異次元の決闘者
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ミスト・バレーの戦士 前編
前書き
さて、この後どんな風に物語を展開していくか悩みどころです…
ラヴァルの決闘者火野熔と戦い三日経ち、それから目を覚ました融はガスタの里でお世話になっていった。ジェムナイト達もしばらくここで待機をするらしい。
「あれは何だろう?」
融はガスタ一族から借りていた家を出て、空を見上げて呟いた。オーロラと言うべきなんか鮮やかな風が吹いていた。
「あの風最近吹いてきたの」
「へぇ……って!? ウィンダ!」
「え? どうしたの」
「いや、いつの間に?」
「さっき見かけたから」
驚いている融にウィンダは不思議そうに首を傾げる。
「てか、トオルこそ何しているの?」
「いや、考えてごとをしていたら外の風を浴びたいなぁって」
「考え事? あぁ…あれの事?」
「そうあれだよ」
2人は同時に溜息をついた。これはこの間の出来事である。
-三日前-
「私たちは君を認められない」
「…え?」
熔との戦いにの後気絶して目を覚ました時、知らないジェムナイト達がいる。
「私はサニクス。隊長たちと同じジェムナイトだ。突然ラヴァルとの戦闘が終わったと思えば、隊長が君を連れて我らの決闘者と言われ私は頷くことが出来ない」
何やら憤怒を堪えているかのような様子に融はただ聞いていた。後ろにのジェムナイト達も同じようだ。
「それを君に言いに来ただけだ」
サニクスはトオルに背を見せて出て行く。それからクリスタが入ってきた。
「今はサニクスが出ていくのを見たから、もしやと思ったが目を覚ましたようだな」
「クリスタ。サニクス達は大丈夫なのか? なんか仲間割れみたいな感じなっているけど…」
「彼らには時間が必要だろう…だが君の力になるという者もいるから安心してくれ全員がサニクスのような戦士ではない」
「そうか、ならまだ良かったよ」
「私たちはしばらく、ここのガスタ一族の里でしばらく滞在することになった。ラヴァル達の動きが気になるからな」
「ラヴァル……」
あの時のデュエルを思い出し冷や汗が噴き出す。あれはギリギリの勝利だった。一歩間違えたら負けていたのは自分だったかもしれない。
「トオル。不安なことがたくさんあると思うが、私達に君の力を貸してくれ」
クリスタの言葉にトオルは頷く。
「任せてくれ」
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「あの時はそういったけどな。正直、まだ俺はこのジェムナイトデッキを使いこなしていないしまた熔みたいなやつと戦うことになると勝てるか分からない」
「やっぱり、サニクス達がいないのはきついね」
「うん。てあれ? サニクス?」
「あ、ほんとだ。でも何しているんだろう?」
融とウィンダの先にはサニクスが空を見上げつつ何かを追うように歩いていた。
「もしかし、あの風を追っているのか?」
「そうみたい。もしかしたら気になっていたのかな? どうする? 追う?」
「そうだな…追ってみようか」
融とウィンダはサニクスの後ろについて行く。しばらく歩くと霧が段々と濃くなってきた。まるで訪れたものを惑わすように。
「霧が濃いな…」
「そうだね。もしかしたら先は霧の谷〈ミスト・バレー〉に近づいているかも」
「ミスト・バレーってウィンダの里じゃないのか?」
「うんん。私たちはミスト・バレーの大湿原といってこの付近に住んでいるだけなの」
そういってウィンダは目を細める。
「きっとここにはミスト・バレーの戦士達いる所ね」
「ミスト・バレーの戦士って?」
「――それは過去の大戦で戦った偉大なる戦士達だ」
「「!?」」
後ろから声を掛けられ2人はビクッと体を震わせる。ブリキのように首を後ろに向けるとそこにはサニクスがいた。
「い、いつから?」
「結構前から君たちが追ってきたことには気づいていた。君たちもあの風を追ってきたのか?」
「ま、まぁ、そんなとこかな。ハハハハ」
ウィンダたちは苦笑いをした。サニクスを尾行してきたとはとても言えない。
「でもこの霧じゃ、これ以上進めなさそうだな…」
「そうね。どうする? 戻る?」
「肝心の風も見えなくなったからな…ん? 少し晴れてきてないか?」
サニクスの言葉に融達は辺りを見回した。
「確かに、でもなんでだ?」
「あれ見て!」
ウィンダが指を刺す。融、サニクスもその方向を目を向けて驚愕する。そこには複眼をもった巨大な芋虫のようなモンスターがいたのだ。背中から霧を放出しているどうやらあれが霧の原因のようだ。
「なんで、霧を消したんだ?」
「もしかしたら、私達をどこかへ案内したいみたいだな」
「どうする? ついて行く?」
「…もしかしたら何か俺たちに伝えたいことかあるかもしれないしついて行ってみよう」
融は歩き出しウィンダやサニクスもついて行く。
不安定な岩場を越して歩き続けて数十分後。融達は疲れ切っていた足を止めた。
「ここは…」
「さっきと違って、広い場所に出たようだ」
「こんな広い所なんてあったなんて知らなかった。ずっと一本道の崖だと思っていたから」
「ガスタの者さえ知らない場所いうことはもしや…」
「ミスト・バレーの戦士達が住んでいる所か!」
「その通り」
「なっ、どこから人の声が? 周りにはいないのに…」
「トオル。上よ」
「う、上!?」
ウィンダの言葉に反射的に見上げると絶壁といえる崖にぶら下がっている者がいた。人の姿をしつつ体の一部に翼が生えている。間違いないサニクスと同じこの世界の住人だと融は悟る。
「その漆黒の翼…もしや霧の谷の執行者〈ミスト・バレーの執行者〉殿とお見受けします」
「いかにも、そなたはジェムナイトの騎士だな」
「ミスト・バレーの執行者?」
「いかにも、サニクスと申します」
「執行者って、ミスト・バレー達のナンバー2と呼ばれているあのお方!?」
ウィンダは驚いたかのようにマジマジとミスト・バレーの執行者を見た。どうやら融の予想以上に偉いお方らしい。
「どうやら、そなたはガスタ一族の者のようだな」
「は、はい。ガスタの巫女をしているウィンダと申します」
「そうか。そして、お前がこの世界に招かれた。決闘者か」
執行者は融に目を向けて聞く。まるでどんな人間なのか見定めようとするようなそんな目だ。
「さっきの霧を出していた虫に止めたのってもしかして…」
「そう、私が命令し、そなたたちをここまで招きこんだ」
「どうして、そんなことを…」
「それは、そなたの力を知るためだ」
「何?」
執行者は崖を掴んでいた手を放す。落下するのと同時に漆黒の翼を使って融達のところまで降りてきた。
「さぁ、構えろ。そしてこの私がそなたが本当にこの世界に必要な決闘者か確かめてやろう」
「はぁ!? いきなり現れて何言ってんだよ。……けど、デュエルをするって言うなら逃げる理由はないな。いいぜ。その勝負受けて立つぜ」
融は左腕を構え宝石で作られたデュエルディスクを召喚して装着する。
「トオル」
「ん? なんだよ。サニクス? うわっ!」
名前を呼ばれ融は振り向く、その時には既に一枚のカードを投げられ慌ててキャッチした。なんだよとカードを見ると融は驚いたかのようにサニクスをみる。
「ついでだ。オマエの力を見せてもらおう」
「へへっ、サンキュー。負けねぇから」
「トオル…そなたの名前か」
「まぁな。じゃ、始めるか」
「トオル。そなたとジェムナイトの力見せてもらうぞ」
「「デュエル!!」」
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