IS インフィニット・ストラトス ~さびしがり屋の少年~
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第一章 IS
放課後
自分の目の前に『win』という文字が出てくるのを確認し、地面に降りて、ISを解除する。
ちなみに一夏君はもう解除済みだ。
「...ふぅ」
地面を踏んで、息を吐く。
まぁ、結構上出来かな?鎖は使ったけど。
その瞬間、一夏君が僕のところに歩いてくる。
なぜか結構笑顔だ。
「蒼空って強いな!」
こっちに近づいてくるなり、そういうことを言ってくる。
でも...強い...か...。
...違う! 僕は弱い! 強かったら...強かったら!
...あの時...
「蒼空?」
その瞬間、話しかけられ、意識が戻る。
「ん、ああ、ごめん。考え事してた」
「そうだ。あのさ、蒼空が良ければなんだが...放課後、俺のISの訓練手伝ってくれないか?」
「...部活動見た後ならいいけど?」
「部活動...ってここ女子しかいないから運動部は俺ら試合出れないぞ?」
「...え?本当?」
「本当。何部入るつもりなんだ?」
「...バスケ部。...まぁ、ボール触れればいいか」
「へぇ...。確かうちのクラスにもバスケ部いるから後で紹介しとくよ」
「うん。ありがとう」
...この瞬間思った。
...まだ授業中だよね?
バシンッ! バシンッ!
「「いてっ」」
「授業中だぞ。バカども」
「すみません...」
...痛い...すっごく固いもので殴られたんだけど...。
織斑先生の手元を見る。
正確には持っているものを。
...判明。出席簿。
...あれって固いからすごい痛い...。
痛みで出てしまった涙を拭いて。一夏君と一緒に列に戻る。
「では、今日はこれから――」
そこから聞き流した。
ちゃんと聞いてるように見えるように前を向きながら。
嬉しいことにこの日は特に実習もなく、そのまま、授業が終わった。
―☆―☆―☆―
「終わった...」
6時間目が終わり、大きく伸びをする。
そしてすぐに、一夏君の席に移動する。
用はバスケ部のことだ。
「...で、一夏君、バスケ部の人って誰?」
「ん、ああ、それなら...おーい、桂さーん」
一夏君が誰か呼ぶ。
「え、えと...な...何かな...?」
呼ばれた人...桂さんだっけ?はめちゃくちゃおろおろしながら来た。
ポニーテールにした、黒髪と、おっとりとしたような感じの人だ。
一般的にはかわいい、の部類に入る人だろう。
...なんか...女子からの視線が痛い...そしてさらに3人の視線が特に痛い。
主に、一夏君に向いてるんだろうけどな...。
「蒼空がさ、バスケ部入りたいんだって」
そんな中、何も気にせず、一夏君が切りだした。
すると桂さんは、こっちを向いて、
「本当!?」
と、きらきらさせた目を目いっぱい開いてこっちを見ている。
「えっと...まぁ、はい。本当です」
仕方ないので、そう返す。
「へぇ...。あ、私は桂 波音(かつら なみね)って言うんだ。よろしく」
と、桂さんは手を差し出してくる。
「えっと、よろしくおねがいします」
そう言いながら握手する。
...周りがすごくヒューヒューうるさいんだけど。
「えっと、バッシュって持ってきてる?」
「あ、ハイ。バッグの中に」
「そっか。じゃあ、今日は体育館でできる日だから行こうか」
「あ、ハイ。わかりました」
―☆―☆―☆―
「着いたよ~」
「ここですか?」
大体本校舎から10分くらいあるところにあった。
...結構大きい...。
「じゃ、入ろうか」
「あ、ハイ」
そう言って体育館のドアを開け、中に入っていく。
「こっちだよ~」
すると、目の前にフロアが見えたのに、桂さんは左に曲がる。
と、僕の思ってることに気付いたようで、
「そのフロアは、バスケットコートがないんだ。その代わり、二階が私たちが使えるコートだよ」
と丁寧に教えてくれた。
「あ、そうなんですか」
と返しておく。
...結構大きいんだろうな。
...大体、ちゃんとしたコートが横に二つ、縦に余裕を持って一つ、ってところかな?
そう思いながら階段を上っていく。
そして階段を登りきると、扉があり、桂さんが扉をあける。
「うわぁ...」
感嘆の声。
当り前だ。久しぶりのフローリングのバスケコートだ。
しかも整備が行き届いていて、フローリングがきれいだ。
恐らくちゃんとワックスもかかっているのだろう。
中に入り、とりあえず、端っ子のほうに荷物を置き、中からバッシュを取り出す。
ナイキ ズームアップテンポ5プレミアム。
それが僕のバッシュの名前だ。(まぁ、ホワイト×シルバーのだが)
サイズは24cm。
ちょっとブカブカだが、これでいいのだ。
そして何度かの修理の跡もある。
これは...母さんが買ってくれたものだ。
...ただでさえ貧乏なのに、約1万円もするこのバッシュを。
鼻歌交じりにバッシュを履き、紐を結ぶ。
そして立ち上がり、トントン、つま先で、床を何度か叩く。
そして軽く準備運動して、桂さんが出しといてくれたボールに触る。
...そういえば7号級か。ちょっと重いな。
コートも広くなってるし、ゴールの高さも高くなったし...届くかな?
3Pラインに立ち、シュートをする。
まぁ、僕の場合、ジャンプシュートではなく、ジャンピングシュートだし、友達が言うには、腰から放ってる感じがするらしい。
...まぁ、別にシュートフォームを直すつもりはないけど。
そして僕の放ったシュートは低めのアーチをたどり、ゴールに入った。
...アーチが低すぎる。
もっと高くしないと。
そしてまた放る。
今度はさっきよりちょっと高めのアーチをたどって入った...が、まだ低い。
もう一回放る。
今度は高めのアーチを描いたが、ちょっと短く、リングに当たる。
そのボールを拾い、もう一回、さっきよりも手首を意識して放る。
今度は、高いアーチを描いて、リングにも触れずに入る。
「...えっとさ、蒼空ちゃんってもしかしてかなりうまい?」
「...えっと、そこまではうまくないと思います」
...まぁ、全国区に行ってたり、インタビューをかなり受けたりしていたことは秘密だ。
そしてそのまままた数十本放って、満足したので、お礼をいい、バッシュを脱いでバッグの中にしまい、今度は一夏君のほうに向かった。
後書き
...バスケットのことを少しやらせたかった。
後悔はしていない。
...まぁ、あとあと、また出てくると思うけど。
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