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グラールの神機使い

作者:GOLD
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5-3

「グラール太陽系……亜空間……フォトン」

 ペイラーが準々に単語をメモすると、普段通りの表情でにっこりと笑った。

「実に興味深いねぇ。つまり彼は、亜空間に飲み込まれて異世界にいるわけだ」

 実際に感応現象で見たとはいえ、そこまではっきり言われるとやはり信じられない。

「異世界? 亜空間ホール? ぜ、ぜんぜんわかりません……」

 ようやく戻ってきたフェデリコとアネットも混乱状態。

 リンドウは……

「俺が……一番感応現象起きやすいんじゃなかったの……」

 ものすごく落ち込んでる。

「1人感応現象が起きなかったからって拗ねるな、リンドウ」

「そうは言いますがねー姉上……」

「姉上と呼ぶな。とにかく、リュウジの生存は確認できたという事だろう?」

 そう言われると、なんだか嬉しくなる。

 支部長を止めたアツシと、リンドウを助けたリュウジ。

 この2人がいて、初めてアナグラなのだ。

「にしても、あいつも災難だな。よりによって異世界とは……そも、確かめる方法も呼び戻す方法も、今はないんだからな」

 テラの言う事はもっともだ。だが、今は生きている事がわかっただけでも、十分喜ばしい事だ。

「でも……」

 突然、アネットが不安そうな声を上げる。

何かと全員が聞き耳を立てると、緊張したようにアネットは呟いた

「テラさんの言った通り、私たちにできる事って、本当に何もないんでしょうか。呼び戻すための何か、とか……」

「無理を言うな。それに、今はこうしてあいつの動きを観察して、記録しているだけでも十分な力になれるはずだ」

 テラが、珍しく優しげな口調で言った。

 どうやら、後輩には優しいようだ。

「じゃあ、私達どうすれば?」

 アリサが不安を煽るように言葉を上げると、ツバキが溜め息を付きながら言った。

「決まっている。今まで通りアナグラ周囲でゴッドイーターとしてアラガミを狩り、定期的に感応現象で様子を見ればいい。というより、それしかできんだろうな」

「普段の生活、か……」

 アツシが呟く。その合間に、リュウジの動向を探るしかない。

 近づいたようで、遠い。

 全員が、溜め息をつくしかなかった。

「今すぐなんとかすることはできんが、今後手に入る情報も増えるだろう。そうやって解決していく以外、今は出来る事は無いぞ」

 ツバキさんの言う事はいつも正論だ、とアツシは思った。

 感応現象も、いつでも引き起こせるような物ではない。

 しかし、アリサはまだ納得がいっていないようだった。

「だったら、もっと感応現象を起こしましょう!」

「起こしましょうって……簡単にできるわけじゃないんだろ? 感応現象って」

 リンドウの発言も無視し、アラガミのような右腕を乱暴に握る。

「アリサ……君は感応現象の起こし方を知ってるだろ?」

「なら、リーダーも手伝ってください!」

 アツシの手も握るが、やはり何も起きない。

 すぐに手を離し、次を握ろうとした。

 しかし、アリサが掴もうとした手は逃げてしまった。

「……アネット」

「すいません、今の先輩は、冷静ではないと思います……」

 よく見ると、アネットの瞳は赤い。

「辛いのは、先輩だけじゃありません。みんな辛いと思います。でも、だからこそ、リュウジ先輩に近づくために、私たちは冷静でいないと、ダメじゃないですか?」

 フェデリコも続ける。

「僕も、できる限り協力しますよ。だから先輩、落ち着いてください」

「貴様らバカップルすぎるぞ」

 テラすらぼそりとつぶやく。せっかく真面目な雰囲気だったのに、2人の顔が一気に燃え上がった。

「テラ先ぱぁぁぁぁい!」

「す、すまん……」

 アリサも、一瞬考えてしまった自分が馬鹿らしくなり、ぶっきらぼうにアネットの手をつかんだ。

 その時、予想外の出来事が起きた。

「きゃっ!?」

 感応現象が起きたのだ。

 再び鮮明に映し出される光景。

 リュウジは、どこかのベッドに横たわっているようだった。 
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