少年は魔人になるようです
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第60話 少年と魔人と馬鹿が来るようです
Side 愁磨
「あぁあ、どうしよう!もみじはバカだから言う事聞かないし!アリアが怪我したらどうしよう!?」
「さっきから、ずっとソレしか言ってないアルよ。」
だってさぁ!?しずなの時は完全に見てなかったし。
つーかあの術式、マジで俺の魔法使ってんじゃん!その上組み込んでたのはツェラメルのだし、
なんなんだ?
『レディイイイイイイイイイイイイ、ファイト!!』
「『魔炎 "扇"』!」
「・・・"蔡雅"、『神虎』。」
もみじは炎の、アリアは巨大な扇と神虎を出す。あいつらも、本気でやり合うとは思わないけど・・・。
「弾、旋!」
「食べて、神虎。そのまま、押さえて。」
バクバクバクバクバク!
「うげっ……壁、砲、波!!」
炎が護りの壁と全面攻撃の津波、一撃必殺の砲撃になる。だけど・・・それはもう、見られてるぞ?
「集まって・・・・跳ね返して。」
ギキキキキキキキン!
「ちょ、それアリ!?キャアアアアアアアアア!!」
ドドドドドドドドド!
「ちょっと、痛いよ・・・シッ!」
ドッ
「ぁ………。」
跳ね返した弾幕を掻い潜り、一撃でもみじを気絶させる。ったく、無茶する・・・・。
「……そう言えば、もみじの心配ハしていないんダネ?」
「あー、まぁ、うん。あいつはキッチリ守るからな。アリア、攻撃は上手いし。」
「守りが下手だから心配だった、と言う訳カ。」
下手って訳じゃないんだけどな。
アリアの戦い方だと、どうしても神虎頼りだから、穴が出来るんだ。
『準決勝、続いてはネギ選手対高畑選手!奮戦する子供先生は、デスメガネ相手にどう戦うのか!?』
「アッハッハ。うーん、僕が本気で行っても勝てるかどうか。」
『何眠ぃ事言ってんだ。ぶっ飛ばすぞ。』
「コラコラ、マイクを勝手に使うんじゃないヨ。」
「あ、アハハハハ……。」
それで・・・・・ネギはどうしたんだ?魔法一発撃っただけでダウンとか、話しにならんぞ。
「す、すいません!遅れました!!」
『子供先生登場ーー!!主役は遅れて来るのが当たり前と言わんばかりの挑発か!?
それでは参りましょう。レッディイイイイイイイィィイイイイファイッッッ!!』
「行くよ、タカミ―――」
――ズドンッッ!!!
「言ってる暇があったら、攻撃しないとね。」
『一 切 の 容 赦 無しぃぃぃーーーー!!そして、ステージには既にクレーターが出来た!!
いっそ鉄かコンクリにしちまえーーーーー!!』
タカミチが豪殺居合拳でネギに一撃を入れるが・・・避けたか。意外と速い。
ヒュッ――!
「"ラス・テル マ・スキル マギステル" 雷の精霊313人集い来たりて敵を射て!『魔法の射手 連弾・雷の313矢』!」
「おっと……。」
「収束、『雷光龍』!!」
ドガガガガガガガガガガガガ!
雷矢を"銀龍"に乗せて、雷速で撃ち出したのか。通り道にも雷が降るとは、凄い技だな。
だが―――
「派手なだけだよ。」
ガ ガン!
「うわっ……!!」
タカミチが『二天大槍無音拳』で迎撃と追撃を済ませ、技後硬直していたネギはなんとか避ける。
・・・攻撃には反応が速いな。
「(全く効かない……!!なら、これは!)『銀龍』『閃海』!同技・混合、『龍閃大剣』!!」
「………『三将大槍無音拳』!!」
ザンザン!ザンッ!!
「はあああああああああああああああああああああああ!!」
「『百連閃鏃無音拳』!!」
ドパッ―――!!
ネギの決死の攻撃も、タカミチの拳雨の前に打ち消される。
タカミチとて、伊達に両世界で修羅場を抜けて来てはいない。出力だけじゃ、倒せんぞ。
Side out
Side ネギ
「ハァッ………、ハァ………ッ!」
「この程度で終わりかい?ネギ君。」
強い・・・!強いっては知ってたけど、ここまで強いなんて。全距離圧倒されて、近づこうにも――!
「なら、ここで倒れた方が良い。『一敖大槍無音拳』!!」
避け切れない程太い拳圧が放たれる・・・けど、なんとか耐える。風華・風障壁数枚でなんとか防ぐけど、消費が激しすぎる。
「(このままじゃ、負ける……。どうしたら……?)」
「ネギ君、君は何故戦っているんだい?」
突然、タカミチが話しかけて来る。何故って・・・僕は小太郎君に勝って、愁磨さんに修行を・・・。
「そうだ。君は、小太郎君に勝った時点で、目的を果たしているじゃないか。
ここまでする必要があるのかい?」
「それは……!僕だって、勝ちたいんだ。それだけじゃダメなの!?」
「勝ちたい、か……。なら、僕を超えて行けばいい。」
言われなくても分かってるけど・・・考えるんだ。タカミチの攻撃と、僕の出来る事を!
「(教えて貰った格闘技、初期魔法と滅魔魔法。それと、いくつかの攻撃魔法と防御魔法……!!)」
ドガガガガガガッガガガガッガガガガ!!
対してタカミチは、一撃必殺で分割可能な超火力拳、避け切れない面の弾幕拳、
軽いけど不可避の居合拳。とにかく、リーチを把握しないと!
「ハッ!」(ドゥッ
「……空か。悪くない判断だけれど!」
ゴパッ!!
「(最大加速―――――――!!!)」
タカミチが僕が飛んだのを見て、上に超火力拳を撃って来る。
徐々に近づいて来るけれど・・・・逃げ切った!
「(200m弱……十分、魔法の射程内だ。安心は出来ないけれど!)
"ラス・テル マ・スキル マギステル" 影の地統ぶる者 スカサハの我が手に授けん
三十の棘もつ霊しき槍を!続け、我が手に来たれ雷帝の槍 我が敵を穿て冥薙の真!
『迸る雷霆の腕』!『雷の投擲』!」
「何をするかと思ったら、上空からの投擲……?『三将大槍無音拳』!」
ドドドン!!!
タカミチは三本の拳圧を、三本の槍に向かって撃つ。けれど、槍は拳圧を切り裂いて地上へ降る。
「――!驚いたけれど、当たると思ったのかい?」
「それを当てるんだよ……!!『風精召喚・剣を執る戦友』!『戒めの風矢』!」
「この程度……!『百連閃鏃無音拳』!!」
雷槍を越して、風矢と風精がタカミチを捕えに飛んで行く。当然の如く全部撃ち落とされるけれど―――
「『弾けろ!』」
バァン!!
「な……くっ!」
「最大加速、『風精多重召喚・剣を執る戦友』!」
槍を爆発させて、閃光弾の代わりにする。
『戒めの風矢』を遅延させ、風精を護りに従えて地上へ全速で下りる。
「やるね……でも!『七条大槍無音拳』!!」
「(一つでも消せれば……!)『迎え撃て!』」
ドンッ!
風精を48体使って、拳圧を一本消す。そこを抜けて、タカミチの懐へ入る―――!!
「『解放』!」
ギュルルルルルルルル!
「ぐっ!」
「"ラス・テル マ・スキル マギステル!" 来たれ雷精 風の精!雷を纏いて吹けよ南洋の嵐
『雷の暴風』!!!」
ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
『戒めの風矢』を受けて動けない所に、大魔法直撃!!した、筈・・・・・・。
煙が晴れると、そこには―――
『デ ス メ ガ ネ ダゥゥゥゥウウウウウウウウウウン!!』
「ハ、ハ、参ったね……。」
『アレで意識あるとかなんなんだぁぁぁーー!?カウント、1! 2! 3! 4!』
ボロボロになって、倒れているタカミチが。これで立たれたら、どうしようかなぁ・・・。
「……完璧に負けたよ、僕の負けだ。」
『6!と、高畑選手降参!!ネギ選手の勝利だああああああああ!!』
勝っ、た・・・・・・。勝った・・・!タカミチに!これで、次に――――
「(つ、次って……ア、アリアさん……?)」
『それでは、ついにやって参りました麻帆良武闘祭決勝戦!!
規定により休憩時間が設けられませんが、そこは天の運!
ネギ・スプリングフィールド選手 VSアリア・P・W・織原選手の試合を始めます!!』
そ、それでも、勝つんだ!勝って、愁磨さんと戦うんだ!
「・・・・・・・・・・・・。」
『両者揃いました!それでは、ラストバトル!
レディィィィイィィィィイィィイィイイィ!!ファイトォォ!!』
「『戦闘の為の協―――」
――――――――――――ギシッ
「あ、あ、あ………。」
「・・・・・来ない、の?」
空気・・・いや、空間が歪んでいる。息が出来ない程の、魔力に似た何かの奔流。
愁磨さん達とも、フェイト達とも違う、恐怖。
「・・・・集まって、神虎。・・・天合獣纏!」
ゴォッ――――
「こ、これは……!?」
アリアさんが金色の光と蒼い炎に包まれて、それが納まると・・・
そこには、見なれない姿のアリアさんがいた。
「・・・・≪翼獣霊王≫。行く、よ・・・。」
GoLuuuuuuaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!
「ば、『戦闘の為の協奏曲』!!」
「えい・・・。」
ガォン!
軽い声と共に放たれたアッパーを勘で避ける。けれど、ステージが抉れ雲にまで穴が開く。
ど、どんな強化魔法なんだ!?
「神虎・・・ファイア。」
ドゥドゥドゥドゥ!!
「よっ、は、とぉっ……!『桜華崩拳』!!」
ズガン!
「・・・・なまいき。」
火球を転がる様にして何とか避け、避け切れなかった一つを『桜華崩拳』で相殺する。
けれど既に後ろに回られ、アリアさんの拳に炎が瞬く間に集まって行く。
「『奥義・・・・・」
ズアッ――――――
「『我りゅ「『獣王拳』・・・!!」
ズドンッ!!
Side out
Side 愁磨
「あぐっ……!!」
「・・・・!?」
アリアの攻撃が当たる瞬間、光線が下・・・恐らく地下から放たれ、神虎を消し飛ばす。
結果、ネギは転がるだけに留まった。
「(な、なんだか分からないけど、助かった……!?)」
「・・・・・・・・神虎?」
ボゥッ
アリアが首を傾げながら呼ぶと、神虎は何時もと変わりない様子で召喚される。
「・・・何したか、知らない・・・・けど、無駄。」
「僕は何もしていないんですが……!!『我流 郷紅』!」
ヒュヒュヒュヒュッ!
ネギは何とか針状になった気を投げつけ、次の魔法を詠唱する。
が、アリアはそれを完全に無視し距離を詰める。
ジュッ!
「(気も関係無しに蒸発させるなんて……!)『魔法の――グッ!」
「・・・・零距離なら、無駄。」
ゴオオオオオオオオオオオオオオッッ!!
「ぐああああああああああああああああああああああああ!!」
首を掴まれ、そのまま炎で燃やされる。魔力も気も強化も、全部防御に回してもそう保つまい。
「これで・・・終わり。」
キィィィィィィィィィィィィィィィィィ―――!!
「がっ、ぐぅぅぅぅぅうううううう!!が、りゅう……!!『人間爆弾』んんんん!!」
「・・・・!」
ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンン!!
アリアがトドメの為に右手に炎を凝縮させるが、ネギは自爆技でアリアごと吹き飛ぶ。
・・・そろそろ、潮時か!
「が、ハ………………。」
「・・・・・・ちょっと、痛かった。けど、それだけ。」
自爆を持ってしても、≪翼獣霊王≫すら消し飛ばせない。・・・今のネギでは、仕方ないか。
「殺しちゃ、ダメだから・・・。負け、認めれば・・・見逃してあげる・・・。」
「そんな、の……!!く、そ……。僕は、まだ……!」
アリアの忠告を聞かず、フラフラと立とうとするネギ。
それを見て、アリアの神気が際限なく高まって行き空間が歪み地が割れ、空には雲がかかって行く。
「・・・なんで、無駄だって分からないの・・・?そこまで、パパと戦いたいの・・・!?」
「あ、ぐ……………………。」
自爆技を使い精根尽き果てたネギはそこで気絶するが、アリアは止まる気配が無い。
雲はいつの間にか雷雲となり、麻帆良に影が落ちる。
「天界、魔法・・・・名称、付与。限定発動・・・『クルセウスの雷』!!」
―――ガカァッッ!!!
魔法を中断させようとして、思わず止まってしまう。
雷が落ちる瞬間、何かがネギの傍に降り立ったからだ。
「よぉ、ネギ。だらしねぇぞ。つっても、聞こえないか。」
なんだ・・・アレは・・・・・!?雰囲気はツェラメルに似ているが、全く違う。
だが、聞き覚えのある、この声は・・・・。
「ナギ……!?」
「よぉ。悪いな、愁磨……。水差しちまって。」
何時ぞやからか姿を見せなくなった『紅き翼』のリーダー。
赤い鳥頭、ネギの父である、ナギ・スプリングフィールドだった。
Side out
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