異次元の決闘者
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灼熱の決闘者 前編
前書き
ようやくデュエル!
「な、なんだ!?」
「もしかしや…奴らはここを攻めに来たのか!?」
狼狽える融に対し、ウィンダの父が立ち上がり外に出た。皆、そのあとを追う。
そこは融の世界ではありえない光景だった。
「も、モンスター!?」
なんと、溶岩のような体を持った生き物が暴れていた。融はただ驚くしかなかった。
「彼らは、灼熱の溶岩地帯に住む戦闘民族『ラヴァル』。…好戦的でただ闘争を楽しため戦争をする部族。そして、彼らと戦っているのは…」
カームが指をさす。ラヴァルと交戦するまた別の部族がいた。
様々な輝きを持った鎧を着た騎士が戦っている。それぞれ胸には色にあった宝石が埋まっていた。
「…彼らは『ジェムナイト』温和で優しい心持った騎士。だからラヴァル達に対して反撃はしないけど、ラヴァル達は攻撃をすることをやめない」
「なんか、ジェムナイトの方が劣勢に見えるけど…」
「それは、ラヴァルが異次元世界から……決闘者を呼び込んだから」
「決闘者?」
「私達が知らないカードを持っている人でラヴァル達に新たな力を与えた」
「キャッハァァァァァッ! この程度かよ!」
突然男の声がラヴァルから聞こえ融は顔を向ける黒いタンクトップを着た自分と変わらない人間がラヴァルの前に出て指揮をしていた。
「あれが、決闘者?」
「ラヴァルが反撃しないジェムナイト達に苛立ち、彼らは異世界から実力ある決闘者…デュエリストを呼び込んだ」
「そんな自分勝手な理由で…」
「そして、あなたも同じ」
「は?」
「ジェムナイト達を助けて欲しいという私の祈りをあなたは助けに来てくれた」
「そいうことか…俺はどうやって彼らを助けたらいいんだな?」
「そう…」
融は走り出した。
「トオル! 危ないよ!」
ウィンダが融に呼びかける。だが融は止まらない、ジェムナイトと呼ばれる騎士達の所まで駆け抜け
「やめろ! これ以上戦う意味はないんだろ!!」
「あぁ? なんだテメェ?」
突然乱入してきた融に、ラヴァルのデュエリストが攻撃の手を止めて睨む。
ラヴァルだけではなく、ジェムナイト達も攻撃の手を止めた。みんな融に目を向けた。
「俺はアンタと同じ、異次元世界から来た人間だ!!」
「なんだと?…そうか、ようやくジェムナイト共も異世界から人を呼んだのかよおいっ!」
「我々は異世界から呼び込んでいないぞ!」
ジェムナイトと呼ばれる騎士が驚いたように言った。指揮をしていると思われるクリスタルを纏った騎士が融を見る。
「俺はカームの声を聴いてきたんだ! アンタ達を助けて欲しいと!」
「カーム…ガスタの一族のものか」
「今アンタらは苦しいんだろ? こんな自分勝手な奴らに負けていいのかよ!」
「だが、私たちは彼らと戦う理由はない」
躊躇うジェムナイトに融は叫ぶ。
「その気持ちはわからないことはないけど、このままじゃ、アンタらだけではなくカームやウィンダの一族もこうして戦場に巻き込まれているんだ! このまま負けてたら他の人達も傷つくんだぞ! そんなことおこっていいはずないだろ?」
「それはそうだが…」
「なら、俺がオマエ達を助ける! だから、俺は何をしたらいいか教えてくれ!」
融は後ろを見る。ジェムナイトの騎士はまるで融を見定めるように首を動かし見た。
「…………分かった。確かに今反撃をしなければ私たち以外の者も巻き込まれてしまうかもしれない。よかろう、私は君のその瞳を信じよう」
「ひ、瞳?」
的外れの理由に融は眉をひそめる。
「おいっ! もう茶番は終わったのかよ? ならさっさと構えやがれ」
「か、構える?」
タンクトップの少年の言葉に疑問を持つ。
「んなの決まってんだろ。デュエルに決まってんだろよ! さっさとデッキを出しやがれ」
タンクトップの少年の左腕から溶岩が集まる。あれはデュエルディスク? 融は唖然とするまさか、少年はデッキを取り出しセットした。まさか本当にデュエルをやるのか? と疑問がよぎった。
「分かった。デュエルやればいいんだな? …てあれ?」
「どうした?」
「デッキがない…?」
融は腰に付けていたデッキケースがないことに今気づく。もしや、どっかで落としてしまったのか?
「どうした? 早く構えやがれ!!」
少年は融の様子に気づかず、目を細める。どうしたらいいのかわからず融は焦るが後ろのジェムナイト達が融に声を掛けた。
「これを使ってくれ」
「え?」
クリスタルの騎士の手にあるのはデッキだった。
「これは?」
「私達の力が集結したデッキだぜひ使ってくれ」
「お、おう…」
「君の名前は?」
「俺は遊騎融。アンタは」
「私はジェムナイトの隊長を務めているクリスタだ」
「クリスタ…分かったありがとう!」
「私は遊騎融。君を信じよう」
デッキを受け取った瞬間、左腕に宝石のような輝きを持ったデュエルディスクが現れた。
「ようやく準備出来たようだな…オレの名前は火野熔(ひの よう)だ」
「俺は遊機融だ! 行くぞ!」
「来いよ!」
「「デュエル!!」」
「オレのターン! ドロー。カードを一枚伏せてターンエンド」
(火野はモンスターゾーンに一枚伏せただけ? 手札事故か?)
「ドロー!」
融は引いたカードと手札を見て顔をしかめる。
(ほとんど通常モンスター? まだこのデッキが分からない…ここは)
「俺はジェムナイトガネットを攻撃表示で通常召喚! そしてガネットで伏せカードに攻撃!」
ジェムナイトガネット
ATK 1900
DEF 0
炎の拳で伏せカードを殴る。そこに現れたのは歯車のような物を回すモンスター。
ラヴァルの炎車回し
ATK 300
DEF 400
「よし! 打点は勝った! 破壊だ」
「オレは炎車回しの効果発動!このモンスターは戦闘で破壊された時デッキからラヴァルと名の付くモンスターを2体墓地に送る」
「何! 墓地肥しか!」
「オレはデッキからラヴァルのマグマ砲兵とラヴァル炎火山の侍女を墓地に送る更にラヴァル炎火山の侍女の効果発動。自分の墓地にラヴァル炎火山の侍女以外のラヴァルがいるときデッキからさらにもう1枚墓地に送れる」
「なっ!」
「そしてラヴァル・ガンナーを墓地に送る。火車回しの効果を合わせて墓地に4枚のラヴァルが墓地に落とせた。ありがとよ」
「くっ、ターンエンド」
「もう終わりか、行くぜ。ドロー! 手札からラヴァルバーナーを特殊召喚このモンスターは墓地に3種類のラヴァルがいるときに特殊召喚が出来る。そしてラヴァル炎火山の侍女を通常召喚」
2体のモンスターがフィールドに並ぶ。熔はニヤリと笑う。
「いくぜ。オレはレベル5のラヴァルバーナーとレベル1の炎火山の侍女でチューニング!」
「シンクロ召喚!?」
「青の炎を司る獣人。真の炎を奴らの目に焼き付かせろ! シンクロ召喚 蒼炎の使い手ラヴァル・グレイター!」
「くっ!」
爆発が起こりそこから青い炎を纏った獣人が現れる。
ラヴァル・グレイター
ATK 2400
DEF 800
「へぼい炎を使うキンピカ野郎を壊せ! グレイターでジェムナイト・ガネットを攻撃!」
「が、ガネット!」
ジェムナイト・ガネット
ATK 1900
DEF 0
応戦するガネットだが火力が及ばずグレイターに胸を貫かれ破壊された。
「っぐ! アツっ!」
するとライフダメージと共に熱気が襲い掛かる。
「まさか…ライフと共有しているのか?」
遊騎融LP4000→3500
おそらく、そうなんだろう。もしダイレクトアタックを食らったらたまったもんじゃない。
後書き
中途半端で申し訳ありません。後篇に続きます。
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