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インフィニット・ストラトス 黒剣の死神と謳われた天才

作者:マンモス
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お盆会

更識とその従者の家は年に何回かこうして、更識家で食事をすることがある。大人と子供でテーブルは二列になっており、二つのテーブルの先でお盆会の挨拶をしているのは前当主の大和さんである。本来は現当主である刀奈が挨拶をするのだが、挨拶をしたあと当主は酒を飲む決まりな為、大和さんが代理をしている。

「今年は、真理君達三人が帰ってき、昔のようにまたこうして全員でお盆会で食事がとれることに感謝と、ご先祖達に安らかな冥福が続くよう乾杯!」

「「乾杯!!」」

俺達は飲み物の入ったコップを上に上げて、乾杯と叫んだ。すると、みんなして机の上にある食べ物を取り始めた。俺は鳥の唐揚げを取ろうとすると隣に座っていた天緋が先に取り、急いで食べて勝ち誇った顔で笑ってくる。

「兄さんごめんね~唐揚げ先に取っちゃて」

「天緋。行儀が悪いぞ!たく、育ってた親の顔が見てみたい!」

「ほう、呼んだか?バカ息子」

俺の頭を鷲掴みしてきたのは、神倉家現当主にして、俺と天緋の父、神倉義正である。左手には日本酒のお湯割りのグラスを持ちながら、楽しそうに言ってきた。

「いえいえ、呼んでませんよ。お父様」

「別に怒っちゃいねぇよ。何そんなに震えてんだ」

こんな俺と父さんのやりとりを見てみんな笑っている。俺はこんなやりとりが懐かしく自分で笑ってしまった。水月は腹抑えながら笑ってるし。

「おい、真理!お前も飲むか?白ワイン」

父さんはワインのコルクを開け、空になっていた。答えを聞かずに俺のコップを入れた。勝手に入れるなら聞くなよ。俺はワインを飲みながら前を向くと刀奈と簪が気まずそうに飯を食っていた。席は家事に兄弟順に座るため、刀奈と簪は隣同士になっている。

「兄さん。聞いてるかもしれないけど、今、刀奈さんと簪さん今ぎくしゃくした関係になってるの」

天緋が2人に聞こえない声で耳元にしゃべってきた。

「知ってるし、あんな空気出してたら誰だって気づくわ。見ろ。バカで鈍感な水月ですら、気づいてるぞ」

俺が天緋に水月のほうを見るように言うと同時に簪が「ごちそうさま」と言って宴会場から出て行ってしまった。俺は白ワインを少し残してトイレに向かった。

「相変わらず広いな。この家。うちより広いしな」

俺はトイレを済ませ、宴会場に戻る途中、月の光を浴びながら空中ディスプレイで何かをやっている簪を見つけた。

「簪。何やってんだ?」

「…真理君…なんでここに?…」

「トイレに行ってた帰りだよ。お、ISのブウスター回路のじゃん。ISの整備でもしてんのか?」

「…違う…自分で作ってるの…専用機を」

「専用機を?企業が作ってんじゃないのか?」

普通専用機は、企業が作って専用機持ちに渡す筈なのに、なんで簪が作ってるんだ。

「…倉持技研の人達が織斑君の専用機に人員を回してるから…それに…姉さんを超える為に…一人で完成させる」

「…簪。お前が姉を超えたい理由って何だ?」

「…姉さんはなんでも出来るし完璧な人だし、誰からも尊敬されてる…何もできない私の事引き立て役にしか思ってないから私は」

ドスッ!俺は簪の頭にチョップを入れて、簪に話を中断させた。

「簪。姉ちゃんに対して反抗期なのはお前の年を考えれば、あるのは分かる。けど、アイツはお前の事を引き立て役だと、思って無いし、アイツは完璧な人間じゃない。例えば」

「真理、ここにいたか!刀奈が大変な事になってるぞ!」

俺が簪に刀奈について話そうとすると満月さんが切羽詰まった顔で俺を探しにきた。刀奈に何かあったみたいなので、簪を連れて宴会場に急いで戻ると酔いつぶれていた刀奈が虚さんのひざで寝ていた。

「何ですかこれ?」

「実はな、お前がトイレに行っている最中に刀奈が間違いてお前のコップに入ってた白ワインを飲んで酔っ払ってな。今は酔いつぶれているがさっきは暴れてたんだぞ」

「焼酎飲めるくせに何で白ワインは体質に合わないのかねコイツは?」

よく見ると大人達は動かず見ているだけだったみたいで今も酒を飲んでるし。

「はぁ一。しゃーない俺が部屋まで運ぶから簪は布団を挽いてくれないか」

俺は虚さんから刀奈をもらいお姫様抱っこをして持ち上げると天緋と本音を筆頭に子供達は口笛を吹いたりして茶化したりしてきて、満月さんと虚さんに叱られ始めた。俺と簪は宴会場を出て刀奈の部屋に向かった。

「簪、さっきも言ったけどコイツは完璧なんかじゃない。コイツは編み物下手で白ワインもろくに飲めないただのシスコンだよ」

「…そんなことは…」

「ふふっ簪ちゃんまた一緒に裸で添い寝しよーね」

とんでもない寝言をはっきり言ってる刀奈に対して簪は顔を赤めながら俯いてしまった。

「ま、まぁコイツがシスコンなのは、分かったろ」

「真理も簪ちゃんばかり裸で添い寝してるからってそんなに妬かないの」

「コイツはいっぺんこのまま池に落としたみよか」

俺は更識家の鯉池に落とそうと考えていると刀奈の部屋に着いたので池に落とすのは諦め、布団で寝かせる準備を始めた。布団を敷いて間もセクハラみたいな寝言を言ってる刀奈に簪は戸惑っていた。布団でようやく寝かせると刀奈はまだ寝言を言い始めた。

「真理。もう、どこにも行かないで」

「それは出来ないかも知れないけど、どっかに消える時はお前も連れてくよ」

俺はそう言って部屋を出ようとすると次は簪に対する寝言を話した。

「簪ちゃん。…これからも毎日、毎日楽しく遊ぼうね」

それを最後に刀奈は静かになった。

「これでも、まだお前はコイツが信じられないか?」

「少し。…けど少し…嬉しくて、しがらみがとけたみたい」

「そうか、それならいいよ」

俺はそう言って簪と部屋を出て宴会場に戻った。


 
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