八条学園怪異譚
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第三十二話 図書館その一
第三十二話 図書館
二人はこの日の午後は共通の友人である美紀と話していた、その場所は学園の総合図書館だ。この学園の図書館は夏休みの間も開いているのだ。
美紀は図書館のそのドリンクコーナーで紙コップのコーヒーを飲みながら二人に言った。
「美術館ね」
「そう、うちの学園の美術館だけれど」
「何かあるって聞いたんだけれど本当?」
「あれ?銅像が動いたりとか絵から人が出て来たりとか」
「あっ、そういう話があるの」
「本当にあるの」
「噂で聞いてるわ」
美紀は二人が学園の怪談や泉のことを調べ探していることは知らない、それでただそのことを二人に話したのである。
「十二時になったらね」
「ううん、また十二時なのね」
「学校の怪談って十二時ばかりよね」
「うちの学校で大きいだけあって怪談も多いけれど」
これは確かに多い、保育園から大学院まであるだけに。
「七不思議どころじゃないわね」
「この図書館にもそんな話があるらしいわね」
「ちらって聞いたことがあるけれど」
「みたいね」
美紀はコーヒーを手に話していく。
「何か図書館の奥の本棚の通路を何度か時計回りに回ってるとね」
「何かあるのね」
「そうなのね」
「出るみたいよ」
こう二人に話す。
「図書館の主みたいなのが」
「今度はどの人かしら」
「それも気になるわね」
二人で話す、しかしこの話は美紀にはわからない。
何だと思いながらもそれでもこう二人に言った。
「この学校って怪談のお話があちこちにあるわよね」
「うん、プールとかね」
「理科室とか」
「七不思議どころじゃなくてね」
本当にそれでは留まらない。
「ちょっと調べただけじゃ幾つあるかわからない位にね」
「大きいし歴史もあるし」
「それでよね」
「そうよね、本当に無茶苦茶多いわね」
またこの話になり頷く彼等だった、そして。
愛実はその美紀にこんなことを話した。
「ねえ、美紀ちゃんってね」
「どうしたの?」
「怪談とかに興味あるの?」
「あるわよ、結構ね」
こうすぐに答える、美紀はコーヒーで愛実はココア、聖花はミルクティーを飲んでいる。三人共ホットでありコーナーの席に三人横に並んで座っている。美紀が中央で愛実が右、聖花が左だ。
「妖怪とかは信じてるけれど」
「そうなの」
「じゃあ妖怪さん達に会いに行くとかは」
「あっ、そういうのは駄目なの」
美紀は二人の問いにすぐに返した。
「ちょっとね」
「そうなの」
「この目で観ることはね」
それはというのだ。
「好きになれないの」
「ううん、じゃあ幽霊とかは」
「駄目、出るっていう場所には行けてもその目で観るのは苦手だから」
「そうなのね」
「あくまで読みものとか聞くだけよ」
好きだが怖いということは否定出来ないということだった。
「そういうのは」
「わかったわ、じゃあね」
「そういうことでね」
「ええ、まあこの学園で一番の謎はね」
それは何かというと。
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