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魔法少女リリカルなのは 〜光の戦士〜

作者:ユキアン
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出会い



どうも~、おひさしぶりです。時の流れは早いもので現在は3年生の始業式です。もうほとんど原作知識を失ってしまい、そろそろ原作開始ということ以外はほとんど忘れてしまいました。覚えているのがなんか電気を使ってた子とか母さんみたいに年齢不詳の女性とか炎の剣を持った女性とか犬耳のガチムチが居たのと、宝石を集めたり、誰かが虐待を受けてたり、なのはがペットを飼い始めた様な気がしないでもない。あとはガタノゾーアみたいなのとも戦った様な気もするんだけど気のせいだよな?

さて、1年ちょっとの間の報告を行なおうか。
1年生の時に陥ってしまったスランプから回復した後、オレは多少の接近戦の手ほどきを父さんに教わりながら身体を鍛え始めた。ウルトラ念力で自分の身体に負荷をある程度掛けたりする程度だが、やらないよりはマシである。それと平行して、というよりこっちを重視しているのだが、力を引き出す訓練を行なっている。分かり易くいえばウルトラマンサーガに融合したウルトラマンゼロがダイナとコスモスからストロング、ミラクル、ルナ、コロナの力を授かりストロングコロナ、ルナミラクルへタイプチェンジ出来る様になった様に、ティガの姿のままで他のウルトラマンの力を扱える様になるために色々と試行錯誤している。出来るか出来ないかと言われれば出来るはずだ。今までもティガの姿でスペシウム光線やウルトラスラッシュなどの主用光線は使用出来た。言ってしまえば他のウルトラマンの力を若干ではあるものの使えていると言っても良い。それでも中々上手く行かずに困っている。もしかするとオレがティガにばかり変身しているのが原因かも知れないので休日は他のウルトラマンに変身して修行を行なっている。ちなみに修行場所は月の裏側だ。バリアジャケットを展開した状態なら宇宙でも活動出来る事が判明したので、そのまま宇宙までテレポーテーションを行って月の裏側まで移動した後に変身している。そして修行の成果と言えばティガのノーマルタイプでもデラシウム光流とランバルト光弾が使える様になっている。また、パワータイプならストロングタイプの技が使えるようにはなってきた。分かり易くいえば類似する力を引き出し易くなって来たのだ。引き出し易いだけで本家よりは威力が下がるんだけどな。

他に報告する事と言えばカプセル怪獣の増員位かな。5つあるカプセルの内、1つはかなり小さいリトラが入っていた。その他は空だったので3体程確保しておいた。まずは一匹目、ウルトラマンシリーズにおいて何度も地球に現れ、意外と可愛い姿をしながらもウルトラ戦士達を苦しめ続けた宇宙怪獣、その名もベムスター。オレも何回か戦っているがウルトラスパークによっていつも惨殺している。接触時にはかなり弱っていた上に比較的大人しい性格だったので捕獲した。光線技の特訓時の的代わりになってもらっているが本人は高エネルギーを食せるので満足している模様。
続いて二匹目、こちらもウルトラマンシリーズにおいて何度も現れ、力強さを見せつけながらもコミカルな面を良く見せてくれた怪獣、レッドキング。この世界では科学特捜隊が2体確認している以外では初の個体である。偶々アリブンタとの戦闘の際に寝ていたのを発見したので捕獲した。性格は極めて凶暴、ではなく猪突猛進気味な忠犬。使い勝手は中々良い。といっても格闘戦の訓練に付き合ってもらうだけなのだがな。以外にも月で活動する事が出来る。理由は不明だ。ちなみにアイテムを使わずに真正面から格闘オンリーで戦ったらオレが負けた。うん、泣いてなんか無いよ。これは心の汗だから。ごめん、ちょっとだけ落ち込んだ。ウルトラマンレオみたいな修行でもやろうかな?ジープに追い回されたり、ブーメランを叩き付けられたり、滝を斬ったり。無理だな。諦めよう。
そして最後、版権的にちょっと危険で良く放送できたと前世では感心していた怪獣、ジラース。見た目ゴ○ラに襟巻きを付けただけでウルトラマンに襟巻きを剥ぎ取られるという活躍を見せてくれた怪獣だ。実際円谷プロダクションがゴ○ラの着ぐるみに襟巻きを付けて作られた怪獣だというのは有名な話だ。製作されるまでの諸説は色々とあるが事故で着ぐるみを爆破してしまった為に急遽作られた怪獣というのがオレの中では有力だ。戦闘能力も性格もまんまゴ○ラだ。おかげで使う機会が余り無い。

続いて私生活に関しての報告を行おうと思う。なのはがアリサやすずか達と塾や習い事に通いだした。そしてオレは将来の為に翠屋の手伝いを本格的に始めてみた。これには砂山よりも低く水たまりよりも浅い事情がある。兄さんは最近すずかのお姉さんの忍さんと付き合い始めた。しかも結婚を前提にだ。大学生なのに剛毅な物だと呆れながら忍さんから惚気話を聞かされた。月村家はそこそこの名家で跡取り息子が居ないので兄さんが婿入りする事は決まっている。そして姉さんは、その、なんというか、言い難いけど、料理はさせれないんだ。あの事件は酷いものだった。思い出したくもない。ということで翠屋を継げるのがオレかなのはになり、なのはは将来魔法関係の職に就いていたはずだからとオレが2代目店主を目指して頑張っている訳だ。なのはと違ってオレはお菓子を作ったりするのが好きなので全然苦痛でもないしな。サキはあれでも味には五月蝿いし、アリサやすずかも試食に付き合ってくれるので腕自体はどんどん上がっている。そして先週からは持ち帰り用でオレのプチシューが店に並ぶようになった。本家の特製シュークリームは安くて大きくておいしいのだが、些か子供であるオレ達には若干食べ難い。なのはは何時も口の周りを汚している位だからな。試食は学校でやっているので持ち運び易くて食べ易いように手のひらサイズの小さな物を作って持って行っていたのだが、休みの日に翠屋で出した時に他のお客さんの目に留まり、出来れば商品化して欲しいという要望がいくつか出て来たので、母さんに認められれば販売するという事が決まり半年程かけて合格を貰いました。中のクリームは日替わりで今の所、カスタード、ホイップ、チョコ、ストロベリー、レアチーズ、ブルーベリーの6種類。他にも幾つか開発中の物があるが合格点を貰えていないのでまだ出せていない上に小学生の身では作成時間が少ないという欠点もあり、そこまで大量に販売出来ないという弱点がある。一応クリームは大量に作り置きしておけば問題は無いのだが、プチシューは完全にオレに任せると母さんから言われてしまったら一職人として期待には答えたい。おかげで毎朝5時起きで朝からシューを焼き始め、オーブンに入れている間に中に詰めるクリームを用意して、焼き上がったシューを冷ましている間に試作品の製作に取り掛かり、シューが冷めれば切り目を入れてクリームを詰めてショーケースに陳列させ、軽く片付けをしてから母さんと一緒に朝食と弁当を作って、それが終われば道場の方にいる父さん達を呼びに行き、最後になのはを起こして朝食。学校が終われば翠屋で朝と同じくプチシューを作ってから、アリサ達に習い事が無ければ合流して遊び、習い事があれば月の裏まで行って訓練を行ない、怪獣や宇宙人が現れれば現地に飛んで戦う。夜は家族皆で夕食を食べ、宿題を終わらせてから風呂に入って早めに就寝するのが最近の生活習慣になっている。不満は無いと言いたいが、1つだけ不満がある。自分の部屋が無い事だ。部屋数の都合上、兄さんが家を出るまでオレとなのはで1つの部屋を使っている。別になのはの事が嫌いな訳では無いが、そろそろ男女について意識し始める時期なのだが。特に女子の方は早熟だからな、たまにオレを見るアリサとすずかの目が獲物を狙うかの様な目になんてなったりしてないと思いたい。いや、本当に、大丈夫なはずだから。オレはロリコンじゃないからな。どちらかと言えば包容感のある年上のお姉さんみたいなのが好きだから。おっと、どこからともなく殺気が。とりあえず話を戻そう。それでなのはと同室なのは仕方ない。兄さんや姉さんの部屋にはオレやなのはには見せられない様な物があるからな。小太刀とか暗器とかエロ本とか兄さんの裸の写真とか。前半はともかく後半はそっとオレの心のうちに秘めておく。そう言えば原作の原典ってエロゲの番外だったな。エロゲの主人公は兄さんでヒロインの一人に姉さんが居たな。父さんは死んでたし居候が居た気がするけど、なのはは居たな。殆ど思い出せねえけど兄さんと姉さんに血の繋がりは無かったから問題無かったはず。また話がそれたな。ええっと、何処まで話したっけ。そう、同室なのは仕方ない。生活習慣のずれから着替えも問題無い。ただ、何時も目が覚めるとなのはの抱き枕にされているのはちょっと。年齢が年齢なので何も反応しないし、したらしたでショックを受けそうだけどな。何が言いたいかと言えばなのはを起こさないように抜け出すのが難しいし、腕がしびれて仕込みが遅れたりするのが辛い。えっ、羨ましいから変われって?父さんと兄さんを説得した上でなのはから抱き枕にされるなら許すよ。愛しの妹だが、あまり男女の関係に関してうるさく言いたくない。それで行き遅れになる方が可哀想だからな。

報告はこの辺でいいだろう。さて、今日も気合いを入れて頑張りますか。






「将来の夢か」

授業中に担任の先生から将来の夢についての話があった。下校中にふと気になってサキ達に尋ねてみた。

「あ~、私はたぶん両親がやってる仕事を継ぐと思います」

「ああ、ガイドマップを作るアレか」

「そうです」

本来は征服するかどうかを判断する現地調査員なんだがな。

「私もパパとママの会社を継ぐわ。すずかは?」

「私は、出来れば工学系の方面に行きたいかな。光君は」

「オレは「「「「翠屋の二代目だよね」」」」

「おいおい、確定事項かよ。オレにだって他に夢があるんだぞ」

「へぇ~、どんな夢よ」

「まあ、あまり現実味のある夢じゃないけどな」

「良いじゃない別に。夢なんだし」

「笑うなよ。オレはいつかウルトラマンの星に、光の国に行ってみたい。今のマキシマドライブ航法じゃあ200年程度かかるけど、技術が進歩すれば人の一生のうちに辿り着けるかも知れない。そしてもし辿り着けたのなら彼らに言いたい事がある。オレ達を守ってくれてありがとうって」

まあ行こうとすれば往復で二日程度で行けるんだけどね。もし行っちゃうとプラズマスパークの影響で本当にウルトラマンになってしまうから行けないんだけど。

「結構意外ね。光ってウルトラマンの話題は出さないから余計にそう思うわね」

「そうだよね。怪獣とか宇宙人の話はよく聞いた事あるけど」

「趣味は悪いけどね」

「失礼な。ベムスターやタッコングの何処が趣味が悪いというんだ。それならサキの円盤怪獣シリーズの方が趣味が悪いだろうが」

「人の感性にケチをつけないで下さいよ。私としてはすずかのロボットシリーズの方が考えられませんよ」

「え、そうかな?かっこいいと思うんだけどな、キングジョーとかクレイジーゴンとか。それにGUYSでも迎撃用のロボットを作るって話しだし。アリサちゃんはバードンだっけ?」

「「バードンか」」

オレとなのはが揃って渋い顔をする。バードンによって父さんを殺されてるからな。まあ命を分け与えたから問題は無かったんだけどな。父さんの事が無くても戦う身としては毒と炎は勘弁して欲しいんだけどな。

「光やなのは事情は知ってるけど、見た目の好き嫌いなんだから別に良いでしょ。これを言い出したらなのはのゼットンとか最悪じゃない」

宇宙恐竜ゼットン程世界中の人々に知られている怪獣は居ない。(バルタン星人は宇宙人なので除外)
かつてウルトラマンを敗った事がある為に侵略宇宙人が良く地球に持ち込むのだ。亜種、というかパワード版のゼットンやスリムになって運動性が上がった様な個体なども見られる。そこら辺の事情をサキの父親に聞いてみたのだが、ゼットン星人にとってゼットンは最大の武力である以上惑星1つを丸ごと使って牧場を経営しているそうだ。その中でもかなり優秀な部類に入ったゼットンがウルトラマンを倒した。それを聞きつけた戦闘が苦手な侵略を企む宇宙人達がゼットンを買い付け、自分たちの星に連れ帰って飼育して行った結果、微妙な差異が生まれ始めたそうだ。ちなみにゼットンの販売によって大金を得たゼットン星人達はそれを使いマグマ星人から自分たちが移住出来る星を買い取った為に侵略行為を行なわなくなり、ゼットンの飼育を行なう傍ら、各星系の特産物の買い付けや販売を行なう交易宇宙人に変化して行ったそうだ。それでいいのかゼットン星人。
余談だが一番大量にゼットンを買い付けたのがバット星人らしい。おそらく何処かでハイパーゼットンを育成していると思われる。できれば早急にバット星人を殲滅したい所だが地球には一度も姿を見せていない。しかも母星が何処にあるのか分からないのも問題だ。手のうちようが無いオレはとりあえず育成に失敗するのを祈っておく。
ちなみにゼットンとの遭遇率は1年間に2体程度、それが10年前から続いている。1兆度の火球の所為で被害が恐ろしい程広がる上にかなりタフな事もありGUYSからはかなり嫌われている。それからゼットンは意外と器用だ。ウルトラスパークをキャッチして投げ返された事がある。光線の吸収は個体によって吸収出来る量が異なるみたいでスペースQを吸収出来る個体もあればデラシウム光流で倒せる者もいる。そこら辺の見極めが難しいが戦闘のパターンは決まっているのでそこまで苦戦する事も無い。スランプ時に殺されかけたけどな。ウルトラマンをも苦しめた首締めは本気でヤバかった。

「1体毎に個性があって楽しいんだけど」

「まあペットみたいに飼い主には従順よね。小さくて火球を出さないんだったら飼っても良いんだけど」

「一応恐竜だから一般人で飼えるのかが疑問だがな。うん?」

「あれ?」

「おろ?」

「「どうしたの?」」

オレとなのは、それにサキが念話かテレパシーを感じ取り足を止める。

「今何か聞こえた?」

「サキもか。なのはもそうなのか?」

「うん、あっちの方から」

なのはが指を指した方角はちょっとした森になっている場所だった。

「……かなり嫌な予感がするのはオレだけか?」

「居ないとは思うけど、宇宙人か怪獣が出てもおかしくなさそうですね」

「だけど、助けてって聞こえたよ」

「それが囮という可能性もある。出来ればスルーしたいというかスルーするのが正解だな」

「光の言う通りね。知り合いの声ならともかく知らない声じゃねえ」

「でも」

「……分かった。オレが一人で確認してくる。何かあったら大声を出すから、その時はGUYSを呼んでくれ」

「光!?」

「このまま放っておいてなのはが一人で行くより何倍もマシだ。というわけでサキ、なのは達の事を頼んだぞ」

「何でそこで私の名前が出るんですか?別に構いませんけど」

「この中で危険に近づかない存在がサキだけだからだ。他の三人は何か理由を付けて追って来そうだからな」

「まあそうですけど。危険そうなら逃げて下さいよ。出来れば大声を出さずに。この三人を抑えながら逃げるのって大変なんですから」

「善処はする。任せたぞ」

「任されました」

四人を残してオレ一人が森に入って行く。見られずに済む位置でブラストショットを取り出して警戒しながら奥へと歩いて行く。ビーストの反応は無かったが小型の怪獣の可能性がある以上、油断は出来ない。しばらくすると何か大きな物体がぶつかって折れた様な木がある場所へと辿り着いた。

「やはり何か居るのか?」

折れた後から推測するにここ数日以内の傷だと判断する。

「誰だ!?」

他に何か無いか捜そうとした所で背後で物音が聞こえ、ブラストショットをそちらに向ける。

「ピグモン?にしては小さいな。幼体か?」

そこにはオレと同じ位の大きさのピグモンが木の陰からこちらを覗いていた。

「お前がオレ達を呼んだのか?」

そう問いかけるとピグモンは移動を開始した。オレが着いて行かないのが分かると振り返って声をかけてくる。

「分かったよ。着いて行けば良いんだな」

オレがピグモンの方に歩いて行くとまた移動を開始する。しばらく歩くとピグモンの寝床だと思われる場所に首に宝石を付けた一匹の動物が寝かされていた。オレの記憶が正しければなのはが飼い始めるペットに似ている様な気がする。

「かなり弱っているな。病院に連れて行くしかないな。ピグモン、お前はどうする?一緒に着いてくるか」

ピグモンはオレに向かって頭を下げるがそれがどういう意味なのかが分からないが、この動物を動かす事には賛成のようだ。オレはハンカチで動物を包み込み、ブラストショットを消してから歩いて来た道を引き返す。ピグモンはオレの後を追ってくるのでこのまま一緒に来るようだ。そのまま森の外までピグモンを連れて行くと四人が驚いていたが、オレが事情を説明すると急いで動物病院に走り出す。診察の結果、衰弱しているだけでちゃんとした餌を与えて数日も休ませれば元気になるそうだ。ちなみに保護した動物はフェレットらしい。ついでにピグモンはフェレットの側を離れようとしないので動物病院の方で一緒に預かってくれるそうだ。一応、GUYSの方にも連絡は入れるそうだが友好怪獣と言われるピグモンは危険性がほぼ0で居場所を確認されてマーカーをつけられれば街中に居ても問題無いのだ。その後はアリサ達が習い事に行くので動物病院の前で別れた。サキも久しぶりに家族が揃うらしいので早々と帰ってしまったのでオレ達も翠屋の手伝いを行ない何事も無く就寝した。その日は何事も無く終わると思っていたのだが、そうも行かなかった。就寝してからしばらく経った頃、再び念話が届いた。今度はしっかりと助けてくれと。隣で寝ているはずのなのはは偶然起きていたのか、オレを起こさないようにこっそりとベッドから起きあがり着替えて部屋から出て行った。窓から外を見ると動物病院の方に向かって走っている。

「やれやれ、いつもアレ位簡単に起きてくれれば楽なのにな」

オレはナイトブレスを使用してバリアジャケットを展開し、正体を知られるわけにはいかないのでアーブギアを纏って空から後を追いかける。何事も無くなのはは動物病院に辿り着き、そいつは現れた。

「なんだ、アレは?」

そいつは黒い靄のような塊でありながら実体があるらしく、病院を壊して外に飛び出して来た。そしてそいつは放課後に保護したフェレットを狙っているようだ。正確にはフェレットの首にある宝石のようだが、問題はそこではない。フェレットが逃げ出した方向にはなのはがいる。

「させん!!」

ナイトブレスからブレードを展開し、上空から一直線に化け物の頭部目掛けて振り下ろす。なのはの目の前でスプラッタな光景は見せたくなかったが仕方ないと思っていたのだが、ブレードは空を切る。おそらくだが本体が小さいのだろう。化け物はオレに驚き後ろに跳躍して距離を離す。

「少女よ、早く逃げろ!!」

「えっ、あっ、はい」

一瞬だけ後ろを振り返り走り去って行くのを確認する。その手の中にはあのフェレットが居る。出来ればフェレットは置いて行って欲しかった。

「さて、あまり時間をかけられないな」

化け物が動物病院を破壊したときの物音で周辺の住人が異変に気付いている。このままでは姿を見られる可能性がある以上すぐにでもこの場を離れる必要がある。オレは右手を掲げ、ナイトブレスの力を解放する。そこに魔力を加え、両手を十字に組んでナイトシュートを放つ。ナイトシュートは化け物の靄を吹き飛ばし、青い宝石だけが残った。

「こいつは、確か原作で集める事になる宝石だったか?」

そこそこの高エネルギー(ウルトラマンに比べるとの話)を内包するそれを集めていた理由までは思い出せないが、後々必要になる事だけは覚えていたのでとりあえず封印を施す。壊れた病院の中を覗くとピグモンが物陰に隠れながらこちらの様子を伺っていた。

「あのフェレットは無事だ。お前も元居た場所に帰ると良い」

オレの言葉にピグモンは素直に応え、森の方に帰って行くのを見届けてから部屋までテレポーテーションで戻る。バリアジャケットを解除しベッドで寝た振りをする。しばらくすると部屋の扉が開き、なのはがこっそりと帰って来た。着替えが済むまで待ってから声を掛ける。

「何処に出かけていたんだ」

何時もなのはに話しかける様な声色ではなく、硬く低い声で問いかける。

「起きてたの!?」

「起きていたとも。それで、そいつを見る限り病院まで行って来たんだろうが、攫って来たのか?」

「ち、違うの。これは、その、えっと……あぅ」

「……さっきGUYSの車両が動物病院の方に走っていった。話していなかったがあの森には何か凶暴な動物が居た跡が残されていた。小型の怪獣だと思うけど、そんな動物の跡が。あの森から病院まではそれほど離れていない。襲われていたんだろう、病院が」

「……うん。それで知らない人が逃げろって。私、その人を置いて、置いてまた逃げちゃった」

「また?」

「アリサちゃん達と出会った時みたいに、置いて逃げちゃった」

あの時か、サキにアリサ達を逃がすように指示を出して校舎内を走り回ったっけ。なのはは今にも泣きそうな顔をしている。今までそんな事を気にしていたのか。

「なのは」

オレはなのはを優しく抱きしめて頭を撫でる。

「逃げる事は悪い事じゃない。1年生のクリスマス前のあの時、オレはアリサを助けに行ったのに、怖くて一度逃げ出した」

正確には足が竦んで動けなかっただけだが、あまり変わらないだろう。

「だけど本当に自分がやりたかった事を、アリサを助ける為に立ち向かった。なのは、お前がやりたかったことはやれたのか?」

「……私がやりたかったこと」

「それがやれたのなら胸を張れば良い。なのはは何の為に行っていたんだ?」

「私は、私は助けを求められたから、助けたかった」

「助けられたのか?」

「うん」

「なら良かったな。それにその知らない人っていうのは青色っぽいコートに鎧みたいな物を着けて顔を隠していた男の人か?」

「えっ、うん。けどなんで知ってるの?」

「一度会った事があるからな。その人なら大丈夫だろう。剣一本で小型の怪獣と普通にやりあう人だったからな。もしかしたらあの人がウルトラマンなのかもな」

まあウルトラマンだけどな。

「フェレットに関しては明日の朝にでも父さん達に話そう。ただし、絶対に店の方には連れ出すな。特に厨房は衛生上、絶対にだ。それだけは守るならオレからもお願いしてやるよ」

「うん、ありがとう」

「ほら、早く寝るぞ。明日起きられなくなっても知らないぞ」

「だ、大丈夫だよ」

「一人で起きれるようになってから言うんだな。お兄ちゃんとしては妹の将来が心配になってくる」

「ぶぅ~、なのは、そこまで子供じゃないもん」

「なら明日から起こさなくても良いな。起きて来なかったらそのフェレットの事は知らないし、一人で学校に行くからな」

「大丈夫なの」

「ふふっ、明日が楽しみだ」

ベッドに入ってしばらくするとなのはの寝息が聞こえて来た。オレは先程の化け物の事を考えていた。なのははこれからああいう化け物と戦わなければならない。今日のあいつは弱かった。核となる存在が居なかったから。もし、あれを何らかの動物が取り込めば怪獣になってもおかしくない。最悪、怪獣が取り込めばどうなるか分からない。オレも独自に動くしか無いな。当分は朝の分しか店には出せそうにないな。放課後を全部潰して宝石探しか。これが未開の地とかならトレジャーハンティングみたいでかっこいいんだけど、街中を歩いて石ころ探しとか結構悲しいな。薄らとしか覚えていない記憶を辿れば確か海鳴市の周辺に全部あったはずだ。数は覚えてないけど、20位だったはず。早めに解決したい物だな。
翌日、結局なのはは起きて来ず有言実行をしようと思ったが母さんが許すはずも無いので起こしにいった。フェレットの方も母さん達から許可が降りペットとして飼う事になった。名前はユーノとなのはが決めた。
 
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