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少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
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第55話 初日はデートと騒ぎで潰れるようです

Side 愁磨

「しゅーーまはんっ!」
ドッボォ!
「ゴブッ?!こ、木乃香さん……?

十二分に加速して体当たりして来るのはやめろって何ッッ回も言ってるよな?」

「えへへ~。ごめんな~~?」


全く反省せず、意地悪そうに笑う木乃香。

避けたら、5mもそのまま飛んで行ってズザーしてしまう為避けれない。

京都に居たときは、まだまだ小さくて可愛らしい突撃だったのだが。


「(今はそれなりにでかくなったからなぁ……。

かと言ってそれを言うと、太っただのなんだのって拗ねるから、年頃の女の子は難しいよ。)」

「…………愁磨はん、失礼な事考えとらん?」

「い、いや?木乃香は今日も元気で可愛いな~って思っただけだよ?うん。」

「そそそそそんなかわええやなんて、もう、いややわぁ。ウェヒヒヒ。」


よし、危機回避。最近はこれで99%回避出来るから安心だ。ド壺に嵌まってる気がしなくもないが。

つーか、どこかの最終的に神様になったピンク色の魔法少女みたいに笑うんじゃありません。

そして手が痛いッス、刹那さん。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。


「そ、それで、木乃香?確か刹那と当番代わったから、クラスの方に居る筈じゃ……。」

「それがなー?いいんちょとまき絵に、今日の分半分ずつ代わる言われてな?私も暇になってまったんよ~。」

「そ、そそそそソウナノカー。」


痛い痛い痛い痛い痛い痛い。手がギリギリどころかギョリギョリ言ってますよ?刹那さん。

今まで見た事無いくらい無表情になってるよ!?

受けちゃダメだ受けちゃダメだ受けちゃダメだ受けちゃダメだ。

木乃香には悪いが、ここで木乃香と一緒に行ったらniceboatになる。絶対なる。


「じゃ、俺達行くから!!(行くぞ。)」

「えっ。」

「あ、ちょお待ってぇ愁磨は「『ザ・ワールドォ』!!(ドォーン!」


女から逃げる為に最強のスタンドを使う事になろうとは・・・・・。

木乃香、恐ろしい子!――いやいや、ネタ入れ過ぎた。


「っと、ここまで来りゃ大丈夫か。」

「あ、れ……?ここは、隣の地区ですか?いつの間に……。」

「(良かった、戻った……。あの刹那と比べたら……もう何も怖くない。)

だからこれはフラグだっての。」

「はい?」

「ああ、いや、何でもない。行こうか。」


しかし、面倒な事なった。家に帰ったら謝らないとなぁ。それより今は―――


「刹那、こっちの服着てみないか?」

「そ、そんなの着るくらいなら、さっきのを着ます!!」


よし、誘導成功!

Side out

―――――――――――――――――――――――――――――
subSide 木乃香


「あーあ、逃げられてもうた。

『もしもーし、こちら木乃香。愁磨はんの居場所分かるかえ?』」

『了解しましたわ。索敵班、愁磨先生の位置は?』

『こちらα1。織原は今、龍宮神社で舞を舞っています。ふつくしい……。』

『木乃香さん、この人ついでにとっちめてくださいます?』

「『はいはい、了解したえ~。』えーっと、神社神社………うっ、世界樹の反対側。」


流石に遠いなぁ。これは、追っとる間に他んとこ行ってまう。

えっと、隣は図書館島と・・・サバイバルゲーム?は、行ったて報告来とったな。

と言う事は、行くとしたら図書館島方面優先する筈や!


「絶対、諦めまへんでぇーー!!」


Side out
―――――――――――――――――――――――――――――

Side ネギ


昼食後、小太郎君はノワールさん・アリアさん・エヴァンジェリンさんに連れ去られ、

超さんはハカセさんと茶々丸さんに連れ去られてしまい、

一人寂しく世界樹周辺を見回りをしていると、後ろから声をかけられました。


「ネ、ネネ、ネギせんせー。」

「ハイ?あ、のどかさん、ハルナさん、夕映さん。」


と、後ろには黒いローブに身を包んだいつもの三人組が。クラス展示の宣伝中みたいです。


「あ、あの、せんせー。この後、お暇でしょうか?」

「えーっと……見回りしているだけですので、忙しい訳じゃありませんよ。」

「YesYesYes!行け行けのどか!!」

「う、うん……!!」


ハルナさんに後を押され、緊張した様な、覚悟を決めた様子で前に出るのどかさん。

こ、これはまさか、噂に聞く・・・・!?


「わ、わ、私と!文化祭回りませんか!!」

「ハ、ハイ!!」


あ。

と思った時には時すでに遅く。数分後には、のどかさんと遊ぶ約束が決まっていたのでした。

………
……


二時間後。

偶然会った愁磨さんに事情を話し、洋服を着替えたり、弾幕を回避したり、

心構えを教えて貰ったり、斬撃を白羽取りしたり、殴られ蹴られ踏まれ吹っ飛ばされ――

ハッ!?今気付いたら、関係無い事の方が長かった!


・・・もとい。長い長い準備を経て、のどかさんとのデートに臨むことになった。

そして、ヘマは出来ない。イギリス紳士として。なにより、見張られているから。


「おっ、お、お、お待たせしました!おきゅ、遅れて申し訳ありません……。」

「いいえ、僕も今来たところですから。

あ……お洋服、とてもお似合いで可愛いですね。髪もいつもと違って。」

「い、いえ、そんな!かわいいなんてそんな、あ、ありがとうございまひゅ……。」


『とりあえず服は褒めとけ。あと髪型も。』

と言われたので、若干条件反射もありましたが、言って正解だったようです。

ずっと顔を赤くしているのどかさんは、純粋に可愛いと思えました。


「あのー、私、古本市に行ってみたいんですがー……。」

「あ、いいですね!僕も古本市に行きたかったんです。」


行き先が決まったので、古本市が開かれてる図書館島へ歩き始めた。

そして、ここから始まる尾行と逃走と追走(カオス)の事は、表の人も裏の人も知らなかった。

Side out

―――――――――――――――――――――――――――――
subSide ―――

「ククク、いい感じじゃないか。流石ネギだ。」

「おや……愁磨さん。なにをしているんだい?」

「おお、真名。あれ見ろあれ。」


愁磨を見つけ、一緒に脇道にしゃがみ、ネギとのどかを見つける真名。

『何やっているんだこの人は』という冷やかな目を向けられて若干ゾクゾクしている事は、

愁磨本人以外知らない事である。


「しかし、古本市とは渋いデートコースだね。あの二人らしいと言えばらしいけれど。」

「趣味が合って喜ぶべきか、枯れてると言うべきか……あっ、押し倒した!

いかがわしい本見た直後に押し倒すとは……。」

「やるじゃないか、宮崎。知識だけで、実践では弱いタイプだと思ったんだけどね。」


何だかんだ言いつつも、盗み見を楽しんでいる真名。

と、ネギ達の所へ高音・佐倉コンビが現れ、告白危険度検知器(?)を使い、

のどかが危険区域で告白しそうだと騒ぎ、のどかを連れて行こうとする。


「あっ、痛っ……。ね、ネギせんせー。」

「―――逃げましょう、のどかさん!!」

「ま、待ちなさいネギ先生!!」

「『告白注意生徒が逃走しました!至急応援お願いします!場所は――』」


「フッ、愛の逃避行か。若いねぇ。」(ズゾー

「ホルモンが溢れてやすねぇ。」(ズゾー

「あ、愁磨はん見つけた!って………なにしとるん?」

「ホッホッホ、木乃香さん。年寄りは番茶飲んで、若いモンを眺めてるのだよ。」


いつの間にか炬燵・みかん・番茶を出しまったりしていた所に、木乃香が現れる。

そしてネギは、『修羅の息吹』全開で逃げて行った。


――普通の人間になら、「ワイヤーアクションです」で了解しただろうが、

のどかは修学旅行時に少しだけ、こちら側に足を踏み入れてしまっていた。故に。


「ね、ネギせんせー……今のは……?」

「えーっと、し、CGとワイヤーアクションと、ハリウッド的なアレです!

それと、すいません。僕の仕事仲間みたいなものなんですけど……。

折角の学祭だったのに、失礼な事しちゃって。」

「い、いえー……そんなことないですー。」

「あの!お詫びに、何かして欲しい事とかってありませんか?

テストの問題教えるとかは出来ませんけど、それ以外なら、何でもしますよ!」


『なんでもする』と言われた瞬間、のどかの中で何かがはじけた。

ポーっと赤くなり、目のハイライトが消え―――同時に、世界樹も光り出す。


「こ、こちら世界樹観測班!発光量が徐々に上昇してます!」

「告白者が出たのか!?探せ!」


「む、こりゃいかん。」

「ああ、拙いね。先生達かな?」

「お仕事?」

「っぽいが……いや、10分だけ待つか。」(バリッ

「じゃあ、私はポジションについておくよ。いつでも脳漿をぶちまけさせられるようにね。」


真名は苦笑いで返す愁磨に卑屈な笑みで答え、長大な包みを背負い屋上に消えた。

そして、どこかの屋上で光の柱が天に昇って行った。


「分かりました、キスさせていただきます。ロマンチックに……。

キスは……フレンチキスでいいですか?」

「えっ………ええ!?」

Side out
―――――――――――――――――――――――――――――

Side 真名

「そ、それなら私……キス、して欲しいですー………。」

「え゛……?」


先生達の居る屋上から、5つほど世界樹から離れた建物の屋上。

修行の結果、集中すれば筋肉の伸縮すら聞き取れるようになったから、この程度の距離で

話しを聞くくらいは簡単だ。


「(世界樹に後押しされているとは言え、キスして欲しいとせがむなんてね。

フフッ。以外と大物かもしれないね、彼女は。)」

「この前は事故でしたので、もう少しロマンチックに出来たらなーって……。ハッ!?」


ようやく正気に戻ったね。・・・欲望曝け出し切ったから戻ったんだろうけれど。でも・・・アウトだよ。


「す、すみません忘れてください!?い、今のは口が滑って――いえ、冗談ですぅー!!」

「え……あの――」


パァァアアアアアアアアア!!


世界樹が願いを聞き届けて、先生に魔力が流れて行く。

『好き』なら止めるべきだろうけれど、『キスして欲しい』なんて可愛らしい願い、止めるのは野暮だろう。

・・・・肴にした方が楽しそうだしね。


バシュゥ――シュゥゥゥゥ......


「……分かりました、キスさせていただきます。ロマンチックに……。キスは、フレンチキスでいいですか?」

「えっ………ええ!?あ、あのあの、ネギせんせー……あっ!?」


先生が宮崎の手を掴み、引き寄せる。徐々に顔が近づいて行き、そして――――


「そこまでだぞ、と。」
ズガァァ!!
「キャ!しゅ、愁磨せんせー……。」


おしい!

あと数センチと言う所で、愁磨さんが結構本気の一撃を先生に落とす。

が、それを先生は危なげなくひらりと避ける。

世界樹の魔力と実力の相乗か・・・。そうであっても、存外、成長しているじゃないか。


「ほォう……?生意気な。真名、俺は宮崎を連れて本体(1st)の所まで行く。牽制よろしく。」

「ああ、了解した。」


言われた瞬間、マガジンに入ってる分をとりあえず叩き込む。


「ウフ、ウフフフ……。」
バシバシバシバシバシバシバシバシバシ!
「うぉっ、マジか!?」

「これは、まいったね……。これは持っている普通の物の中で、最高の弾速を誇るんだけれど。」


それでなくとも、弾丸を全て掴むなんて。所詮は人間の扱える対物ライフルか。仕方ない・・・。


「フ、フ、フ……。ケガをしても知らないよ、先生……?」


愁磨さんから貰った『王の宝箱(ゲートオブ・ホビロン)』とかいう空間から、スナイパーライフルを取り出す。

名を、『対龍級生物用貫式長砲VRG-5"Ald-Uvoydo(アルドアヴォイド)"』。全長9.4m、砲身4.3m、

重量1.5t、銃弾150mm。

この間仮契約(パクティオー)した際に出た銃で、まだまだ修行不足ではあるけれど・・・。


「無強化の愁磨さんだって避けれないんだから、当たるだろう?」

ドッガォォォウ!!


この騒がしい祭りの中でさえ、街中に響くような轟音。

この銃を使用する時は全力で肉体を強化しないと、私でも腕が吹き飛びそうになる。

威力は折紙つき。銃弾が通る2m半径に人間が立っていれば、半分持っていく。

―――あれ、先生、死んだんじゃないか?


「ウフフフフ……!!『戦闘の為の協奏曲(バルトフェルド・コンチェルティア)』!『我流 銀龍』!!」
ガォォォォン!!
「へぇ、やるじゃないか……先生。」


先生が妙な肉体強化を施し、学園長から教わった技だろう。

銀の龍を生み出し、私の銃弾とぶつかり合い―――両方砕け散った。

魔法世界の古龍を殺した時は魔力を込めていたとは言え・・・それを、龍型で。


「私が楽しみたい所だけれど……ご主人様が所望しているから、ここまでだね。」


アルをしまいバルコニーを見ると、そこには楽しげに笑う2人と、怪しげに笑う先生。

あと、事情を把握出来ずに混乱している刹那と、宮崎。生き残れると良いね、先生・・・。

Side out


Side 愁磨

そろそろ刹那と帰ろうかと思った、夕闇に染まり始めた時間。

呼び出した俺から記憶が共有され、俺は即座にそこへ向かった。


「随分楽しそうじゃないか、俺。」

「ああ、これは楽しそうだよなぁ?俺。」


世界樹によって色狂いになったネギ・・・それだけなら酒の肴になる程度だ。

だがこれはどうだ?随分強いじゃないか。


「クッハハハハハハハ!!いいぞいいぞ、かかって来いネギ!!

宮崎にキスしたかったら、俺を倒して見せろ!!」

「げ……じゃあ、俺は行くからな、本体!」


なんだ・・・?と思い、即座に思いだした。今のこいつは、倒すイコール・・・・・・


「分かりました。愁磨さんを倒してから………

愁磨さんにキスしてから、のどかさんにキスさせていただきます。」

「………ちょぉ~っと待って貰えるとありがt「ウフフフフフ……!」

ああもう!『形態:モード≪崇神魔縁(スガミマエン)≫≪救世主の盾≫:on』!『穿つ聖天(ラゥゾ・ヴェチェクニクタ)』!!」


突撃してきた所に、光の柱を置いておく。

普通なら直撃するんだ、が・・・!今のこいつは避けやがる!

かと思いきや、光の柱を突き抜けてきた。手をワキワキさせ、息を荒げながら。


「キッッモぉ!!『大天舞讃歌(ル・セイクリッドメアリー)』ぃぃぃぃいいい!!」

「ウフ―――」
ゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!


あまりの気持ち悪さに、消滅させる勢いで必殺を撃ってしまった。

・・・流石にこの一撃は堪えたようで、黒焦げた上、轢かれたカエルの様になって、ヒクヒクしている。

が、安心はしない。


「よ、よし……。刹那頼む、拘束してくれ。」

「だ、大丈夫なんですか?

その、はじっ、う、奪われでもしたら、泣いてしまうかも、しれません……。」

「ひ か り に な れぇぇぇええぇえぇえぇええぇえええええええ!!」


刹那のを奪わせるくらいなら俺がやられてやるわ!!

とまぁ、それも却下なので、ゴルディオンハンマーでジジイの所までぶっ飛ばす。後処理は任せよう。


「さ、帰ろうか♪」

「(この上なく良い笑顔ですね……。でも、帰る訳にはいきません!)

あ、あの……最後に少しだけ、いいですか?」

「ああ、いいけど……?」

Side out


Side 刹那

愁磨さんを連れ、世界樹の下まで来ました。

遠くでは水上花火が始まり、ここからでも十分に花火が見え、雰囲気としては申し分ありません。

人払いもしていないのに、人もいませんし・・・。


「こ、コホン。きょ、今日はありがとうございました。楽しかったです、とっても……。」

「こっちこそ。久しぶりに刹那と遊べて、楽しかったよ。」


樹の幹に座りこちらを見上げ、クスクスと笑う愁磨さん。

世界樹の淡い光に照らされ、いつもの悪戯な雪の精と言うよりは、儚い木の精霊と言う感じです。


「こんな風に二人で出掛けたのは、初めて、でしたね……?」

「ああー、子供の頃は木乃香とか邪魔者(ナギ達)が居たし、こっちに来てからは警備くらいでしか

一緒にならなかったからな。」


・・・それ以前に、ノワールさんやアリカさんと家に居る事が多かったし、

外に居ても、アリアやエヴァさん・茶々丸さんが後ろにひっついてたし。

今日だって、このちゃんだけじゃなく他の学校の人に声かけられて・・・。


「それで、分かったんです。愁磨さんは、殆どあの家に居る皆の事しか考えていませんが、

あなたを想う人はあの家以外にも居るんだって。」

「いや、まぁ、お前らの事しか殆ど考えてないのは確かだけど……。」


ふとした表情すらも、こんなに魅力的なんですから・・・仕方ない事ではありますが。

外の人以上に、私に向ける顔が優しくて。近くに居ると思って、安心して、油断していました。

ですから――再確認するために、それ以上に、この人に言いたいから。


「愁磨さん。私は、あなたの事が好きです。あなたが……一番想っている人が、誰かも知っています。」

「せつ、な…………。」

「ですけれど、ですから。どうしても、もう一度言いたくて。

私はあなたが好きです。……あ、愛している、と、思います……。」


この上なく緊張しながら、愁磨さんの隣に座る。

・・・結構な人から、意気地無しと言われてきたのですから、

これ以上、無様な姿を晒す訳にはいきません・・・・・・!!


「刹――んッ、ん。」

「ん………ハ、ぁ……。こ、これが、私の覚悟です。い、今までの私だと思わないでくださいね!!」


それだけ言い残すと、翼を広げ、直ちに戦線を離脱します。き、今日は寮で寝ましょう!!

Side out


Side 愁磨

ガッ!

「ふぇっ!?」

「俺から逃げられると思ったか?刹那。」


翼まで使って逃げようとした刹那の手を掴み、引き寄せる。

捕まえられたのが上空十数メートルの位置だった事に、『修行の成果が出ているなー』と

関係無い事を思いつつ。


「に、に、逃げます!!」

「じゃあ、これが終わったらな。」

「あ、ま、待ってください!自分からしないと、心のじゅ、んんーーー!!」


仮契約(パクティオー)の陣を敷き、ジタバタもがく刹那を押さえつけつつ、魔力を注ぎこんで行く。


「フ、ゥ……。まぁ、終わったら逃げられなくなるんだけどな。」

「こんなの、ずるい、です………。愁磨さんのこう言う所、嫌いです。」

「こいつは手厳しい。俺は、刹那のそう言う所も好きだぞ?」

「~~~~~~~!///」


ボフッ!と俺の胸に頭突きをしてくるが、そのまま体を預けてくる。

そうしていると、俺と刹那に同じカードが降りてくる。


「こ、これは……!?何故……。」

「これはまた、奇妙なカードだな。」


白っぽい淡い桃色の着物、刃・鍔・柄、全てが白い太刀、白い翼。

そして何よりも・・・真っ白な髪と真紅の瞳。

刹那が忌み嫌われ、自身も恨んだであろう姿がそこにあった。

Side out


Side ネギ

学園長先生の所で活を入れられ、意識を取り戻した僕。

のどかさんが大きな噴水の所で待っていると言われて、大急ぎでやってきた。

愁磨さんに吹っ飛ばされてから数分も経っていなくて、安心した。けど・・・。


「す、すみませんでしたのどかさん。僕が不甲斐無いばっかりに……。」

「い、いえー。元はといえば、私があんなお願いを、した、からでーー。」


のどかさんが顔を真っ赤にして俯いてしまい、僕もつられて顔が・・・。

い、いけないいけない!!忘れよう!


ドーーン!  ドドーーーン!

『只今より!麻帆良祭名物、光と火と水のマジカルショー!"マホラ・イリュージョン"を開始します!!』

「わー、綺麗ですー……。」

「水の上に火で絵が!どーやってるんだろー。」


と、気まずい雰囲気を一蹴してくれるタイミングで、水上ショーが始まる。

魔法も使っていないのにこんな事が出来るなんて、ここの人達は本当に凄いなぁ。


「……せんせー。せんせーは今、好きな人とかいらっしゃいますか?」

「え、それはつまり……。」

「一緒に居て胸がドキドキしたり、一緒に居られるだけで嬉しかったり……。

そう言う人って、いますかー?」


『たとえば、明日菜さんとかー……。』と言ってくるのどかさん。

でも僕は、それを否定する。

確かに、明日菜さんといると楽しかったり、嬉しかったりするけれど――多分、これは違うと思う。


愁磨さん達といるとドキドキはするけれど、これは多分緊張とか恐怖(修行限定)から来るものだろうし。

そ、そういう意味で捉えると・・・のどかさんが一番な気が・・・。


「……私、せんせーとこうしてお話し出来るだけで幸せですー。

せんせーと出会ってから、いろんな事が、もうちょっとだけ頑張れるようになりました。」

「そ、それは――」


――先に来ていた、愁磨さんのお陰です。

そう思ったけれど・・・自分のこれまでと、のどかさんの事を思ったら、違うんじゃないかって、思った。


「(僕も、のどかさんにいっぱい教えて貰ってますね……。)」

「お父さんの事を探したり、愁磨せんせーに追いつこうとしたり……。

私、一生懸命頑張ってるせんせーを見て、いつも勇気を貰って。……私、そんなせんせーの事が、好きです。」


花火に照らされて、綺麗に笑ったのどかさんは、本当にきれいで――

今までないくらい胸が痛くて、目が離せなくて・・・。


「お父さんを探すお手伝いとか、そのー……修行?とかー。

私に出来る事があったら、何でもお手伝いしますのでー……。」

「あ、は、ハイ……。あ、ありがとうございます、のどかさん。」

「……ここ、さっきの危ない場所じゃ、ありませんよね?」


『多分』――

そう答えようとしたら、のどかさんの顔が、近づいてきて――


「ん……。」


目の前が、のどかさんの顔で埋まって・・・・・・。

口も、何かで塞がれ、て―――


「今日、とても楽しかったです。ありがとうございました。じゃ、じゃあ!」

「………………………………………………………あ、の、のどかさん!?」


『今のはお詫びの代わりでしたので忘れてくださいーー!!』

と言い捨て、あっという間に走って行ってしまった。


体が、今更反応したみたいに熱くなって・・・唇が、一番熱くて―――――


「これが、恋とか、そう言う物なんですか?愁磨さん、ノワールさん………。」


その問いに答える人は、当然いなくて。

横では、水上花火が一番綺麗に弾けた。

Side out
 
 

 
後書き
今回でハッキリしたかと思いますが、ネギはのどかルートまっしぐらです。
でもハーレムは形成します。そんな主人公たち。 
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