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魔法少女リリカルなのは 異形を率いる男

作者:天麩羅
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5.遭遇

放課後、夜市、なのは、アリサ、すずかの四人は通っている塾に向かっていた。

「今日のドッチボール、すずかかっこよかったよー」

 今日の授業でしたドッチボールが話題には上がっている。

「うん。かっこよかったよねー」

「そんな事ないよー。夜市君の方がすごかったよー」

 すずか本人は謙遜しているが今日のすずかは重要な所で相手のボールをキャッチして即座に投げ返し見事に当て外野送りにして、チームの勝利に貢献している。
 そして、そのすずかにすごいと言われている夜市はほぼどんなボールでも確実にキャッチし、小三どころか中三の投げた様な速度の球を平気で投げるため、一人で大半の相手を外野に送ることを成し遂げたことしたことがあるため、

「夜市と普通の人を比べたらいけないから」

などと、アリサに言われるようになってしまっている。

「なあ、俺は、お前らの中の普通の人の範疇に収まっていないとでもいうのか?」

「何を今更そんな分かり切ったことを言ってるのよ」

 え?普通の人の部類にはいいているとでも思っていたの?と、その後に付きそうな台詞をアリサは当然のように言った。
 夜市自身その自覚はあったのだが改めて言わると、精神的ダメージをかなり受けたらしくズーンと、効果音が付きそうなほど項垂れている。

「あ!こっちこっち。ここを通ると近道なんだ」

 アリサは公園の脇道を指さしながら言った。

「この前見つけたんだ。ちょっと道が悪いのが難点だけどね」

 アリサの言う通り、その道は木が切り倒されているだけで、デコボコしている上に所々草も生えていた。
 そんな道を、五分程度歩いた所で、なのはがいきなり立ち止まった。

「どうしたの?」

「なのは?」

 すずかとアリサがなのはに疑問の声を投げかける。

「あ、何でもないよ、ごめんごめん」

 なのはは何でも無かった様に明るく返してきたが、その声には若干、不安の様なものが混じっている様に聞こえた。

「大丈夫?」

 アリサもそれを感じ取ったのか、声をかけてきた。

「大丈夫、大丈夫」

「じゃあ行こう」

 まだ少し不安の様なものが感じ取れたが、そこまで詮索はしなかった。

「まさかね…」

 ただ一言なのはは小さく誰にも聞こえない声でそう呟いてその話は終わった。

 その数分後、なのはは再び立ち止まった。
 今度は確実に何かが聞こえたと表情から読み取ることができる。
 表情としては、衰弱しきった捨て猫の類を見つけた時の顔と言ったところだろうか。

「今…何か聞こえなかった?」

「何か?」

 アリサの返事から何も聞いていない事が分かる。
 それでも、なのははまるで聞こえたと言って欲しいように聞く。

「何か…声、みたいな」

「別に…何も聞こえ無かったよ?」

 少し考えたように言葉に間が空いたがそれでも答えは聞いていないだった。

「聞こえなかった…かな」

 そう言った次の瞬間、なのははいきなり進行方向に向かって走り出した。
 先ほどの会話で空耳だろうとアリサとすずかは思っていた。
 だが、なのはは迷わずに前に走り出していた。
 運動音痴だと本人は言っていたにも関わらず、彼女は速かった。
 その走る姿は少なくとも運動が苦手などと言う印象は与える事は無い。
 地面を踏みしめ、確かな足取りで前に進んでいた。

「おい!なのは!」

 夜市は呼び止めようと声を上げるが、振り向かずになのはは先に進んで行ってしまう。

「多分…こっちの方から…」

 そう小さく呟く。
 誰に聞かれた訳ではない。
 自らに確認を取るように、進む道を間違わないように、小さく呟くことで自分に確認を取る。

「何を見つけたのは知らないけど、進んでる方向じゃないか。なら、そんなに急がなくてもいいんじゃないのか?」

 後ろから小学3年とは思えない速さで追いかけて来た夜市が発した言葉だった。

「そういう事じゃないの!」

 なのはは走りながらにも拘らず、大きな声で反論してきた。
 運動が出来ないと言っていた事がまるでウソなのかと思うほど、なのはの声は大きなものだった。
 なのはが運動が苦手な事をその両目で見ている夜市すら、本当は運動が出来るんじゃないのか?と疑うほどだった。
 その時、林が晴れ、そこに薄茶色の細長い柔らかそうなクッションの様な物が落ちていた。

「見つけた…」

 それを見つけた時なのはは一人無意識に小さく、誰にも聞こえないほど小さく呟き、それを両手で大切そうに、抱き上げた。

「やっと追いついた。どうしたの?なのは、急に走り出したりして」

 そこに少しばかり息を切らて追いついたアリサが聞てきた。

「動物、拾ったみたいだぞ」

「その子、怪我してない?」

 すずかがなのはの両手で抱いている動物を見て言った。
 確かに動物の後ろ脚には傷があった。
 見てすぐそこに気付くとは、伊達に大量の動物を飼っている訳ではないのだと感心させられる。

「本当だ。ど、どうしよう」

 怪我をしている事に気付き、一気になのはがオロオロと慌て始めた。いつもは殆どこういう風にはならないなのはが珍しく慌てている。

「動物病院に連れて行けばいいんじゃないのか?」

 夜市は怪我をしていることを知って慌てている3人と違い落ち着いて判断をしていた。

「えーと、この辺に動物病院てどこにあったっけ?」

 夜市の言葉を聞いてなのはが反応した。
 怪我をしている事が分かってから、一番慌てていたのだが、必要な情報が分かってからの切り替えしが一番早いのは流石と言ったところだろうか。

「ちょっと待って、家に連絡してみる」

 必死に思い出そうとしていた、なのはとすずかに向かってアリサが言った。
 どこにあるのか分からず考え込んでしまっていた二人の顔が一気にそんな考えが思い浮かんだアリサを感心する顔に変っていた。
 
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