| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ロザリオとバンパイア〜Another story〜

作者:じーくw
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第12話 真相と決着


























アカーシャ side




アルカードの異常に皆が気付いた。

(おかしい……アイツの妖力が全く感じられない……。)

アカーシャは戸惑いを隠せなかった。

アルカードは、真祖の吸血鬼(バンパイア)

その力は普通の吸血鬼(バンパイア)の力を遥かに凌駕するんだ。

そして、妖力は吸血鬼(バンパイア)にとって、力の源だ。

妖力も絶大で強大。

妖力を力に変換するその能力。

その妖力が強大であるが故に、こでまでも多大な被害があった。

何よりも数多の妖怪を、人間を吸収してきて……。

更に力は増していた。



そう…… 戦ってきた間でも健在だったその強大な妖力が今は全くといっていいほど感じられたのだ



つまりは…… 考えたくは無いが、(アルカード)は瀕死と言っても良い状態だ。

ジャックの力。

それも凄まじいものだった。

この世の全てが吹き飛んだかのような光景だったからだ。

≪あれ≫を受けて立ってるのなんてありえないとも思える。

だから、アイツが今の状態……と考えればつじつまは合うのだが、



皆、違和感が拭えなかった。



「彼の攻撃を受けて?でも 全てを払ったのになぜ動けるというの?」



それなのだ。

力の源である妖力がないのに、あの爆発を耐え切った?

防御をするのにも攻撃をするのにも、何をしても妖力は絶対にいる。

それは、燃料のようなものなのだから。

だから……全く理解できなかった。






アカーシャ side out









皆が異変を感じている時。


その疑問にはジャックが答えていた。

『……まだ、気が遠くなりそうだが… マシにはなったようだな…。』

ジャックは そう喋りながら上半身を起こしていた。

「ッ!!無理しちゃ駄目よ!あれだけの力を使ったんだから!」

アカーシャが心配そうにジャックの方に向く

「今の主はいわば 抜け殻の様なものじゃろ?ならば 安静にしておらんか。ここからは引き受けたからの」

東方不敗もそう答えた。

あの威力の力を使ったのだ。

本人も言っていた事。

無闇に動くのは危険だと2人は思ったようだ。

「……いや あのアルカードの様子は 明らかにこれまでとは違う、ジャックの攻撃を受けて妖力が消えたと言うのか?」

御子神だけは、冷静(クール)だったようだ。

アルカードの異変をそのままジャックに尋ねていた。



『俺の力…… 大体で8割方成功したんだが… 最終的には失敗したんだ……。何より残り2割が問題だったんだ…』

まだ満足とは言えないが

喋れる程度まで回復したジャックは続けて説明した。



『あの時…、アイツは、……アルカードは 【アレ】を見て防御の意味もなさないと判断し咄嗟に俺に攻撃し 攻撃によって 俺の力を相殺。 攻撃を全力でする事で、それを防御に変えた。 ……あの状態で考えてやったのか、咄嗟だったのかわからないが、結果的に、そのおかげで 術の2割は失敗し、アルカードを完全には消し去ることが 出来なかった。』


始まりの時を刻む術。

森羅万象……この地上において全ての万物の全ての力をその身に纏い使った秘術。

アルカードも元は吸血鬼(バンパイア)

自然界に存在する1つ。

本能的に感じ取ったのだろう、全ての集合体ともいえるその力を。

そう女神の力。

……神の力ともいえるそれを。


『……だが、タダじゃおかないさ。 あの後、……俺の自然(ロギア)の中にある、≪闇の力≫を使った。……それを前面に展開し妖力を封じる事には成功した。アレを受け止めた時点でアルカードの妖力はかなり尽きていたんだな……。かく言うオレも、あのデカイの喰らわした後に、結構無茶をしたもんだから しばらくああいう姿になっちまったんだ』

ジャックが説明する それは、自然系(ロギア)のひとつの力。


『闇の力』


闇とは全てを引きずり込む。 それは一切の光も残さずあらゆるものを吸い込む黒球(ブラックホール)

 それは たとえ妖力とて例外じゃない。

全てを闇に引き込むんだ。

だが、引き込む力があまりにも強大すぎると、引きずり込む限界を超えてしまう。

使うには、相手の力がある程度低下していなければ満足な効果を得られない。



アルカードの力……。


消耗したとは言え、数多の人間と妖怪を吸収したその力は無尽蔵とも言えるほどのものだった。


闇の力を……限界を超えて使ったのだ。

それが何を意味するのか……。

彼はわかっていた。

……わかっていたんだ。






ジャックは、一笑し 皆のほうを向いた。

『……みんな、今のアルカードは無防備といっていい。ここしかないんだ。……頼む。これで決着(けり)をつけてくれ。』

今は、目の前のアレをどうにかする方が先決だ。

そう切り替え、皆に向かって叫ぶ。



「「「ああ!」うん!」」



3人は一様に理解し アルカードに最後の妖力をもって 封印を行った。




「ぐ  う  お  お  お  … … … …。」




それは…アルカードの、

異形なる吸血鬼(バンパイア)の最後の断末魔だというのだろうか……。 

その叫び声はまるで地獄のそこから響いてくるような声。


………低く、いつまでも耳の奥に、脳内に残るかのような≪不穏≫な叫びだった。









 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧