学園黙示録 Highschool Of The Dead ~壊れた世界と紅の狼~
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選択肢は二つ
前書き
すみません、ちょっとリアルの事情でまったく筆が進んでいませんでした。
~真紅狼side~
俺は麗達が居る部屋に戻ると高城の親父さんは、初っ端から避難者たちを集めて“現状”を分からせる為に、デモンストレーションを行った。
『この男は土井哲太郎! 高城家に四世紀の間仕えてくれた旧家臣だ! だが、この男は今日の活動中に仲間を助ける為に噛まれた。その友が今では、仲間を襲う側となった。………だからこそ私は、我が友と最後の友情を示す!!』
そう高々に叫び、<奴等>に成り果てた男の首を手前の刀で一刀両断した。
すげぇな、あの人、バッサリいったよ。
そして斬った首を踏みつけて、見ている者達、主に避難者たちに教え込ませる。
『これが“いま”なのだ! 恋人だった者、家族、友人………それらの者たちも噛まれたら、私達の大切な存在に襲い掛かる。………生き残りたくば、戦え!!』
そして、その光景を見ていた平野が呟く………
「刀じゃ効率が悪過ぎる……………」
「決め付けが過ぎるよ、平野くん」
「でも、日本刀は骨に当たれば刃が欠けるし、三、四人も斬れば…………」
「たとえ剣の道であっても、結果とは乗数なのだ。剣士の技量! 刀の出来! そして………精神の強固さ!! この三つが高いレベルなら何人斬ろうが戦闘力は失わない!」
「まぁ、それもあるんだがもっとも簡単な理由があるんだけどよ」
『!?』
中に居る麗達を除いて、外に居る連中は俺の方に振りむく。
「いつから居たのよ!?」
「ついさっき。まぁ、気配消してたし」
「驚くから、やめてくれ。真紅狼」
「無意識のうちにやるもんだから、無理だな。孝」
「それで、それ以外って何よ?」
「簡単さ、斬り方さえ分かっていれば刃を欠けなく済むことなんだよ。だいたいな、刀とは剣のように扱うわけじゃないんだ。剣の刃の幅が広いのには理由がある。西洋剣は、“押して斬る”のに対して、刀は“裂いて斬る”。手法も技術も全く違う。故に刀が未だに“剣の道”にして高い地位に居る一つだと思うぞ」
「なら、血脂が付いたら………!」
「俺は全身武器庫だぞ? 刀のストックなんざたくさんある」
そんなことを話していると、高城の親父さんがこちらを見ていた。
………すげぇ眼光だ。威圧感MAXだよ!!
収拾付かない事態に孝は、平野に止める様に声を掛けようとするが………
「ま、まぁ落ち着けよ、平野」
「僕に触るな! 銃もまともに撃てないクセに!!」
「平野! アンタねぇ!!」
平野は手持ちの銃を抱え込んでこの部屋から出ていった。
まぁ、こうなるよなぁ………。
今まで上手くいっていたのが不思議なぐらいだ。
「小室くん、気を悪くしないでくれ。平野君もまた男子なのだ」
「それは……分かってますけど………」
「そういうところに限って君は………」
居心地が悪くなった孝は、部屋を出ていった。
ついでに、高城とありすも続いて出ていくのを俺達は見守る。
「やれやれ………」
「……蒼騎君は平気の様だな」
「慣れてますから。………いや、むしろ慣れてる方が危ないな。孝や平野の方が平常ですよ、“ヒト”として当り前の反応だな」
「彼等は大丈夫かと思うかね?」
「さぁ? だけど、時間は無いと思いますがね。一時の安心なんてすぐに終わりが来るようなモノ、今もこうして<奴等>はバカみたいに溢れかえっている。それを高城の御両親は分かっているからこそ、近い内にここを出ていくことになる。それまでに決めることがタイムリミットだ」
「蒼騎君、キミは助言しないのかね?」
「助言してどうなります? この先生き延びたいなら、自分の決意で決めてもらわなきゃ困る。……助言して決めた決意なんざ、すぐに折れますよ」
「なかなか辛辣だな」
「だが、生き残る為としては当然でしょう?」
「………私もしばし風に当たって来るよ」
冴子は、そういって物静かに部屋から出ていき、部屋には麗と静香、そして俺だけになった。
傍で見ていた静香が無言で肩に頭を乗せて、寄りかかってきた。
「………静香?」
「少し肩を貸してくれない?」
「どうぞどうぞ、俺の肩で良ければ………」
「真紅狼」
今度は麗が俺を呼ぶので、静香を抱えながら麗のベッドの脇に座る。
「ん、なんだ?」
「………手、握っていい?」
「ああ。まったく二人もって甘えんぼだな」
「「だって、真紅狼の体に触れてると安心するんだもん」」
「息ぴったりでなによりです」
つーか、本当に静香のおっぱいでけーな。
これに挟まれたら至福だろうな……………ハヤク、クイタイデス。
はっ?! 俺は今何を考えた!?
我慢だ、俺の家に行けばいくらでも……………喰いホウダイダ。
………ちょっと、俺の理性の限界が来てるな、こりゃ。
爆発した時が怖いなぁ………。
~真紅狼side out~
~冴子side~
私は、部屋を出た後庭に向かった。
庭には錦鯉が外の事情も知らず、優雅に泳いでいた。
「………錦鯉にも詳しいってワケ?」
「素晴らしい九紋竜だな、これほどのものは滅多に見られないだろう」
「まぁ、姿は似合ってるけど………」
風が吹き、木々を揺らす。
「私は……いや、私も機嫌が良いわけではないよ?」
「理由は分かってるわけね、あなたも………。昨日と変わらない今日、今日と変わらない昨日を当然のモノとして受け入れる幸せは喪われたわ!!」
彼女は冷静に現状を教えてくる。
私達が直面している問題をありのまま伝えてくる。
「……よって、君が口にした設問に戻るわけだ」
「ええ。呑み込まれるか、別れるか。呑み込まれた時はパパが実演してくれたわ。………気楽でいいわよ? 自由な恋愛も学生ごっこもしばし続けることが出来るわ」
「それも楽しそうだが、私は<奴等>以外にも人の命を奪っている。………介錯をしたつもりだったが、今思えば子供がするべきではないな」
この地獄が始まってからすぐに保健室で男子生徒を一人殺した場面を思い出していると、彼女も思い当たる節があったようだ。
「私だって、クラスメイトを置いて自分を優先したわ! それは私達が教わる正義とは全く違うものだと思うけど………」
彼女もやはりこの異常な状況に自分が取った行動が正しいのかが、今になって困惑していた。
だが、そうでもしなければ自分の身が危なくなっていたのは確かである。
私達はやるせないでいた。
お互い、“あのときの行動は本当に正しかった”のかと………。
しかし、自分に言い聞かせるしかないのだ………“あの判断でよかったのだ”と。そうでもしなければ―――――壊れてしまう。
建物の角に見覚えのある顔が目に映った。
「確か、あれは………」
「……? どうしたのよ?」
彼女が気になって訊ねてくる瞬間、向こう側から一際大きな声が響いた。
『何を騒いでおる!!』
私達は、その声の方に向かうと平野君が私達が所有していた銃を抱え込みながら高城会長と対峙していた。
『少年、名を聞こう!!』
『ひ、ひ、平野コータ…藤美学園三年B組出席番号32番ですぅ!!』
『声に覇気があるな、平野くん。さぞかし苦労しただろう。どうあっても銃を渡さないつもりか?』
そこから彼は必死の思いで自分の心の内を告げていた。
そして高城会長が平野君に『出来ることとはなんだ?』という問いかけに対し、彼を声を出そうとするが、高城会長のオーラに上手く声が出せなくなっていて口パクにしかならなかった。
そこに新たな声が響いた。
『あなたのお嬢さんを守ることです!』
小室君が、前に出て高城会長にこれまでのことを簡易的に説明した。
そして、私達は平野君の元に集まり高城会長達と対峙した。
「そうよ、パパ! こいつはどうしようもない程の軍ヲタだけど、平野が………コータがいなければ私はとっくに死んでたわ! ここまで守ってきてくれたのはパパではなくてコータよ!!」
私達だけではなくて、宮本君も鞠川校医も出てきた後、私達の後ろから軽快な声が聞こえてきた。
「おーおー、平野、泣くな泣くな。男が泣く時は誰も居ない時に泣くもんだぜ?」
「「「蒼騎/真紅狼君!?」」」
「……君が蒼騎君かね?」
「コイツはどうも高城会長。アンタの娘の友人の蒼騎真紅狼だ」
「……君があの血の惨劇を創った張本人とは」
「おや、俺がしたことを御存じで?」
「家に向かう途中、車の窓から少しだけだが見えたよ。まさに悪鬼羅刹とは言ったものだ」
真紅狼君と高城会長が会話している時に、会長の部下の一人が小走りにやってきて会長に耳打ちした。
すると、高城君に事情を説明した。
「なんで私がそんなことしなくちゃなんないのよ!!」
「それを語るほど私の娘は愚か者ではない!」
「沙耶、ママからもお願い。私や壮一郎さんじゃ、あの人達は警戒しちゃうから」
「蒼騎は………!?」
「あ、俺? 多分、御別橋の二の舞になるけど、それでもいいなら説得の役を請け負ってやるよ?」
御別橋で何か起こったのかと私達女性陣は首を傾けたが、小室君達は何があったのか知っていたのかすぐさま高城君の代わりに答えた。
「いい、真紅狼は説得しなくていいから!!」
「そうだよ、蒼騎はただで見ているだけでいいからさ!!」
「あ、あんた達勝手に………!!」
「「僕達もついていくから、蒼騎にやらせないでくれ!!」」
「………わ、わかったわよ」
凄い剣幕で迫られた高城君は圧倒されながらも渋々頷いた。
~冴子side out~
そういえば、先程見た男の姿って確か………
後書き
そろそろ爆発させます。
爆発したらこの作品は18禁に変更しますので、ご理解ください。
では、私はこれからハイスクール13巻を買ってきます!
ヒャッハー!! 朱乃が表紙だー!
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