造られた女と創られた力
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log5 発見
「い、居た……」
一人の少女が身を震わせていた。といっても寒くて身を震わせているわけでは無いのは、彼女が発した言葉で分かるだろうが……。体の震えは大きくなり、一旦見を縮め―――
「見つけたぁー!!」
大声と上げると共に3mも飛び上がるという文字どうりの”大ジャンプ”をした。幸いなのは、ここは廃屋だらけの場所であり、誰も見ていなかったと―――『ニャ!?』―猫はいたようだ。彼女の大ジャンプに驚き、逃げていってしまった。ガシャンという音を立てて着地したあと満足そうな顔で、その見つけたものを抱き締めるように抱えた。
「やっと見つけた……”赤”君……!」
彼女が抱き締めていたのは、”竜のような赤い宝石”だった。驚くことに、宝石もそれに答えるかのように鈍く点滅していた。まるで意思があるかのように……。
「そっか! あなたも嬉しいんだね!」
キャッキャと”ボロ布”を着た”高校生程”の少女が”宝石”をまるで”友達”のように扱い、クルクル回っている。 見ようによっては微笑ましいかもしれないが……シュールな光景である。
と、いきなり回るのをやめ、体をまた震えさせ始めた。喜びのあまり、再び”大ジャンプ”でもするのだろうか。
「へっくち!」
……今度は本当に寒かったようだ。よくもまぁ、ボロ布一枚でここまでもっていたものである。
「……う~、服探さないと……」
かくして、彼女は服を探すため街に足を進めた。……本当は食事と並んで一番に解決すべきことなのだが、決断が遅すぎである……。
■
どこか調子の外れた鼻歌を歌いながら、彼女は歩いている。服は無事、手に入れたようだ
「ふんふ~ん♪ ……服ゲット……!」
また泥棒でもしたのか。……と思いきや、
「でも……ちょっと臭い……」
どうやらゴミ捨て場から拾ってきたようである。確かに食料と違って、服ならゴミ捨て場にあっても、利用できる状態ならばすぐ使用できる……拾った場所によりボロボロになっていたりもするが……。彼女が見つけたものは、比較的新しいものらしく着ていても違和感がなかった。
―――正しい組み合わせで着ていたらの話だが。
今の彼女の格好は、下はチェック柄で淡いピンクのプリーツスカート―――これ以外の服がとんでもない。まずは上に来ている服。どうやら小さい子供用だったらしく、裾の部分が胸の下あたりにきている。よほど太い子供だったのか、幅はあっていたが……。そして上に羽織っているのが、なんと”男性用の革ジャン。勿論サイズは合わず、膝あたりまできている。初めは羽織っていなかったのだが、周りからやたらとジロジロ見られるので羽織るものを探してきたというわけだ。その結果、余計に目立っているが……。
ちなみに彼女がジロジロ見られていたのは、何も服のせいだけではない。見た目にもあった。まず髪の色。メッシュ自体は有り得るものの、髪の色―――浅葱とグレーを混ぜた色―――は珍しいというレベルではなかった。もう一つは彼女の体にある。彼女はプロポーションがよく、出るとこは出て引っ込むところは引っ込んでいる。おまけに顔も美少女と呼んでも差し支えない。そんな少女が胸を強調させるような格好をして歩いていれば、男女問わず誰でも目が行くだろう。……よく襲われなかったものである。おまけに下は履いていないのだから、危なっかしい。周りの人たちも、まさか彼女がノーパンノーブラで歩いているとは思わないだろう。
めちゃくちゃな鼻歌を歌いながら上機嫌で彼女は歩いていた……が、突然険しい顔になり、陸上選手顔負けのスピードで走り出した。……屋根の上を飛んでいかなかったのは、更に”常識”を得たためだろうか。だが、これはこれで結構目立ってしまっていた。こんな少女が、陸上選手並みのスピードでいきなり走り出せばそりゃ目立つ。あっという間に彼女の姿は見えなくなってしまった。
■
彼女は今、異形の化物と対峙していた。上半身が鱗の生えた女体、下半身は羽毛が生えた蛇の化物だ。
「悪魔……敵……!」
[ん~? 誰よ、あんた]
化物がそう言うやいなや少女は駆け出し、ハイキックで化物の顔を打ち抜いた。
[!? なにす――]
間髪いれずに一回転し、もう一発打ち込んだ。その衝撃で化物は吹き飛ぶ。一発目はどうやら”ジャブ”的なものだったようだ。
[――っ 許さないわよ! 小娘!]
化物は両手を槍のように変え、彼女にジグザグに詰め寄っていく。不規則な軌道を描いている上スピードもある為、並のものでは目が追いつかない。よく見ると、槍から何かが滴っている。それが地面に落ちた瞬間、ジュゥという音を立て地面が溶けた。かすっただけでも危ないかもしれない、そんな状況にもかかわらず―――
「ふふっ……」
彼女は笑っていた。これから起きることが楽しみで仕方ないと言わんばかりに。
[何がおかしい!? ふん、ならそんな顔をできないようにしてあげる!]
化物が槍を突き出した―――その瞬間―――
轟音を立てて化物が吹き飛んだ。破壊された槍が二本とも宙を舞い、地面に突き刺さって溶かす音を上げる。それから少し遅れ、化物が地面に叩きつけられた。
[!? ―――っ!?]
化物は何が起こったかわからないという顔だった。どう見ても槍は彼女を貫く機動だったのに、彼女は動いてはいないのに―――
――いや、
[何……なの……? 何なの!?]
彼女はちゃんと動いていた。でなければ、化け物は吹き飛びすらしないだろう。
[何なのよ、あんた!? その右腕はいったい何よ!?]
彼女の右腕は、火山と竜を足して2で割り、後ろに明後日の方向を向く銃器が大量に付いている形となっていた。
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