八条学園怪異譚
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第三十三話 踊る本達その七
「目は何もかもを語りますから」
「ほら、目が荒んでる奴は碌でもない奴じゃない」
ここで花子さんも言う。
「目が濁ってる奴は屑って思っておいてね」
「ああ、いるわねそんな奴」
愛実もわかることだった、言いながら入学当初の聖花への劣等感に苛まれていた自分自身を思い出す。
「よく人相とかいうけれど」
「ヤクザはヤクザの顔してるでしょ」
「ええ」
「特に目に出てるわよね」
「そういうことなのね」
「逆に言うといい奴は澄んだ目をしてるの」
悪人の目は澱み善人の目は澄んでいる、所謂ネット右翼やプロ市民という連中の目が濁っているのはそうした連中だからであろう。
「そういうものよ」
「目、なのね」
「そう、目よ」
花子さんは強い声で語る。
「誰でもまず目を見るのよ」
「そこでわかるのね」
「まあ目だけじゃないけれど」
人相でもだ、それだけでわかる程人間というものは単純ではないというのだ。しかしそれでもだというのだ。
「それでも悪い生き方してる奴は人相も目の感じも悪いから」
「いじめしてる奴って酷い顔してるのよね」
愛実はここで眉を顰めさせた。
「それがいつもになると」
「でしょ?酷い顔になるでしょ」
「ああいう顔が醜いっていうのね」
「そう、醜い心が顔に出てね」
そうした顔になるというのだ。
「漫画とかアニメでよくある表現だけれどそれはその通りなのよ」
「間違いじゃないのね」
「人は顔で判断出来ないけれど人格は出るわよ」
「ううん、私もね」
愛実はここまで聞いてこう呟いた。
「気をつけないとね」
「そうよね、私だって」
聖花も言う、二人共深刻な顔になっている。
「そういうのが出てね」
「酷い顔になるわよね」
「悪いことばかり思っていると」
「そうした顔になるから」
「テレビに一杯出てるじゃない」
口裂け女は口が大きい以外はかなり整っている顔で言う。
「コメンテーターとかジャーナリストでね」
「何かそういう立場の人で多いの?」
「新聞記者とかは」
「朝の八時とか夜の十時とかね」
そうした時間にだというのだ。
「司会者とかいるでしょ」
「あっ、確かに」
「いるわね」
二人も言われて気付いた、実際にそうした時間の報道番組なりに出て来ている人間の人相はかなり悪い場合が多い。
「いやらしい顔をしてるっていうかね」
「そんな人多いわね」
「マスコミの世界っていうのは腐っててね」
口裂け女はさらに言う。
「北朝鮮だの過激派なりとべったりの人とかいるしセクハラも多いしお金にも汚いのよ」
「うわ、酷いわね」
「何でもありなのね」
「それで権力まであるから」
悪いことにさらになのだ。
「もう腐りきってるから」
「ああした顔の人が多いのね」
「いやらしい顔の人とかが」
「そうよ、あんた達はそうはならないと思うけれど」
口裂け女は今の二人の人相、やはり目を最も見て言う。
「気をつけてね」
「うん、凄く気をつけるわ」
「自分でもそうなりたくないから」
「真面目に働いて真面目に家庭をやっていくんだよ」
それがいいというのだ。
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