ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
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一部:超絶美少女幼年期
十話:いざ!思い出作り☆
ドキドキし過ぎて眠れないかと思いきや、やはり子供の身体だからなのかなんなのか、ビアンカちゃん家の宿屋さんのフカフカベッドで横になると、あっという間に眠りに落ち。
夕食に起こされて、ビアンカママンのお料理に舌鼓を打ち。
サンチョもお料理は上手いんだけど、この辺の郷土料理とは違うからね!
村でご馳走になることもあるが、食べ慣れてるほどでも無いし、村のともまたちょっと違うしで、新鮮で美味しかった!
夕食後はお風呂に入ったら、昼間よく寝たのにまた眠くなって、短い時間にも拘わらず爆睡……。
「ドーラ。起きて。ドーラったら!」
……はっ。
ああ、マジ寝してたわ!
時間短いし、もう起きてようかと思ったのに!
でもマジ寝だと短時間でもスッキリするよね、学校の休み時間とかよくやったわー。
「……ビアンカおねえさん。ごめんなさい、ねちゃいました……」
身体が、まだちょっと起ききってない。
私の身体も六歳とは言え、ビアンカちゃんなんか中も外も八歳なのにね、しっかり起こしてもらって、なんか申し訳ない。
「いいのよ、ドーラはまだ小さいんだから。さ、行きましょ!」
中は、実は全く小さく無いんです……。
……まあいいか!
実際、身体は小さいしね!
「はい!」
「しーっ!静かに!おじさまが、起きちゃうわ!」
「はい!(小声)」
そう言えば私がこんな怪しげな行動を取って、パパンが勘付かないわけが無いと思うのだが。
咳き込んだりはしてないけど、もう病魔に蝕まれているんだろうか……。
……ごめんね、パパン!
私は、行きます!
思い出作りに!!
ビアンカちゃんの後に着いて、宿をこっそりと脱け出します。
ビアンカちゃんは宿の鍵も持ち出して、脱け出した後の戸締まりも抜かりありません。
本当に、しっかりしたお嬢さんで。
さらに、夜のアルカパの町を通り抜け、居眠りしてる門番さんを横目に、町も脱け出します。
私たちの行動はこの後たぶんバレるわけだが、この人の責任問題になったりしないんだろうか。
……なにかとwebで炎上する現代社会とは、違うからね!
大丈夫だろう!たぶん!
ていうか自業自得!
子供は、こういうもの!
私たちの素敵な思い出のために、犠牲になってください!!
と、散々自分を正当化しながら、門番さんを起こすこともなく、無事に町を脱け出します。
「ここまでくれば、もうだいじょうぶね!さあ、レヌール城に、行くわよ!」
「はい!」
ムチを構えて、やる気満々のビアンカちゃん。
まだ魔物の姿は見えないので、今からそんなに力んでたら疲れると思うんですが。
気持ちは、わからんでもない。
ところで、ムチ初心者であるのはまあ確定として(私もブーメラン初心者だし)、戦ったことはあるんだろうか。
「ビアンカおねえさんは、まものと、たたかったことは、あるんですか?」
「……ドーラは?」
ああ、無さそう。
しかし、私も公式には(パパン&サンチョへの建前上は)無いことになってるわけで。
なんと答えたものか。
A・年下ぶって嘘を吐く。
ビアンカちゃんがお姉さんぶれる反面、戦闘経験者がいない不安感を与えます。
嘘がバレた時のダメージが深刻。
B・正直に話す。
こっそり脱け出してた問題行動がバレます(今更感)。
妹キャラ崩壊の危機。
頼れる一面に、新たな魅力を見出だしてもらえる可能性あり。
……ウソ、イクナイ。
「……おとうさんは、たたかわせてくれないので。むらのどうくつで、こっそり」
「そう!……で、でも!戦ったことはないけど、ナイフで戦う練習は、ずっとしてたんだから!……ムチは、初めてだけど!」
ホッとした顔の後、慌てて言い足すビアンカちゃん。
うんうん、年下に頼り切ってるなんて、思われたくないんだね!
可愛いね!
「わたしも、ブーメランは、はじめてだから。いっしょですね!がんばって、つかえるようになりましょうね!」
フォローのように言いましたが、実際かなり不安なとこです。
大丈夫なの?こんな、単純に振り回せば済むわけじゃないもの、いきなり持っちゃって?
今更だけど。
……だって!
先のこと考えたら、やっぱり使えるようにならないとね!
遺伝的な、才能的なものが、なんとかしてくれるかもしれないし!
そうこうしているうちに、魔物の群れを発見です。
グリーンワームです。
でっかい芋虫的なアレ。
キャー!虫、イヤー!
みたいなことにはならないんだろうか。
ビアンカちゃん、女の子だし。
「よーし!行くわよ!」
大丈夫みたいです。
張り切って向かって行くビアンカちゃんを巻き込むといけないので、ちょっと待ちます。
私のステータス的には、まともに投げて当てられれば、一ターンで全滅させられそうだし。
張り切ってるビアンカちゃんがガッカリだよね、それじゃ!
「えーい!」
ビアンカちゃんが、思いっ切りムチを振るいます。
ずいぶん思い切りがいいけど、大丈夫かな?
外してもいいけど、自分に当てないでね!(ハラハラ)
ムチは予想外にしっかりとした軌跡を描き、ビアンカちゃんの身体を掠めることも無く、かといって魔物に当たるでも無く。
何もいない空間をビシリと打ち果たし、ビアンカちゃんの手元に戻ります。
「え?どうして、当たらないの?」
再度、ムチを振るおうとするビアンカちゃん。
それは無い!
「ビアンカおねえさん!いちど、さがってください!」
ドーラちゃんの鋭い声に、ハッとして下がるビアンカちゃん。
グリーンワームの攻撃が、ビアンカちゃんがいた空間を薙いで空振ります。
セーフ!
よし、私のターン!
さすがに町中で投げてみるわけにはいかなかったけど、手元で何度もスナップを利かせる感触を確認し、イメージしておいた通りにブーメランを投げます!
果たしてイメージ通りにブーメランは飛んでいき、グリーンワームを次々に切り裂いて、私の手元に戻ってきます。
パシッ!といい音を響かせて、ブーメランを受け取る私。
……こえー!!
なにが怖いって、受け取るのが怖い!
失敗すると、手ぇ切れるんじゃないの?これ!
慣れれば大丈夫そうだけど!
とにかく、グリーンワーム全滅!
「ビアンカおねえさん!だいじょうぶですか?」
ビアンカちゃんに、駆け寄ります。
グリーンワームの反撃は当たって無さそうだから、大丈夫だとは思うけど。
ビアンカちゃんに、万一にも、傷なんか残すわけにはいきませんよ!
私が付いている限り!!
「……大丈夫。……ごめんね、ドーラ」
ああ……!
無傷なのはいいけど、ビアンカちゃんが、しょんぼりしちゃってる……!
「はりきって飛び出したのに、当てられないし、無理してこうげきされそうになっちゃうし。ドーラに全部まかせちゃって、なさけないね」
「そんなこと、ないです!わたしも、はじめは、おとうさんに、そだててもらいましたから!じぶんでたおせなくても、いっしょにいるひとがたおしてくれるだけで、すこし、つよくなるんです!」
「……そうなの?」
「はい!だからわたしも、ひとりで、まものをたおせるようになったんですよ?」
本当は、ドーピング前にもう倒してたけれども!
嘘も、方便!
「そう、なのね」
「はい!それに、あたらなかったけど、ムチがきれいにうごいてました!なれたら、ちゃんと、あたるようになります!はじめてなのに、すごいです!」
私、必死。
でも、これは本当。
あんなにしっかり、振るえると思わなかった。
なんだかんだ、ビアンカちゃんも特別な血筋だからなあ。
必死のフォローの甲斐あって、ビアンカちゃんの表情が明るくなります。
「……そうね。最初から、そんなにうまくできるわけ、ないわよね。ごめんね、ドーラ!早くうまくできるように、私もがんばるね!」
「はい!がんばりましょう!」
気を取り直したビアンカちゃんと共に、再びレヌール城を目指して歩き出します。
……こうやって、思い出は増えていくんだね……!
出だし、好調!!
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