転生者が歩む新たな人生
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第13話 卒業式と修業先
前書き
原作開始3ページ。
「卒業証書授与………」
今日はメルディアナ魔法学校の卒業式だ。
首席で卒業するネギ兄さんが総代として、校長であるお祖父ちゃんに呼ばれ、卒業証書を渡される。
「この7年間よく頑張ってきた。だが、これからの修行が本番だ。気を抜くでないぞ。ネギ・スプリングフィールド君!」
「はい!」
ネギ兄さんは元気に返事をしている。
前途有望な、新たな魔法使い(見習い)の誕生に来賓の方々も嬉しそうだ。
ネカネ従姉さんも「立派になって………」という感じで流した涙をハンカチで拭いている。
まあ、この総代がニセモノなのは、同期や後輩の学生は皆知っているワケだが。
ちなみに在校生の送辞に対する答辞は、アーニャが担当した。本当の総代が誰なのかは推して知るべしという感じだ。
実際、ネギ兄さんの評判は悪い。
まぁ、ことあるごとに魔力を暴走させて省みないんだから当然か。
いったい、何人の女性が魔力の暴走に巻き込まれているんだろう?
しかも教師連中は「英雄」の息子というネームバリューに負けて、まったく注意をしない。
なので、ネギ兄さんはまったく反省しない。
成績自体は優秀で総代にふさわしいんだろうが、如何せん魔力の暴走が押さえ込めないのを知られているので、総代どころか飛び級や卒業が何故できるんだろう? と皆が不思議に思っている。
ついでに言うと、ネギ兄さんが図書室の地下の学生が習うにはまだ早いと禁止されている呪文書の類が収まっている禁呪書庫に入り浸っているのはバレバレであり、教師連中に黙認されているのは公然の秘密だ。アーニャは必死に隠しているつもりみたいだけど。
結局、「英雄」の息子に対する贔屓だと皆が認識しているわけだ。
そりゃぁ、嫌われるはずだ。
まぁ、ネギ兄さんはそんなことには頓着せず、只ひたすら新たな魔法を求めているワケだが。
なんとかしようと無駄な努力をしているネカネ従姉さんやアーニャが哀れすぎる。
たった4ヶ月弱しかここにはいなかったが、それだけでもこれぐらいはわかった。
ひどいもんだ。
☆ ★ ☆
なんらハプニングも起きず卒業式は終わる。
4ヶ月弱しかいなかった上に、この卒業資格自体オレには意味も無いものなので、何の感慨も起きない。
魔法使いの魔法や魔法薬学、魔法の道具の作成法などの閲覧許可の下りた書物を魔法球の工房で時間のある限り複写できたのは、知識面で有意義だったが。これには研究者気質のあるリニスが特に喜んでいた。
これで日本へやっと帰れるので、最後の挨拶をしようと一度寮の自室に戻り、荷物を持って校長室に向かう。
「「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」」
途中、ネカネ従姉さんとアーニャが、ネギ兄さんの卒業証書を見て大声を挙げているのを見かける。
ちなみに卒業証書に書かれている修行を完遂して初めて、この卒業証書は卒業証書として成立する。
つまり修行を終えない間は卒業証書には成り得ず、言わば仮免扱いだ。
そういえば、ネギ兄さんが「日本で先生」をすることで2人が一騒ぎするんだっけか。
まぁ、日本に来て欲しくはないが、来ても会うこともないだろう、多分。
あるとしたら修学旅行先の京都か。
詠春派へのクーデターにちょうど良いタイミングになるからなぁ。もしかすると敵同士として会うのかな。
まぁ、今は関係ないのでスルーして校長室へ向かう。
途中歩いている祖父さんと一緒になったので、連れだって校長室に入る。
来客用のソファーに座り、最後の挨拶を使用としたら、ノックもせずにドアが開き、ネカネ従姉さんとアーニャが入り込んで来た。
「「校長、「先生」ってどーゆーことですか!」」
よく見ると2人の後ろについてネギ兄さんも入って来た。
「ほう、「先生」か………」
とか、校長が話し、「立派な魔法使い(マギステル・マギ)」になるには、がんばって修行を終えなければいかんとか話してる。
つーか、オレが先に話してるんだけど、割り込んで話すってどうよ?
2分も時間をもらえれば出て行くだからそれぐらい待てよ! とか思うのはオレの心が狭いのか?
しかも祖父さんもわかってて、こっちを気にせず2人の相手をし続けてるし。
まぁ、いい。そう言うことならこっちにも考えがある。
「10歳で先生なんか無理です」
「ふむ。安心せい、修業先の学『ネカネ従姉さん、勘違いしてますよ』園、なに?」
祖父さんの返事に割り込んで話す。
「日本では10歳で先生には成れません。ていうか、成れるわけ無いですよ。落ち着いてください」
「「「え?」」」
「良いですか。落ち着いて考えればわかると思いますが、日本では先生になるには「教員資格」が必要です」
「大丈夫じゃ。そこはほれ。ワシの友人が学『「つまり、今すぐ10歳で先生をしようとするなら「教員資格」を持っていることにしなければならず、これは当然「公文書偽造」になります。しかも』園長が………」
「「「しかも?」」」
「当然そんなことをするなら魔法を使ってどうにかしなければならず、「重度の魔法犯罪」になります。端的に言ってオコジョ刑は間違いないですね。まぁ「マギステル・マギ」を目指す人間が取る手段じゃありません。それにそんな方法で修行を終えた人間が胸を張って修行を終えたと他の人に言えますか?」
「じゃあ、どうすれば良いって言うのよ!」
「どうすればって、当たり前のことを当たり前にすれば良いんですよ」
「サギ、どういうこと?」
おや、ネギ兄さんも一応話しを聞いていたんだ。いや、あれか。「マギステル・マギ」に反応しただけか。
「どうって。うーん、どう説明すれば良いかな? そうだ、アーニャの修行は?」
「ロンドンで占い師よ」
「へー、本場だね。例えばアーニャが占い師になるには、師匠を見つけて、占いを学び、客あしらいを学び、それを実践するわけだ」
「まぁ、そうよね」
「そういったものを学ぶのが修行で、ぶっちゃけた話し、今からロンドンの街角で、机の上に水晶球でも置いて、占い師の看板を出して、1人でも占えば、「ロンドンで占い師」っていう修行が終了ってワケじゃないよね」
「当たり前よ!」
「でしょ。つまりはそういうこと。「先生」にならないと修行が開始できないなら、日本の学校に通って、大学は教育学部に入り、教員資格を取って「先生」になる。そうするのが修行ってことなんでしょ」
「「「なるほど」」」
「実際、教員資格を取れるまで日本の学校に通えば、ネギ兄さんの魔力の暴走も治まるんじゃないかな?」
「「それはホント?!」」
「ええ。今からなら9月の小学3年生の2学期に編入できるので、小学校に3年半、中学校に3年、ストレートに入学して高校に3年、大学に4年で13年半ですか。それだけあれば、きっと治まりますよ」
「じ、13年半!?」
「ええ。日本には飛び級制度はないので最短でそれぐらいは必要ですね。当然高校大学の浪人や落第せずに卒業と同時に新卒で先生として赴任するというのが大前提ですが。まぁ、イギリスやアメリカで飛び級するともっと短くできるかも知れませんが、そこまでは知りません」
「そ、そんな………」
「いや、ネギ兄さん。そんなって言いますが、当たり前ですよ。先生って言うのは生徒を導く存在で、生徒の人生に影響を与える存在なんですよ。そういった責任を持てる人しかやるべきじゃないですよ」
「………」
「まぁ、ネギ兄さんの目標は父さんなんだし、むしろ父さんと同じ道を進めば?」
「と、父さんと?!」
「ええ。この修行は終えないと卒業資格が取れないだけで魔法が使えないわけじゃないんだから、いっそ父さんと同じように中退して、魔法世界で武者修行して、「マギステル・マギ」になれば?」
「父さんと同じか~」「「中退なんてダメよ!」」
「バカもん!! なにが中退じゃ!!!」
さすがに中退って言うと祖父さんは怒るか。
「でも、実際問題、13年半もネギ兄さんが日本で暮らして学校に通うお金なんてないでしょ。父さんは杖1本しか遺さなかったんだし」
「そ、それぐらいはワシが出すわ!」
「良かったね~。ネギ兄さん」
「ありがとう、お祖父ちゃん」
「気にせんでえぇわい。って違うわい。なんでこんな話しになっておるんじゃ!」
「なんでって、ネギ兄さんの修行が「日本で先生をすること」だから?」
「そうじゃった。安心せい。ネギの修業先はワシの友人が学園長をしておるから融通を利かせてくれたわ」
「融通って、要は魔法でごまかすつもりなんでしょ。つまり、「公文書偽造」の「魔法犯罪」ってことだよね。そっかー。ネギ兄さん、オコジョになったらナッツぐらいは送るから、元気で生きてね」
「オ、オコジョ………」
オコジョがショックだったのか、ふらふらした足取りでネギ兄さんが校長室を出て行く。
「ま、待ちなさいよ! ネギ!」
アーニャが慌ててネギ兄さんを追っかけて行く。
「ど、どうしてこうなった………」
あらら、祖父さんが頭を抱えてら。
ネカネ従姉さん?
中退の話しがショックで気絶してるよ。
まぁ、そもそも主席のネギ兄さんとオマケで卒業したオレの修行先がまったく同じ「日本で先生をすること」ということからしておかしいワケで。
それに修業場所を探すのも修行の一部なのに、「麻帆良学園」が修業先に決まっていること自体おかしいよね。
ま、魔法使いの修行なんてする気がないオレには関係ないけど。
後書き
会話文のつなぎが難しい………。
連続で会話が続くとき、誰が話しているかわかるかな?
公文書云々、外国での飛び級者の扱いは根拠レスなので、ご了承下さい。
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