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朝日の昇る空際に

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プロローグ

 「――っ」
強烈な日差しが水面に反射し、体を水面に影とし写す。

「来た…来た…来たあああ!」

自分が想像し希ったこの強烈な紺と水色のコントラストが続く水平線。
船の船主にかき分けられた海水が白い渦となり船体に纏わり付く。またその白い渦もこの深い紺を際立たせる大きな要因になっている。
――さっき航海計器を見たときは15ノットだったか。

なんて一瞬の逡巡もこの強烈な日差しにかき消された。

「親父は何時もこんな海を見ていたのかな」

「さあね! けどま、こんな景色見ちゃうとさ病みつきになるよな!」

隣にいる親友は何時もの調子で答える。それが何だか今はとても頼もしい。

「実習なんて面倒なだけと思ってたけれど、これは悪くないわね」

「素直になったらどうなのさ! そんなんだからツンデレ女王って呼ばれるんだよ?」

遠くから何か喚きながら近づいてくる二人を見つけたが、今回はこの景色を目に焼き付けることを優先しよう。

「おい、いいのか。二人が漫才を始めたぞ」

「ほっとけよ。今はトリオで漫才する気分じゃないね」

「――いい加減なにか反応したらどうなのよ!」

来ました来ました。ツンデレお嬢様。構ってほしいならそういえばいいのにと、心で毒づいておく。

「しかしすごい景色ね、飲み込まれそう」

「うわー! すごい、すごいよ! こりゃあ海で遭難したらほぼ助からない訳だ」

一人物騒なことを言ってる輩もいるが、そこはスルーしておこう。

「二人ともワッチは終わったのか」

「ええ、丁度12時だから交代ね。ごはんだから呼びに来たのよ」

「おお。気が利くじゃない、ツンデレ女王様」

などと親友が冷やかし彼女がムキになってそれに反抗している。

ああ、俺にも居場所が出来たんだな。

拝啓、親父殿

息子、大海 晴は今

太平洋の

――真っ只中です。



 
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