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ワンピース*海賊と海軍、七武海と白髭。

作者:斎藤海月
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第一部
縮まる距離。
  三週間。

砂漠の国を抜けて、


あたしが自分の過去を言った時からあたしとエースは少しずつ、


少しずつだけど仲良くなっていた。


それでもあたしの人間不信も徐々に収まりつつあった。


…けどやっぱり陸に着いて、黒髭の話を聞こうってなって別行動になると


あたしは必ず落雷を出していた


だからその度にエースが飛んで来てくれてたんだけど、


流石に今回だけは落雷を落としそうにない雰囲気…?みたいな感じだった。


リノ「こういう人なんですけど…」


「知らんなぁ・・・」


リノ「そうですか・・・」


この三週間で渡って来た数個の街でもなかなかティーチの情報は掴めなかった。


ある賞金稼ぎからはそこら中を転々してるとの話だし


レオン『なかなか見つからんな』


リノ「ね・・・この街に来れば、分かるかもってエースは張り切ってたけど」


レオン『そうだなあ…』


リノ「エースとマールの元に向かおっか」


レオン『ああ。』


エースから貰った黒髭ティーチの指名手配書を包んで(くるんで)、片手で持つと少し歩いた先に


ガックリと肩を落としたエースとマールがいた


そういえばあの二人・・・妙に良いコンビっていうか・・・


レオン『マールとエース、俺たちの次に良いコンビだな』


リノ「あたしもそれ、今思った(笑)」


レオン『やはりか』


エース「ん?リノ!」


リノ「あっ どうだった?聞き込みは」


エース「なーんもねー」


リノ「そっか…」


エース「まあ聞き込みもそうだが、飯、食いに行くか」


リノ「そうだね」


マール『ここにもオレが好きな肉はあると思うかぁー?』


リノ「あるんじゃないかな?」


あたしたちの足元でマールが嬉しそうに飛び交うと、


マール『うっひょ~♪楽しみだぜー!!』


上半身に薄い上着みたいなのを羽織ったエースが優しく微笑んで左手を差し出した


その左手を、あたしは繋ぐ。


・・・・・・そういえばあの時から、エースとも付き合ってるんだよねあたしって←


結構、恋には奥手だってミィールに言われてたし実際にそうだからあんま気にしなかったけど


・・・まあ仲が良いみたいだからあたしは気にしないけど。←


「お客さん、注文は?」


エース「ありったけの肉を」


「あいよ~」


リノ「・・・肉は我慢するんじゃなかったの?」


エース「そうだったなぁ…んじゃあ、コイツらには骨付き肉で俺たちにはー…」


リノ「ポテトサラダを」


「あいよ~」


あたしの向かい側に座るエースが驚いた顔をすると、


あたしはニコっと微笑むだけだった


リノ「肉ばかり食べてると、血液バランスが悪くなるでしょ?」


エース「そ、そうだな・・・」


大好きなお肉を我慢するって言いだしたのもエースで、


ビックリしたにはしたけどそれならあたしも協力するっていったんだっけか。




エース「そういえばリノ・・・」


リノ「ん?」


エース「ルフィたちがクロコダイルを倒したそうだ」


リノ「へぇ~やっぱり、倒しちゃったんだ七武海を」


エース「確かになぁ」


食事をしながらも机の上に置かれている新聞に目を通すあたしたち。


そういえば大仏男から任務完了の電話が来てないような気もするけど…


…まあいいや。無視し・・・


『プルプル~プルプルプル~』


リノ「・・・・・」


エース「・・・・・・」


・・・クソォォッ・・・掛けて来やがったよ!!


正に今、アイツの存在自体を忘れようとしたのに!!


フォークをお皿の上に置いて絶対にタブーな言葉を言われると分かってたから


席を離れると外に出た


『ガチャ』


『遅いぞ、電話に出るのが遅いぞ!!』


リノ『はあ?そんなの人の勝手でしょ?

んで今度は何なの大仏男?あたし、そんなに時間は無いんだけど』


『私は大仏男ではなぁぁぁい!!』


・・・・・だからコイツの電話には出たくないんだよ。←


コイツ、いちいち耳元で叫んで来るから・・・!!


リノ『だから要件は?』


『七武海のクロコダイル捕獲ごくろう。奴はインペルダウンに連行した』


リノ『ああ…アレか』


『それから次の任務だが…』


リノ『はあ?タダ働させといて次の任務?絶対に嫌』


『何じゃとー?!』


リノ『休みぐらいくれたっていいでしょ?』


三週間以上もハンコックと会ってないし←


任務でエースから離れるのもどうかと思うし←


『や、や、休みじゃと?!

約束通りの制裁期間は過ぎていたぞ!?』


リノ『それでも罪人をちゃんと送りました。』


『何じゃと!?』


リノ『仕方ないでしょ?任務中に邪魔者が入ったんだから』


『邪魔者とは誰じゃ、邪魔者とは』


リノ『十年間もあたしを追っていたらしい三人の蛆虫』


『らしいとはなんじゃ、らしいとは』


リノ『ていうかグダグダ言うんじゃねーよ。

じゃないと次の任務やってやんないよ』


『な・・・っ!?それだけは困る・・・!!だったら・・・三週間でどうじゃ?』


リノ『三ヶ月』


『なっ!?さ、さ、三ヶ月じゃと??!幾ら何でも多すぎるわ!!』


リノ『さ・ん・か・げ・つ

それじゃないと電話も任務も無視するぞ。』


『卑怯な手を…!!』


リノ『あのねぇ?あたしはずっーと蛆虫と一緒にいたんだよ?

女の聖域に行かないと死ぬ。だから女ヶ島に帰るの三ヶ月間』


『うぬぬ…同じ七武海のボア・ハンコックもいるしな…』


…今の七武海って言葉、エースにでも聞かれてたらどうすんの・・・!?


エースはレオンたちと楽しそうにご飯を食べてるけどさ・・・!!


まじでタブー発言は止めてよ・・・((


『ならば三ヶ月だ。三ヶ月経った日にまた電話を掛けるからの』


リノ『あいよー』


電話を切ると、


少しだけ妙な感じがした


でも三ヶ月ぐらいは一緒に居れるって事なんだよね。


リノ「ごめんね、お待たせ」


エース「お~謝るこったぁねーよ。

結構、重要そうな話だったしよ」


リノ「ああ・・・ちょっとね。」


エース「そうか。」


あたしが苦笑しながらもポテトサラダを食べだしたとしても


エースは何も聞かずに表情を変えないで食べるだけだった
















昼食を食べ終えると、あたしたちは最低限必要そうな物だけを買ってまた舟に乗り込んだ


リノ「次は何処行く?」


エース「そうだなぁ~…」


けど、あたし達が今いる島から出て他の島が近くにあったらそこで話を聞こうと話し合ってから約一週間。


流石に、船の食料はもう少しで・・・って思っていた時に


エース「リノ!あれ見ろよ!!」


リノ「ん?」


見覚えのある旗マークを掲げた海賊船が、海のど真ん中に留まっていた


リノ「海賊船・・・かな」


エース「ちょいと見てくるな」


リノ「気をつけてね?」


エース「ああ。任せとけ」


能力者のにも関わらずエースは平然そうな顔で空を飛んで、


あっという間に相手の船に乗り込んだ


エースの姿が見えなくなったかと思うとマールとレオンがあたしの近くに来た


マール『エースのやつ、大丈夫か…?』


リノ「分かんないけど・・・待つしかないし・・・」


レオン『そうだな。そう言えば・・・センゴクからは次の任務での電話はあったのか?』


リノ「ああ・・・あたしが三ヶ月待てって言ったら承諾してくれた」


レオン『あれ程男を嫌っていたリノがなぁ・・・

こうもここまで変わるとはなぁ・・・』


リノ「本当だよね」


マール『だけどさァ~・・・リノ、いつまでも七武海だって事を隠したまんまでいいのか?』


リノ「・・・」


マール『早めに言う方が後々での悔いとか後悔は少ねェーと思うけどな』


・・・分かってるよ。


エースは今、あたしが普通の海賊だと思ってる。


前にだって〝お前も海賊やってんのか?〟って聞かれた時に〝そうだけど自由に生きたいから半ば旅人〟って言ったんだっけか・・・


エースも、まさかとは思うよね。


あたしが・・・王下七武海の、海軍・・・だって事、


海軍やその人間が嫌いって言ってたし・・・


「リノォォォ~~!!」


レオン『呼ばれてるぞ』


リノ「なにー!?」


エース「食料!!貰って来たぞおおお!!!」


何処の海賊かも分からない海賊船の手すりに立ちながら大きな大きな袋を片手に、


嬉しそうに微笑むだけだった


マール『誰だありゃ・・・』


エースの隣から変な格好をしたピエロのような物が不機嫌そうに出て来ると、


あたしたちを見てギョッとした


リノ「何て言ってるの?」


レオン『〝あの女からもド派手なオーラが出ている。

アイツは白髭の船で見た事は無いが何処かで見覚えのある顔だな・・・〟だと』


ド派手ってなんだド派手って←


まじでド派手なオーラってなんだよオイ←


マール『んで、エースが〝俺の大事な恋人だ〟っつってアイツらが驚いてる訳だな』


なんか嫉妬心が強いって言うかなんていうかこの四週間ぐらいでかなり変わったなぁ


あたしもあれだけ蛆虫とは恋に落ちないって言ってたけど、


エースと落ちた事にはあたし自身が一番驚いてるもん・・・←


マール『んお?あのピエロみてェーな奴、お前の名前を聞いた途端に考え込んだぞ』


リノ「まさか。あたしの名前を知ってるはずが・・・」


レオン『〝確か・・・七武海にいるっていう海姫って奴も・・・そんな似たような名前だった気がするぞ〟とあの男は言ってるぞ』


リノ「∑∑?!」


ちょ・・・何でお前が知ってんだよ?!


しかもあたし、大仏男たちにも名前は伏せとけっつったはずだぞ?!


なのに何であんなルーキーそうな海賊にあたしの名前が行ってんの??!


マール『エースが〝リノが海軍のはずがねェーだろ。〟っつってあの赤鼻が〝・・・リノ?やっぱどっかで聞いた事ある名前だ・・・〟っつってるぞ』


リノ「ちょ・・・」


マジで何であんな奴が知ってんだよ・・・


あたしだって今は平然そうな顔しかしてられないんだよ!!


ヤバそうな顔をすればまさか!?って疑われるし、逆に睨んでるとまさかのまさか!?って思われるし・・・


普通に何話してるの?状態の顔だといやいや、待てよ・・・ってなるオチになる事が分かってるけどさ・・・


マール『真面目にヤバくねーか?』


リノ「・・・気づかれたら気付かれた」


レオン『リノ?』


・・・いやいや。気付かれたら気付かれたじゃねーだろ明らかに。


もしもエースにバレたら・・・


――――ギュっ


リノ「!?」


エース「リノただいま」


リノ「・・・お・・・お帰り」


後ろを振り返った途端に抱きしめられたかと思うとエースの顔は嬉しそうな表情だけで


さっき、蛆虫どもと話してた形跡も無いようないつもと変わらない笑顔だった


マール『コイツ・・・疑い深くなくて助かったな』


レオン『・・・ああ』


エース「早速行こうぜ」


あたしから離れたエースが、被っていたテンガロンハットの帽子を、


あたしの頭の上に被せる


エース「この先は太陽が熱くなるみてェーだからそれ、被っとけよ」


中舟の帆を畳んだかと思うと後ろに付けていた舟に乗ったエースが、


自分の能力を使ってあたし達が乗っている舟を運ぶ


さっきまで前にいた海賊船をあっという間に追い抜かして再出航をした


この時だけは凄く、申し訳ない気持ちで沢山だった 
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