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八条学園怪異譚

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第三十四話 眼鏡とヘッドホンその三

「そうでしょ」
「それはちょっと」
「どうしても」
 二人はここでも真面目に返す、この辺り二人は茉莉也と違いこなれてはいない。
「やっぱり結婚するなら男の人がいいです」
「女の子とは考えられないです」
「まあ私もだけれどね」
 茉莉也は自分のペースのまま二人に返す。
「結婚するのは男の人、彼とでね」
「先輩もじゃないですか」
「男の人とじゃないですか」
「女の子は恋人、それか愛人ね」
 こう二人に言う、今日も朝から。
「愛人って」
「何か酷くないですか?」
「酷くないわよ、昔は一妻多夫だったこともあるし」
「それ日本ですか?」
「日本のお話ですか?」
「何処かの国ではそうだったらしいけれど日本じゃどうかしらね」
 日本についてはこのことはわからないというのだ、このことは。
「一夫多妻は多いけれどね」
「というか殆どの国は昔はそうですよね」
「フランスでも王様は愛人の人一杯いましたし」
 所謂寵妃のことだ、ルイ十四世やルイ十五世はそちらの方面でも歴史に名を残している。
「日本でも今はそうした人いなくなってますけれど」
「お妾さん持ってる人いましたよね」
「ちょっと前の政治家の人とかね」94
 茉莉也もこのことは知っていた、もうそうした政治家も表だってはいなくなったが。
「いたでしょ」
「そうですね、本当にちょっと前までは」
「そうした人もいましたね」
「今じゃすぐにスキャンダルになるからいなくなったわよ」
 少し浮気がばれただけでマスコミに集中攻撃を浴びたりネットで晒される、厳しい時代になったと言うべきであろうか。
「女でもね」
「女でも浮気すればですか」
「叩かれる時代なんですね」
「まあ浮気はよくないわね」
 あくまで異性のことについてはである。
「男の人は旦那様だけにしないとね」
「じゃあ女の子はですか」
「そちらは」
「そう、何人でもいいのよ」
 茉莉也はその独特の考えを出して話す。
「女の子はね」
「何人愛人にしてもですか」
「そうしても」
「そうよ、だからあんた達もどう?」
 思わせぶりな笑みで二人を見つつ問う。
「大歓迎よ」
「遠慮します」
 二人は同時に茉莉也に答えた。
「私達ノーマルですから」
「確かにいつも一緒にいますけれど」 
 それでもだというのだ。
「それでもそうしたことしませんから」
「浮気とか百合も」
「一緒に入るのに?」
 茉莉也は二人が一緒にベッドや風呂に入ることを指摘した。
「それでも?」
「ですから、仲がいいだけですから」
「子供の頃からですから」
 二人は眉を曇らせて茉莉也にこう説明した。
「女の子同士なら普通ですよ」
「そういうことは」
「まあそうね、ただ私は警戒されてクラスメイトからそれだけは駄目って言われるのよね」
「先輩同級生の人にもそうしてるんですか?」
「セクハラとか」
「スキンシップよ、スキンシップ」
 それをだというのだ。 
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