IS 〈インフィニット・ストラトス〉×トリコ 食を探求する夏の毒!
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無用な気遣い
一日の授業が全て終了し放課後なった時、一夏は教室でこれからどうしようか考えていた。このまま食堂に行って食事に勤しむのも悪くない。が、正直ぶっちゃけ、食義の奥義『食没』を体得している為、数ヶ月は食事を取る必要性は無い。そこでぶつかった問題、これからどうしようかと。
「う~ん・・・どうしようこれから・・・。運動でもするか?身体が鈍りそうだし、でもな~・・・俺一人でか?あ~あ~・・・龍兄とココ兄はこれねぇだろうしどうっすかな~」
「一夏」
一夏が色々と思考していると、箒が再び話しかけてきた。一夏はイスの背凭れに凭れ掛ってそのまま言葉を返す。イスはかなり斜めになっており、奇跡とも言える角度で立っている。
「何?俺これからどうするか思考中なんですけど?」
「何を考えているんだ?」
「ん~?どういう風にあの身の程知らずの馬鹿で無能で無知な奇抜な髪型の代表候補生 (金髪ドリルクロワッサンヘアー)を調理してやるかだけど?」
一夏の発言に教室にいた女子、廊下にいた女子達は呆然とした。相手は国家代表候補生だ、簡単に言えばエリートだ。ISの稼働時間は一夏などとは比べ物にならないほど長いだろう。
「本気でいっているのかそれ」
「ん?当たり前だろ、ISっつっても乗ってるのはただの人間だ、やりようは幾らでもあるしな。それに俺、IS相手に生身で稽古してたから」
「「「「「はぁぁああ!!?」」」」」
爆弾発言、生身でISと稽古をしていた!?この発言に女子達は凍りついた。
「それ本当か!?」
「ああ本当も本当、本気と書いてマジと読む(`・ω・´)キリッ」
「解り易い嘘をつくな!!」
「嘘じゃねぇのに(´・ω・`)ショボーン」
「擬音を口で言うな!!」
一夏と箒のコントのようなやり取りは周囲の女子達に笑いを齎していた。
「龍神君って面白い人だね」
「そうだねなんだか接しやすいし、なんだか好印象だよね」
「なんか撫でられたいな~」
「っつうかIGOの上層部の人間は普通にIS使わなくてもつぇえしな・・・俺も含めて」
「?何を言ってるのか解らんが、とりあえず付いて来い。お前がどれぐらいの腕前か見てやる」
「ぁあ?何言ってんだお前?正気?それとも発狂中?」
一夏は素でそう思った、こいつは自分より強いと思っているのかと。
「いいから付いて来い!!」
「へぇへぇ・・・面倒くせぇな・・・」
一夏は渋々席を立って箒の後に続いていく、連れて行かれたのは剣道場。特典として大量のギャラリーつきで
「・・・なして剣道場?」
「お前の剣道の腕を見るためだ」
そう言って箒は剣道の防具を着けて竹刀を構える。一夏はそんな箒を見て呆れた。
「はぁ・・・まさか今から剣道やれってか?」
「その通りだ、さっさと防具を付けろ」
「いらねぇよ」
「なんだと!?私を馬鹿にしているのか?防具を着けずに私と手合わせをすると?」
箒は近くに用意された防具には全く興味を示さずに竹刀を一本だけ持って肩に担いでいる一夏に怒りを感じながらそういうが、一夏は呆れたようにいう。
「俺に合うサイズの防具があるなら別だけどな」
「あっ・・・」
そう、用意された防具は全く持ってサイズが合わない、小さすぎる。っというかほぼ2mの一夏に合う防具なんてあるはずが無い。
「それに俺がやってるのは剣道じゃなくて剣術だ。剣術に防具なんて必要ないの、剣術は実践向けなの、俺は防具なんて実践でも使わない派なの一発でも食らったら終わりだと思ってるの、意識の差が理解出来た?Do you understand?」
一夏は軽い言葉で言う、勿論これは挑発である。その時一夏は地味に腹が立つようなドヤ顔をしていた。この顔でそんな事を言われた箒は、プッツンと来た。
「いぇやぁぁぁぁぁ!!」
一夏目掛けて思いっきり竹刀を振り被って突進する。一夏は全く構えていない、不意打ちに近い。そして箒の竹刀は一夏に振り下ろされたが。
「・・・あれ・・・?」
感触がなかった、相手を取られた筈なのに感触がなかった。箒が竹刀を見ると・・・
「な、何!!?」
竹刀が、鍔の先から吹き飛んでいたのだ。それも当たりにその破片が転がっているならまだ良い。その破片が一切ないのだ。
「やっぱりアマチュアか。この程度で俺を試そうとはね~」
一夏は凄く残念そうな声で言った。そのまま自分の竹刀を見ると先革と中結の丁度中間辺りが焦げているのだ。一夏はその焦げ方を見て不満足そうに溜息をつく。
「それで?どっするの?これで明らかに俺の勝ち」
一夏はぽんと軽く箒の頭を叩いた。面ありっである。
「ま、まだだ!誰も一戦で終わりとはいっていない!!」
「そりゃまぁ言ってないけどさ・・・」
「次行くぞ!」
「逝くの間違いじゃね?」
※15分後・・・
「まだやんの~?」
「と・・・当然だ・・・」
剣道場にあったのは折れて使い物にならなくなった竹刀数本と、床につっふした箒。それを呆れ半分、嫌気半分で見ている一夏だった。ギャラリーは目の前で起きている事が信じられなかった。箒は中学の全国剣道大会で優勝する腕前、一夏が勝てるはずがないと思っていた物が多数だったが、実際はどうだ。箒は赤子の手を捻るが如く蹂躙されていた。箒は息絶え絶え、汗だくなのに、一夏は汗一つ欠いていない。圧倒的な実力差だ。
「おまえさぁ・・・いい加減にしてくん無い?お前が俺の幼馴染だがなんだか知らないが俺はその事を全く知らない、勝手にお前の知ってる俺と、今の俺を重ねないでくれる?すんげぇ迷惑なんだわ。それと、俺は何時までも自分勝手な雑魚の相手をしてるほど暇じゃないんだわ」
「っ!!!き、きさまぁぁぁあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
箒は激昂して竹刀を持って力任せに、一夏の顔面目掛けて突きを決めた。その手応えは確かで箒はやった!と思った、が
「「「きゃぁぁああああああああああああああ!!!」」」
「「「た、龍神君!!!」」」
女子達の悲鳴で箒は我に帰った、自分は今何をした?一夏に突きを決めたのだ、だが何処に決めた?顔面だ・・・。
箒は自分がとんでもない事をしてしまったと震えた。全身が震え始め、動かなくなっていく。唐突に訪れた罪悪感、どうすればいいのだ、と尋問自答しようとした時
「あ~あ・・・いきなり何してくれるのかしらねぇ」
箒がその声に反応して、ゆっくり竹刀をどかすと、全く無傷の一夏がそこにいた。ギャラリーも箒も何故無傷なんだ!!?と不思議に思った。簡単な事だった、突きが決まった部分は口だった。一夏は突きを歯で挟み込んで止めていた、これだけだった。
「もう面倒だから俺帰るぞ、それじゃあな。自己満足な剣道少女さん。あっ、折っちゃった竹刀は俺の方で弁償しときますからご心配なく、明日には新品届けさせますから」
そう言い残して一夏は剣道場から去っていった。剣道場に残ったのは呆然とする箒とギャラリー、そして不思議な重苦しい空気だった。
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