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マブラヴ オルタネイティヴ 紅き飛竜の騎士

作者:ピエール
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第十三話 模擬戦

 
前書き
更新がかなり遅れました(-_-;) 本当にすいませんでした。

2013/8/17 追記しました

 

 
1994年 2月30日 時刻 0950 富士演習場


演習場には既に12機の不知火が所定の位置で待機をしていた。 今回の模擬戦で富士教導隊の使用する不知火は帝国軍の正式採用型の不知火と違い先行量産型であるが各隊員の技量の高さで性能の差を補っていた。 

隊員達は対戦相手が来るまで通常通信を使い作戦や陣形の確認などを行っていた。

ただ一人、教導隊の隊長である藤岡修一大尉は今回の模擬戦の目的について深く考えていた。


「(今回の模擬戦・・・如何にも解せんな。 如何に新型試作機の性能評価とはいえ我々教導隊の本拠地であるこの富士演習場で模擬戦など我らに有利過ぎるのではないのか? だが、殿下が観戦するこの模擬戦負けるわけにはいかぬ。 何時もの如く勝利するだけだ)」


相手の力量や機体性能は未知数ではあるものの、今まで通りに戦い勝利する。 この時まで彼はそう考えていた。

そんな時、僚機である一機から通信が入ってきた。


「隊長、少しよろしいでしょうか?」

「なんだ?」

「模擬戦相手の情報なんですがなにも無いのでしょうか?」

「それだが機体名だけは解ったぞ」

「そうなんですか?」

「ああ。機体名は[ガンダムエピオン]だ」

「ガンダム?それは何かのコードネームでしょうか?」

「さあな。兎も角、油断だけは・・・」


その時だった。 別の僚機から通信が入ってきた。


「隊長!!12時の方角から高速で接近する飛行物体を捕捉しました。間もなく有視界で確認できる距離です!!」


部下の言う方角に視線を移すとそこには信じられない物が目に映った。 


推奨BGM「ゼロの伝説」


其処には見慣れない物が飛行していた。 戦闘機や輸送機とは違うフォルムであり、まるで御伽噺にでる紅い色をした双頭竜の姿をした物が悠々と飛行していた。


「なんだ・・・あれは・・・」


驚くのはまだ早かった。 その飛行物体は急降下したかと思ったら変形し始めたのだ。

頭部と思わしき部分だった箇所は脚部となり、爪先からは手が出り、胴体部分から顔が起き上がるように変形し人型になった。

変形し終えると空中を横に一回転するとゆっくりと地面に向けて降下し着地すると、緑色の鋭い眼が此方に光らせた。


「(あれは・・・戦術機・・・なのか?・・・)」


従来の戦術機とは異なるその機体はまるで竜の姿をした騎士にも見え私は若干戸惑った。


その様子は特別観客席から見ていた殿下達も同様だった。

特別観客席には殿下だけでなく、護衛の月詠真耶、斯衛軍大将の紅蓮 醍三郎、巌谷少佐がその様子を観ていた。


「巌谷少佐。あれがそなたの言う[ガンダム]という機体なのですか?」

「そうです殿下。あれがガンダムいう機体で私が見つけた希望でもあります」

「あの機体、まるで中世の騎士のような姿じゃな巌谷」

「はい。篠崎少尉の話のよりますと、設計者の騎士道精神が反映された姿との事です紅蓮大将」

「では、ガンダムの戦いこの眼に刻み付けましょう。よいですか紅蓮、巌谷?」

「「仰意」」


ただ一人月詠真耶は静かにガンダムエピオンを見つめると心の中で呟いた。


「(篠崎竜也・・・・貴様の戦い見せてもらうぞ・・・必ず勝てよ・・・)」



俺は指定待機地点付近まで待機していた。


『マスター。間も無く模擬戦開始5分前です』

「いよいよだな『イクス』」

『はい!!なんかワクワクして私のオイルが沸騰しそうです!!』


お前は何処のアイアンリーガーだど心の中でツッコミを入れつつ最終チェックを済ませていく。

今回の模擬戦で使用する俺のコールサインは[エピオン]だ。CP(コマンドポスト)にも事前に知らせているためも問題はない。

そんな時、CPから通信が入ってきた。


[CPよりエピオン。模擬戦開始1分前です。武運をお祈りします。]

「こちらエピオン。了解した。」


どうやら戦いの始まりらしい。


「行くぞ『イクス』!!準備はいいな!!」

『はいっマスター!!全力全開でいきますよ!!』


正々堂々と模擬戦開始だ!!!!!


同時刻


教導隊の方もCPからの連絡を受け戦闘態勢に入っていた。 彼らのコールサインは〔ストライカー〕であり相手のコールサインも知っていた。


「ストライカー1より全機へ敵は一機であるが性能は未知数である。 陣形は鶴翼参陣(ウイング・スリー)だ。B小隊は左翼、C小隊は右翼に展開後、先行し敵を引き付けろ。 可能ならば撃っても構わん。私とA小隊は中央で構える。 撃てる距離まで近づいてきたら撃て。」

「「「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」」

「(さて、奴はどう打って出る・・・片方に向かえばもう片方に撃たれ、こちらに来れば背後から撃たれる。 どう考えても我らの勝利しか考えられん。 殿下も観られるこの模擬戦、速やかに決着させるとしよう。)」


俺はその頃、エピオンを動かさず相手が現れるのを待っていた。 その時、『イクス』から報告が来た。


『マスター!!敵機を確認しました。数は8機、左右に4機ずついます』

「8機?12機じゃなくてか?」

『はい。そうですけど』

「そうか。わかった」


なるほど。その8機はこっちの様子見がてら来たようだ。 俺は機体を動かすことなく、その場で構えていた。


『マスターまもなく敵機の射程距離ないです。』

「わかった。距離150まで来たら仕掛けるぞ」

『はい!!目標との距離500・・・450・・・350・・・300・・・250・・』


推奨BGM 「ROMANCERS’NEO/水樹奈々」


俺は深く深呼吸し精神を集中しはじめた。 俺は一人ではなく『イクス』と[ガンダムエピオン]いう頼りになる相棒がいる。 だから、恐れはしない!!


『200・・・150!!』

「今だ!!行くぞ『イクス』、ガンダム!!!」

『はい!!!!』


俺はエピオンにビームソードを持たせると、機体をフルブーストさせ一番近い距離にいる右側の4機に向かった。 体にかかるGがきつく感じたが目の前の敵に集中した俺には気にもならなかった。

敵機の不知火はガンダムエピオンの急加速に驚いたのかほんの一瞬動きを止めた。 それを見逃す俺ではない。

最初の4機はエピオンのビームソードで、まず1機目は左から右に横薙ぎに斬り、擦れ違いざまに2機目も横に切り伏せた。

残りの2機が突撃砲で撃ってくるが左右にバレルロールしながら避けらがら近づき、左下から右上に向けて纏めて斬り付けた。


「残りはあの四機か・・・」

『いけますかマスター?』

「ああ。当然だ!!!」


俺は左側に展開していた不知火に向け機体を更に加速させ斬りかかって行った。 



藤岡大尉率いるA小隊の隊員は信じられない光景を目の当たりにしていた。 


「嘘だろおい・・・」

「なんなんだあの速度は・・・・」


B小隊とC小隊の隊員の連度は決して低いわけではなかった。 敵機の機体の出す速度があまりにも速すぎて全く捉えられないのだ。

異常ともいえる敵機の加速と反応速度に翻弄されていた。 その姿はまるで荒ぶる竜の姿にも見えた。 

B小隊が撃破された後、C小隊が奮戦するも返り討ちにあった。


「なんという戦闘力だ・・・・これがガンダムの力なのか・・・・」


私は操縦桿を動かし機体を加速させ奴に向かった。 その行動に部下が止めようとしてきた。


「隊長!!行くなら自分が行きます!!」

「ならん!!貴様たちは其処で待機だ!!」

「ですが・・・・」

「どうやら私は敵を見誤っていたようだ。 嫌、それだけではない。 今回の模擬戦の圧倒的に有利な条件に油断していた己の慢心がこのような事態を招いたのだ。」

「そんな・・・だったら、なおさらそれに気づけなかった自分たちにも・・・・」

「ならばやるべきこ事はただ一つ。 撃破された部下達や観戦されている殿下のためにも勝ちに行く。それが私なりのけじめだ。」

「くっ・・・・御武運をお祈りします」


私は軽くうなずくと目の前の敵、ガンダムに集中した。 そして、敵機に向け通信回線を開いた。


「ガンダムの衛士よ。 今度は私と一対一の勝負だ。 私を倒せば貴様の勝ちだ。 返答は如何に?」


少しの間のあと、相手から返事が来た。


「その申し出、受けて立ちます!!」


声が少し若かった気がしたが今はどうでもいい。 相手に集中することにした。



左右に展開した8機の不知火を撃破した俺は残りの4機に向けて機体を動かした時だった。

1機の不知火が此方に向かってくるや通信回線を開いてきた。


「ガンダムの衛士よ。 今度は私と一対一の勝負だ。 私を倒せば貴様の勝ちだ。 返答は如何に?」


どうやらあれが隊長機のようらしい。 相手が隊長機で一騎打ちをやろうというなら断る理由はなかった。


「その申し出、受けて立ちます!!」


俺はエピオンを動かして、半身となり右足を前に出し、剣先を相手に向けるようビームソードを両手で下に構えた。

相手の動向を探るべく俺は期待を動かさず静かに待っていた。 相手の不知火もそうなのか74式長刀を構えたまま動かなかった。 
 
そんな時だった。 相手の不知火が動き始めた。


「往くぞ、ガンダムゥゥゥゥ!!!!」

「いざ、尋常に勝負!!!!」


隊長機の不知火が加速してくると同時に長刀を横薙ぎに斬りかかってきた。

俺はバーニアを噴かして上へ跳躍するとビームソードを上段から振り下ろした。


「でえええええいっ!!!!!!!!」

「ぬおおおおおおおお!!!!!!!!」


不知火も剣を構えなおすと下から上へ剣を振り上げた。

互いの攻撃が終わるや両者ともに動かなくなった。

審判を下したのはCPの声だった。


[エピオン右肩損傷、小破と認定、ストライカー1胸部致命的損傷、大破と認定。勝者、エピオン]


エピオンの右肩には剣で斬られた跡が映っていた。 

今回の模擬戦でJIVES(ジャイブス)を使っているとはいえビームソードで相手を斬るのは若干躊躇ったが大事もなく終了した。

機体から降りた俺を待っていたのは隊長機の不知火の衛士の人だった。


「君がこの機体の衛士なのか?」

「はい。自分がガンダムエピオンの衛士、篠崎竜也少尉であります!!」

「そうか。私は富士教導隊隊長の藤岡修一大尉だ。 今回の模擬戦見事だった。」

「はっ!!恐縮であります」


この人は教導隊の隊長で大尉なようだ。 俺は、敬礼をし返答した。


「貴様には圧倒的不利な条件のも関わらず私を倒し勝利を掴んだのだ、胸を張るといい」

「ありがとうございます!!」

「だが、私の刃は君には届かなかったのが悔いではあるがな・・・・」

「それは違いますよ藤岡大尉」

「ん?なぜだ」


俺は今回の模擬戦で感じた事をこの人に伝えた。


「確かに刃は届きませんでしたが、大尉の熱き魂と信念は届きましたよ。 自分の心に」

「ふっ・・・そうか・・・今回は貴様に花を贈るが、次は負けんぞ!!」

「ええ!!此方こそもっと強くなりますよ!!」


そう言うと互いに握手をし健闘を讃えた。

こうして富士演習場での模擬戦は幕を下ろした。 
 

 
後書き
気分転換で観始めた「疾風!アイアンリーガー」と「太陽の勇者ファイバード」が面白いです(^.^)

次回もお楽しみにしてください 
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