少年は魔人になるようです
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第47話 彼女達は敵達と戦闘を始めるようです
Side 明日菜
「だぁああ~~!また負けたぁーー!」
「フッフッフ。まだまだ修行が足りないです。」
修学旅行三日目、班別自由行動の日。私達は特に計画もなくて、ゲームセンターに来てた。
・・・こんなのでいいの?人生で三回しかない修学旅行。
「明日菜もやるーー?」
「……私はいいわよ。」
「もー、まだ拗ねてるの?ネギ君に置いてかれたのがそんなに気に入らないの?」
そう、ここにネギはいない。
親書を渡す仕事は自分の仕事だから、私は来なくていいって言われた。
そりゃ、私が居ても何にもならないだろうけど・・・。今更、置いてかれるってのも・・・。
「はぁ………。」
「おー、こりゃ相当重症だねぇ……。」
パルがなにか言ってるけど、知らないわよ・・・。せめて目的地教えて貰っとけばよかったなぁ。
「沈む片思い……。そんな乙女の心にウェッティ!!
罹罹狩る・真剣狩る!魔法少女☆アカたん、惨状!!」
「愁磨先生じゃないっすか!こんにちわ~。」
「おう、早乙女その他多数。ご機嫌麗しゅう。」
沈んでいる所にツッコミ満載の登場をした愁磨先生。
しかもそれを無かったように話しているのも癇に障るんだけどぉぉーー!?
「さて神楽坂君。ここにネギ先生の居場所を知っている人間が居る訳だが……。どうする?」
「どうする、って……。どうせ教えてくれないでしょ~………。」
「ありゃ、ホントに重症だな。
フム……じゃあ、条件を満たせば教えてやろう――ってのだったら信じるか?」
どうせ碌なもんじゃないんでしょうけど・・・・。一応聞いておいた方がいいわよね。
「なに、簡単な事だ。"これ"で俺に勝てばいい。安心していいぞ、俺はガチの初心者だ。」
指差した先にあった筺体は、魔法を使って戦うカードゲームだった。
ふ、フフフ・・・・いいわよ・・・。こうなったら、やってやろうじゃない!!
Side out
Side ネギ
「やっとつきやしたね、アニキ。」
「ここが、関西呪術協会本山の入口……。」
炫毘古社・・・?読めないけど、ここの上に西の長が居る。
その人に親書を渡せば、僕の仕事は終わりだ。その後は、僕の好きにさせて貰う。
父さんと・・・あわよくば、愁磨さんの話も。
「行くよ、カモ君。 簡易執行』!」
学園長先生から伝授された、気によって自分を強化する技を使って一気に石段を登る。
僕は一か所から動かせないし2~4倍くらいにしかできないから簡易執行だけれど、
学園長先生は自由自在に『息吹』を動かせるし、数十倍以上に強化できるらしい。
「………おかしいな。」
「妙に長くねェですかい?この石段……。」
今の僕の速さは、時速約100km。
『修羅の息吹』による強化と、当たる風を魔法で追い風にしてるからだ。
それでもう5分は走ってるから少なくとも8km程度は来てるはずなのに、一向に社が見えてこない。
「こりゃぁ……東洋呪術の結界だな。アニキ、分かりやすかい?」
「ごめん、全く……。知ってるのは式紙と多少の攻撃符くらいで、空間系とか補助系は全然。
せめて、目印はつけて行こう。『魔法の射手 連弾・雷の三矢』」
バシバシバシ!と地面に向かって魔法矢を放ち、焦げ跡を付けておく。
こうしておけば戻って来た時とかに役に立つ。
「よし、行こう!」
………
……
…
「ま、マジで終わりがねェのか………?」
「いや、待ってカモ君。この焦げ跡。
どうやら、一定の空間内を広げて、そこでループしてるみたいだ。」
更に五分後。ちょっと走り疲れて来たところで進展があった。
空間の広さはおよそ8km。それだけ走っても本山に着かないから、空間を広げているとしか考えられない。
「とにかく、空間の始点と終点を正確に把握しよ―――――!!!」
ズズゥゥゥン!!
「へぇ……。見かけによらず頭働くんだね。ちょっとだけ見直したよ。」
次の行動に移ろうとした所で、敵らしい僕と同い年くらいの白髪の子が大蜘蛛に乗って出てきた。
けど―――――――なんだ、これは?
なんだろう、なんだ。よく分からないけどこれは、あの次元の敵だ。
愁磨さんとか、父さんとか、学園長先生とか―――そういう次元の、化け物。
「(ダメだ……。戦っても100%勝てない。逃げれない。なら、どうする…?!)
お前は、誰だ……!!」
「ふむ……当然の質問だね。普通ならそっちから名乗らせるけど、知ってるからいいよ。
―――初めまして、ネギ・スプリングフィールド。
『運命を冠する者』がⅢ、しかして真のフェイト・アーウェルンクス。」
・・・理性的な相手ではあるみたいだ。
でも、もしこいつがこの結界を張っていたとしたら・・・・・ダメだ。
「フェイト・アーウェルンクス。僕に何か用か?目的は!!」
「……時間稼ぎか、情報を引き出そうとしてるのか。まぁどっちでもいいけどね。
そうだね………簡単に言うと、ぼくの目的は邪魔者の排除だ。
雇い主の人がね、君は絶対に邪魔するから殺して来いって。」
敵側の、刺客――――!!こんな化け物に命令出来るなんて・・・。
何で制御してるんだ?力か、お金か・・・。人質が効く相手じゃないだろうし。
「ああ、勘違いしないでよ?ぼくは従ってる訳じゃないんだ。
あくまで利用しているだけ。ここに来た目的は・・・そうだね。品定めが正解かな。」
「品、定め………?」
「そう。君が本当にそうするに値するかどうか。それだけだよ。」
分からない。何を言っているは分からないけれど・・・。
敵意は無いって事でいいんだよ、ね?
「……ここから、出して貰える?」
「ああ、良いよ。」(パチン
フェイトが指を鳴らすと、石の矢が三本、鳥居に向かって飛んで行った。
『魔法の射手』無詠唱・・・。しかも、最も高度な物理系を。
「それじゃあ、"警告"はしたからね。」
それだけ言うと、景色に溶け込むように消えて行った。
"邪魔"、"警告"―――つまり、僕が邪魔しそうな事をする計画があるんだ。
普通なら止めるけど・・・。
「絶対に止められないのに行くなんて……。間違いなく笑われちゃうよね。」
「あ、アニキ……!変な事考えねぇでくだせぇ!!
いくら何でもあれにゃ勝てませんぜ。命あっての物種って言うし。」
「そう、だよね……。」
う~ん、きな臭いってだけで何かするって100%決まった訳じゃないし。
警戒はしておくとして、とりあえず今は親書渡しに行かないと!
Side out
Side 早乙女
「よっしゃぁー!これで関西のカード全部だ!」
「……な、なにが初心者よ………。一回辞書で意味調べて来なさいよね……。」
「全くです……。」
明日菜が愁磨先生と戦うこと10回。
最初はいい勝負だったんだけど、3回目から徐々に押されて、6回目からは完全試合。
そこからは私と夕映で仇討ちをしようとしたんだけど・・・・。
「出て来るの全部レアカードとか……。Luk値どうなってんのよぉーー!
せんせー、私の分もやってくれません?って言うかやってーー!!」
「アッハッハ、足掻け足掻け若人。」
「おー、兄ちゃんやるなぁ。ワイと勝負せんか?」
騒いでると、隣の筺体に男の子が座って来た。やりそうな子だね!いっちょコテンパンに――――
………
……
…
「っだああああああああああああ!また負けたぁ!?強すぎやろ!!」
「フッ。俺のHPを半分削ったのはお前で二人目だ。誇っていいぞ少年。」
男の子は私達と比べ物にならないくらい強かったけど、流石に勝てなかった。
ってゆーか出るのレアカードばっかか!!それはそれで困るけどさ!
「くぅぅ!いつかこの借りは返したるで!ほなな、愁磨はん。」
「ああ、君もな。―――」
先生がボソッと何か言うと、男の子はビックリした表情して走ってっちゃった。
んー、不思議な雰囲気の子だったねぇ。
「さって、俺は知り合いのところに行ってくるからな。羽目外し過ぎるなよー。」
「はーーい!奥さんとお幸せにーー!!」
ゲーセンの出口に居たアリカ先生にも向けて言う。綺麗だよねぇ、アリカ先生もノワール先生も。
あんな大人になりたいわよね。・・・不遜とか言わないように。
「あ、愁磨先生カード忘れてってるです。」
「え?あ、ホントだ!」
愁磨先生の座ってた筺体を見ると、貸してたスターターと20枚くらいのカード・・・
つまる所、今日出してたレアカードが全部重ねて置いてあった。
「………これ、くれるって事なのかな?」
「じゃない?いやー、先生ってホントカッコイイよねぇ。さて、次どこ行こっか?」
「わ、私はどこでもー。明日菜さんは――……。あれ?明日菜さんは?」
そう言われて見てみると、明日菜も居なくなってた。
まさか、愁磨先生を追ってった・・・?こうしちゃいられない!!
「私達も追うよ!!」
「……行き先が分かりませんです。」
Side out
―――――――――――――――――――――――――――――
Side 小太郎
「どーやった?小太郎はん。」
「いや、ありゃあかんで千草の姉ちゃん。ワイの正体バレとったわ。
しかも、姉ちゃんと月詠はんによろしく言うとったで。」
でも、足止めは出来たで。こんだけ止めときゃ、あのフェイトとか言う奴が
ネギなんちゃらの事始末しとるやろ。
「あーあ、ワイもやってみたかったわ~。同い年で本気喧嘩なんてした事あれへんのに。」
「そんならフェイトはんがおるやないか。あれならいくらでも相手になってくれんで?」
冗談。あんな化けモンとやったら蒸発してまうわ。
でも、あの織原愁磨言うんは楽しめそうやったなぁ。手加減してくれるやろうし。
ちょっと燃えてきたで、この任務。
Side out
―――――――――――――――――――――――――――――
Side 明日菜
「「「「「「「いらっしゃいませ、織原様。」」」」」」」
「久しぶり~。元気にしてた~?」
私はゲーセンから愁磨先生のあとをつけて、友達の家まで来た。
・・・当然の如くバレてて、門のところで『入らないのか?』って言われて出て来ちゃった。
で、一緒に入ってみたら。巫女さんと神主さん?みたいな人がずらっと並んで挨拶してきた。
ドガァァァァァァァ!!
「やぁ、愁磨!よく来てくれたね。」
「よう詠春。元気そうで何より……っだ!」
ズガァァァァァァァアアアア!!
「え、ちょ!?愁磨先生なにやってんの!?」
と、今度は本堂から渋い感じのおじさまが飛んできて、にこやかに挨拶しながら
愁磨先生に斬りかかった。愁磨先生もにこやかに挨拶しながら反撃してるし!?
「ささ、奥さまとお嬢さまはこちらへどうぞ~。」
「うむ。ご苦労じゃ。」
「ちょ、アリカ先生!?あれ止めないんですか!!」
「此奴等なりの挨拶じゃ。気にするでない。」
挨拶が真剣振りまわしてするものなの!?
・・・・・愁磨先生だったらやりそうで(って言うかやってるし)違和感ないわね。
「聞けば刀子君も刹那君も………あまつさえ木乃香にも手を出しているそうじゃないか!!
あ゛あ゛!?娘が欲しかったら俺を三万回殺してからにするんだなぁぁぁぁぁ!?」
「えっらい勘違いしてるみてぇだけど………望む所だゴルァァァァァァァアアア!?」
「……ふむ、いつもとは少し趣向が違うようじゃな。」
「だったら止めなさいよ!?」
「良いのじゃ」って言いながら指差す方を見ると、温厚そうな綺麗な人が二人に近づいてってた。
ちょ、あれこそ危ないじゃないの!!
「二人とも、そこまでにしとかんと―――怒りますえ?」
「「サーイエッサー!申し訳ございません!!」」
「…………………………………。」
「の?大丈夫じゃったろう?」
もう、なんなのよこの人達・・・・・・。
………
……
…
「コホン……。ようこそ、明日菜君。木乃香から話は聞いていたよ。
いつも娘が世話になっているようだね。」
「は、あの、いえそんな!!私の方こそお世話になってばかりで!!」
「だよなぁ……。」
「そうじゃのう……。」
くぅぅぅぅぅ!赤点は余裕で回避出来るようになったけど、点数はまだまだだから
木乃香に教えて貰ってるわよ!その他も色々と!
なに!?悪いの!?・・・・・・悪いわよね・・・・・・。
「で、愁磨。無関係に近いこの子を連れてきたからには、何か用があっての事なんだろうな?」
「ああ。考え方も物事の把握も、普通の現状より上にはなったが――
その代わり、圧倒的に戦闘経験と現状把握が出来ていない。」
『故に――』と、こっちを向いた愁磨先生が、私に聞いてきた。
「お前は、何を知りたい?何を、成し遂げたい?」
Side out
Side 刹那
「ハァ、ハァ……。ちょ、せっちゃぁーーん。なんやの?」
「刹那ん速いよおーーー!おいてかないでーー!」
「あぁ!すいません、お嬢様、もみじさん!?」
「おじょー、さま、いわんでってぇ~~!あーもー疲れたぁーー!」
班別行動で動いていた私・おじょ・・・このちゃん・もみじさんでしたが、
エヴァさん達が丁度居ない時に敵の襲撃に遭い、こうして逃げているのですが・・・。
白昼堂々狙ってくるとは――
「……仕方ありません。あそこに入ります。」
「あ、映画村。ここに来たかったん?」
「もう、休めるん、なら、何でもいいよぉ~~。」
「と、とりあえず入りましょう!」
映画村に入ると、かなりの人がいた。・・・ここなら、迂闊には襲って来ないだろう。
ノワールさんとアリアさんは朝から行方不明だし、やはりエヴァさん達に連絡を入れて、
援軍が来るまで時間を稼いでいた方がいいか・・・。
「なーなー、せっちゃーーん!これ見てぇ。もみじはんめっちゃかわいいやろ?」
「うぇ!?あ、ハイ。お嬢様ももみじさんも、とても似合っていると思います。」
「ぶー。ボクおまけみたいじゃーん。そんなに変かなぁ?」
いつの間にか着替え、不満顔でくるりと回るもみじさん。
いつもより高い位置で纏めた髪と着物が舞い、名前の通り紅葉を思わせる。
お嬢様も同じ髪型だが簪を付けており、浴衣はもみじさんのとは対照的に落ちついた色で
黒髪がよく似合い、お世辞の欠片もなく、二人とも美しいと思える。
「い、いえそんな!本当に似合っていて綺麗だと思います!!」
「むー。そこまで言うんなら刹那んも着なさい!命令です!!」
「あ、ええ考えやぁ。せっちゃんいっつもかわええ服着ないんやもん。
勿体ない思ってたんやわぁ。」
「え、いや!!私なんかが着ても二人と一緒に居ると比べられて一層貧層と言いますか!?
え、ちょ、やぁぁぁぁあああーーー!!」
………
……
…
「いややわぁ……。ものっすごい綺麗やわ………。」
「うん!すっごい綺麗だよ刹那ん!愁磨が見たら間違いなく一発だよ!!」
「う、うぅぅ……。このような服では護衛が出来ないと言いますか…。うぅ……。」
20分後、私達は着物姿で映画村を練り歩いていた。
着せ替え人形の如く着物を選ばれた結果、私は白に近い淡い桃色の着物を着る羽目になった。
いつもはサイドに纏めている髪も下ろさせられている。
袋に入れてもなお、恐ろしい程に"夕凪"が似合わない。
「うっぅ、私にはこんな格好に合わないのです……。お陰でさっきからみられて……。」
「なーなー、もみじはん。せっちゃんて天然なんかなぁ?」
「それは前からそうだけど……。可愛いとかって言われるのに慣れてないんだろうねぇ~。
今度愁磨に特訓してって頼まないとね!!」
「すぅぅぅっごい逆効果やからやめとき。」
私が項垂れていると目の前に馬車が止まり、貴婦人の恰好をした女が降りて来る。
顔を覆っていた扇を取ると―――
「お、お前は!!」
「どうも、そこの東の洋館の貴婦人でございます~。借金のカタにそこのお嬢さん貰いに来ましたえ
~。」
一昨日の夜お嬢様をさらっていった女の仲間―――確か月詠とか言う。
しかも、私にだけ分かるように発言とは違う口の動きで『神鳴流』と言って来た。
こいつが、私と同じ剣を使うと言うのか・・・?
「こんな場所で、一体何の用だ!?」
「せっちゃんせっちゃん、これお芝居や~。」
「映画村じゃ、突然お客さん巻き込んでお芝居始めるんだって。ラッキーじゃん♪」
とは言いつつも、もみじさんは一昨日の話を聞いているので真剣な顔だ。
なるほど、劇に見せかけてお嬢様をさらおうと言う魂胆か。しかし―――
「そんな事は許さない!お嬢様は私が守る!!」
「キャーーー!せっちゃんかっこええーーー!!」
「刹なーーーーん!ボクも守ってぇ~~!」
と、お嬢様ともみじさんが両側から抱きついて来て、周りから囃しの声が上がる。
『キマシタワーーー!』ってなんですか!?もみじさん分かってたんですよね!?演技ですよね!?
「ウフ、ウフフフフ……。ほな、仕方ありませんなぁ……?」
「む」(パシッ
「木乃香様を賭けて、決闘を申し込ませていただきます
ぅ~。
30分後、シネマ村の正門横にある『日本橋』で待ってますぇ~。」
月詠が手袋を片方投げてきて、条件反射で受け取ってしまう。
とは言っても、逃げれるわけもないか・・・。
「逃げたらあきまへんえ……?ほな、また会いまひょ。
助っ人は連れてきてもかまいまへんで~~~。」
「あ、あぅ……。」
月詠は最後、狂気とでも言える気を放ち、馬車に乗って去って行った。
目的はお嬢様なのか、それを口実に私と戦いたいのか―――。
「あ…。大丈夫ですか、お嬢様……?」
「う、うん……。えへへ、ちょっと怖かったけど。こんなんでこわがっとったらあかんもん。」
「ほえ?なんか怖かったかなぁ。」
ぽやっとしていても、流石は魔王・・・。あの程度の狂気では動じないと・・・。
恐怖だけでしたら、修行中の愁磨さんと比べ物になりませんが・・・情けない。
ところで。
「この恰好のまま戦わないといけないんでしょうか?」
「「そんなのあたりまえやん(じゃん)。」」
Side out
Side 木乃香
「ウフフフフ……。待っとりましたえ~~。始めまひょか、センパイ…。
二人とも私のものにして見せますえ。」
30分後、私らはいわれた通りに日本橋に来た。
橋の真ん中には、もう月詠はんがまっとって・・・・ワラっとった。
「せ、せっちゃあん……。あの人、やっぱ怖い……。」
「…………………。」
せっちゃんの袖を握るけど、反応してくれへん。
や、やっぱりせっちゃんも怖いんやろか。せやったら、私なんかのために戦わせられへ――
「安心して、このちゃん。」
「ふぇ?」
せっちゃんは一回振り返ると、刀を抜きながら歩いてく。
「私が、絶対このちゃんを守ってみせる。」
「せ、せっちゃん………。」
「「「「おぉおおぉおぉぉぉおおおおぉおおぉおおおーー………。」」」」
と、後ろを見たら観客の人が大勢集まっとった。こ、これ大丈夫なんやろか?
「もーー!刹那んだけかっこよすぎーーー!僕だって木乃香を守りたいんだから!!」
「え、あ、すいません……。でも、相手は一人ですし。」
「心配しないでいいですえ~。その子の相手はこの子達がしますからぁ~。
『ひゃっきやこぉーーーー!!』」
月詠はんが20枚ほどの札を投げると、そこから妙にかわいらしい妖怪が出てきて、
武器も何も持っていないもみじはんに襲い掛かる。
「もみじはん、あぶ――」
「フフン、今のボクを甘く見て貰っちゃ困るよ!!『魔炎 扇』!!」
もみじはんは地獄の炎を扇型に作り出し、熱風だけで妖怪を全て薙ぎ払う。
す、すごい。前は垂れ流すだけやったのに、いつの間にこんなに制御できるように・・・?
「ど?少しは強くなったでしょ♪」
私の考えてた事が分かったんか、振り返ってウインクしてくる。
少しやなくてすっごいつよぉなっとるやん!!
「あらぁ……。それが噂の魔王はんやったんですね~。だったら相手を変えまひょ。
出てきてください、『十一鬼王』。」
今度はすっごい大きい札を投げると、そこから出てきたのは―――――
人間くらいの、すっごい怖い・・・鬼やった。
「さぁ、死合まひょか。センパイ、魔王はん……。」
Side out
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