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ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?

作者:あさつき
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一部:超絶美少女幼年期
  十二話:やっとお城に入れました

 お城の中に入るには、当然ながら入り口を通らねばならないわけですが。

 ()いてる入り口を(あらかじ)め知ってるとかおかしいので、閉まっているとわかっている正面玄関に、ひとまず向かいます。

 ビアンカちゃんに(ひら)こうとする様子が無いのをさりげなく確認し、当然のように扉に手をかけます。
 恩着せがましいのは、逆効果だからね!
 あくまでも、さりげなくね!

 扉を引くと、ガチャン!と閉まった鍵が引っ掛かる音がして、ビアンカちゃんがビクッとなります。

「うーん、あきませんね?」

 気付かなかったフリで、小首を傾げて困ったフリ。

「どこか、開いてる裏口があるかもしれないわ。探してみましょう!」
「はい!」

 ちょいちょい、ビアンカちゃんに仕切ってもらってプライド保持!


 城の裏手に回り込んで、屋上まで長く続く梯子を見つけます。


 さて、問題です。

 ドーラちゃんとビアンカちゃん、どっちが先に登るべきでしょうか?

 A・当然ドーラちゃん。
 外観では魔物は出ないことになってるはずだが、やはり念のため、先に進んで安全を確かめるべき。
 ビアンカちゃんに、パンツを見られます。

 B・やっぱりビアンカちゃん。
 見えない場所というのは恐怖を煽るもの。
 後からなんか着いて登ってくるんじゃないかという恐怖からビアンカちゃんを守るため、ここは先に行かせるべき。
 ビアンカちゃんの、パンツが見られます。


 幼女のパンツとか別に見るも見られるも(同性なら)興味無いわけですが、将来的にはこれは由々しき問題だね!
 惜し気も無くパンツを晒す痴女と化すのも、見られるのを気にして動きが制限されるのも、どっちもごめんですよ!
 対策を考えねばなるまい!

 ……って、今はそんなことよりビアンカちゃんですよ!
 と言っても説明すると変に恐怖を煽るし、どうしたものか。

 ……とりあえず、A案を勧める方向で!
 よくわからん恐怖より、身の安全ということで!

「これを、のぼればいいんですね?さきに、いきますね!」

 ここまでも私が前に出てたし、特に不自然では無いはず!

「待って!」

 が、間髪入れずにビアンカちゃんの制止が入ります。

 ビアンカちゃんも賢いからね、説明しなくても、そりゃ気付くよね。

「ドーラは、あとから来て!」

 B案推しですか。
 了解です!

「わかりました!」

 そしてビアンカちゃんが梯子に手をかけ、上に向かって登り始め、……ません。

「……」

 その状態で、固まってます。

「……やっぱり、わたしが、さきに、いきますね?」
「待って!だいじょうぶだから!今、行くから!」
「……わかりました」

 これは、大丈夫では無い感じですが。

 かと言って背負って登れるほどドーラちゃんも体力あるわけじゃないしなあ、どうしたものか。
 でも、時間も無いし。
 ビアンカちゃんの踏ん切りがつくまで、待ってあげたいのは山々(やまやま)だが。


 ……時間が、無いの!
 ごめんね、ビアンカちゃん!!


「……ビアンカおねえさん。うしろから、……なにか……」
「えっ?……キャー!キャー!!いやー!!」

 日頃鍛えた演技力を(もっ)てして、非常に思わせ振りなセリフを吐いたドーラちゃんに、悲鳴を上げてすごい勢いで梯子を登って行くビアンカちゃん。
 効果は、抜群だ!

 ていうかひとりで突入されたら困るし、とっとと追いかけよう!


 ステータスの差を以て必死なビアンカちゃんにあっさり追い付き、屋内に転がり込もうとするビアンカちゃんの腕を掴んで引き留めます。

 このテンションであのイベントに突入したら、それこそ大変!

「キャー!!キャー!!」

 混乱状態で、ドーラちゃんをも振り払おうとするビアンカちゃん。
 ステータス高いので負けませんが。

「ビアンカおねえさん!だいじょうぶです!なにも、いませんから!」
「キャー!?……ほ、……ほんと?」
「はい!」
「でも……!さっき……!」
「かんちがいでした!」

 てへぺろ的な。

 個人的に、お茶目ぶって舌ペロリと出すあの動作が好きじゃないので、実際にはやりませんが。
 ……可愛いか?あれ?
 ドーラちゃんなら、あれですら可愛いのかもしれないが。
 ビアンカちゃんがやったら、……あれ?
 いい、かも?
 ……でも!やらないから!

「……もう!びっくりさせないでよ!」
「ごめんなさい!」

 てへぺろ(気分だけ)。

「……もう、いいわ。今度から、気を付けてね?」
「はい!」

 もうドーラちゃんがこんなことする必要は、無いと思うけど。
 このあと、本物が来るんだよね!

「入り口が、開いてるわね。それじゃ、行きましょうか!」
「はい!」

 この後の展開考えたら先でも後でも関係無い気はするが、ビアンカちゃんが前に出たがる様子も無いので念のため先に立って、いよいよ城内に侵入します。


 扉も無く開放された入り口を通り抜けるドーラちゃんに続き、ビアンカちゃんも城内に入った、その瞬間。

 ガシャーン!と派手な音を立てて鉄格子が落ち、出入口を閉ざします。

 ……もー!
 音とか、やめてよね!

「キャー!キャー!!」

 ビアンカちゃんが、びっくりしちゃうでしょ!
 もっと静かに、閉められんものかね!?

 ついでに照明が落ちて、室内が真っ暗になります。

 大丈夫だとは言ってあげられないけど、とりあえず呼びかけるか。

「ビアンカおねえさん!だいじょうぶですか!?」
「やだー!!はなしてー!!」

 稲光で、何者かに連れ去られるビアンカちゃんの姿が一瞬浮かび上がり、そして消えます。

 ……ああ。
 やはり、捕まってしまったか。

 私も女の子なわけですが、やはりそっちなわけですか。
 性別じゃなくて、強さとか性格で判断してるのかな?
 ここにビアンカちゃんひとりで残されるよりは、たぶん良かったけど。


 ともかく、捕まること自体は想定内で仕方ないとは言え、早く助けてあげないと!

 急ぐよ、私!! 
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