| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第31話:旅の仲間が増えました……けど老人

(ミントス - ソレッタ王国 草原)
ブライSIDE

馬車があると便利じゃのぅ。
特にワシの様な老人には有り難い事じゃ……
長距離でも幌の中で快適に楽が出来る!

徒歩じゃと最低でも自分の荷物は持たねばならんからのぅ……
しかも仲間が多いからワシが戦わなくても解決する。
良い仲間を得たぞ!

あの後、ダメ元でクリフトの看病をお願いしたら、まん丸の中年と頭の悪そうな青年が買って出てくれた。
中年はトルネコ……青年はホフマンと呼ばれておったな。
二人ともヒルタン老人に商売の極意を教わりたいと言ってた……

特にトルネコの方は必至にウルフを説得しておったが、戦力にはならなそうじゃし置いてきて正解じゃろうて!
ちゃんとクリフトの看病さえしてくれるのならな……

それにしても……
ワシはてっきりウルフがリーダーかと思っておったが、どうやら本当のリーダーはシンという少年の様じゃ。
何でも伝説の勇者じゃとか……胡散臭いのぉ。

ウルフの方がリーダーに適してると思うのじゃが……
容姿端麗じゃし決断力も統率力もある。
何よりシンが彼を慕っており、戦闘が終わる毎に目で評価を求めておるのじゃ。
これはどうなんじゃろうなぁ?

じゃが気になる事が一つ……
「のうウルフ……何でおヌシは戦わないんじゃ?」
そう……ヤツは戦闘になるとシン達に任せ、自身は数歩下がって見学に入ってしまうのじゃ。
まるでリュカの様に……

「俺が戦っては、みんなの成長の妨げになってしまうんです。自惚れてる様に聞こえますが、少なくとも今現在の彼らより俺の方が強いので、戦闘に参加してしまうと俺一人じゃ勝てない相手が出てきた時、全滅しかねない状況になってしまうんです。実戦は最高の訓練ですからね!」

「リュカみたいな事を言うのぉ……」
「そうですよ。俺はこの方法をリュカさんから直接教わったんです! 俺がまだ弱く……スライム一匹倒すのにも苦労していた頃、一緒に旅立ってくれたリュカさんが示してくれた行動なんです! もしリュカさんが全てを一人で片づけていたら、俺は弱いままでしたでしょうね」

いかん……瞳を輝かせてヤツの事を語り始めた!
最近のクリフトがコレと同じ目をする……
あのトラブルメーカーの何処に、そんな目になる魅力があるのだか?

話を聞くとこによると、このパーティーに参列している少女二人(青い髪の美少女と栗色の髪の美少女)はリュカの娘だとか……
しかし、それぞれ母親が違う上、本妻とも違う愛人に生ませた娘だと言うじゃないか!
そんな男を尊敬できる神経が解らん!

リュカに憧れを抱くウルフを見ていると、思わず苦言を言ってしまいそうになる……
しかし、ミントスを出立する前にウルフがコッソリ耳打ちしてくれた。
二人の少女は父親(リュカ)を尊敬しており、侮辱の類を言うと激怒する。

勿論、小娘二人が怒ったところで怖くも何ともないのじゃが、本気で泣き出すと言う事なので、可能な限りリュカの事を悪く言わない様に気を付けている。
まったく……女には人気じゃのぅ!

ブライSIDE END



(ミントス - ソレッタ王国 草原)
シンSIDE

はぁ……
ブライさんの視線が凄く痛い。
絶対『何でお前が勇者なんだ?』って思っているんだろうなぁ……

俺も同じ気持ちだよ……
ウルフさんの方が見た目も行動も勇者っぽいし、何より頼りになる人物だ。
初対面の(ブライさん)じゃなくても同じ事を考えるさ!

でも何故だか俺が勇者として村のみんなに育てられた。
その思いは無駄にしたくない!
だから俺は頑張る……例え勇者にそぐわない男だとしても。

戦闘ではマーニャさんとミネアさんに、そしてリューラさんに指示を出す。
やっと最近になってリューラさんが俺の指示に不満顔をしなくなった……
本当に剣術能力はズバ抜けているから、彼女が素直に従ってくれるのは助かる。

プライドが高いのは姉妹してそっくりだ。
彼女の場合、自分が認めた強者以外からの命令が不満なのだろう。
きっとウルフさんからの指示だったら、初めから素直に従ったはずだ……

そうなると彼女らのお父さんて、どんな人物なのだろう?
それぞれ違う方向にプライドが高い二人の娘の、尊敬を一身に浴びる人物とは……
更に言えばウルフさんが心底憧れている人物だ。

ソレッタ王国に辿り着けば、多分リュカさんが……リューノちゃん達のお父さんが居るはずだ。
ウルフさんが以前言ってたが、強さは桁外れ……
そしてウルフさんの行動を見れば、リュカさんの事をリスペクトしているみたいだし、かなり思慮深いと思われる。

でも、物事を丸投げされる事を嫌うらしいし、トルネコさんは危険だとウルフさんが言ってた……
怖い人物なのかもしれない。
俺みたいな頼りない勇者擬きは嫌われる対象かも……?

「あの……リュカさんてどんな人物なんですか?」
馬車馬(パトリシア)より前を歩いていた俺は、少し速度を落とし手綱を引き馬を誘導しているウルフさんに近付き訪ねてみる。

「どうしたの急に?」
「いえ……トルネコさんとの会話を思い出し、もしかして怖い人なのかなぁと思いまして……」
「失礼ね、お父さんは怖くないわよ!」

なるべく小声で訪ねたのだが、御者台に座っていたリューノちゃんに聞こえてしまい、何時ものヒステリックな声で叱られた。
(パトリシア)の誘導はウルフさんが行っているのだから、御者の必要はない……戦闘に参加しないリューノちゃんは、幌の中に入って休んでれば良いのに……

「怒らせなければ全然怖い人じゃないよ。ただ基本非常識な人物だから、怒らせると手が付けられないね! まぁ、そう簡単に怒らないから問題ないけど」
誰でも怒らせなきゃ問題はないだろうに……

「でも一点だけ注意が必要だ」
「ちゅ、注意!?」
やはりリュカさんにも心の琴線があるのか!?

「どんなにあの男の非常識さに腹が立っても、『オッサン』とか『オヤジ』とか言ってはいけない! 『イケメンお兄さんだ!』って擽られるゾ!」
………はぁ?

「ちょっとウルフ! アンタ私のお父さんを馬鹿にしてるでしょ! お父さんは世界一のイケメンよ!」
「勘違いするな……イケメンである事を否定はしてない。年齢的にオッサンであるにも拘わらず、何時までも『お兄さんと呼べ』って言い続けている事を疑問視している」

「い、良いじゃない……何時まで経っても性欲旺盛なんだから!」
「あはははは、そりゃ違いない(笑)」
ウルフさんは爆笑し、リューノちゃんは憮然としている。

考えているほど怖い人物ではない様だ。
あとは実際に会ってみないと解らない事だろう……
それにしても……女の子が大声で『性欲旺盛』と言わないでほしいなぁ……

シンSIDE END



 
 

 
後書き
オジサンって言われるとショックがでかいよ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧