ヘタリア大帝国
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TURN76 青い石の力その六
「あの人ってね」
「だよな、何か胡散臭いんだよな」
「そんな雰囲気だからね」
「人間の質はよくないかもな」
イギリスも長く生きている、こうしたことを見抜く目は備わっているのだ。
「あの人はな」
「そうだよね、信用出来る人じゃないね」
「気付いたらあいつの口車に乗ってたしな」
そしてその言うがままの条件で講和となっていた。
「おかしな話だよな」
「ドクツは、特に今のドクツは信用出来ません」
セーラは深刻な顔でこの結論を出した。
「油断すると何をされるかわかりません」
「そうだよね。ヒムラー総統は怪しいよ」
「経歴調べても何かな」
イギリスはここでヒムラーについて情報部が調査したデータを出してそのうえで言った。
「おかしいんだよな」
「士官学校を中退してよね」
「北欧に旅行に行ってからな」
「それで実家の養鶏場の経営をはじめて」
「その養鶏場も急に大きくなってんだよ」
イギリスはこのことも言った。
「あいつが経営やるまでは小さかったのにな」
「急になんだね」
「大手の銀行に無償で融資してもらったり洒落になってない規模の契約を幾つも取ったり」
「営業手腕あるって言えばいいけれど」
「何かおかしいんだよ」
イギリスは本能的にこう察していた。
「しかも養鶏場にも仕事の契約先にもいないことが多かったのにな」
「その時に何をしていたのかもわからないし」
「おまけにな」
イギリスはデータを見ながらさらに言う。
「あいつの周り結構行方不明者多いんだよ」
「はい、そのことですね」
セーラもそのデータを既に見ている、それでイギリスに応えたのだ。
「少女ばかりが何人も」
「当時のドクツは身寄りのない子供が多かったけれどな」
レーティア登場以前のドクツは無残なものだった、戦争の傷跡と賠償金、恐慌により社会の全てが崩壊していた、家庭もそうであり町には孤児が溢れていたのだ。
それでその孤児の中の少女達が次々とだったのだ。
「何人も消えてるからな」
「殺した?」
マリーは彼女が考えている最悪のケースをあえて言った。
「あの人実は連続殺人鬼とか?」
「あの頃のドクツそういう奴多かったからな」
「キュルテンとかハールマンとかね」
「そうだとすると冗談抜きでやばい奴だな」
「そうなるよね」
「何時の間にか親衛隊も組織して隊長になってな」
イギリスはこのことも奇妙に思っていた。
「カテーリングラードで死んだ筈が生きてるうえに」
「二十個艦隊に大怪獣まで持って来てね」
「ドクツの総統にまでなるなんてな」
「謎が多過ぎるし」
「不気味な奴だよ」
これがイギリスのヒムラーへの評価だった。
「絶対に信用できないな、あいつは」
「そうだよね。気をつけないと」
「今のエイリスの敵は枢軸だけれれど」
セーラも言う。
「枢軸を倒し植民地を全て奪還した時は」
「ドクツが相手ね」
「ソビエトもだけど」
こうマリーに話す。
「今私達がいるこの国は敵になるわ」
「あくまで一時的な同盟ってことね」
「そうなるわ。やがては戦うことになるわ」
「政治だよね。けれどね」
マリーはわかっている顔で言う。
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