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八条学園怪異譚

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第三十四話 眼鏡とヘッドホンその九

「無茶苦茶ですから」
「言うわね、お酒があれば飲むのがね」
「普通ですか?」
「上杉謙信は無類の酒好きだったのよ」
 何故かここであまりにも有名な戦国大名の名前を出す。
「だからね」
「あの、謙信さんは関係ないですよ」
「例えよ、例え」
「どういう例えですか」
「だから。お酒はあれば飲む」
 どういう理屈かわからないがこの理屈を出すのだった。
「それが私なのよ」
「何時か糖尿病か脳溢血になりますよ」
 酒につきものの病気だ、上杉謙信も死因は脳溢血だったという説がある。
「いつも凄く飲まれてますし」
「だからちゃんとしてるから」
 そうした病気への対策はだというのだ。
「そこはね」
「だといいですけれど」
「本当に注意して下さいね」
 愛実だけでなく聖花も言う。
「お酒は百薬の長ですけれど百毒の長でもありますから」
「そうしたところは」
「わかってるわよ、私だって早死するつもりはないから」
 だからだというのだ。
「これでもお酒飲まない日もあるのよ」
「えっ、そうなんですか?」
「休肝日設けてるんですか」
「あるわよ、ちゃんとね」
 二人に笑顔で話す。
「水分もかなり摂ってるしトライアスロン部に入ってるのもね」
「糖分の消費ですね」
「その為ですね」
「そう、トライアスロンは普通のスポーツじゃないからね」
 水泳から自転車、そしてマラソンだ。その激しさは他のスポーツと比べてもかなり凄まじいものである。茉莉也はそれをしているのだ。
「だからなのよ」
「それをされてるんですか」
「あえて」
「そうよ、まあトライアスロンをしていないとね」
 このことは自分で認識していた、茉莉也自身もだ。
「かなりまずかったわね」
「お酒に甘いものですから」
「だからですね」
「そう、飲んで食べるからにはそれなりのことをしないとね」
 こうもなかを食べながら語る。
「さもないと身体壊して飲むことも食べることも出来ないからね」
「成程、そうですか」
「そういうことですか」
「それでよ、いいわね」
 茉莉也はまた話を戻してきた、やはいり話は彼女のペースだ。
「博士のところに行くわよ」
「はい、わかりました」
「今からですね」
「ちょっと待って、博士おられるかどうか確認取るから」
 それからだというのだ、茉莉也は巫女の服から自分の携帯、スカーレッドの綺麗なそれを取り出した。そしてだった。
 メールを入れた、そこから言うのだった。
「今ろく子さんにメール入れたから」
「博士の秘書のですね」
「あの人にですか」
「すぐに連絡返って来るわ、研究室におられたらね」
 その場合はというのだ。
「行くわよ」
「わかりました」
 二人は茉莉也の言葉に頷いた、頷いたその瞬間にだった。
 茉莉也の携帯の着信音が鳴った、そして返信のメールを確認すると。
「おられるわ」
「あの研究室にですか」
「じゃあ今からですね」
「ええ、行くわよ」
 こう二人に言う、そして今飲んでいる抹茶を一気に飲み干してもなかも口の中に入れて三口程噛んで飲み込んでから言った。 
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