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ソードアートオンライン VIRUS

作者:暗黒少年
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闘技場の戦い

 ナナミが先に出て様子を見る。ナナミの戦い方は一撃が強力な蹴りを主体にするタイプのようだ。

「はぁ!!」

 まずは近づくとすかさず膝蹴りを鳩尾にかました。

 NPCはそれを食らうと一瞬だが怯む。しかし、もう二体のNPCがその隙を埋めようとナナミに襲い掛かる。しかし、ゲツガも何もせずに見ているはずもなく、縮地法で距離を詰めると素早く二体を蹴り落とす。

「一体だけに集中してていいのか?」

「そんなはずないでしょ!あんな攻撃避けれたわよ!」

「そんなに強がるなって。そいつに足掴まれて動けなかったくせに」

 そう言うとビクッとナナミが動く。一瞬だがあのNPCはナナミの蹴りを受けた瞬間その足を掴んだのだ。まあ、ゲツガみたいに特殊なプレイヤーでなければこういうものなのだろう。

「……何で、わかったの?」

「蹴り入れた瞬間、足を鳩尾から離そうとしてたのに離れないのを見てな」

「よく、あんな小さな動きを見てわかったわね」

「こういう徒手格闘は最初の攻撃は相手の動作の読みあいだったからな。まあ、武器持ったら正直そう言ってられなかったけど」

 ゲツガはそうぼやく。正直、武器なんて持ってたら先手必勝だったため、徒手格闘の動作なんて頭から飛んでいた。そして吹き飛ばしたNPC二体を見る。

 二体ともHPは少ししか減っていないが結構な距離飛ばされていて、今立ち上がったというところだ。

「ナナミ、本当に後一体行けるか?いけないんだったら俺が行くけど」

「いいわよ、そんなの。後一体は私がやる」

 そう言って足を掴んでいるNPCにもう一方の足を肝臓の部分に当て無理やり引き剥がした。

「ゲツガはボスNPCと他一体を片付けるだけでいいから」

「わかったよ」

 そしてゲツガは自分の敵に専念することにした。

 一体のNPCを掴んで壁に向かって蹴り飛ばそうとする。NPCはそれをガードする。しかし今度は完全に食らうということはなく防いだ。だが、衝撃は殺すことは出来なかったようでHPが少しだけ減る。

「へぇ、不意打ちじゃなきゃちゃんとガードとかできるんだな」

 感心しながら今度はストレートを放つ。それもガードされる。そして、ガードから攻撃を止めさせるため下から膝蹴りをしてくる。

 ゲツガはそれを後ろに飛んで避けた。そして、NPCはガードを下げてゆっくりと近づいてくる。

 ゲツガもそれを見て、初めて構えを取る。もちろん、一番体になじんでいるムエタイの構え。しかし、ムエタイを習ってはいないが総合格闘技の試合で見たものの見よう見まねである。

「来いよ、こっちはまだ一戦待ってるんだ。それにあんたらのとこの主を待たせるのも悪いだろ?」

 しかしNPCは警戒してまったく仕掛けてくる素振りを見せない。ゲツガは攻めてくるのを待つ。そして、ようやく腕を少し下げて攻撃に入ろうとした。まずは、蹴りで足を払おうとしてくる。

 それをジャンプしてかわすと今度はフックを放ってくる。それを払い落として地面に着地すると今度は膝蹴りで顎を蹴られそうになる。それをしゃがんだ体制から後ろに仰け反りバク転の要領で顎を蹴り上げる。

「おいしょ!」

 顎に当たった感覚がする。そしてすぐに体制を立て直して相手を見る。相手は顎を蹴り上げられて若干後ろに下がり頭が完全に上を向いて、こちらを向いていない状態だった。

 ゲツガはすぐに相手との距離を詰める。そしてNPCが顔を下ろすと時にはすでに目の前にいる。すぐにNPCはガードしようとするが遅い。

 また顎をエルボーで上げてから自分を見えないようにする。そしてすぐに開いた鳩尾にすぐに右上からのストレートを叩き落す。地面に叩きつけると止めに顔面に倒れこむようにエルボーを入れる。それを食らったNPCは完全にHPバーが消えてポリゴン片に変わった。

「ふぅ」

 ゲツガは戦闘を一つ終えると息を吐く。そして、ナナミの方を見ると苦戦しているが何とかやれているようだ。これなら、ボスNPCは楽に行けるだろうと思った。

が、やはり、ナナミも初心者。少し油断した成果、NPCの連携攻撃にはまってしまった。

「ちょ、痛いって!!」

 それをもろに食らわずに何とか避けれてるものの危うい。ゲツガは危ないと思い加勢しようとNPCを一体倒しに行くがナナミがこちらが近づいてくるのを見て叫んだ。

「ちょっと、ゲツガ。この二体にはもう手を出さないで!こいつは私が倒すんだから!」

「とは言っても正直見てられないんだが」

「いいから黙ってみてて!」

 そういわれたので接近をやめて、そのまま停止する。

 ナナミはそれを見ると完全に避けに専念する。しかし、同じ初心者なのに体の動きが滑らかだ。まるで、何か武術を習っているような動きだ。まあ、家に道場があるって言ってたしそこでやっているんだろう。

 そしてようやくNPCの攻撃が鈍り、隙が出来た瞬間ナナミは一体のNPCに蹴りを入れて倒すと、その後ろにいたNPCには体を回してそのまま回し蹴りを入れた。

 その後、まずは最初の蹴りで倒したNPCの鳩尾にとび膝蹴りを食らわせた。あれはさすがに痛いと思いながら見ているとその攻撃はかなりの威力があったらしく、残りのHPを全て削り取った。

「足技の使い方、うまいな」

 正直、先ほどの足技はつなげもよかった。正直、あっちもあれだったら普通にゲリラNPCを倒せるんじゃないかってくらいだ。

 もう一体は先ほどの蹴りを食らった腹を押さえながら下を向いていた顔を上げた瞬間に、頭を掴まれてから膝蹴りを食らわせた。しかし、それでもHPはのこっていた。NPCは一度離れる。

「もう終わったな」

 ゲツガはそう呟く。その言葉どおりすぐに決着がついた。

 NPCはナナミと距離を詰めて攻撃しようとするがナナミはそれをカウンターを入れるように蹴りを腹に入れた。それを避けることが出来ずにそのままNPCは崩れ落ちた。

「お疲れ~」

「うん、やっぱり二人を一気にやるのはきつかったかも」

「それなりゃやめときゃよかったじゃねえか。一対一の戦い方じゃこれからはやばいんじゃねえの?」

「そうは言っても、ゲツガは一対一だったからそんなことをいえるんでしょ。もしも、ゲツガが一対多数だったら私の気持ちがわかるよ」

「一体多数なんてよくあるからこそ言えるんだよ」

「へぇー、一対多数があたりまえだったねぇ。結構興味深い」

 ゲツガは繰り返し言われて頭をガシガシとかいた。リアルのことをうっかり喋ってしまいそれに興味をもたれてしまったのだ。

「ねえ、ちょっと聞かせてよ」

「駄目だ、それ以上の詮索はマナー違反。しかも、そんなに知り合って間もないのにそんなこと話せるか。それにまだ俺は戦闘が残ってるんだからな」

「そういえば後ボスがいたわね」

 そう言ったと同時に奥のふすまがガラッと身長が190cmくらいでガタイのいい男が出てきた。

「弟子がもうやられたか、道場破りがぞろぞろと……すぐに追い出してやる」

 そう言うとすぐに空手の構えを取って中心まで歩く。ゲツガもすぐに構えを取って近づいていく。ゆっくりと近づいていき、自分の射程圏内にボスが入り込んだのを確認すると足を薙ぎ払うように蹴る。その速度は現実の元々通っていた道場の先生に放った奴よりも鋭く速い。

 それをガードしようとするがそれでも抑えきれずにボスは飛んで衝撃を受け流す。しかし、そのまま振り切られて横に飛ばされた。HPはかなりの勢いで減っていくが注意域のイエローにも行かない。

「さすがはボス、これくらいじゃ倒せんか。あのゲリラNPCみたいに単純だったら結構楽なんだけどな」

 体勢を立て直したボスはすぐにゲツガに接近して正拳突きをしてくる。それを体をずらしてかわすと、今度は逆の手で指だけあわせて尖らせたような形を喉へと突き出してくる。
それもダッキングでかわし、その状態から距離を詰める。

「せいっ!」

 ゲツガはボスを押して倒すとすぐに腕を掴んで関節技を決める。なるべく動けなくするためにV2アームブロックを使用する。腕で頭をロックして足で腕を固める。

 ボスは決められてそれをとこうとするが、解けずにじりじりとダメージを食らっていく。しかし、この世界のシステムは関節技などには時間制限があり五秒もたつとすぐに外れてしまうようになっている。

 五秒たつと自動的に関節技がゆるくなりボスが脱出する。しかし、ゲツガはまだ固め技から復活していない状態。そこに攻撃をしようと接近する。

 だが、ゲツガも食らうわけがなく素早く立ち上がり、それを受け止める。ガードしたが若干のダメージを受け、体もほんの少し浮く。そこにボスは蹴りを入れる。しかしゲツガはそれを掴んで再び関節技に持ち込んだ。膝十字固めを空中で決めてそのまま床に落ちる。

 もちろん、こんなことは現実で出来るわけがないがゲームだから可能なのだ。

 再び、決めれらじりじりとHPが減っていく。しかし、また五秒後に外された。今度は警戒したのか今度はせめてこずにじりじりと詰め寄ってくる。

 ゲツガは立ち上がる。今度は自らが攻めに転じた。

 まずはジャブで様子見をする。特にそれに気にした様子もなくボスはそれを払い落とす。ゲツガは素早く手を戻してまたジャブを放つ。それも弾かれてボスは正拳突きを放ってくる。

 しかし、ゲツガはこれを狙っていた。その正拳突きにあわせて自分もストレートをあわせて放つ。カウンターだ。

 ゲツガはそのまま正拳突きを避けて拳をボスの顔面に叩きつけた。

「がっ!!」

 さすがにカウンターを食らったボスは頭が後ろへと息からだが倒れる。しかしまだHPが残っている。ゲツガは振りぬいた拳とは逆の拳を握り、背中を持ち上げるようにアッパーを食らわせる。

 それでようやくHPが空になり、バトルが終了した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 バトル終了後、ゲツガとナナミは街に帰っている。しかし、ナナミはゲツガの強さが気になっているのか、リアルのことを聞いてくる。

「ねー、ゲツガ~。せめてどうやったらそんな動き方が出来るかぐらいは教えてよ~」

「あー、もう。諦めろって。ゲームでリアル情報の交換は禁止されてはないけどしてしくても無理なんだよ。犯罪とかあったら困るだろ」

「別にゲツガはしそうにないからいいじゃん」

 ゲツガは自分が初心者の時でもここまではしなかったぞと頭をかきながら言った。

「あのなーナナミ。言っとくが、リアルとこっちではキャラが違う奴なんていくらでもいるんだぞ。俺だってこっちではキャラ作りしてるだけかもしれないんだぞ」

「私なんてこっちのなんて完全にキャラ作りだし。実際の私は少しおとなしいくらいかな」

「お前は自分の情報を簡単に流すな!」

 ゲツガはナナミの頭を軽く叩いて少し早歩きになる。その後をナナミは追っかけてくる。

(何か、面倒なのとパーティー組んだな……)

 溜め息を吐き、ナナミの質問攻めを交わしながら街へと帰った。 
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