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ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?

作者:あさつき
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一部:超絶美少女幼年期
  十四話:ものは考えようです

「ドーラったら、どうしてあんなに、ふつうに話せるの?相手は、オバケなのよ?私たち、オバケたいじにきたのよ?おまけに部屋の中を探し回って、ものをもらうだなんて!信じられないわ!」

 ビアンカちゃんに、すっかり呆れられてしまいました。

 だってー。
 黙って部屋を漁るのも、アイテム諦めるのも、どっちも嫌じゃない!

 だがしかし。
 呆れられっぱなしではハーレム計画に支障が出るので、ここは丸め込んでみるとしましょう!


 真面目な顔を作って、ビアンカちゃんに問いかけます。

「ビアンカおねえさんは、あのひとが、わるいひとに、みえたんですか?」
「そうじゃないけど」
「でも、あのひとを、たいじしようと、おもうんですか?」
「……だって!そうしないと、ネコちゃんを、助けられないじゃない!」
「そうでしょうか?」
「え?そうでしょ?あの人が、レヌール城のオバケなんだから」

 心底不思議そうなビアンカちゃん。
 話を上手く誘導するには、まずは疑問を持ってもらわないとね!

「あのひと。かなしそうでした。」

 最終的にちょっと楽しそうになってたが、それは置いといて。

「しんだあとも、てんごくにいけないひとは。おもいのこしたことがあるんだって、しんぷさんにききました。」

 そんな話は特に聞いてないけど、どこの世界でもだいたいそんな感じだろう!

「……だから。天国に、行かせてあげないと、いけないでしょ?」
「はい。でも、まものをたおすみたいに、あのひとをやっつけても。あのひとも、わたしたちも。もっと、かなしくなるだけです」
「……」

 ビアンカちゃんの、反論が止まった!
 もうひと押し!

「おもいのこしたことがあるなら、それをさがして、なんとかしてあげればいいんです。それで、オバケさんたちが、てんごくにいけたら。オバケを、たいじしたことに、なるとおもいます!」
「……」
「だから。おしろのなかを、さがしましょう?」

 捜索と言う名目の家捜しを!

「……そうね。どうせ天国に行くなら、うれしい気持ちで行けたほうが、いいもんね。ごめんね、ドーラ。私、かんちがいしてたみたい」

 たぶん勘違いでは無いけど、そう思って頂ければ幸いです!

「(勘違いでは無いので謝らなくても)いいんです!それじゃ、いきましょう!ネコちゃんも、あのひとも!どっちも、たすけてあげましょう!」
「うん!」

 こっちのほうが、目的として気持ちいいよね!



 すっかり捜索に協力的になったビアンカちゃんと共に、引き続きお城の中を探索します。
 いちいちアイテムを回収する件について突っ込まれたらまた丸め込もうと思ってましたが、今のところ大丈夫です。
 ビアンカちゃんもまだまだ子供だし、私がやたら堂々としてるからね!



 そんなこんなで、今度は透けてる中年男性発見。

 ……まあ、悪くは無い。
 貫禄があってまあまあ渋いので、オヤジ好みの人には、ウケるかもしれない。
 だけど、私は別にいいや!
 奥さんを、大事にしてあげてね!
 お互い、もうお亡くなりですが!

 ビアンカちゃんももう慣れたのか、固まる様子もありません。

 とりあえず声をかけようとすると、透けてる男性はふわりと浮かび上がり、こちらを向いたまま、背後の扉をすり抜けて姿を消します。


 ……めんどくさ!
 知ってたけど、目の前でやられると、やっぱめんどくさ!!

 用があるなら、ここで言えよ!すぐ言えよ!
 いい歳して(死後の経過年数含めたら大変なことになるだろうに)どんな構ってちゃんだよ!!

 男性とか丁寧なのはもういいや、オッサンでいいやアレは。
 特に好みでも無いことだし。

「王様みたいだったわね。さっきの人は、王妃様かな?とにかく、追いかけましょう!」

 いい子だねえ、ビアンカちゃん。
 仕方ないから、そうしようかね。



 透けてるオッサンがすり抜けた扉を開けて、オッサンを追いかけます。

 バルコニーの端で、オッサンは立ち止まっています。
 いかにも声をかけて欲しそうに、こちらに背を向けて、佇んでいます。

 ……うぜえ。

「王様!なにか、困ってることがあるんですか?」

 声をかけるのすらなんかもうめんどくさい気分に陥っていると、ビアンカちゃんがオッサンに声をかけてくれました。

 すまないねえ、ビアンカちゃん。
 いい子だねえ、ビアンカちゃん。
 焚き付けたのは、私だが。

 オッサンは、ゆっくりと、勿体ぶって、振り返ります。
 ……ホント、いちいちこのオッサンは。

「……城が、騒がしくてな」

 そういう勿体付けた言い回しとか、いいから。

「どういう、ことですか?」

 素直に、問いを重ねるビアンカちゃん。
 お任せします、おねえさん!

「我と我が妃が、永久の愛を育んだ、麗しの我が城に。穢らわしくも化け物共が、棲み付きおって。城の者たちの魂も、奴等に囚われ弄ばれて、嘆き続けること幾星霜。皆の苦しみ嘆く声と、奴等の下卑た嬌声に、静かに眠ることも叶わぬのだ」

 もー。
 簡単に言えよ!
 化け物に城乗っ取られて困ってるって、それだけ言えよ!
 こちとら、子供なんだよ!!

 ほら、ビアンカちゃんがポカーンなってるじゃない!

「え?……えー、と?」

 めんどくさいが、仕方ない。
 子供に合わせるとかいうスキルを、このオッサンは持ってない!

「うーん。むずかしくて、よくわかりませんけど。ばけもの?わるいこ?たちを、たおせば、いいんですか??」

 小首を傾げて問い返すドーラちゃんに、尤もらしく、重々しく、頷いて見せるオッサン。

「うむ。死して(からだ)を喪いしこの身の上では、助力すること叶わぬが。其方らが往くべきその道を、導くことは、出来ようぞ。城の地下の(くりや)より、聖なる力を秘めし(たいまつ)を持ち、魔界の亡霊を(しりぞ)けて、憎き奴等めを、いざ!討ち果たして参れ!」

 あー、はいはい。

「ちかに、たいまつが、あるんですね?わかりました!いきましょう、ビアンカおねえさん!」
「え?……そ、そうね!行きましょう!」

 オッサンはまた重々しく頷き、またふわりと浮かび上がって、扉をすり抜けて城内に戻ります。

「おいかけましょう!きっと、みちを、おしえてくれるんですよ!」
「そうね!よーし、行くわよ!」



 目的がはっきりしたところでビアンカちゃんも気を取り直し、再びめんどくさいオッサンを追いかけます。

 オッサンは大仰な身振りで錫杖(しゃくじょう)を振るい、閉ざされた扉を開いてくれながら、先導して飛んで行きます。

 アレだ、芸人さんかなんかだと思えば、面白いと思えないこともないね!
 そういうアトラクションだと思えばいいんだよ!
 乗るか!折角だから!


 気分を切り替えて楽しくナビゲーターのオッサンを追いかけてると、大広間に出ました。

 哀しげに嘆き声を上げながら、騒々しい音楽に乗って、幽霊たちが踊ってます。

 その幽霊たちを囃し立て追い立てて、化け物たちが笑ってます。

 ……待ってて!みんな!
 すぐに私たちが、助けてあげるから!(アトラクションの正義の味方役のノリで)


 自分の無力さを噛み締め、みんなの嘆きを振り払うように歯を食い縛って(役作り)走り抜け、立ち止まったオッサンが錫杖を振りかざして階段を指し示すのを、ハッとした様子(の演技)で見つめます。

「さあ!往け!」
「はい!いってきます!」

 ビアンカちゃんと頷き合い(完全にその気ですね、ビアンカちゃん!)、地下の厨房に続く階段を駆け降ります!

 アトラクションのキーアイテム、聖なる松明(たいまつ)を目指して!! 
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