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少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
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第49話 終戦 少年はお姫様を助けに行くようです


Side 小太郎

「『戦闘の為の協奏曲(バルトフェルド・コンチェルティア)』。」


ネギが奇妙は魔法使(つこ)た途端、急にゾクゾクするようなった。

こりゃあれや。フェイトとか言う新入りとか、愁磨とか言う兄ちゃんと似た感じや。

あんな次元やあらへんけどな。


「行くから、構えておいてね?―――構えても構えなくても、変わらないけど。」

「へっ!!抜かしてられんのも、今のうちやで!!」


余裕なネギに狗神を10匹ほどぶっ飛ばす。ワイら狗族は狗神使い――式神使いで言う前鬼・後鬼を

自在に操れる。言うても一種の精霊やから、比べモンにならんほど頭ええやつらや!


フン(馬蹄崩拳)!!」

「なぁっ!?」

「1、………!」


飛んでった狗神を全部パンチ一発で消しよった!?面白いやないか・・・・!!


「ホンなら、まとめて行くでぇ!!"狗族獣化"!『犬上流 狗音爆砕拳』んん!!」

「2、……!」


獣化+狗神一点集中の右ストレート・・・!受けれるもんなら受けて―――


「『我流 桜花』!」

―――――――――――――――――――――――――――――

subSide 愁磨


「やはり負けましたね、あの少年。」

「ああ……。ネギの奴、予想以上に育ってやがる!」


ネギが妙な技を使った瞬間、俺はすぐさま現場に向かい一部始終を見ていた。

原作だと良いとこ相討ちの相手に完全勝利・・・!


「素晴らしい……!!だが、それじゃああの少年が浮かばれないと思わないか?刀子。」

「え、はぁ……?確かに、師がいれば確実に伸びる――って、まさか。」

「よーし、こっちは俺に任せて刀子はスクナいじめて来い♪」

「了解です……。」


呆れ7割:平然2割:歓喜1割で飛んで行った刀子を見届けると、俺は小太郎の横に降りた。

・・・・・・・・・黒か。


Side out
―――――――――――――――――――――――――――――


―――――い、おーーーい。しっかりしろ少年。

こんなところで寝てると風邪ひくぞ。」

「う……?ああ!あんたは昼間のあだだだだだ!!」

「起きろとは言ってないぞ?獣化してなきゃ死んでる威力だ。」


いつのまにか寝とって、愁磨はんに起こされて体中痛くて・・・・・・。

って、そうやネギや!俺あいつと戦ってて―――


「そうやネギや!!あいつはどこにってあたたたたたた!!」

「お前はケンシロウか。ネギならお前をぶっ飛ばした後、刹那達の後追ってったよ。」

「ぐぅぅ、記憶は無いけど分かるで……。こんな完敗したの初めてや……。」


ワイの今出せる最強の技を簡単に破られたんや・・・。勝負にもならん、完敗や。


「さて、そんな負け狗君。お前には3つ道がある。

1つ、俺と一緒に来る。2つ、ここで負け狗のまま死ぬ。3つ、負け狗のまま狗として使われる。

好きに選びたまえ。」

「んな狗狗言うなや!!バカにしとんのか!!」

「返事がない場合は俺の方で勝手に答えを決めるぞ?どうだ?」


くぅぅぅぅ、動けん上に万全でも勝てん相手にそないな選択肢出されたら・・・

男が出せる答えなんて一つしかないやろが!!


「ええで、お前についてったるわ!!」

「よし、それでこそ男の子だ!リベンジしないで負けを認めて切腹するのは潔く美しい。

しかし!!敢て俺は言おう。それこそ負け狗だと!諦めだと!!」


な、なんか語りだしたで、このニイチャン。女みたいな割には熱いんやな。


「そんな訳で、お前にはネギに勝てるくらい強くなって貰おう。

なんせお前は俺を男だと言ってくれる稀有な人間だからな!!あ、半分狗か。」

「……は?そ、そんな下らん理由で見ず知らずの敵を弟子にするんか?!」

「俺にとっては下らなくない、それが答えだ。

アッハッハ!俺も弟子ゲーーット!ジジイと育成競争だ!!」


動けんワイをかついで歩きだす愁磨――もとい師匠。

強ぉなれるのはええけど・・・妙な争いに巻き込まれたモンや。

Side out


――十数分前


Side 刹那

「『翼族流 一ノ太刀・廻空』!!」

『ギョアアアアアアアアアアアアア!?』『ギエアアアアアアア!!』

『やりよるで、この嬢ちゃん!!』

『神鳴流きぃとったのに、全然違う技使いよるで!?』

『そっちに構っとる場合か!!』


ネギ先生に言われ先に行くと、そこには凄まじい数の鬼が待ち構えていた。

よく見ると中に烏族もおり、かなりの苦戦を強いられると思ったのだがーーー


「フハハハハ!!弱い!脆い!貧弱貧弱ぅぅ!!貴様らそれでも東洋に謳われし鬼の端くれか!?」

「欧州の吸血鬼と同等と聞いていたから期待していたのに……。

徒労だね、これじゃあ。」

「・・・・・・・・・・・・・えい。」


後ろからついて来ていたらしいエヴァさん、真名、アリアさんの活躍(蹂躙)によって、

物の数分で500体ほどが蹴散らされていた。

・・・これ、私が来た意味なかったんじゃないかな?


『ようやるのう、嬢ちゃん方。現世にも強い武人が残ってるもんだ。』

『いやいやしかし奇にして僥倖。人外をようもこれだけ集めたモノだ。

お前らの主は余程好き者と見える。』

「ほう?少しはマシなのが出て来たじゃないか。」

『ホッホッホ、吠えるでない吸血鬼。程度が知れようぞ。』


飽きてきていたエヴァさんの前からやって来たのは、人間に角が生えただけの様な鬼だった。

だがもう一人の男に角は無く代わりに烏の羽が生えており、

女・・・声の者は面を被り、代わりに生えているのは金毛九尾。


「ほう?随分なモノ好きも居たものだ。まさか三大妖まで召喚しているとはね。」

『如何にも、だ。半魔の嬢ちゃん。我が名は酒呑童子、鬼の王!』

『余の名は崇徳上皇、諱を顕仁。天狗の王である。』

『妾の名は玉藻前白面金毛九尾。此奴等とは一緒にするでないぞ?

妾は戦が嫌いなのじゃ。』

「・・・じゃあ、帰って。・・・・・・おばば。」

『おばっ!?く、クックック………よく言うたぞ小娘が!!

うぬから血祭りに上げてくれようぞ!!』


あー・・・・・・先に来ていた鬼の方々も止まっているのですが・・・。

とりあえず、結界張って見守りましょう。余波で死ねそうですから。


『鬼火!!』

「・・・『神虎(シェンフー)』、食べていいよ。」


「丁度成長を試したかったんだ。相手をしてあげるよ、鬼の王。」

『ウッハッハッハ、不遜!故に愉快よ!!我には向かう女子なぞおらんかったでなぁ!!』


「ふう……。それじゃあ、私は余りで我慢しようかな。

―――兄様を侮辱した罪は重いぞ、下郎。」

『余を下郎と罵るか、薄汚い淫売が!!血で男をモノにしてさぞ心地よかろうて。』

「ハッ!!私が恋焦がれるのは兄様だけだよ!見当違いも甚だしいぞ下郎!!

……って、何を言わせるかこの戯けがぁ!!」


「………私達は見ているだけでよさそうですね、刹那。いえ、先に行きましょうか。」

「……そうですね、刀子さん。」


残りの鬼達の始末は、ついでに行われるでしょうから・・・。

Side out


Side ネギ

「―――びたまふなれば 根の國・底の國より上り出でませと進る幣帛は

皇御孫の處女にして赤玉の御赤らびます 藤原朝臣 神楽坂明日菜の」

「フェイトおおおおおおおおおおおおお!!」
ガッ!
「……やれやれ、やっぱり来たのかい、ネギ君。」


上空から高速落下しての『桜花』を、不動のまま止められる。

少しは効くかと思ったけど、やっぱり甘かったか・・・!


「明日菜さんを返してもらうぞ!!」

「ああ、何か勘違いをしているね、君は。

この儀式で彼女が命を落とす事は100%ないよ?用が済めば無事に返――」

「『戦闘の為の協奏曲(バルトフェルド・コンチェルティア)』!『我流 桜花・乱舞』!!」

「やれやれ。」


今は、絶対に勝てる相手じゃない――そんな事は分かってる!!

でも、それでも!明日菜さんの為に!もっと、皆を守れるくらい強くなるために!!


「お前と戦わなくちゃいけないんだ、フェイト!!!」

「………面白いね、君は。

それに、熱いのを見ると―――ちょっとだけ楽しくなるんだ、今は。」


学園長先生から教わった唯一の技、『桜花』。

本来相手に使えば、当たった部分が桜の花の如く潰れる技。


「お前になら使っても、文句は言われないだろう!!?」

「確かに、ぼくに使っても実力的に言われようがないけれど。

そんなえぐい技を使うなんてひどいね。」

「お前からの文句は受け付け……ないッッ!!」


会話をしながらも、障壁一枚で全ての攻撃を受けきるフェイト。

生憎、君を倒す必要は無いんだ!!


「……それで、いつまでこうしているつもりだい?そろそろ――」

「もう、終わったよ!!」

「――!」


最後に思いっきり殴りつけると、木で出来ている祭壇は今までのダメージで一気に壊れ始める。

そう、お前には勝てない。だけど、明日菜さんを取り返せば僕の勝ちなんだ!


「なるほど。視界を拳撃で埋め尽くして、その間に祭壇へ均等に攻撃を飛ばす。

祭壇が壊れれば儀式は続けられない。」

「そういう訳でお前に構ってる暇はもう無いんだよ!!」


『虚空瞬動』を使い、一気に儀式をしていた女の人まで間合いを詰める。

これで―――


「そう、これで終わりだよ。ネギ君。」

「―――生く魂・足る魂・神魂なり!!

さぁさ砕けな封印の大岩。ウチの前に姿を見せぇ『リョウメンスクナノカミ』!!」


瞬間、光の柱が天高く昇った。

Side out



Side 刀子

「クッ、これは!?」

「一足遅かったようですね。」


私と刹那が祭壇に着いた時、既に飛騨の大鬼神――『リョウメンスクナノカミ』は

封印を解かれ、この世に再び顕現していた。


「刹那、あなたは下がっていなさい。

ネギ先生を連れてきますから、結界を張って防御を固めるのです。」

「で、ですが!あの少年は明らかに愁磨さんの次元ですし、あの大鬼と一緒に

ザッ!!

「はい、お願いしますよ。」

戦うには……って、え?」


ネギ先生の影に転移して、再びネギ先生の影へ。

それから刹那の影へ転移。ネギ先生を刹那へ渡し、フェイトの前へ移動する。

神楽坂さんはスクナの上に召喚士といる為、影が出来ていなので助けられない。


「……これは驚きだ。まさかこのぼくが察知出来ないほどの隠密術を身につけているとは。

愁磨も人が悪い。」

「フェイト・アーウェルンクス。あなたは愁磨さんの同士と聞いています。

ですから、味方として聞きます。何故こんな真似を?」

「計画に必要。あなたは全てを聞いていないようだし、言えるのはここまでだよ。」

「そうですか。ならば―――」


愁磨さんとの仮契約(パクティオー)カードを取り出し、フェイトに突き付ける。


「これが計画に必要だから手を出すなと言われていません。

よってあなたの独断とし、あなたを敵と判断します。」

「・・・愁磨の想い人に攻撃したら、ぼくが殺されてしまうよ。

かと言って、あれは手放すには惜しい量のエネルギーだし。」

「私には関係ありません!『来たれ(アデアット)』!」


カードから武器、"妖刀 村正"を出し、フェイトに切り掛かる。

"村正"の能力は『怨殺』。つまり、相手を憎んでいるほどスペックが上がると言うもの。


「随分禍々しい刀だけれど、それだけ見たいだね。どうやら攻撃力不足――」

「『来たれ(アデアット) "蜻蛉切"』!!」

「それは・・・。『水流の剣(ランドリィ・エンセウス)』!」


村正を蜻蛉切りに変えると、フェイトは水を使い剣を作り防ぎます。

ですが、この槍の能力は!


「『絶斬』。つまり、全てを切り裂くのですよ!」
バシャッ!
「……危ないなぁ。もう少しで切られるところだったよ。」

「逃げるのは得意のようですね……。」


|仮契約(パクティオー)し、得た武器名は"村正"。しかし、使ってみるとこれは村正ではなく―――


「呪われた武器に自在に変えられる刀。対象は一定数を殺し、恨まれた武器。

つまる所、聖剣であろうとも恨まれてさえいれば使えるのです。」

「………愁磨との仮契約らしい、チート武器だね。

それなら、多少本気で行っても無傷で時間稼ぎ出来そうだ。」


言うと水が槍となり、森から土が飛んできて巨大な円柱となり、フェイトの傍に待機します。


「神鳴流――」

「『解放(エーミッタム) 石の息吹(プノエー・ペトラス)』!」


私が切り掛かる瞬間、ボゥン!!と石化の霧がフェイトを覆い、後退を余儀なくされます。

しかし、この霧・・・!一体どこまで広がるのですか!


「………ああ、ちょっと大きかったみたいだ。」

「っちょ、新入り!なにしとんのや!!」

「しまっ――、神楽坂さん!!」


霧を挟んでスクナと召喚士、そして神楽坂さんが見え、三人(?)にまで迫る霧。

いけない、このままでは―――


「ぅああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


ドンッ、と霧を切り裂いて一直線にスクナの頭上まで飛んで行く影。

あれは、ネギ先生!?刹那の結界から出たのですか!!


「明日菜さんは返してもらったぞ、フェイト!!」

「……やるじゃないか、ネギ・スプリングフィールド。」


体の所々を石化させながらそれでも堂々と言い、森の方へ飛んで行くネギ先生。

全く、無茶をしてくれます―――が。


「これで、思い切りあなただけを足止めできます。」

「足止めをした所で、どうするんだい?(制御)を失ったスクナは、街へ攻撃を始めるよ。」

「そんなもの、決まっているでしょう?」

「私が一撃で仕留めてやるよ、フハハハハ!刀子、10秒だけ私の邪魔をさせるんじゃないぞ!!」

「なに、頭はいつでも私が狙っているよ。」

「……『闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)』。これは詰んだか、仕方ない。」


エヴァンジェリンさんと真名が現れると、フェイトは諦めたようで、

水の転移を使い姿を消してしまった。


「む、何だ。邪魔が居た方が盛り上がると言うのに。」

「仕方ありません、マスター。一気に決めて帰ることにしましょう。」

「ふぅ。良いでしょう、これ以上ない邪魔をしてあげます。『来たれ(アデアット) "十拳剣"』!」

「っちょ、それはダメだろう刀子!?」


十拳剣、能力は『顕現』。言葉のままに切り刻む能力を持った、最強の剣の一つ。

それを構え、スクナに突撃する。


「最終決戦究極奥義!『極大雷帝千裂剣・千変万化』!!!」

「あっちゃぁ……。」

ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

Side out

―――――――――――――――――――――――――――――
subSide 愁磨


「……で、何の用だったんだ?」

「なに、って?ツェルが少々元気がなくてね。何か御馳走を、と思った所に

大鬼神を復活させようって話を聞いたから、利用させてもらおうと思ったんだよ。」


俺が森の外れで待っていると、フェイトが地面から現れた。

にしても、主君の元気がねェからって食わせるのが大鬼神とは・・・。

魂を消費して生きてるあいつにとっては最高のご馳走だけどさ。


「もう一つ。……どうして明日菜を連れ去った?」

「これも妙な事を聞くね。彼女の『魔法無効化』は、普通の王族と別の力だ。

理由は知らないけれど、魔法・呪術的効果を全て無にする。」

「まぁ確かに、明日菜の力を使えばあの大岩の封印を解くことなど容易かったろう。」


めんどい奴だ・・・。詰まる所、女の為に異世界に来てまで最高の食事を取りに来たって訳か。

一途な奴だな、相変わらず。


「はぁ……。スクナは刀子が消し飛ばしちまったから、集めるまで少し時間かかる。

代わりに俺のを持って行け。腹の足しにはなるだろう。」

「仕方ないね。それじゃぁ上から10人、下から200万、好きな魂1000人。好きなものを頂戴。」

「ったぁー……。50番目から20人。これで満足しろ。」

「それでもいいか………。それじゃ、ぼくは戻るよ。」


最上級の魂を掻っ攫って感謝の一つも寄越さず、フェイトは魔法世界に帰って行った。

さて、と。俺はお姫様の涙を止めんとな。

Side out
―――――――――――――――――――――――――――――

Side 明日菜


「ネギ、ネギ!!返事しなさいってば!ねぇ!!」

「神楽坂……。ここまで石化が進行してしまっては、並みの術者じゃ無理だ。

それこそ、癒しを極めた程の術者でも無ければ……。」


私が目を覚ますとそこは森の中で、ネギが横で倒れてて、

体が殆ど石みたいになってて、呼んでも返事しなくて――。

いつの間にか龍宮さんとかエヴァちゃんとかが来てて・・・。


「え、エヴァちゃん!エヴァちゃんなら治せるでしょ!?」

「わ、私にも無理だ。腕の一本が石化してるくらいなら治せるが……。」

「な、なら愁磨先生なら!?ノワール先生でも!あの人達なら治せるでしょう!?」


言っている間にも、ネギの体はどんどん灰色になって行く。

風の魔法で空気を取り入れてるから、完全に石化しないと窒息しないとか何とか言ってた。

けど――もう手の先と、顔の半分くらいしか残って無い!!


「誰か、誰か助けてよぉぉぉお!!」

「何を喚いてる、神楽坂。」

「ッ……!!愁磨先生!!?」


振り向くと、愁磨先生が森から出てきた。よかった、これで―――


「し、愁磨先生、お願い!!ネギを、ネギを助けて!!」

「……生憎だが、俺は無駄な事はしない主義だ。」

「む、無駄……?無駄ってなによ!!ネギが、ネギが死んじゃうのよ!!」

「に、兄様。流石に、その、だな。ここは助けてやって良いんじゃない、か?

少年も、神楽坂を助ける為にこうなったんだし、だな……。」


愁磨先生はふぅ、と溜息を吐くと、私とエヴァちゃんの頭をポンポン叩く。


「何か勘違いしてるがな。俺以外の人に救えるモノを、態々俺がやる事もないって事だ。

そう、他でもないお前だよ神楽坂。」

「わ、私……?でも、でも私、何も魔法知らないし、どうやって……!!」

「お前に渡しただろう?俺達の力の象徴を。」

「しょう、ちょう……?

私が、愁磨先生から貰ったもの………って。この、ペンダント?」


私が胸元から1枚の羽と剣をモチーフにしたペンダントを取りだすと、愁磨先生は静かに頷いた。


「―――消すだけだったお前に、癒しの力を渡した。

それを使えるなら、魔法で傷つけられたあらゆる傷を無かった事に出来る。

無論、石化や毒・麻痺その他。魔法的攻撃なら何でも。」

「つ、つまり、ネギを助けられるのね!!どうやって使うの!?」

「思い出せ。お前の力を。そして願え、癒す相手を。強く強く。

それを使えるのは、お前だけだ。」


思い出す・・・、力・・・?

よく分かんないけど、私がやらなきゃ、私がやらなきゃネギが死んじゃう・・・!!


「お願い、お願い……!こいつはお父さんに会って、よく分かんないのになって、

もっともっと、したい事があるの!

私を助けて死んじゃダメなの!!だから、お願い……ネギを助けて!!」


ペンダントを強く握りしめると、ビシッ!とヒビが入って中から光が溢れだして、

その光が集まって―――一本の剣が出来る。天使の羽見たいな、大きい真っ白な剣。


「え、こ、これ、どうしたらいいの!?」

「言っただろう、それは癒す力。一切の攻撃能力を持たない代わりに、全てを癒す。」

「………よ、要するに。これをネギに……さ、刺せばいいのね?」

「……既に、俺を信じるか信じないかではない。

お前が持っているネギを助ける術は、それしかない。」


だ、だったら、やるしかないじゃない・・・・・・!!

宙に浮いたままだった剣を取って、ネギの胸の上で構える。


「~~~~っふぅ。ね、愁磨先生。」

「なんだ?」

「信じるか信じないか関係無いって言ったけどさ。私は、愁磨先生を信じるよ!」


痛かったらごめんね、ネギ―――!!

手に持った剣を、思いっきり突き刺した。


Side out
 
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