくは知らないが、神が作り出し人間に与えられた力だということだけは分かっている。そして神器の中でも極めれば神や魔王をも滅ぼせるほどに強力な力を有するものを神滅具という。ちなみに俺が封じられている赤龍帝の双角もその一つだ』
そんなヤバそうなモノが俺の中にあるのか。少し憂鬱な気持ちになってくるが気を取り直して二つ目の質問をする。
「それじゃあ、二つ目の質問だけど…お前らの喧嘩の原因て何なんだ?」
『俺たちの…喧嘩の原因か?それは……わからん』
…………は?わ、わからん?俺は一瞬こいつの言葉の意味が理解できなかった。
『ああ。千年間も宿主を変えては戦いを繰り返しているうちに喧嘩の原因などすっかり忘れてしまった。今となっては何が事の発端だったのか、少しも思い出せん』
……ちょっと待て。てこと何か。原因も思い出せない喧嘩を千年間もずっと続けてるってのかこいつら?もしかしてドラゴンて馬鹿なのか?
「…よく飽きないな。お前ら」
呆れた声でそう言う俺にドライグは自嘲するように答える。
『ま、他にしたいこともなかったしな』
これは今の内にちゃんと言っておいたほうがいいな。こいつには悪いけど。
「ドライグ、お前には悪いが、俺はそんな理由も思い出せない喧嘩に付き合うつもりはないからな。俺はこの力を別の目的のために使う」
俺の断固とした宣言にドライグは軽く驚いたような感じだった。
『…ほう。では相棒、お前はなんのためにこの赤龍帝の力を使うのだ?』
…俺が力を使う目的。…そんなの決まってる。
「俺はこの力を…守るために使う」
『……守るため?』
「ああ。俺は、自分が守ると決めたものを守るために、自分が救うと決めたものを救うために力を使う。傲慢だろうと、独善だろうと構わない。俺はそう決めたんだ」
そう。あの時に……そう決めたんだ。
「それにさ、お前だっていい加減理由も分からない喧嘩を続けるのは嫌だろ?だったらさ、今度は俺と一緒に誰かを守るために戦ってみないか?」
『誰かを守るために…か。そんなことを言う宿主はお前が初めてだ。今までの連中は皆、赤龍帝の力に溺れてただ暴れまわるだけの奴らだったからな。今度の相棒は随分と変わっている。だが、面白い。守るために戦うか。確かにそれも一興だな』
愉快そうなドライグに俺もつられて笑ってしまう。どうやら賛同してくれたようだ。
「というわけで、これから宜しくなドライグ」
『ああ。こちらこそな。相棒』
こうして、俺とドライグはこれから共に生きていく相棒になったのだ。
『さて相棒。さっそく神器を発現してみたらどうだ?俺を目覚めさせることが出来たんだ。お前なら簡単だろう』
そう言われて俺は確かにこういうのは早い方が良いだろうと思い、ベッドから降りて部屋の真ん中に立つ。
「それで神器の発現て如何すればいいんだ?」
『自分が一番強いと感じるものを心の中で想像してみろ。お前ならそれで十分なはずだ』
一番強いと感じるものか。その時俺は前世でやったあるゲームのキャラクターが言っていた台詞を思い出していた。
『イメージするものは、常に最強の自分だ』
最強の自分。俺は目を閉じて意識を集中させイメージを形作る。イメージするのは…最強。イメージしろ…最強を。最強のドラゴンである自分を!!
その時俺の体の中から何かが突き出てくるような感覚を覚えた。目を開けて頭を触ってみるとそこには何か硬いものに触れた感触があった。
部屋の鏡で確認してみると二本の赤い角を生やした俺がそこに映っていた。角の根元には丸い緑色の宝石というか宝玉が埋め込まれている。
「…これが…俺の……」
『そうだ。それがお前の神器。赤龍帝の力を宿す神滅具。その名を赤龍帝の双角』
「赤龍帝の双角」
頭に生えた角を触りながら呟く。
『神器は一度発現させてしまえば、後は本人の意思で自由に発動させられる』
ドライグがそう説明してくれる。なるほど。そういうふうになってるのか。
「なあドライグ、この神器の力って―――「ドクンッ」―――え?」
今……なんか…
ドクンッ!
「っ!?」
ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!
「うあ……あぐっ!!あ、ああ、ああああっ!!」
な、なんだこれ!?胸が…苦しい。体が…熱い。
『あ、相棒、どうした!?大丈夫か!?』
俺の異変に気付いたドライグが心配そうな声をあげるが今の俺には答えられる余裕がない。俺は自分の体を抱きかかえてうずくまる。
胸の動悸が止まらない。体中が熱くてたまらない。何なんだこれ?まるで俺の体の奥から何かが湧き上がってくるみたいだ。
「はあっ、はあっ、う、うあああぁぁあああっ!!」
駄目だ!もう…抑えきれない!!
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
まるでドラゴンのような叫び声とともに俺は体から湧き上がってくるものを解き放った。
ゴォッ!!
瞬間、俺を中心に凄まじい旋風が巻き起こった。
「はあっ、はあっ、はあっ………」
溜まっていたものを全て吐き出した後のような疲労感に襲われ俺はその場に膝をついた。肩で息をし呼吸を整える。
『あ、相棒……それは』
「はあ、はあ。………え?」
ドライグの声に俺は自分の手を見る。
「な、なんだ……これは?」
俺の手から赤い光に包まれていた。いや、手だけじゃない。俺の全身が煌々とした赤い光を纏っていたのだ。まるで揺らめく炎のような燐光。俺はただ呆然とその光を見つめていた。
「ど、ドライグ。この光は、何なんだ?」
『…俺にも分からん。魔力でもオーラでもない。だがこの光からは凄まじいまでの力を感じる』
ああ。それは分かる。現に俺はさっきまでの疲労はもう消え去り、代わりに全身に力が漲っている。
『相棒、お前の中には、どうやらとんでもないモノが眠っていたようだな』
ドライグの言葉を聞きながら俺はしばしの間、全身から溢れる光を見つめていた。
後書き
というわけで、神器の発現と謎の力の覚醒でした。
この力がなんなのか、それは次回に分かります。
それでは今回はこの辺で。
感想・意見お待ちしております。
次回をお楽しみに。
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