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ゲルググSEED DESTINY

作者:BK201
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第四話 星屑の戦場

「しかし、ボギーワンか……。名はその存在を示すものだ。ならばもし、それが偽りだったとしたら……それが偽りだとしたら、それはその存在そのものも偽り、ということになるのかな?アレックス君?」

そんな話をしている暇はないと思っているクラウ・ハーケンです。いや、真面目にそう思う。ボギーワンを追いかけながらの話ではあるが、こんな機密も何もなさそうな所でそんな怪しげな話を言ったりするのは良くないと思う。
もしバレて、ここにコーディネーター主義のマーレなんかがいたらナチュラルと仲良くしている元トップの息子など許せないだろう。あいつ戦時中はパトリック・ザラ派だっただろうし。

「全機、ボギーワンに接近中。間もなく射程距離に入るます」

そんな不穏な会話が続きながらも戦況は進み続ける。現在デブリ地帯に減速しながら移動中のボギーワンを追撃しているのは四機のMS。ブラストインパルス、ルナマリアの乗るゲルググC型、ショーンとデイルの乗るゲルググA型だ。デブリ地帯でなら小回りの利くMSは楽に接敵できる。しかし、一方でミネルバ等の艦は今現在ボギーワンが行っているように減速しなければ移動できない。その為、MS隊によって艦に近づいてもらっている。ブラストインパルスとゲルググC型は対艦戦用、A型の二機はその護衛だ。

「おかしいわね?」

「何がです、艦長?」

タリアが疑問を口にし、アーサーが尋ねる。俺もなんか引っかかるんだが、生憎高い記憶能力というものは意外と役に立たない。科学知識やら異世界の常識の為に覚えていることが多すぎるせいで、たくさんある引き出しから探し出すように記憶を探っても中々見つからないのだ。
実質、原作知識は微妙に印象に残ってること位しかない。名台詞だとか、機体だとか設定とか。

「え!?ボギーワン、反応消失!!」

「デコイだ!?」

アレックスことアスランが叫ぶ。ああ、そうだ。思い出した。ここは確か後ろに捕り付かれてデブリに埋められるって、やばいな。

「アビス、ガイア、カオス出現!?インパルス、ゲルググ共に囲まれてます!」

「ボギーワン、後ろから反応を確認!接近中です!?」

「何で後ろから!?」

メイリンやバートが悲痛な報告するなかアーサーが叫び、タリアは唇を噛みしめる。完全にしてやられたんだから当然とも言えよう。

「今すぐデブリから離れるべきだ!」

「何をいきなり!?」

チッ、アスランがそう忠告するが、もう遅いって。

「ボギーワンから攻撃、来ます!」

「迎撃準備!とにかく距離をとって!」

必死に距離を取ろうとミネルバは移動を続けるが後ろを取られ、撃たれながらの移動である以上、こちらが逃げきるのは難しい。

「MSの出撃準備をさせて!」

「艦長、このデブリじゃ無茶ですよ!?」

そう、デブリが多いここじゃ発進なんてできるはずもない。止まっているならカタパルトに乗せず発進させることも可能だろうが、足を止めれば後ろから狙い撃ちされる。

「準備だけよ!どちらにせよ、状況が動かない限り、こちらは耐え凌ぐしかないわ!なら準備だけでもしておくべきよ!」

そう言った直後、ボギーワンのミサイルがデブリに放たれる。爆発して、デブリがミネルバに襲い掛かり、ミネルバは減速しだした。

「左エンジンが!?」

「―――ぶつかる!?」

一際大きなデブリに衝突し、そのまま更に減速する。唯一の救いはそのままデブリに埋もれなかったことやデブリの一部にならなかったことだろうか。とはいえ、減速した艦が後ろを取られたままの状況であるのは厳しい。

「今なら、出撃できるはずよ!」

「えぇー!艦長、無理ですって!?」

「歩いてでも何ででもいいから出しなさい!」

さてはて、原作云々を信用する気はないし、このまま生き延びれるかどうかはマーレとレイしだいってところかな。







『さっきの借りを返してやるよ!』

カオスのポッドとライフル、それだけでなく、変形したことによって放つことの出来るカリドゥス改によって動きを押さえつけられる。

「クソ、こいつら!?」

ボギーワンの反応が消え、不意打ちによってこちらは釘づけにされてしまっていた。新型の三機は先程と違い、このデブリ帯では遺憾なく性能を発揮している。空間戦闘が得意なカオスは言うまでもなく、ガイアはデブリを利用してトリッキーな動きを見せ、アビスも変形機構を利用してまるで宇宙を海のように雄大に泳いで攻めたてる。

『シン、このままじゃミネルバが!?』

ルナが警告するが、そんなことは俺もわかってる。ショーンとデイルがアビスを、ルナがガイアを、俺はカオスを相手取る中、ミネルバからの反応が無い状況に苛立ちを募らせる。

『くそっ、謀られた!?』

『畜生、当たれよ!』

ブラストインパルスは機動力が他の二機のシルエットに比べ劣っており、セカンドシリーズのような相手との戦闘での相性は良いとは言い難い。当たれば一撃必殺ともいえるケルベロスとて、撃つ瞬間の隙は大きいし、何より他の兵器はジャベリンを除き実弾のみだ。
ルナのゲルググC型も機動力を多少落としてでも威力の高い兵装を持たせているため駆けるように移動するガイアとは相性が悪い。
ショーンとデイルもアビスとの戦闘で精一杯だ。

「今だ!」

ミサイルポッドを連続して放ち、カオスの逃げ道を塞ぐと同時に敵のポッドを落とそうとする。しかし、ポッドへの攻撃は回避され、カオスも直撃こそ躱したもののミサイルはVPS装甲やシールドによって無効化される。
そもそもインパルスの中でもブラストは俺にとってあまり好みの装備じゃない。機体が重いせいか、こちらの反応に追従しきれない上に、砲撃戦には慣れていないためだ。ゲルググの訓練もC型はマーレさんやルナがいたおかげで殆ど乗っていなかったし。

「クッソォッー!!」

がむしゃらと言ってもいいくらいにビームライフルを連射する。敵はシールドで防ぎながら距離を詰めに来た。サーベルを抜き、一気に倒すつもりなのだろう。だが、

「そう簡単に、やれると思うな―――!!」

ビームジャベリンを二本同時に抜出、片方を投げつける。カオスはぎりぎりで躱すものの、逆にこちらが距離を詰め、ジャベリンによる突きの連続を繰り出す。
そうやって戦っていると、戦況は押されつつも互角の体裁を整えてきた。不意打ちのメリットもこちらの機体を一機も落とせなかった時点で失われつつある。

ルナはガイアとの射撃の読み合いを止め、弾幕戦に切り替えている。元々火力はこちらが上である以上、その判断はあながち間違いではない。
ショーンとデイルも堅実に連携と攻撃をし続け、隙を見せないようにしている。

「ショーン、デイル!こっちで隙を作るから、その間にミネルバに向かってくれ!ルナ、二対三、やれるよな!」

『あったり前でしょ。私も赤なのよ!』

レールガンをカオスに撃ち込み、体勢を崩したところで八発のミサイルを一気に放つ。吹き飛ばされたカオスから狙いをアビスに切り替え、腰だめにチャージしたケルベロスをアビスに向かって一気に放つ。

「今だッ!」

ショーンとデイルのゲルググは一気に加速し、脱出しようとする。それをみたガイアはMA形態からグリフォン2ビームブレイドで後ろから斬りかかろうとするが、ルナマリアのビームキャノンによって遮られた。

「ナイスアシスト、ルナ!」

『とーぜん!ってシン、危ない!』

後ろからアビスが三連装ビームとカリドゥスの計七つの砲を使ってを一気に放ってくる。

「チッ!?」

『貰ったァッ!!』

カオスが躱した先で待ち受け、ビームサーベルを振り抜く。シールドで受け止めきるが、吹き飛ばされ、ルナが助けに来ようとした所でガイアがゲルググに突撃していった。

『これでッ、終わりィッ!!』

アビスが体勢を崩した俺に向かってランスを振り下ろしてくる。

「とらせるかァァッ―――!!」

ジャベリンを盾代わりに防ぎ、あっさりとへし折られるがその間に距離を稼ぐ。そしてそのままレールガンで吹き飛ばす。

『この野郎―――!?』

そんな風に、押されながらも何とか耐え続け、ミサイルの弾薬も尽き始める。ルナのゲルググもシールドを破壊され、ミサイルランチャーの弾も尽きている。
そうして、一分か十分なのか、実際にはどのくらい経ったか分からないものの敵が攻撃を止める。

『クソ、アウル、ステラ。時間切れだ。ネオの方がしくじったらしい。撤退するぞ』

『ええッ、もうちょっとだってのに!?』

『……わかった』

押されていたものの、三機は向こうの状況が変わったのか撤退していった。

『撤退していくってことは、何とか切り抜けたみたいね』

「ああ、ミネルバに戻るぞ」

『あ、ちょっと待ってよ、シン!』

ルナを無視してさっさとミネルバに戻ることにする。とりあえず、この戦闘が終わったら熱いシャワーでも浴びて疲れを取りたい。







「MSを出してきたか。相手も必死だねー」

ボギーワン、ことガーティ・ルーの艦橋で仮面をつけた男、ネオ・ロアノークはそう嘯く。新造艦のミネルバは左のエンジンがやられており、既に羽を捥がれた鳥同然だろう。しかし、窮鼠猫を噛むと言った言葉があるように、そういった相手ほど得てして手強いことを理解しているネオは油断を見せない。

「如何します?こちらもMS部隊を出しますか?」

「そうだな、俺も出よう。少しばかり気になることがあってね」

ネオの補佐的立場でもあるイアン・リーはいつものように身軽さを見せるネオに若干溜息をつきたくなるが、生憎と上官の命令に忠実な彼は指示に従うことを選ぶ。

「戦果を期待してもよろしいのでしょうか?」

「おう、何せ俺は不可能を可能にする男だからな!」

そうして、艦橋から彼は出ていき、愛機エグザスに乗り込む。

「ネオ・ロアノーク、エグザス出るぞ!」

エグザスの特徴はなんといってもガンバレルという特殊兵装である。ワイヤーによってつながった遠隔操作可能な兵器が一機で複数機のような戦いを実現させる兵器なのだ。
尤も、それを扱う為には高い空間認識能力が必要であり、それが可能な人間が連合広しと言えども片手で数えるほどしかいない。より正確にいえば連合の仕掛けたエンディミオンでの自爆作戦が原因で多くの空間認識能力を持つパイロットを失ったからなのだが。

「見つけたぜー、子猫ちゃん」

白い機体と薄紫の砲戦仕様の二機が現れる。そして何か感覚のようなものを感じる。やはりか、とネオは独白しつつ、攻撃を開始した。

「私の相手をしてもらおうか。奇妙なパイロット君!」

『この感覚は、なんだ!?』

白いゲルググとエグザスは共に戦闘行動に入り、薄紫のゲルググ―――マーレ機は他のダガーLと戦闘に入る。

『時代は変わったんだ。ナチュラルは失せな!』

マーレは一気に火器を掃射して、一機のダガーLをあっさりと落とす。

「やるねぇ。こっちもふざけてられないかな―――」

普段の軽い口調から打って変わり、瞬間、ガンバレルが起動させ、二機に襲い掛かり始める。

『チィッ!?』

レイは回避しつつ、反撃を仕掛け、マーレはシールドで受け止めながら、牽制にミサイルを放つ。しかし、射撃の狙いは正確で、マーレは肩に掛けているビームバズーカを撃ち落とされる。
ダガーLも攻撃を仕掛け、レイのゲルググに後ろから斬りかかろうとするが―――

『甘い!』

ガンバレルのビームを反転しながら躱し、そのまま正面を向いた状態でライフルを撃ち、撃破する。しかし、他のダガーLがライフルやバズーカをもってレイやマーレを撃ち落とそうとした時、

『レイ、無事か!』

『マーレさん、援護します!』

ショーンとデイルが増援として到着し、ダガーLを迎撃する。突然の不意打ちに次々と屠られ、或いは傷を負わされていくダガーL部隊を見てネオは撤退を命じた。

「くそ、欲張りすぎは元も子もなくすか、撤収するぞ。スティングたちにも連絡を回せ」

何とか、敵の攻撃を凌ぐことが出来た二人は、傷ついた母艦の状況から追撃に出ることも出来ず、その場で待機する。

「また会おう、奇妙な感覚の少年!そしてザフトの諸君!」

ネオはその様子を見ながら不敵な笑みと共に別れを告げた。

 
 

 
後書き
今日の台詞を書いてて思ったこと
マーレ「議長、インパルスを使わせていただけるならば自分が汚名挽回をしたく」
議長「汚名挽回?名誉挽回の間違いではないかね。それに、その言葉は実績を見せた者が言う事だよ」
アビスを強奪された原作のマーレならありえそうな台詞。もしかしてマーレってジェリドポジ?まあ声優的には叢雲劾が正しいんだけど。 
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