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ヘタリア大帝国

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TURN79 天才の復活その五

「あの状況ではね」
「カテーリングラードで玉砕した筈ですが」
「どうして生きているのかしら」
 こうまで言うグレシアだった。
「その辺りも調べたいけれど」
「今は我々は太平洋にいますので」
「ドクツ本土までは人をやれないわね」
「残念ですが」 
 エルミーはこうグレシアに話した。
「それは」
「妹さん達から聞いてみたいけれど」
「あの方々とはドクツとは国交断絶になりましたので」
「会えないからね」
j「そうなっています」
「諦めるしかないわね。元帥には悪いけれど」 
 グレシアはこう前置きしてから二人に話した。
「私はどうも彼を怪しいと思っていたのよ」
「何を考えているかわからないというのですね」
「不気味な男ね」 
 これがグレシアのヒムラーへの評価だった。
「有能には違いないけれど」
「彼は変わりました」
 ロンメル自身も言う。
「以前は明朗闊達な男でした」
「ああした感じじゃなかったのね」
「はい」
 その通りだというのだ。
「今の彼は裏に何かありますね」
「そうね、だから油断出来なかったけれど」
「ドクツの総統になりましたね」
「しかも敗戦国であそこまで一方的な条件を相手に飲ませたわね」
「はい」
 エイリス、そしてソビエトにだというのだ。
「突如として親衛隊の大軍を用意してね」
「今の彼は謎に満ちています」
 ロンメルはその隻眼に怪しむものを見せて言った。
「士官学校で俺の同期だった頃とは別人です」
「そこまで違っているのね」
「そもそも彼は普段手袋をしていませんでした」 
 今は必ずしている、そこからして違っていた。
「裏表のない明朗闊達な人物でした」
「あのヒムラーが!?」
 ロンメルのこの言葉にはグレシアも驚きを隠せない。
「そうだったの」
「そうだったのです。ですから内心驚いていました」
 ロンメルはこのことも話した。
「外見や声は同じですが別人かと思いました」
「そこまでなのね」
「何かあることは間違いないです」
「問題はその何かね」
「そうです、信じたいですが」
 まだこの感情はあった。ロンメルにとってヒムラーは士官学校の同期であり友人であった、このことは変わらないことだからだ。
 だからこう言う、しかしそれでもだった。
「疑わざるを得ません」
「そういうことね。何故生きていたかも不思議だし」
「それに大怪獣です」
 サラマンダーの話も出る。
「既に英雄ベオウルフに倒された筈ですが」
「あれもまだ生きていたことが不思議だけれどね」
「しかもその大怪獣をコントロールしていますが」
「大怪獣をコントロール出来るのは怪獣姫だけよ」
 四国のあの怪獣姫だけだった。
「ドクツにそうした娘がいたかしら」
「心当たりがありません」
「私もよ。祖国さん達に聞いても同じでしょうね」
 グレシアは難しい顔で語る。
「何か。ドクツは私達の知っているドクツとは全く別の国になってきたわね」
「第三帝国ではあっても」
「ええ、怪しい国になったわ」
「全くです」
 彼等は彼等の祖国のことに暗いものを察し不安を感じていた、そしてそれ以上にレーティアのことにも不安を感じていた。  
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